10 / 47
勉強会
しおりを挟む
やっと、本命の文字の勉強が始まった。
「いいか?まず、これが文字の一覧だ。」
ギルアスさんに手渡された紙を見ると、英語の筆記体みたいなこの世界の文字が書かれていた。ただ、アルファベットと違って日本と同じ、五十文字だった。(い)とか(え)とかそういうのも含めて……漢字的なのはないのか?これだと文章にしたらめちゃくちゃ長くなるよな?
「……これの読み方を覚えたらいいんですね?」
「ああ。どれがどんな読み方かは今から教えるな。」
「よろしくお願いします。」
一時間後……
「……お前…頭いいな……」
「…?いきなりどうしたんですか?」
読み方を教えてもらって、文字の読み書きはほぼ完璧になった。
「だってよ…もう全部覚えたんだろ?」
「えっと……まぁ、だいたいは…」
形は違うけど…なんか平仮名と似てるしな。
「天才だよ……天才がここにいる……私なんかがこの人とパーティー組んでていいの……?国の魔法騎士団か何かに入った方がいいんじゃないの……」
「魔法騎士団?」
なんだそれ
「魔法騎士団は名前の通り、魔法専門の騎士団だよ。ヒビキみたいな魔法の天才がウジャウジャいる団体で私みたいな凡人は入れない超エリート集団。」
「いや…お前も出来る方だからな?ヒビキが人が…異常なだけで。」
……俺、今『人外』って言われかけたよな?
「……まぁ、ヒビキと比べたらダメか……」
俺は二人にどう思われてるんだろうな……
「そうしとけ。……じゃ、次は計算の勉強だな。」
計算か……中学までだったら出来るけど……文字が分からないような人が計算は最初から出来たらおかしいもんな……
「よろしくお願いします。」
三十分後……足し算、引き算の勉強が終わり、ギルアスさんから文章問題を出された時に事件は起こった……
「いいですか?エレンさん。かけ算には『かけられる数』と『かける数』があるんです。」
「うん。」
エレンさんが羽ペンを持って紙とにらめっこしながら頷く。
「例えば……『子供が5人います。1人あたりクッキーを6枚ずつ配ります。クッキーは全部で何枚必要ですか?』という問題があります。」
「うん。」
「この場合、式はどうなりますか?」
俺はエレンさんを見て問いかける。
「こうじゃないの?」
エレンさんは紙にこの世界の数字で『5×6』と書いた。
「それ、実は不正解なんです。」
「え?なんでダメなの?」
「計算だけなら答えは一緒なので特に問題ないんですが、文章問題としては不正解になります。さっきも言ったようにかけ算は『かけられる数』と『かける数』があります。」
「うんうん。」
「そして、『かけられる数』は1あたり量、『かける数』が分量になります。かけ算は『1あたり量×分量』というように計算します。…ちなみに、この文章問題の場合はどれが1あたり量になるか分かりますか?」
「この『1人あたりクッキーを6枚』ってところでしょ?」
「正解です。なら、さっき俺が言った『1あたり量×分量』というのに則ってこの文章問題の式を立てると……」
「あ……『6×5』になった……」
エレンさんが紙に式を書き直した。
「はい、正解です。」
俺はエレンさんが書いた式の隣に花丸を書いた。……羽ペンだから黒いけど。
「やったぁ!ギルド長!出来ました!」
「ハァ……なんでお前が教えてもらってんだよ……立場逆転してるだろ……」
「あ……」
喜んでぴょんぴょん跳び跳ねるエレンさんに、ギルアスさんが呆れたようにため息をついた。
足し算と引き算が終わった後、次はかけ算をした。計算はすぐに終わって、ギルアスさんに文章問題を出されたんだけどな…その内容が……
『子供が8人います。一人あたり5個ずつみかんをあげるには、みかんは何個必要ですか?』
……だった。その時に俺は、さっきの『1あたり量×分量』に則って『5×8=40』と答えた。するとエレンさんが「どうして、『8×5』じゃないの?8の方が先に書かれてるし、答えは一緒だよ?」と言ったので何故、『5×8=40』になったのかを説明していた。単位つけると分かりやすいよな。『1人あたり5個×8人=40個』てな感じで。
「……ヒビキには計算の勉強はいらなかったな……出来るなら出来ると言えばよかっただろ?」
「アハハ……出来ると思わなくて……」
とりあえず、そう言っておいた。
「……これだと、わり算も出来るよな?わり算ってかけ算だしな。」
「出来ると思います。」
「じゃあ…23÷3の答えは?」
エレンさんが適当にわり算の問題をつくる……けど…
「小数で表すなら、割りきれません。分数で表すなら7と3分の2です。」
7.6666……ってなるからな。
「……どうしてすぐに答えが分かるの…もうちょっと悩んでもいいじゃん……しかも、割りきれないことなんかあるんだ……」
「なんで知らないんだよ……」
……逆にどうして、割りきれないことがあるのを知らなかったのか?ギルアスさんに呆れられてるぞ?……途中で気付くよな?普通……
俺はこの世界…エレンさん自身の問題か?…の数学…いや、算数か…のレベルに疑問を覚えながらエレンさんに割りきれないわり算について、説明し始めたのだった……
「いいか?まず、これが文字の一覧だ。」
ギルアスさんに手渡された紙を見ると、英語の筆記体みたいなこの世界の文字が書かれていた。ただ、アルファベットと違って日本と同じ、五十文字だった。(い)とか(え)とかそういうのも含めて……漢字的なのはないのか?これだと文章にしたらめちゃくちゃ長くなるよな?
「……これの読み方を覚えたらいいんですね?」
「ああ。どれがどんな読み方かは今から教えるな。」
「よろしくお願いします。」
一時間後……
「……お前…頭いいな……」
「…?いきなりどうしたんですか?」
読み方を教えてもらって、文字の読み書きはほぼ完璧になった。
「だってよ…もう全部覚えたんだろ?」
「えっと……まぁ、だいたいは…」
形は違うけど…なんか平仮名と似てるしな。
「天才だよ……天才がここにいる……私なんかがこの人とパーティー組んでていいの……?国の魔法騎士団か何かに入った方がいいんじゃないの……」
「魔法騎士団?」
なんだそれ
「魔法騎士団は名前の通り、魔法専門の騎士団だよ。ヒビキみたいな魔法の天才がウジャウジャいる団体で私みたいな凡人は入れない超エリート集団。」
「いや…お前も出来る方だからな?ヒビキが人が…異常なだけで。」
……俺、今『人外』って言われかけたよな?
「……まぁ、ヒビキと比べたらダメか……」
俺は二人にどう思われてるんだろうな……
「そうしとけ。……じゃ、次は計算の勉強だな。」
計算か……中学までだったら出来るけど……文字が分からないような人が計算は最初から出来たらおかしいもんな……
「よろしくお願いします。」
三十分後……足し算、引き算の勉強が終わり、ギルアスさんから文章問題を出された時に事件は起こった……
「いいですか?エレンさん。かけ算には『かけられる数』と『かける数』があるんです。」
「うん。」
エレンさんが羽ペンを持って紙とにらめっこしながら頷く。
「例えば……『子供が5人います。1人あたりクッキーを6枚ずつ配ります。クッキーは全部で何枚必要ですか?』という問題があります。」
「うん。」
「この場合、式はどうなりますか?」
俺はエレンさんを見て問いかける。
「こうじゃないの?」
エレンさんは紙にこの世界の数字で『5×6』と書いた。
「それ、実は不正解なんです。」
「え?なんでダメなの?」
「計算だけなら答えは一緒なので特に問題ないんですが、文章問題としては不正解になります。さっきも言ったようにかけ算は『かけられる数』と『かける数』があります。」
「うんうん。」
「そして、『かけられる数』は1あたり量、『かける数』が分量になります。かけ算は『1あたり量×分量』というように計算します。…ちなみに、この文章問題の場合はどれが1あたり量になるか分かりますか?」
「この『1人あたりクッキーを6枚』ってところでしょ?」
「正解です。なら、さっき俺が言った『1あたり量×分量』というのに則ってこの文章問題の式を立てると……」
「あ……『6×5』になった……」
エレンさんが紙に式を書き直した。
「はい、正解です。」
俺はエレンさんが書いた式の隣に花丸を書いた。……羽ペンだから黒いけど。
「やったぁ!ギルド長!出来ました!」
「ハァ……なんでお前が教えてもらってんだよ……立場逆転してるだろ……」
「あ……」
喜んでぴょんぴょん跳び跳ねるエレンさんに、ギルアスさんが呆れたようにため息をついた。
足し算と引き算が終わった後、次はかけ算をした。計算はすぐに終わって、ギルアスさんに文章問題を出されたんだけどな…その内容が……
『子供が8人います。一人あたり5個ずつみかんをあげるには、みかんは何個必要ですか?』
……だった。その時に俺は、さっきの『1あたり量×分量』に則って『5×8=40』と答えた。するとエレンさんが「どうして、『8×5』じゃないの?8の方が先に書かれてるし、答えは一緒だよ?」と言ったので何故、『5×8=40』になったのかを説明していた。単位つけると分かりやすいよな。『1人あたり5個×8人=40個』てな感じで。
「……ヒビキには計算の勉強はいらなかったな……出来るなら出来ると言えばよかっただろ?」
「アハハ……出来ると思わなくて……」
とりあえず、そう言っておいた。
「……これだと、わり算も出来るよな?わり算ってかけ算だしな。」
「出来ると思います。」
「じゃあ…23÷3の答えは?」
エレンさんが適当にわり算の問題をつくる……けど…
「小数で表すなら、割りきれません。分数で表すなら7と3分の2です。」
7.6666……ってなるからな。
「……どうしてすぐに答えが分かるの…もうちょっと悩んでもいいじゃん……しかも、割りきれないことなんかあるんだ……」
「なんで知らないんだよ……」
……逆にどうして、割りきれないことがあるのを知らなかったのか?ギルアスさんに呆れられてるぞ?……途中で気付くよな?普通……
俺はこの世界…エレンさん自身の問題か?…の数学…いや、算数か…のレベルに疑問を覚えながらエレンさんに割りきれないわり算について、説明し始めたのだった……
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す
大小判
ファンタジー
平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。
その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。
地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。
失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。
「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」
そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。
この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に
これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。
チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
北野悠人は世界に突如現れたスキルガチャを引いたが、外れスキルしか手に入らなかった……と思っていた。
が、実は彼が引いていたのは世界最強のスキルばかりだった。
災厄級魔物の討伐、その素材を用いてチートアイテムを作る錬金術、アイテムを更に規格外なものに昇華させる付与術。
何でも全て自分でできてしまう彼は、自分でも気づかないうちに圧倒的存在に成り上がってしまう。
※小説家になろうでも連載してます(最高ジャンル別1位)
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
勇者召喚に巻き込まれた俺はのんびりと生活したいがいろいろと巻き込まれていった
九曜
ファンタジー
俺は勇者召喚に巻き込まれた
勇者ではなかった俺は王国からお金だけを貰って他の国に行った
だが、俺には特別なスキルを授かったがそのお陰かいろいろな事件に巻き込まれといった
この物語は主人公がほのぼのと生活するがいろいろと巻き込まれていく物語
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる