4 / 32
第一話「骨格」
「骨格」(4)
しおりを挟む
鍼灸整体整骨院〝サーヘイ堂〟
院は、セレファイスの戦士寮のもよりという好立地に店をかまえている。たえまない鍛錬や日々の労働で疲労した患者により、それなりに忙しい。
メネスはここで下働きしていた。
院長のオーベッドの厳しさときたら、涙ものだ。
「おいメネス! ぼうっとすんな!」
大柄なオーベッドに足を蹴られ、メネスは思わずよろめいた。シーツやタオルでいっぱいになった洗濯かごを取り落としていたら、もっと恐ろしい目に遭っていたはずだ。痛みをこらえ、メネスは答えた。
「すいません……」
「メネス! タオルが切れてっぞ!」
「すぐお持ちします!」
「とっとと新しい鍼もってこい!」
「いますぐに!」
掃除に洗濯、受付、かんたんな書類整理……驚くほど安い給料。人生だけでなく、職場ですらメネスの立ち位置は暗がりだ。本腰をいれて按摩師の勉強をしようにも、客に直接触れる機会ひとつメネスには与えられない。
地呪の才能……メネスの生み出す適度な電撃が、鍼や指圧の届かない凝りに効くことは皆知っていた。だが院長や同僚いわく、そんなものは子供だましの邪道もいいところだという。それもそうだ。長年かけて磨いた腕と技をめあてに訪れる客が、ろくに苦労もせずに体をよくして帰っていくなど見過ごせるはずもない。
メネスならではの気力のなさにも問題はある。院長に意見や提案をする根性はなく、職場を変えたりする度胸もない。思い切って独立して開業しようにも、こんどはメネス自身に知識や資金等の不足がつきまとう。
なのでこうして虐められながらも、メネスはいまだこのサーヘイ堂にしがみついていた。
「受付早くしろ!」
「すぐ行きます!」
「家に帰りたいって思ったな、いま!?」
「すぐにでも! ……あ、いえ」
飛んでくるオーベッドの拳から、メネスは身をすくませた。反射的にメネスの漏らした本音を聞き流せるほど、オーベッドは気の長い性格ではない。
そのときだった。
「ちょっといいかな、院長?」
客室からだれかの顔がのぞく気配を察し、オーベッドの拳は止まった。メネスの鼻先すれすれから戻した拳を、いかつい顔の前で咳払いに使う。へりくだった作り笑いを浮かべながら、オーベッドは答えた。
「なんでやしょ? ニコラさん?」
薄暗い個室からふたりを眺めるのは、端正な顔立ちの若者だった。
サーヘイ堂の常連客、ニコラ氏だ。
見た目は若いが、ニコラはひどい筋硬症をわずらっている。体じゅうがいつもガチガチに固まっており、指圧や鍼もろくに効かない。いつしかニコラは陰ながら、石人間というあだ名でさえ呼ばれていた。
ところで、ニコラが持っているのは肩こりだけではない。売れ筋の大手情報組織に属しているらしく、巨大な資産を有しているとの噂だ。数カ月前に初めて来院して以来、現にニコラはサーヘイ堂最高のサービスを受け続け、それに見合った気前のよい支払いを行っている。
そんな上客を前にしては、暴力的な院長も手で胡麻をするしかない。重たげに首と肩を回しながら、ニコラはほほえんだ。オーベッドではなく、メネスへ。
「やあ、メネスくん。きょうも頑張ってるね」
「ええ、まあ……」
「なんだか顔色がすぐれないな。なにか理不尽なことでもあったとか?」
ガラス球のようなニコラの瞳に見つめられ、オーベッドはしゃちほこばった。この金持ちは、あいかわらずなにを考えているかわからない。初診のころから、このようになぜかメネスのことがお気に入りなのにも疑問を感じる。
落ち着き払った声で、ニコラはつぶやいた。
「院長」
「へい?」
「申し訳ないんだが、ちょっと按摩師を変えてもらってもいいかな?」
「人を、変える? 院長のあっしから、だれにです?」
「メネスくんにだ」
「「え!?」」
このときばかりは、オーベッドとメネスの驚きは一致した。
最後まで対応した按摩師に大きなチップを落とすことで、ニコラは有名なのだ。そしていまは、院長のオーベッド自身がじきじきにニコラを対応している。理由のない途中交代など、オーベッドの金欲と誇りが許すはずがない。平身低頭ながらも、オーベッドは食い下がった。
