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街に着きました

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水を汲んでから野営地に戻るとスイ以外のメンバーは起きていた。スイはまだ寝てるみたいだな。

「あっ!ヒビキ!おはよう!」

エレンさんが笑顔で出迎えてくれた。

「おはようございます、エレンさん。」

「おはようさん、朝っぱらからどこに行ってたんだ?」

「おはようございます、ギルアスさん。ちょっと歩きたい気分だったので、水を汲みに川まで行ってました。」

「そうだったか。んじゃ、悪いけど早速朝メシ食ったら出発するぞ。」

「はい、分かりました。スイを起こして来ます。」

「おう、よろしくな。」

テントの中に入ると、スイが気持ちよさそうに眠っていた。

「おはよう、スイ。朝だぞ。」

「う~……むにゃむにゃ……」 

「起きないと置いて行っちゃうぞ~」

「ダメ!」

ガバッ!とスイが起き上がった。

「おはよう、スイ。」

「うん!おはよう!ヒビキ!」

スイの寝癖を直してからテントの外に出ると、朝ごはんの準備が出来ていた。

「ヒビキはん、おはよう。スイ君もおはよう。朝ごはん出来てるで~」

「おはようございます、リンファさん。朝ごはんの用意ありがとうございます。」

「おはよう!ボクおなかすいた!」

「せやな。ほな、朝ごはん食べようや。」



朝ごはんを食べて出発し、昼過ぎに最初の街に着いた。

「よし!じゃあ今日は宿を取ったら自由行動だ。明日の朝、商人と顔合わせをして護衛クエストを受ける。時間には遅れるなよ?」

「分かりました。」

「「はーい!」」

「ダグラスはん、寝坊したらアカンで。」

「するわけないだろ!」

……ということで、自由時間になった。のだが……  

「ねえ!ヒビキ!出店見に行こうよ!」

「この街は布が有名やで。ヒビキはん、どや?一緒に買いに行かへん?」

「ボクねむい……」

……みんな意見がバラバラなんだよなぁ……しかも、自由行動なのにスイはともかく、エレンさんとリンファさんもしれっと一緒に行動する気満々だしな……

「えと……スイ。何か食べ物買いに行くか?」

「いく!」

「じゃあ……布を見に行ってから、出店で何か買った後、皆で休憩…でいいですか?」

スイは小さいから優先するにしても、そうしたらエレンさんとリンファさんが喧嘩しそうだからな……全部詰め込んでみた。

「ええやん!」

「賛成!早く行こうよ!」

「おかし♪おかし♪」

ふう……納得してくれて良かった……



リンファさんに連れられて、縫い糸や生地など、手芸用品を売っている店に来た。

「すごい品揃えですね。」

「せやろ?この店はこの街で一番の手芸用品店やねん。」

生地や縫い糸に毛糸、針や裁ち鋏……それぞれの種類や大きさ、量などその数がすごかった。初心者向けや上級者向けで分けられていたり、値段もピンからキリまである。

「すごい!すごい!ぬのがいっぱい!」

……そんなに高いのは買えないけど、道具を一式買ってスイにポシェットか小さなナップサックを作るのもいいな。皆リュックだったり、何かしらのカバンを持ってるのを見て羨ましがってたからな。

俺は布を売っているエリアに行き、いい布がないか見ることにした。

「何かお探しですか?」

「ッ!?」

店員であろう男性が話しかけてきた。いきなりのことで驚き、肩がビクンと跳ねた。

「も、申し訳ありません。驚かせてしまいましたね……」

「こ、こちらこそ…すみません。い、いきなりで……お…驚いてしまって……えと……そ、そこまで高価なものじゃなくていいんですが……布を…探してて……」

なんとか言えたぁ……

「そうでしたか。どのように使うかお聞きしても?」

「えと……小さい男の子にポ…ポシェットなんかを…作ってあげたくて……」

「なるほど……少々お待ち下さい。」

男性はいくつかの布を持って戻ってきた。

「こちらの品は生地の機能性も良く、値段もお手頃な物でございます。」

「あ…ありがとうございます。」

持って来てもらった布の中で一番スイに似合いそうな薄い黄色の生地にした。

「あの……これにします。」

「ありがとうございます。」

「あと……他にも……」



こんな感じで緊張しながらも、他にも必要だった裏地や縫い糸、縫い針などその他諸々を購入してから出店が並んでいる大通りに移動した。

「すごいよヒビキ!出店がいっぱいだよ!」

出店を見に行きたいと言っていたエレンさんのテンションは最高峰に達していて、すごく興奮しているみたいだ。

「ヒビキ!ボクあれのみたい!」

スイがフルーツを使ったジュースを売っている出店を指差した。

「そうだな……ちょっと待って。」

「うん!」

ざっと見た感じだと、だいたいの店は200リル~300リル……銅貨二、三枚くらいだから、スイに銅貨を十枚手渡した。銀貨一枚でも価値は一緒だけど出店の場合は崩れてる方が使いやすいからな。

「いいか、スイ。これで全部で1000リル分のお金だ。今日はこの中で好きに使っていい。ただし、キチンと計算しながら使わないとすぐになくなるからな。」

「わかった!けいさんがんばる!」

「頑張れ!」

「うん!ボクひとりでかいにいってくる!」

スイがジュースの店に小走りで向かい、不慣れながらも頑張って注文しているのを見ているとリンファさんが口を開いた。ちなみにエレンさんは焼き菓子を買いに行ってる。

「なるほどなぁ……確かに、小さい時からお金の使い方勉強しといた方がええもんな。」

「教えれることは教えてあげた方が絶対に将来役に立ちますからね。」

「せやな。でも、なんでちょうど1000リル分なん?ちょっと物足らんのちゃう?」

「そうですね。でも、その少ないお金の中でどう工夫すれば楽しめるのかを考えるのも勉強になると思って…わざと少なめにしました。」

「ヒビキはんは立派なお母さんやなぁ。」

「お、お母さんはやめてください……」

「あはははっ!やっぱりヒビキはんはからかい甲斐あるわぁ!」

なんというか……リンファさんにはずっとからかわれそうな気がする……


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