クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず

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街の宿で…

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「スゴいよ!どこで買ったの!?」

「アタシこの絵買いたいんやけど!?」

「え、えっと……」

……どうしたら……?

あの後、街の絵を描いて、書き終えたら夕方になっていた。で…そろそろ宿に帰るために、女性陣(スイも)を起こしたところで俺が描いた絵が見つかってしまった。どうやらエレンさんとリンファさんは買った物だと思っているようで、どこで買ったのか質問攻めにしてくる。そこまで上手くもないんだけどな……?

「……お前ら、勘違いしてるみたいだが……それ、ヒビキが描いたんだぞ。」

どうしようかとあたふたしていたらギルアスさんがフォローしてくれた。

「え、えぇ!?ヒビキが描いたの!?これを!?」

「ホンマかいな!?ヒビキはん、逆に聞くけど出来ひん事あるん!?なんでも出来るやん!!」

『なんでも』は出来ないんだけどな?リンファさんの中で随分と過大評価されてるみたいで荷が重いな……

「えっと……そこまで上手くはないと思いますが……気に入ってもらえたなら良かったです。」

「めちゃくちゃ上手だからね!?」

「ヒビキはん!謙虚すぎるんも嫌味に聞こえるから気ぃつけなアカンで!変なヤツに絡まれるで!」

「いや…でも……」

そんなに上手くないんだよなぁ……中学の美術部の部長はもっと上手かったし。

「まぁ……ヒビキだしな。気にしても仕方ない。そういうヤツだと思うのが一番だ。」

「それもそっか。」

「確かに納得やな。」

……ギルアスさん…何気にヒドイような……?エレンさんにリンファさんも……

「ヒビキ~……ねむいよ……」

隣でこんなに騒いでもスイはまだ半分寝ているみたいだ。

「う~ん…スイ、抱っこしようか?」

半分寝ているスイ(めっちゃ可愛い)にそう提案してみた。大通りは人が多いから危ないし、スイもまだもう少し寝れるから一石二鳥だよな?

「ヒビキ……だっこ……」

「はいはい。…よっと……」

俺がスイを抱いて少し揺れるとスイは直ぐに寝息を立て始めた。

「いや…もう完璧にお母さんやん……ヒビキはん、アタシ、いつでもヒビキはんとの子供産んでもええで~」

「はあっ!?」

「そ、それは結構です!」

なんでそうなるんだよ!ギルアスさんもリンファさんのことスゴい目で見てるし!そ、それに子供って…そ、そういうこと?…ああっ!!考えるのヤメだ!

「ハァ…とりあえず宿に帰るぞ。」

「はい。」



……と、そんな感じで宿に帰ってきた。

「あの…エレンさん。少しいいですか?」

寝ているスイを抱いて、部屋に入る前にエレンさんを呼び止めた。

「うん!どうしたの?」

「えっと……呼び止めてすみません……スイをベッドに寝かせたいので部屋に入ってから座って話しませんか?」

「うん、そうしよう!私も、ヒビキが立ったままなら提案しようと思ってたんだよ。」

「そうだったんですね。とりあえず、部屋に入りましょうか。」

ドアを開けると、ベッドと二人掛けの椅子とテーブル、台所があった。

ギルアスさんは安くもないし、高くもないって言ってたけど……実は結構いい宿だよな……?台所まであるし……

「……ねぇ…ヒビキ。ギルド長…高くもないし安くもないって言ってたよね…?絶対いい宿だよね?」

……エレンさんも同じことを感じたみたいだな。

「やっぱりそうですよね………まぁ…費用に関してはギルアスさんに任せていますから……とりあえず、座って下さい。お茶の準備をしますね。」

「え?別に気を使わなくていいよ?」

「いえ…親しき仲にも礼儀あり、ですから。」

エレンさんは驚いたように目を見開いてから嬉しそうに笑って言った。

「うん!じゃあ、お願い!」

俺はスイをベッドに寝かしてから、お茶…日本でいう紅茶を淹れて椅子に座る。

「あの……エレンさん、話しなんですが……」

「うん、どうしたの?」

「えっと……ダグラスさんのことで……俺はもう気にしてないので…そろそろ許してあげてほしいんです。ギルアスさんが言うには、大分落ち込んでいるみたいで……」

「……ヒビキがいいなら許してあげる。でも、次ヒビキに何かしたら絶対に許さないよ。」

「そ、そうですか……ま、まぁ…とりあえず、今回の件については許してあげてください。」

「うん、分かったよ。」

「ありがとうございます。」

なんか俺がお礼を言うのも違う気がするけど……とりあえず…次は許さないって言ったエレンさんの顔が怖かった……

「確か明日は集合が十時だったよね?」

「はい、そうですね。十時に関所で商人と合流です。」

「じゃあさ、明日の朝、ちょっと朝市に行ってみない?果物とか、お肉とか安くで売ってるんだよ!」

「いいですね。何時くらいから見に行きますか?」

「う~ん……八時くらいかな?」

「了解です。」

……それからエレンさんと少し雑談した後、今日はお開きになった。





※エレン視点

私はヒビキとスイの部屋を出て、私とリンファさんが借りている部屋に入ると真っ先にベッドに転がりこんだ。リンファさんはギルド長達と明日の打ち合わせをしてるみたいで部屋にいなかった。

「ふふふっ…」

今、私の顔はかなり、にやけてると思う。

―― 親しき仲にも礼儀あり、ですから ――

そう言ったヒビキの声が私の耳から離れない。

だって、ヒビキは私と親しいって思ってくれてるんだもん。これって脈アリかな!?

「……ヒビキは何に怯えてるんだろう……?」

私はふとそう思った。ヒビキはいつも人の事を考えてて、自分のことは後回し。最初はただ親切にしてくれてるだけだと思ってた。でも……『あの人』に怒鳴られた時のヒビキは何かに怯えてた。それから、私の目にはヒビキがから目を背けてるように写るようになった。

「……いつか………いつか、ヒビキに心の底から笑ってほしいな……」

ヒビキの笑顔はとても優しくて暖かい。でも、やっぱり無理をしてる気がする。どこか、作り笑いのような気がする……

「ううん……笑ってほしいなら、私が笑わせてあげればいいんだよね。」

ヒビキは今、自分のことでいっぱいなんだよね?……ねぇ、ヒビキ。いつか、心に余裕が出来て、他のことに目を向けれるなら、私を見てほしいな……

……そんなことを考えていると、私は気が付けばそのまま眠っていた……









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