「残念ですが、旦那。こいつはただの雑用係です。まっとうな按摩師でもない者に、大事なお客を任せるわけにゃいきやせん。さ、お部屋にお戻りくだせえ」
「すこし説明不足だったようだね」
メネスから陰になる形で、ニコラはオーベッドの手をそっと握った。手渡された金貨の重みに、オーベッドの呼吸が止まる。そこへ、ニコラの妖しい耳打ちが重なった。
「まだ足りないかな?」
「いえ、しかし……」
「私がこの最高級の角部屋を予約した理由を、院長ならわかってくれるはずだよ。ここだけじゃない。前の部屋も横の部屋も借りきって人払いし、私だけのゆとりの空間を作ってある。私と、メネスくんのね。空き部屋すべてに対して、所定の倍以上の料金を支払ってもいるつもりだ。わがままばかり言って申し訳ないね、いつもいつも、ほんとうに」
「…………」
金貨を握りしめた拳を、静かにポケットにしまうのがオーベッドの答えだった。しどろもどろの様子で立ち尽くすメネスへ、すれ違いざまに囁く。
「ご指名だ、メネスくん。話はまたあとで、じっくり聞かせてくれや」
「え、それはどういう意味……」
またたく間に閉められた扉に、メネスの質問は跳ね返って消えた。
光量の少ない個室に残されたのは、メネスとニコラだけだ。
店のサービスの限界を知りながら、それ以上を求めてくる客はどこにでもいる。メネス自身もそれは承知の上で、このサーヘイ堂での下働きに日々耐えていた。中性的ともいえる少年と、資産家の美青年が個室にふたりきり……起こることといえば、おのずとひとつに限られる。悲しいが、これもひとえに商売だ。
戸惑いの混じった表情で、メネスはニコラを上目遣いにした。
「やればいいんですね……? いつもの、あれを?」
「ああ、たのむ」
部屋に走ったのは、まばゆい電光の輝きだった。
愉悦の声を漏らすのは、ベッドに仰向けになったニコラだ。その腰に置かれたメネスの両手からは、間断なく呪力の電撃が放たれている。
「ききき効く効くきき効く効く!」
「ほんと、好きですねえ……」
恐ろしい地下世界の魔物をも気絶させるといわれるメネスの地呪……これによる肩腰のマッサージをニコラはやたらと好んだ。おそらくは人生の生きがいと呼べるほどに。それだけのために、ニコラはサーヘイ堂へ足しげく来院していると言っても過言ではない。ふつうの人間なら天国の階段を何十段も駆け上がるレベルの電撃を浴びてはじめて、その凝りはほぐれるとニコラは説明する。
やがてメネスの呪力が底をついたころ、ベッドには煙をあげて気味悪く痙攣するニコラが残った。満ち足りた面持ちであえぐ。
「ありがとう……全身に力がみなぎるようだよ。やはり、メネスくんのこれがないと始まらない」
「どういたしまして、と言いたいところですが、ニコラさん。このことは、院長にだけはぜったい秘密だって約束だったじゃないですか。あとでいったい、どんな嫌がらせが待っていることか……」
「こそこそ君に会いに来るのに、いいかげん嫌気がさしていた。やつが不在のときばかり見計らうなど愚の骨頂。時間の無駄。肩こりで死んでしまう。きみ自身が私のもとを訪れてくれれば、こんな大それたマネをする必要もなかったんだがね?」
呪力切れの疲労でイスに腰掛け、メネスは背を丸めた。
「何度もご説明しているとおりです。院外での単独業務は許されてません」
「これほど素晴らしい才能を持ちながら、なぜきみはあんな無能に従う?」
「応援は嬉しいですが……ぼくへの期待は、期待外れに終わると相場は決まっています」
「どうしてそう自分を否定するんだ。きみへのオーベッドの仕打ちを見て、私はいつも心を痛めている。悔しくて仕方ないだろう?」
「悔しさを通り越して、心が冷たくなる気分ですよ。仕事がある日は正直、毎朝起きるのも体が重いです」
「ああ、そうそうにこの院と手を切らないと、心ばかりか身まで病んでしまうぞ」
「手を、切る? 辞めるということですか?」
目を伏せて、メネスはため息をついた。
「頭は悪い、体力もない。こんなぼくを雇ってくれるところなんて、他にどこにも」
ニコラが静かにさしだした片手にも、メネスは気づかないふりをしている。それを知ってもなお穏やかな表情で、ニコラは告げた。
「何度めになるか覚えてないが、また言うぞ。私のもとで働かないか?」
闇の淵に立つメネスにとって、ニコラの誘いは救いの導きに等しかった。
しかし、やはりニコラにも決定的なある認識が欠けている。
信頼を置いてくれる数少ない人物であるニコラには、口が裂けても言えない。メネスはこの仕事が大嫌いなのだ。
メネスの夢は、あくまで召喚士。そしてニコラはたぶん、メネスのことを便利な按摩師あたりとしてしか見ていない。ちがう。サーヘイ堂はただの食いぶち。もしニコラの希望どおりの働きをすれば、いまのような日々の召喚の鍛錬もできなくなるはずだ。それは自分の存在意義となる大切ななにかを切り捨てる行為のようにも思えて、とても嫌な予感さえする。
夢と現実の区別をつけるには、メネスはまだ若すぎた。
だからいつも決まって、メネスはこんなふうに希望の光をはぐらかして終わる。
「ちょっと……考えさせてください」
ぎこちない微笑みを残して、メネスは立ち上がった。
院は、セレファイスの戦士寮のもよりという好立地に店をかまえている。たえまない鍛錬や日々の労働で疲労した患者により、それなりに忙しい。
メネスはここで下働きしていた。
院長のオーベッドの厳しさときたら、涙ものだ。
「おいメネス! ぼうっとすんな!」
大柄なオーベッドに足を蹴られ、メネスは思わずよろめいた。シーツやタオルでいっぱいになった洗濯かごを取り落としていたら、もっと恐ろしい目に遭っていたはずだ。痛みをこらえ、メネスは答えた。
「すいません……」
「メネス! タオルが切れてっぞ!」
「すぐお持ちします!」
「とっとと新しい鍼もってこい!」
「いますぐに!」
掃除に洗濯、受付、かんたんな書類整理……驚くほど安い給料。人生だけでなく、職場ですらメネスの立ち位置は暗がりだ。本腰をいれて按摩師の勉強をしようにも、客に直接触れる機会ひとつメネスには与えられない。
地呪の才能……メネスの生み出す適度な電撃が、鍼や指圧の届かない凝りに効くことは皆知っていた。だが院長や同僚いわく、そんなものは子供だましの邪道もいいところだという。それもそうだ。長年かけて磨いた腕と技をめあてに訪れる客が、ろくに苦労もせずに体をよくして帰っていくなど見過ごせるはずもない。
メネスならではの気力のなさにも問題はある。院長に意見や提案をする根性はなく、職場を変えたりする度胸もない。思い切って独立して開業しようにも、こんどはメネス自身に知識や資金等の不足がつきまとう。
なのでこうして虐められながらも、メネスはいまだこのサーヘイ堂にしがみついていた。
「受付早くしろ!」
「すぐ行きます!」
「家に帰りたいって思ったな、いま!?」
「すぐにでも! ……あ、いえ」
飛んでくるオーベッドの拳から、メネスは身をすくませた。反射的にメネスの漏らした本音を聞き流せるほど、オーベッドは気の長い性格ではない。
そのときだった。
「ちょっといいかな、院長?」
客室からだれかの顔がのぞく気配を察し、オーベッドの拳は止まった。メネスの鼻先すれすれから戻した拳を、いかつい顔の前で咳払いに使う。へりくだった作り笑いを浮かべながら、オーベッドは答えた。
「なんでやしょ? ニコラさん?」
薄暗い個室からふたりを眺めるのは、端正な顔立ちの若者だった。
サーヘイ堂の常連客、ニコラ氏だ。
見た目は若いが、ニコラはひどい筋硬症をわずらっている。体じゅうがいつもガチガチに固まっており、指圧や鍼もろくに効かない。いつしかニコラは陰ながら、石人間というあだ名でさえ呼ばれていた。
ところで、ニコラが持っているのは肩こりだけではない。売れ筋の大手情報組織に属しているらしく、巨大な資産を有しているとの噂だ。数カ月前に初めて来院して以来、現にニコラはサーヘイ堂最高のサービスを受け続け、それに見合った気前のよい支払いを行っている。
そんな上客を前にしては、暴力的な院長も手で胡麻をするしかない。重たげに首と肩を回しながら、ニコラはほほえんだ。オーベッドではなく、メネスへ。
「やあ、メネスくん。きょうも頑張ってるね」
「ええ、まあ……」
「なんだか顔色がすぐれないな。なにか理不尽なことでもあったとか?」
ガラス球のようなニコラの瞳に見つめられ、オーベッドはしゃちほこばった。この金持ちは、あいかわらずなにを考えているかわからない。初診のころから、このようになぜかメネスのことがお気に入りなのにも疑問を感じる。
落ち着き払った声で、ニコラはつぶやいた。
「院長」
「へい?」
「申し訳ないんだが、ちょっと按摩師を変えてもらってもいいかな?」
「人を、変える? 院長のあっしから、だれにです?」
「メネスくんにだ」
「「え!?」」
このときばかりは、オーベッドとメネスの驚きは一致した。
最後まで対応した按摩師に大きなチップを落とすことで、ニコラは有名なのだ。そしていまは、院長のオーベッド自身がじきじきにニコラを対応している。理由のない途中交代など、オーベッドの金欲と誇りが許すはずがない。平身低頭ながらも、オーベッドは食い下がった。
「残念ですが、旦那。こいつはただの雑用係です。まっとうな按摩師でもない者に、大事なお客を任せるわけにゃいきやせん。さ、お部屋にお戻りくだせえ」
「すこし説明不足だったようだね」
メネスから陰になる形で、ニコラはオーベッドの手をそっと握った。手渡された金貨の重みに、オーベッドの呼吸が止まる。そこへ、ニコラの妖しい耳打ちが重なった。
「まだ足りないかな?」
「いえ、しかし……」
「私がこの最高級の角部屋を予約した理由を、院長ならわかってくれるはずだよ。ここだけじゃない。前の部屋も横の部屋も借りきって人払いし、私だけのゆとりの空間を作ってある。私と、メネスくんのね。空き部屋すべてに対して、所定の倍以上の料金を支払ってもいるつもりだ。わがままばかり言って申し訳ないね、いつもいつも、ほんとうに」
「…………」
金貨を握りしめた拳を、静かにポケットにしまうのがオーベッドの答えだった。しどろもどろの様子で立ち尽くすメネスへ、すれ違いざまに囁く。
「ご指名だ、メネスくん。話はまたあとで、じっくり聞かせてくれや」
「え、それはどういう意味……」
またたく間に閉められた扉に、メネスの質問は跳ね返って消えた。
光量の少ない個室に残されたのは、メネスとニコラだけだ。
店のサービスの限界を知りながら、それ以上を求めてくる客はどこにでもいる。メネス自身もそれは承知の上で、このサーヘイ堂での下働きに日々耐えていた。中性的ともいえる少年と、資産家の美青年が個室にふたりきり……起こることといえば、おのずとひとつに限られる。悲しいが、これもひとえに商売だ。
戸惑いの混じった表情で、メネスはニコラを上目遣いにした。
「やればいいんですね……? いつもの、あれを?」
「ああ、たのむ」
部屋に走ったのは、まばゆい電光の輝きだった。
愉悦の声を漏らすのは、ベッドに仰向けになったニコラだ。その腰に置かれたメネスの両手からは、間断なく呪力の電撃が放たれている。
「ききき効く効くきき効く効く!」
「ほんと、好きですねえ……」
恐ろしい地下世界の魔物をも気絶させるといわれるメネスの地呪……これによる肩腰のマッサージをニコラはやたらと好んだ。おそらくは人生の生きがいと呼べるほどに。それだけのために、ニコラはサーヘイ堂へ足しげく来院していると言っても過言ではない。ふつうの人間なら天国の階段を何十段も駆け上がるレベルの電撃を浴びてはじめて、その凝りはほぐれるとニコラは説明する。
やがてメネスの呪力が底をついたころ、ベッドには煙をあげて気味悪く痙攣するニコラが残った。満ち足りた面持ちであえぐ。
「ありがとう……全身に力がみなぎるようだよ。やはり、メネスくんのこれがないと始まらない」
