41 / 42
想定外
しおりを挟む
「ギャアアアッ!? グギィイイイ!?」
エルメスの最早人間とも思えぬ絶叫が辺りに響き渡る。
身体中から血煙を湧き上がらせて全身に火傷を負ったエルメスは、ついに力尽きたのかうつ伏せに倒れた。
それを見た生徒達は全員で喝采をあげる。
「やった! やったぞ! 俺達が吸血鬼を倒したんだ!」
「ざまあみなさい! アンタ達みたいな化け物にこの国を好きにさせるものですか!」
笑い声を上げ、異様な熱狂を見せる生徒達に、駆け寄ってきた衛兵や貴族達は戸惑った。
そんな中、ガストンは生徒達の輪の外から時折垣間見えるエルメスの無残な姿を目の当たりにして、真っ青な顔で頭を横に振る。
「違う、違う違う違う! あれはエルメスではない! 我が娘が吸血鬼などと、そんな馬鹿なことがあるわけがない……!」
現実から目をそらそうとするガストンに、瀕死のエルメスが手を伸ばした。
助けを乞うように伸ばされたその手は、弱々しく震えている。
ガストンは自分に向かって這い寄ろうとしてくるエルメスの姿に、後退りした。
「やめろ……来るな、私に近寄るなあ!」
その言葉に反応して、エルメスはガストンの方にゆっくりと顔を上げた。
焼け爛れたその顔に、かつて夜会の女王と呼ばれていた頃の高貴で美しい面影はない。
そこにあるのはただ醜く朽ち果てた化け物の成れの果てであった。
それでもエルメスは自分の父であり、この場で唯一の味方だと思っているガストンに声を上げる。
「おどウザ、まァ……ダズげ、デ……」
ガストンは手を振り払って必死の形相でさけんだ。
「だ、黙れ! 化け物が我が娘の名を騙るな! 死ね! 死んでしまえ! 吸血鬼が!」
ガストンの手に魔力が集まり風が刃を形作る。
しかしそれが放たれる前に、衛兵達がガストンを取り囲んだ。
ガストンは魔法の発動を止めると、取り囲む衛兵達を見回して狼狽する。
「き、貴様ら! なんのつもりだ! ネェロ家の当主である私に無礼な振る舞いをするということがどういうことか、分かってやっているのだろうな!」
「――そこまでだ、ガストンよ」
衛兵達の間から王が歩み出てきた。
眉根を寄せて険しい顔をした王は、ガストンに向かって口を開く。
「ガストン・ヴィラ・ネェロ。娘が吸血鬼だと分かっていながら、その行いに加担したと思われるお前には今、国家反逆罪の疑いがかかっている。よってその身柄を拘束させてもらう」
「なっ!?」
「取り押さえよ」
ガストンは衛兵達に両腕を捕まれ、取り押さえられた。
振りほどこうと必死に抵抗しながら、ガストンは王にさけぶ。
「濡れ衣だ! まさかあんな化け物が本当に我が娘だとでもいうのですか!? それにあの小娘と王子の発言にもなんの証拠もない! ただのでっちあげだ! このような不当な逮捕、断じて容認できるものではない! ええい、離せ!離さんか、下郎共!」
暴れるガストンに衛兵達が困惑の表情で王を見る。
王としても今この場で起こっている事態に関しては、引っ掛かりを覚えていた。
今まで散々黒い噂が立ちながらも、表立って糾弾されることすらなかったネェロ家が、突然断罪されたこと。
娘がやったこととはいえ、ありえない失態の数々が暴露された挙句、当の本人が吸血鬼だったというこの結末。
なにもかもがあまりにもできすぎていた。
まるで誰かの筋書きによって、この場にいるすべての人間が踊らされているかのように。
ゆえに王はガストンをこのまま捕まえても良いものか躊躇した。
そこへ、静かにアムネジアが歩み出てきて言った。
「それでは私がガストン様の罪を証明して見せましょう――この真実の瞳で」
アムネジアの言葉にガストンは冗談ではないと怒鳴りかける。
この状況にガストンを追い込んだアムネジアが、満を持して今出てきたということは、罪を確定させる自信があるということだ。
そんな者の好きにさせては、本当にこのまま断罪されかねない。
しかしガストンはそこで怒りの罵声を飲み込んだ。
ガストンは当然真実の瞳の力を知っているし、見たこともある。
自らを破滅に追いやる可能性があるその力を恐れたガストンは、秘密裏に様々な文献を調べ、同系統の目を使う特殊な魔法を研究した。
その結果、真実の瞳はいわゆる魔物のみが扱える、精神に作用し行動を操る魔法の目――魔眼と同じ類の物であろうということに見当をつけていた。
ゆえに、ガストンは大金をはたいて手に入れたミスリル製の指輪を、常に肌身離さず身につけている。
これは今は絶滅したと言われる魔物の魔眼や精神に作用する魔法に対して絶大な耐性を持っていた。
ガストンとて実際に魔物の魔眼を受けたことなどない。
だが、この追い詰められた状況を打破するには、甘んじて真実の瞳を受けてアムネジアの決め手を断ち切るしかなかった。
「良かろう。やってみよ。しかし、もし私が瞳の力を受けてなお、なんの罪も証明しなかった場合、貴様は宰相である私を貶めようとした罪で極刑に処す! 良いな!」
自信満々な口ぶりでガストンがアムネジアと対峙する。
アムネジアはそんなガストンを無表情で見返すと、目を閉じた。
そしてゆっくりと、真紅に染った両目を見開く。
そんなアムネジアに対してガストンは馬鹿にしたように嘲笑を浮かべて言った。
「さあどうした! 私に語らせてみよ! ありもしない真実とやらを、な――!?」
目を見開いてガストンが固まる。
最早ガストンは、指一本満足に動かすことができなかった。
真実の瞳の支配によって。
ミスリルの指輪では真実の瞳は防げないのか?
そんな考えが頭をよぎり、ガストンは表情に絶望の色をにじませる。
それでも諦めてなるものかと、ガストンは唯一自由に動かせる目で何かできることはないかと周囲を見回した。
すると視界の端で、一人の顔色の悪い衛兵がニヤニヤしながら自分を見ていることに気がついた。
ガストンは知る由もない。彼の正体がアムネジアに仕える首だけの魔物、デュラハンであることを。
彼――ダリアンは、口になにか光る小さな装飾品のような物をくわえていた。
目を凝らしてそれを見たガストンは、身体中から血の気が引く。
ダリアンがくわえていたもの、それは。
ガストンが肌身離さず身につけていたミスリルの指輪だった。
「ガストン・ヴィラ・ネェロ。貴方は娘が吸血鬼だということを知りながら彼女の計画に加担し、また、自らの保身や私利私欲のために私を殺そうとしましたね?」
アムネジアの言葉に、ガストンは意志とは無関係に口を開く。
ミスリルの指輪による精神耐性がない今、ガストンに魅力の魔眼を防ぐ手立てはなかった。
「――その通りだ。今日皆の前で語られたアムネジアとフィレンツィオの告発はすべて事実である。私がすべての黒幕だ」
エルメスの最早人間とも思えぬ絶叫が辺りに響き渡る。
身体中から血煙を湧き上がらせて全身に火傷を負ったエルメスは、ついに力尽きたのかうつ伏せに倒れた。
それを見た生徒達は全員で喝采をあげる。
「やった! やったぞ! 俺達が吸血鬼を倒したんだ!」
「ざまあみなさい! アンタ達みたいな化け物にこの国を好きにさせるものですか!」
笑い声を上げ、異様な熱狂を見せる生徒達に、駆け寄ってきた衛兵や貴族達は戸惑った。
そんな中、ガストンは生徒達の輪の外から時折垣間見えるエルメスの無残な姿を目の当たりにして、真っ青な顔で頭を横に振る。
「違う、違う違う違う! あれはエルメスではない! 我が娘が吸血鬼などと、そんな馬鹿なことがあるわけがない……!」
現実から目をそらそうとするガストンに、瀕死のエルメスが手を伸ばした。
助けを乞うように伸ばされたその手は、弱々しく震えている。
ガストンは自分に向かって這い寄ろうとしてくるエルメスの姿に、後退りした。
「やめろ……来るな、私に近寄るなあ!」
その言葉に反応して、エルメスはガストンの方にゆっくりと顔を上げた。
焼け爛れたその顔に、かつて夜会の女王と呼ばれていた頃の高貴で美しい面影はない。
そこにあるのはただ醜く朽ち果てた化け物の成れの果てであった。
それでもエルメスは自分の父であり、この場で唯一の味方だと思っているガストンに声を上げる。
「おどウザ、まァ……ダズげ、デ……」
ガストンは手を振り払って必死の形相でさけんだ。
「だ、黙れ! 化け物が我が娘の名を騙るな! 死ね! 死んでしまえ! 吸血鬼が!」
ガストンの手に魔力が集まり風が刃を形作る。
しかしそれが放たれる前に、衛兵達がガストンを取り囲んだ。
ガストンは魔法の発動を止めると、取り囲む衛兵達を見回して狼狽する。
「き、貴様ら! なんのつもりだ! ネェロ家の当主である私に無礼な振る舞いをするということがどういうことか、分かってやっているのだろうな!」
「――そこまでだ、ガストンよ」
衛兵達の間から王が歩み出てきた。
眉根を寄せて険しい顔をした王は、ガストンに向かって口を開く。
「ガストン・ヴィラ・ネェロ。娘が吸血鬼だと分かっていながら、その行いに加担したと思われるお前には今、国家反逆罪の疑いがかかっている。よってその身柄を拘束させてもらう」
「なっ!?」
「取り押さえよ」
ガストンは衛兵達に両腕を捕まれ、取り押さえられた。
振りほどこうと必死に抵抗しながら、ガストンは王にさけぶ。
「濡れ衣だ! まさかあんな化け物が本当に我が娘だとでもいうのですか!? それにあの小娘と王子の発言にもなんの証拠もない! ただのでっちあげだ! このような不当な逮捕、断じて容認できるものではない! ええい、離せ!離さんか、下郎共!」
暴れるガストンに衛兵達が困惑の表情で王を見る。
王としても今この場で起こっている事態に関しては、引っ掛かりを覚えていた。
今まで散々黒い噂が立ちながらも、表立って糾弾されることすらなかったネェロ家が、突然断罪されたこと。
娘がやったこととはいえ、ありえない失態の数々が暴露された挙句、当の本人が吸血鬼だったというこの結末。
なにもかもがあまりにもできすぎていた。
まるで誰かの筋書きによって、この場にいるすべての人間が踊らされているかのように。
ゆえに王はガストンをこのまま捕まえても良いものか躊躇した。
そこへ、静かにアムネジアが歩み出てきて言った。
「それでは私がガストン様の罪を証明して見せましょう――この真実の瞳で」
アムネジアの言葉にガストンは冗談ではないと怒鳴りかける。
この状況にガストンを追い込んだアムネジアが、満を持して今出てきたということは、罪を確定させる自信があるということだ。
そんな者の好きにさせては、本当にこのまま断罪されかねない。
しかしガストンはそこで怒りの罵声を飲み込んだ。
ガストンは当然真実の瞳の力を知っているし、見たこともある。
自らを破滅に追いやる可能性があるその力を恐れたガストンは、秘密裏に様々な文献を調べ、同系統の目を使う特殊な魔法を研究した。
その結果、真実の瞳はいわゆる魔物のみが扱える、精神に作用し行動を操る魔法の目――魔眼と同じ類の物であろうということに見当をつけていた。
ゆえに、ガストンは大金をはたいて手に入れたミスリル製の指輪を、常に肌身離さず身につけている。
これは今は絶滅したと言われる魔物の魔眼や精神に作用する魔法に対して絶大な耐性を持っていた。
ガストンとて実際に魔物の魔眼を受けたことなどない。
だが、この追い詰められた状況を打破するには、甘んじて真実の瞳を受けてアムネジアの決め手を断ち切るしかなかった。
「良かろう。やってみよ。しかし、もし私が瞳の力を受けてなお、なんの罪も証明しなかった場合、貴様は宰相である私を貶めようとした罪で極刑に処す! 良いな!」
自信満々な口ぶりでガストンがアムネジアと対峙する。
アムネジアはそんなガストンを無表情で見返すと、目を閉じた。
そしてゆっくりと、真紅に染った両目を見開く。
そんなアムネジアに対してガストンは馬鹿にしたように嘲笑を浮かべて言った。
「さあどうした! 私に語らせてみよ! ありもしない真実とやらを、な――!?」
目を見開いてガストンが固まる。
最早ガストンは、指一本満足に動かすことができなかった。
真実の瞳の支配によって。
ミスリルの指輪では真実の瞳は防げないのか?
そんな考えが頭をよぎり、ガストンは表情に絶望の色をにじませる。
それでも諦めてなるものかと、ガストンは唯一自由に動かせる目で何かできることはないかと周囲を見回した。
すると視界の端で、一人の顔色の悪い衛兵がニヤニヤしながら自分を見ていることに気がついた。
ガストンは知る由もない。彼の正体がアムネジアに仕える首だけの魔物、デュラハンであることを。
彼――ダリアンは、口になにか光る小さな装飾品のような物をくわえていた。
目を凝らしてそれを見たガストンは、身体中から血の気が引く。
ダリアンがくわえていたもの、それは。
ガストンが肌身離さず身につけていたミスリルの指輪だった。
「ガストン・ヴィラ・ネェロ。貴方は娘が吸血鬼だということを知りながら彼女の計画に加担し、また、自らの保身や私利私欲のために私を殺そうとしましたね?」
アムネジアの言葉に、ガストンは意志とは無関係に口を開く。
ミスリルの指輪による精神耐性がない今、ガストンに魅力の魔眼を防ぐ手立てはなかった。
「――その通りだ。今日皆の前で語られたアムネジアとフィレンツィオの告発はすべて事実である。私がすべての黒幕だ」
55
お気に入りに追加
3,249
あなたにおすすめの小説
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる