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あとがき

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俺がその話しを聞いたのは、年が明けて最初の登校日だった。寝耳に水というのは、こういう事を言うのだろうと、その時初めて実感した。
昨日今日決まった話しではない事くらいわかる。だったら何故最初から言ってくれなかったのかと思いもした。
だけど、そんなのは俺の勝手な、一方的な思いでしかない。おそらく、相手だっていろんな事を考えた結果、話しを切り出したのだと思う。

終業式の日にもそんな話しは出なかったし、進級してそいつが居なくても話題にもならなかった。学校側に話して終わったのだという。
多くの生徒がいる中で、一人減ったからといって誰も気にしないのだろう。それでも、俺には前もって話してくれていたのは、相手の誠意だと思ったから、言われた瞬間は色んな感情が込み上げたが、俺はそれを受け入れる事にした。

「これは雪待様、お見送りにお越し頂きありがとうございます。ですが、言ってくだされば迎えに行きましたものを。」
「高野さんには悪いけど、俺は自分の意志で、自分の足でこの場に立ちたかったんだ。」
「そうでございますか。」
最初に歩いて来た高野さんと会話した後、その後に続く人物に目を向ける。
「本当に、待つつもりですの?」
「何度も言っただろ。何年でも待つって。」
俺がそう言うと、綺迦は微笑んでくれた。

思えば、俺はその笑顔がもっと見たくなったんだと思う。最初は人を見下し、冷たい目をする奴だと思っていたが。
時折見せる戸惑った顔や笑顔、思いがけない反応、それを見るのが好きだった。

「裏切ったら地の果てまで追いかけてでも殺しますわ・・・と、言ってもですの?」
「あぁ。そんな事にはならないけどな。綺迦の笑顔以上に大切なものなんて無いし。」
俺がそう言うと、顔を逸らして恥ずかしそうな表情をする。
「少しは、恥じらいというものがありませんの?」
「それが俺の思いだから。」
言った直後、綺迦は俺に顔を近付けてきて、唇と唇が触れ合った。
恥じらいがなんだって?

「向こうについて、ゲームを出来る環境になったら連絡しますわ。」
「あぁ、待ってるよ。」
「それじゃ、行ってきますわ。」
「気をつけてな。」

ゲートをくぐるまで、綺迦の後姿を見送る。時折振り向いてくれたのが嬉しかった。

「ご自宅までお送りしますよ。」
「ありがとう。気持ちだけで十分だよ。」
「わかりました。」

会話はそれだけで、俺と高野さんは、綺迦の乗った飛行機が飛び立ち、見えなくなるまで空を見上げていた。








という事で、デッドエンドウォー シンフォニアは終わりとなります。
長い事お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

当初はここまで長くなるつもりはまったくありませんでした。ラウンドトリップの中で生まれたこのゲームを、ちょっと書いてみたいなってだけの思いだったので。
なんでこんな長くなったんだろ・・・
ラウンドトリップよりちょっと長い程度のつもりだったのに。
それでも、書ききれた事には安堵しています。

書いていてやっぱり思ったのが、話しを考えるのがそれほど得意じゃないって事ですね。
それと、盛り上がりに欠けるところが技量不足というのを実感しています。長いだけじゃんと言われても返す言葉がないという。主人公が高校生というのも難しいところで、書いている本人が普通の社会人なため、言い回しが学生っぽくないところも多々あったと思います。
それにも関わらず、読んで頂けたのは本当にありがたい事です。

繰り返しとなりますが、お付き合い頂きありがとうございました。

2020.12.23 紅雪
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