「どういたしまして、と言いたいところですが、ニコラさん。このことは、院長にだけはぜったい秘密だって約束だったじゃないですか。あとでいったい、どんな嫌がらせが待っていることか……」
「こそこそ君に会いに来るのに、いいかげん嫌気がさしていた。やつが不在のときばかり見計らうなど愚の骨頂。時間の無駄。肩こりで死んでしまう。きみ自身が私のもとを訪れてくれれば、こんな大それたマネをする必要もなかったんだがね?」
呪力切れの疲労でイスに腰掛け、メネスは背を丸めた。
「何度もご説明しているとおりです。院外での単独業務は許されてません」
「これほど素晴らしい才能を持ちながら、なぜきみはあんな無能に従う?」
「応援は嬉しいですが……ぼくへの期待は、期待外れに終わると相場は決まっています」
「どうしてそう自分を否定するんだ。きみへのオーベッドの仕打ちを見て、私はいつも心を痛めている。悔しくて仕方ないだろう?」
「悔しさを通り越して、心が冷たくなる気分ですよ。仕事がある日は正直、毎朝起きるのも体が重いです」
「ああ、そうそうにこの院と手を切らないと、心ばかりか身まで病んでしまうぞ」
「手を、切る? 辞めるということですか?」
目を伏せて、メネスはため息をついた。
「頭は悪い、体力もない。こんなぼくを雇ってくれるところなんて、他にどこにも」
ニコラが静かにさしだした片手にも、メネスは気づかないふりをしている。それを知ってもなお穏やかな表情で、ニコラは告げた。
「何度めになるか覚えてないが、また言うぞ。私のもとで働かないか?」
闇の淵に立つメネスにとって、ニコラの誘いは救いの導きに等しかった。
しかし、やはりニコラにも決定的なある認識が欠けている。
信頼を置いてくれる数少ない人物であるニコラには、口が裂けても言えない。メネスはこの仕事が大嫌いなのだ。
メネスの夢は、あくまで召喚士。そしてニコラはたぶん、メネスのことを便利な按摩師あたりとしてしか見ていない。ちがう。サーヘイ堂はただの食いぶち。もしニコラの希望どおりの働きをすれば、いまのような日々の召喚の鍛錬もできなくなるはずだ。それは自分の存在意義となる大切ななにかを切り捨てる行為のようにも思えて、とても嫌な予感さえする。
夢と現実の区別をつけるには、メネスはまだ若すぎた。
だからいつも決まって、メネスはこんなふうに希望の光をはぐらかして終わる。
「ちょっと……考えさせてください」
ぎこちない微笑みを残して、メネスは立ち上がった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
初恋フィギュアドール
小原ききょう
SF
「人嫌いの僕は、通販で買った等身大AIフィギュアドールと、年上の女性に恋をした」 主人公の井村実は通販で等身大AIフィギュアドールを買った。 フィギュアドール作成時、自分の理想の思念を伝達する際、 もう一人の別の人間の思念がフィギュアドールに紛れ込んでしまう。 そして、フィギュアドールには二つの思念が混在してしまい、切ないストーリーが始まります。
主な登場人物
井村実(みのる)・・・30歳、サラリーマン
島本由美子 ・ ・・41歳 独身
フィギュアドール・・・イズミ
植村コウイチ ・・・主人公の友人
植村ルミ子・・・・ 母親ドール
サツキ ・・・・ ・ 国産B型ドール
エレナ・・・・・・ 国産A型ドール
ローズ ・・・・・ ・国産A型ドール
如月カオリ ・・・・ 新型A型ドール
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】勇者学園の異端児は強者ムーブをかましたい
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、pixivにも投稿中。
※小説家になろうでは最新『勇者祭編』の中盤まで連載中。
※アルファポリスでは『オスカーの帰郷編』まで公開し、完結表記にしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる