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もしもシリーズ(オマケ)
M02.悔恨の先を照らす涙、昔日
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もしもシリーズの第2弾がやってまいりました。
待ってないって?そう言わず読んで頂けたら嬉しいです。
本編でいうところの75くらいまで読んでいればいいような気はします。(適当)
それと、本編とはまったく関係ない話しですので、読まなくてもいいです。
気になったら読んでみてください。
「やっちまったなー。」
銜えていたプレッツェルが噛み砕かれて床に落下する。諸手で頭を抱える禍月の様子を見て、美馬津は近付いた。
「何をやったんだよ。」
美馬津は禍月のディスプレイに表示されているプログラムの中身を見る。その中には一部知っているコードが含まれていたが、知らないものもあったため首を傾げた。
「これって・・・」
「実は移送と召喚を使って試したい事があってなー。」
「危ないな・・・」
禍月の言葉に美馬津は呆れてそれだけ漏らした。移送にしろ召喚にしろ、使用したのは2度しかない。内容からしてもちょっと試すかというには重すぎる。まさかそれを、試すかでやってしまう事に、嫌な予感すらし始めていた。
「それで、どうなったんだ?」
「分からん。」
「分からんって・・・まずいんじゃないのか?」
「エラーは吐き出さなかったからプログラム自体は実行された筈なんだ。だけど、何が起きたかまでは分からない。」
「おいおい・・・」
それはゲームに大きな影響を齎す可能性があるという事だ。おいおい、と言った美馬津は、言った後にそれどころの話しじゃないなと思うと、気が重くなってきた。
「実は仮にアカウントを作って、ゲームキャラを作成したんだ。移送と召喚に関してはこのキャラで試していたんだが。」
「結果は?」
「そこは問題ない。逆召喚というのはちょっとムズくてなー。お姫様をどうにかする前に試験しようと思ってたんだ。」
「なるほど。」
美馬津は頷いて顎に指を当てると、禍月の書いたコードをもう一度よく見てみる事にする。
「ちなみにキャラは、みまっちゃん。良く出来てるぞー。」
「何をしてくれてんだよ・・・」
一旦呆れて溜息を吐くと、美馬津はまたコードに目を向ける。
「そのみまっちゃん・・・に、使ったんだよな。」
自分の名前が使われている事に抵抗を感じた美馬津だが、話しが進まないので諦めて続ける。
「そうだー。ところがキャラに変化は無い。つまり、別のところで何か起きた可能性がある。」
「それ、一般ユーザーだったら大惨事なんだが・・・」
「だからやっちまったーって言ったじゃないかー!」
「あのな・・・」
言う言わないの問題ではないだろうが、と美馬津は突っ込みたかったが、その前にゲーム内を監視しているディスプレイに異変が起きた事で、言葉を出すことを忘れて見守った。
「これって・・・」
「流石・・・こいつ、持ってんなー。」
美馬津は興味深く見守るが、禍月は愉快そうな表情をした。
「とりあえず、何とかしないと。」
「分かってるっての。」
夜中に目が覚めて、目が冴えてしまったのでとりあえずDEWSにログインをした。最近はメンバーとばかりなので、一人でゲームをするのは凄く久しぶりだ。
始めた当初は、アヤカに振り回される事はあっても、一人でプレイする時間もそれなりにあったからな。寝るのと飯を食う以外はずっとプレイしていたっけ。
今はそれほどでもないが。
(たまには一人も新鮮だな。)
そんな事を思いながら、スニエフの街から出ようとする。特にクエストをやろうとは思わないが、散歩程度なら一人も楽しめるかもしれない。
(それなら、こんな穴倉じゃなく、別の街に行った方がいいかもな。)
そうは思ったが、移動するのも面倒なので此処でいいかという結論に至った。ニベルレイスに来る前からもそうだが、フィールドをのんびり見て回った事も無い。そう思えば、丁度いいのかもしれない。
(明日の授業は睡眠学習だな・・・)
そんな事を考えながら、街の外に出る。
「・・・!」
街の外に出た途端、自分の目より少し高い位置の空間が歪み始める。
「これって・・・まさか。」
忘れようがない、アリシアが現れた時と似ている。という事は、また誰か出て来るのか?また生身の人間をゲームに放り込むんじゃないだろうな。
そんな嫌な事を考えながら行く末を見守った。
「いった。何これ、何処?」
歪みから現れたのはどう見てもDEWSのキャラだった。って事は生身の人間じゃない?いや、それはまだ分からないが。周囲を見回しているが俺は視界に入っていないらしい。パニックなのか落ち着きが無いのか・・・
「私、天空塔に向かっていたのにな、何で洞窟?」
その女の子は独り言を言いながらシステムデバイスを開いた。
やっぱりゲームのキャラか。アリシアは生身だからかシステムデバイスを開く事は出来ない。開くように出来るのかもしれないが、今はどうでもいい。それよりも目の前の女の子が何なのかだ。
「えぇ・・・何も機能しないじゃん。」
がっくりと項垂れると、女の子はまた周囲を確認し始めた。今度は直ぐに俺と目が合う。
「うわっ・・・何時から居たの?」
驚くとは失礼な奴だな。
「降って来るところから。」
「最初からじゃん!何か言ってよ。」
知るか。
「えぇと、ユアキス?ここって何処?」
そう言えば名前って表示されているんだったな。起きた事に気を取られ、そんな事すら気付かなかった。
「どこもなにも、二ベルレイスだが。」
「ニベルレイス?」
女の子・・・いや、ユミナスと表示されたそのキャラは首を傾げて言った。
「ここ、DEWS内だよね?」
「そうだが。」
「おかしいなぁ、私ね、天空塔に向かっていたのよ。知らない?」
「いや、聞いた事が無いな。そんな場所はまだ実装されてないから、今後に追加になるのか?」
「言ってる事おかしいよ?そもそもDEWS内にこんな洞窟なんか無いもん。」
「はっ?」
もう何を言っているのかさっぱりだ。ニベルレイスが無く天空塔?なんだそりゃ。
「それよりさ、ログアウト出来ないんだけど、ユアキスは出来る?」
馴れ馴れしいな。
だが相手にするのも面倒なので、システムデバイスを開いて確認する。
「あぁ、問題無さそうだ。」
「私のシステムパッド、何も反応しないんだ。」
システムパッド?初めて聞いたぞ。
「システムデバイスじゃないのか?」
「ううん、システムパッド・・・なんかおかしいね?」
「あぁ、おかしい。」
お前がな。
「もしかして私、異世界来ちゃった?」
知るか。
だが、あの空間の歪みを考えるとあり得なくはない。アリシアの存在が無かったら信じ難い話しではあるんだが。でもアリシアにとっては確かに異世界かもしれない。そう考えるとユミナスの場合は違うだろう。
「別世界、若しくは並行世界、あたりじゃないか?」
「それだ。言われてみればそうだね。」
ユミナスは両手の人差し指を俺に向けて納得した。いいのかそれで。問題はそこじゃないだろうが。
「どうしよう、戻り方が分からないよ。」
「俺も知らないぞ。」
「だよねぇ。」
ユミナスは言いながらシステムデバイスを閉じると、立ち上がった。その表情は特に困惑した感じもしないから、楽観的な性格なのかも知れない。
「せっかくだし、こっちのDEWSの案内でもしてよ。」
何で俺が・・・
ってか状況に慣れるの早すぎじゃないか?
「まさか、別世界に来た女の子を独り放り出したりしないよね?」
面倒くせぇ。
「なんか名前も似てるしさ、どう?」
名前は関係ねぇ。
俺は一人で散歩を楽しもうと思っただけなんだがなぁ。
「しょうがないな。」
「お、ありがとー。よし、まず近くの街に行こうよ。どこにあるの?」
物怖じしないというか、人懐っこいというか、ユミナスは笑顔になるとそう言った。俺はその質問に対し、親指を後ろに向ける。
「あ、そこなんだ。」
「あぁ。街を出た直後にユミナスが降って来たからな。」
「そう。じゃ、行こ?」
と言いつつも、俺を抜いてもう扉に向かって歩いていた。
「地下に街があるなんて新鮮だねぇ。」
ユミナスは街に入ると、興味深そうに見まわしながら歩き始める。俺はその後ろを付いて行く。案内なんか無くても、一人で好き勝手に見て回りそうな奴だなと思いながら。
「ところでさ。」
「ん?」
突然振り返って声を掛けられ驚く。
「名前、似てるよね。」
それさっきも聞いたっての。
「言われてみればそうだな。」
確かに、似たような名前ではあるが、珍しいわけでもない気はする。俺の場合は適当に自分の名前をもじっただけなのだが。
「何でユアキス?」
どうでもいいだろう。とは思いつつも会話に詰まり無言で歩くのも何なので、答えておくことにした。
「自分の名前の一部を使っただけだ。特に意味は無い。」
「そうなの!?実は私もー。」
へぇ。
ありきたりと言えば、ありきたりな方法だよな。別に俺はそれでいいと思うし。ただ、何となくどんな名前なのか、それを知ってしまうと想像してしまう。
「雪待ミナとかだったら面白いな。」
自分の名前を言うつもりで言ってみたんだが、ユミナスの表情は驚きを隠せないと言った表情になり歩みを止めた。
「何でわかったの!?すごーい。」
「マジ・・・か?」
「本当は美奈斗なんだけどね。でもほとんど正解。じゃぁ、ユアキスは雪待アキ?なわけないか、あはは。」
ユミナスはそう言うと楽しそうに笑った。何が楽しいのかさっぱりわからないが。ただ、自分で言っておいてなんだが、言われると確かに驚くな。
「正確には、晶社なんだが。」
「え・・・」
俺が答えると、ユミナスはまたも驚きの表情をする。
「何かセンスが似てるね。」
つまり無いって事な。
「親はさ、最初美奈にしようとしたんだって。」
まぁ、美奈斗じゃ男でもありそうだもんな。
「だけどね、母さんと似ちゃうからって斗を付け足したって。適当よねー。」
本当にな。そういや、俺の名前は何で付けられたのか聞いた事は無いな。
「母さんって、まさか莉菜じゃないよな。」
自分の母親の名前を思い出してふと口にしてみた。ミナとリナだったら、似てるよなぁと思っただけなんだが。
「ユアキスってさ、ストーカー?」
「なんでだよ!」
ちょっと引いて言うユミナスに大きな声で突っ込む。失礼な奴だなと思って。だが待てよ、その発言は俺の言っている事が正解だって事じゃないのか?
「まさか・・・」
「うん、当たり。」
やはり。こんな偶然、あるのか?
「ここまで来たら、父さんの名前も言ってみて。」
「数音・・・」
ユミナスが促してきたので、恐る恐る自分の親父の名前を口にする。まさかとは思っていたが、ユミナスの反応は予想通りだった。
「マジで警察案件・・・」
かなりドン引きしたユミナスが、俺の事を気持ち悪いみたいな態度で言う。
「いや違うから。そもそも世界が別なんだろうが。」
「あ、そうだった。」
慌てて言うと、笑顔に戻ったユミナスは舌を出して見せた。
「もしかしてさぁ、ユアキスの両親も同じ名前?」
「まぁ、そうだ。」
「だから当たったんだねぇ。という事は、私ってもしかして別世界の両親の子供に遭ってる?」
うわぁ、マジか。そんな事ありえんのか?
「何か面白いね。」
面白くないわ。
なんでこいつは普通に受け入れてんだよ。普通に考えたらかなり恐ろしい出来事だぞ。
「ね、せっかくだからもう少し話そうよ。私、ユアキスにちょっと興味が出てきた。」
出なくていいっての。
だが、そう思う反面、もし別世界の親父と母さんの存在があったとして、どんなものか興味があるのはある。子供が違うのだから、きっとうちの両親とはまた別の生活とかしているんじゃないのか、とか。
「そうだな。」
それから腰を落ち着ける場所を探して、話しの続きをする事にした。場所と言っても、アリシアの家の前なんだが。
「ね、ユアキス両親はどんな人?」
座れない椅子の付近に二人で座ると、ユミナスが先に口を開いた。改めて問われると、答えに困るな。
「親父は普通のサラリーマンだが。母さんは専業主婦。」
「えぇ、いいなぁ。」
良いのか?
俺としては金持ちだったらいいのにとか、何度か思った事はある。まぁその程度なんだが、実際に今の生活に不満はない。学生の身でそんな事を思うのは烏滸がましいかもしれないが。
「何がいいんだよ、普通だろ。」
「だって、私のところは両親が居ない事もよくあるし、ご飯だって揃って一緒に食べる事も少ない。今は慣れたけど、小っちゃい頃はやっぱり寂しかったなぁ。」
ふーん。やはり、世界が違えば違うものなのか?
しかし、家にあんまり居ないってどんな仕事だよ。
「ユミナスの両親は何をしてるんだ?」
「父さんはね、刑事。母さんは看護師なんだ。」
凄いな。刑事なんて子供にとったらヒーローみたいなもんじゃないのか?
「かっこいいって思う事もあるよ。でも、やっぱり家に居て欲しいなって思いが強くなるよ。」
そういうものなのか。
「でも、刑事なんて凄いと思うよ。」
「うん、そうだね。昔から警察官になりたかったんだって。それから刑事になって、家にいる時間がさらに不定期になった。」
俺は単純に凄いなと思ったんだが、子供にとってはそうじゃないようだ。ユミナスが寂しそうに言うのを見ると、そう思わされた。
「うちの親父なんか特に取柄もないゲーマーだったらしいからな。それに比べれば、子供の頃からの夢を叶えたってところは凄いよな。」
「うん、まぁね。でも父さん、ちょっと身体が不自由なところもあるんだ。」
「マジか・・・」
なんか俺と違って苦労してそうだな、そっちの雪待家は。
「なんかね、高校生の頃に暴行に遭ったんだって。」
あまり聞きたくない話しだな。
「その時に、一緒に居た母さんも巻き込まれて、頭蓋骨陥没。二人とも生死の境を彷徨ったんだって。怖いよね。」
怖いよね、じゃねぇ。相当重い話しじゃねぇか。
「もともと父さんは正義感が強かったって母さんが言ってた。当時、数人に一人が暴行されてて、それを止めに入ってそうなったんだって。」
親父も多分無理だが、俺も無理だ。怖くてそんな行動は出来る気がしない。
「だけど、それでも警察になろうとしてなったんだろ?」
「うん。母さんも病院で看護師の仕事を見て、そっちに行くって決めたらしい。」
そうか、高校の時にはもう将来を決めていたんだな。
俺には、そんな展望も何もない。ただ、今を楽しもうとしかしていない。親父と母さんには、そんな事は聞いた事無いな。今度、聞いてみるか。
「なかなか、凄い人生だな。」
「だよねぇ、私もそう思う。その点私は、平凡に生きてるけどね。」
「俺もそうだが。」
毎日何事もなく、飯も食って、好きなゲームして。
・・・
それって、幸せなのかも知れないな。
「今はねぇ、子供の頃と違って、二人を尊敬してるけどね。」
「そうか。凄いな。」
尊敬、か。
それは俺に出来るか分からないが、今の俺がこうしていられる事には、感謝くらいはしないといけないんだな。
「ところでユアキスって、いくつ?」
「ん?16。」
「あ、同じだ。高1だよね。」
「あぁ。」
「何から何まで、似た者同士だね。」
似た者同士って言葉が当て嵌まるのかどうかは疑問だが。
「まぁ、凄い偶然ってのは確かだな。」
「そだね。」
ユミナスは頷くと、楽しそうに微笑んだ。よくよく見ると、若い頃の母さんに似ている気がする。
「そだ、折角だし、魔獣倒しに行こうよ。」
「それは構わないが、俺はそっちの天空塔ってのが気になるな。」
「そう?じゃぁ歩きながら話してあげるよ。」
「あぁ。」
俺は頷いて立ち上がると、ユミナスも一緒に立ち上がった。
「あ・・・」
その瞬間、ユミナスの周囲が歪み始めた。
「おい!」
「・・・」
空間の歪みの所為なのか、ユミナスの口は動いているが声はもう届いて来なかった。だけど、ユミナスは笑顔で手を振って来る。
本当に、物怖じしない奴だな。
そう思いながら、俺も口元を緩めて軽く手だけ上げておいた。
「うあー、マジ死ねるわー・・・」
禍月は机に突っ伏して、脱力とともに声を吐き出した。
「自業自得だろう。」
美馬津は呆れた目を向けていう。その美馬津の表情も、疲れが色濃く出ていた。
「そうとも言う。だからあっきー、あとよろしくー。」
「いやおかしいだろ!」
既に管理室の出入り口に移動していた禍月に、美馬津は全力で突っ込んでいた。
その日の夜、ヒナが風呂に入っている時に、俺は朝方体験した話しを親父と母さんにした。
夢でも見ていたんじゃないか?
そう言われるのは分かっていたが、どうしても話してみたかった。どんな感想が出て来るのか気になったし、話しの流れで将来の事とか考えていたのかを聞いてみたくて。
だが、二人の反応は予想外だった。
母さんは話しを聞くと、口元を押さえて涙を流し始める。親父の目も潤んでいるのが分かった。
何かまずい話しでもしたんじゃないかと思ったが、そうでもないらしい。表情はどこか嬉しそうだったからだ。
その涙の理由を知りたくはあったが、多分二人にとって大事な事なんじゃないかと思うと、俺はリビングを離れて部屋に戻る事にした。
「数音・・・莉菜が、莉菜が生きて・・・」
莉菜は晶社が居なくなると、微かな声で言いながら数音の肩に手を置いた。晶社が居る時には堪えていた涙も、一気に溢れ出す。
「うん、莉菜さん、持ち堪えたんだね。良かった。」
数音も眼鏡を外し、莉菜の肩を抱き寄せると目から涙が零れた。
「ずっと、ずっと心残りだった。僕だけ貰って、莉菜さんは失うのかと。」
「それは私だって同じだ。」
「心のどこかで、ずっと思っていた。」
「私たちだけ、幸せでいいのかって。」
「莉菜さんも、生きててくれて本当に良かった。」
「あぁ。」
「やっと、心から言える気がするよ。」
「そうだな。」
『ありがとう。』
あとがき
いろいろ考えた結果、こんな話しになりました。
結構前から考えていたのですが、なかなか書くに至らず。
本編早く書けよって気もしますが、思い付いたらこっちも書きたい。
そんな感じの作者です。
今回はRTLの設定を引っ張って来ました。
だから何?と言われるとちょっと悲しいですが、また一つの話しとして、数音と莉菜の事を残しておこうかと。本編、ほとんど出てきませんからね。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
次回はもっと軽い話しの予定です。
それでは。
待ってないって?そう言わず読んで頂けたら嬉しいです。
本編でいうところの75くらいまで読んでいればいいような気はします。(適当)
それと、本編とはまったく関係ない話しですので、読まなくてもいいです。
気になったら読んでみてください。
「やっちまったなー。」
銜えていたプレッツェルが噛み砕かれて床に落下する。諸手で頭を抱える禍月の様子を見て、美馬津は近付いた。
「何をやったんだよ。」
美馬津は禍月のディスプレイに表示されているプログラムの中身を見る。その中には一部知っているコードが含まれていたが、知らないものもあったため首を傾げた。
「これって・・・」
「実は移送と召喚を使って試したい事があってなー。」
「危ないな・・・」
禍月の言葉に美馬津は呆れてそれだけ漏らした。移送にしろ召喚にしろ、使用したのは2度しかない。内容からしてもちょっと試すかというには重すぎる。まさかそれを、試すかでやってしまう事に、嫌な予感すらし始めていた。
「それで、どうなったんだ?」
「分からん。」
「分からんって・・・まずいんじゃないのか?」
「エラーは吐き出さなかったからプログラム自体は実行された筈なんだ。だけど、何が起きたかまでは分からない。」
「おいおい・・・」
それはゲームに大きな影響を齎す可能性があるという事だ。おいおい、と言った美馬津は、言った後にそれどころの話しじゃないなと思うと、気が重くなってきた。
「実は仮にアカウントを作って、ゲームキャラを作成したんだ。移送と召喚に関してはこのキャラで試していたんだが。」
「結果は?」
「そこは問題ない。逆召喚というのはちょっとムズくてなー。お姫様をどうにかする前に試験しようと思ってたんだ。」
「なるほど。」
美馬津は頷いて顎に指を当てると、禍月の書いたコードをもう一度よく見てみる事にする。
「ちなみにキャラは、みまっちゃん。良く出来てるぞー。」
「何をしてくれてんだよ・・・」
一旦呆れて溜息を吐くと、美馬津はまたコードに目を向ける。
「そのみまっちゃん・・・に、使ったんだよな。」
自分の名前が使われている事に抵抗を感じた美馬津だが、話しが進まないので諦めて続ける。
「そうだー。ところがキャラに変化は無い。つまり、別のところで何か起きた可能性がある。」
「それ、一般ユーザーだったら大惨事なんだが・・・」
「だからやっちまったーって言ったじゃないかー!」
「あのな・・・」
言う言わないの問題ではないだろうが、と美馬津は突っ込みたかったが、その前にゲーム内を監視しているディスプレイに異変が起きた事で、言葉を出すことを忘れて見守った。
「これって・・・」
「流石・・・こいつ、持ってんなー。」
美馬津は興味深く見守るが、禍月は愉快そうな表情をした。
「とりあえず、何とかしないと。」
「分かってるっての。」
夜中に目が覚めて、目が冴えてしまったのでとりあえずDEWSにログインをした。最近はメンバーとばかりなので、一人でゲームをするのは凄く久しぶりだ。
始めた当初は、アヤカに振り回される事はあっても、一人でプレイする時間もそれなりにあったからな。寝るのと飯を食う以外はずっとプレイしていたっけ。
今はそれほどでもないが。
(たまには一人も新鮮だな。)
そんな事を思いながら、スニエフの街から出ようとする。特にクエストをやろうとは思わないが、散歩程度なら一人も楽しめるかもしれない。
(それなら、こんな穴倉じゃなく、別の街に行った方がいいかもな。)
そうは思ったが、移動するのも面倒なので此処でいいかという結論に至った。ニベルレイスに来る前からもそうだが、フィールドをのんびり見て回った事も無い。そう思えば、丁度いいのかもしれない。
(明日の授業は睡眠学習だな・・・)
そんな事を考えながら、街の外に出る。
「・・・!」
街の外に出た途端、自分の目より少し高い位置の空間が歪み始める。
「これって・・・まさか。」
忘れようがない、アリシアが現れた時と似ている。という事は、また誰か出て来るのか?また生身の人間をゲームに放り込むんじゃないだろうな。
そんな嫌な事を考えながら行く末を見守った。
「いった。何これ、何処?」
歪みから現れたのはどう見てもDEWSのキャラだった。って事は生身の人間じゃない?いや、それはまだ分からないが。周囲を見回しているが俺は視界に入っていないらしい。パニックなのか落ち着きが無いのか・・・
「私、天空塔に向かっていたのにな、何で洞窟?」
その女の子は独り言を言いながらシステムデバイスを開いた。
やっぱりゲームのキャラか。アリシアは生身だからかシステムデバイスを開く事は出来ない。開くように出来るのかもしれないが、今はどうでもいい。それよりも目の前の女の子が何なのかだ。
「えぇ・・・何も機能しないじゃん。」
がっくりと項垂れると、女の子はまた周囲を確認し始めた。今度は直ぐに俺と目が合う。
「うわっ・・・何時から居たの?」
驚くとは失礼な奴だな。
「降って来るところから。」
「最初からじゃん!何か言ってよ。」
知るか。
「えぇと、ユアキス?ここって何処?」
そう言えば名前って表示されているんだったな。起きた事に気を取られ、そんな事すら気付かなかった。
「どこもなにも、二ベルレイスだが。」
「ニベルレイス?」
女の子・・・いや、ユミナスと表示されたそのキャラは首を傾げて言った。
「ここ、DEWS内だよね?」
「そうだが。」
「おかしいなぁ、私ね、天空塔に向かっていたのよ。知らない?」
「いや、聞いた事が無いな。そんな場所はまだ実装されてないから、今後に追加になるのか?」
「言ってる事おかしいよ?そもそもDEWS内にこんな洞窟なんか無いもん。」
「はっ?」
もう何を言っているのかさっぱりだ。ニベルレイスが無く天空塔?なんだそりゃ。
「それよりさ、ログアウト出来ないんだけど、ユアキスは出来る?」
馴れ馴れしいな。
だが相手にするのも面倒なので、システムデバイスを開いて確認する。
「あぁ、問題無さそうだ。」
「私のシステムパッド、何も反応しないんだ。」
システムパッド?初めて聞いたぞ。
「システムデバイスじゃないのか?」
「ううん、システムパッド・・・なんかおかしいね?」
「あぁ、おかしい。」
お前がな。
「もしかして私、異世界来ちゃった?」
知るか。
だが、あの空間の歪みを考えるとあり得なくはない。アリシアの存在が無かったら信じ難い話しではあるんだが。でもアリシアにとっては確かに異世界かもしれない。そう考えるとユミナスの場合は違うだろう。
「別世界、若しくは並行世界、あたりじゃないか?」
「それだ。言われてみればそうだね。」
ユミナスは両手の人差し指を俺に向けて納得した。いいのかそれで。問題はそこじゃないだろうが。
「どうしよう、戻り方が分からないよ。」
「俺も知らないぞ。」
「だよねぇ。」
ユミナスは言いながらシステムデバイスを閉じると、立ち上がった。その表情は特に困惑した感じもしないから、楽観的な性格なのかも知れない。
「せっかくだし、こっちのDEWSの案内でもしてよ。」
何で俺が・・・
ってか状況に慣れるの早すぎじゃないか?
「まさか、別世界に来た女の子を独り放り出したりしないよね?」
面倒くせぇ。
「なんか名前も似てるしさ、どう?」
名前は関係ねぇ。
俺は一人で散歩を楽しもうと思っただけなんだがなぁ。
「しょうがないな。」
「お、ありがとー。よし、まず近くの街に行こうよ。どこにあるの?」
物怖じしないというか、人懐っこいというか、ユミナスは笑顔になるとそう言った。俺はその質問に対し、親指を後ろに向ける。
「あ、そこなんだ。」
「あぁ。街を出た直後にユミナスが降って来たからな。」
「そう。じゃ、行こ?」
と言いつつも、俺を抜いてもう扉に向かって歩いていた。
「地下に街があるなんて新鮮だねぇ。」
ユミナスは街に入ると、興味深そうに見まわしながら歩き始める。俺はその後ろを付いて行く。案内なんか無くても、一人で好き勝手に見て回りそうな奴だなと思いながら。
「ところでさ。」
「ん?」
突然振り返って声を掛けられ驚く。
「名前、似てるよね。」
それさっきも聞いたっての。
「言われてみればそうだな。」
確かに、似たような名前ではあるが、珍しいわけでもない気はする。俺の場合は適当に自分の名前をもじっただけなのだが。
「何でユアキス?」
どうでもいいだろう。とは思いつつも会話に詰まり無言で歩くのも何なので、答えておくことにした。
「自分の名前の一部を使っただけだ。特に意味は無い。」
「そうなの!?実は私もー。」
へぇ。
ありきたりと言えば、ありきたりな方法だよな。別に俺はそれでいいと思うし。ただ、何となくどんな名前なのか、それを知ってしまうと想像してしまう。
「雪待ミナとかだったら面白いな。」
自分の名前を言うつもりで言ってみたんだが、ユミナスの表情は驚きを隠せないと言った表情になり歩みを止めた。
「何でわかったの!?すごーい。」
「マジ・・・か?」
「本当は美奈斗なんだけどね。でもほとんど正解。じゃぁ、ユアキスは雪待アキ?なわけないか、あはは。」
ユミナスはそう言うと楽しそうに笑った。何が楽しいのかさっぱりわからないが。ただ、自分で言っておいてなんだが、言われると確かに驚くな。
「正確には、晶社なんだが。」
「え・・・」
俺が答えると、ユミナスはまたも驚きの表情をする。
「何かセンスが似てるね。」
つまり無いって事な。
「親はさ、最初美奈にしようとしたんだって。」
まぁ、美奈斗じゃ男でもありそうだもんな。
「だけどね、母さんと似ちゃうからって斗を付け足したって。適当よねー。」
本当にな。そういや、俺の名前は何で付けられたのか聞いた事は無いな。
「母さんって、まさか莉菜じゃないよな。」
自分の母親の名前を思い出してふと口にしてみた。ミナとリナだったら、似てるよなぁと思っただけなんだが。
「ユアキスってさ、ストーカー?」
「なんでだよ!」
ちょっと引いて言うユミナスに大きな声で突っ込む。失礼な奴だなと思って。だが待てよ、その発言は俺の言っている事が正解だって事じゃないのか?
「まさか・・・」
「うん、当たり。」
やはり。こんな偶然、あるのか?
「ここまで来たら、父さんの名前も言ってみて。」
「数音・・・」
ユミナスが促してきたので、恐る恐る自分の親父の名前を口にする。まさかとは思っていたが、ユミナスの反応は予想通りだった。
「マジで警察案件・・・」
かなりドン引きしたユミナスが、俺の事を気持ち悪いみたいな態度で言う。
「いや違うから。そもそも世界が別なんだろうが。」
「あ、そうだった。」
慌てて言うと、笑顔に戻ったユミナスは舌を出して見せた。
「もしかしてさぁ、ユアキスの両親も同じ名前?」
「まぁ、そうだ。」
「だから当たったんだねぇ。という事は、私ってもしかして別世界の両親の子供に遭ってる?」
うわぁ、マジか。そんな事ありえんのか?
「何か面白いね。」
面白くないわ。
なんでこいつは普通に受け入れてんだよ。普通に考えたらかなり恐ろしい出来事だぞ。
「ね、せっかくだからもう少し話そうよ。私、ユアキスにちょっと興味が出てきた。」
出なくていいっての。
だが、そう思う反面、もし別世界の親父と母さんの存在があったとして、どんなものか興味があるのはある。子供が違うのだから、きっとうちの両親とはまた別の生活とかしているんじゃないのか、とか。
「そうだな。」
それから腰を落ち着ける場所を探して、話しの続きをする事にした。場所と言っても、アリシアの家の前なんだが。
「ね、ユアキス両親はどんな人?」
座れない椅子の付近に二人で座ると、ユミナスが先に口を開いた。改めて問われると、答えに困るな。
「親父は普通のサラリーマンだが。母さんは専業主婦。」
「えぇ、いいなぁ。」
良いのか?
俺としては金持ちだったらいいのにとか、何度か思った事はある。まぁその程度なんだが、実際に今の生活に不満はない。学生の身でそんな事を思うのは烏滸がましいかもしれないが。
「何がいいんだよ、普通だろ。」
「だって、私のところは両親が居ない事もよくあるし、ご飯だって揃って一緒に食べる事も少ない。今は慣れたけど、小っちゃい頃はやっぱり寂しかったなぁ。」
ふーん。やはり、世界が違えば違うものなのか?
しかし、家にあんまり居ないってどんな仕事だよ。
「ユミナスの両親は何をしてるんだ?」
「父さんはね、刑事。母さんは看護師なんだ。」
凄いな。刑事なんて子供にとったらヒーローみたいなもんじゃないのか?
「かっこいいって思う事もあるよ。でも、やっぱり家に居て欲しいなって思いが強くなるよ。」
そういうものなのか。
「でも、刑事なんて凄いと思うよ。」
「うん、そうだね。昔から警察官になりたかったんだって。それから刑事になって、家にいる時間がさらに不定期になった。」
俺は単純に凄いなと思ったんだが、子供にとってはそうじゃないようだ。ユミナスが寂しそうに言うのを見ると、そう思わされた。
「うちの親父なんか特に取柄もないゲーマーだったらしいからな。それに比べれば、子供の頃からの夢を叶えたってところは凄いよな。」
「うん、まぁね。でも父さん、ちょっと身体が不自由なところもあるんだ。」
「マジか・・・」
なんか俺と違って苦労してそうだな、そっちの雪待家は。
「なんかね、高校生の頃に暴行に遭ったんだって。」
あまり聞きたくない話しだな。
「その時に、一緒に居た母さんも巻き込まれて、頭蓋骨陥没。二人とも生死の境を彷徨ったんだって。怖いよね。」
怖いよね、じゃねぇ。相当重い話しじゃねぇか。
「もともと父さんは正義感が強かったって母さんが言ってた。当時、数人に一人が暴行されてて、それを止めに入ってそうなったんだって。」
親父も多分無理だが、俺も無理だ。怖くてそんな行動は出来る気がしない。
「だけど、それでも警察になろうとしてなったんだろ?」
「うん。母さんも病院で看護師の仕事を見て、そっちに行くって決めたらしい。」
そうか、高校の時にはもう将来を決めていたんだな。
俺には、そんな展望も何もない。ただ、今を楽しもうとしかしていない。親父と母さんには、そんな事は聞いた事無いな。今度、聞いてみるか。
「なかなか、凄い人生だな。」
「だよねぇ、私もそう思う。その点私は、平凡に生きてるけどね。」
「俺もそうだが。」
毎日何事もなく、飯も食って、好きなゲームして。
・・・
それって、幸せなのかも知れないな。
「今はねぇ、子供の頃と違って、二人を尊敬してるけどね。」
「そうか。凄いな。」
尊敬、か。
それは俺に出来るか分からないが、今の俺がこうしていられる事には、感謝くらいはしないといけないんだな。
「ところでユアキスって、いくつ?」
「ん?16。」
「あ、同じだ。高1だよね。」
「あぁ。」
「何から何まで、似た者同士だね。」
似た者同士って言葉が当て嵌まるのかどうかは疑問だが。
「まぁ、凄い偶然ってのは確かだな。」
「そだね。」
ユミナスは頷くと、楽しそうに微笑んだ。よくよく見ると、若い頃の母さんに似ている気がする。
「そだ、折角だし、魔獣倒しに行こうよ。」
「それは構わないが、俺はそっちの天空塔ってのが気になるな。」
「そう?じゃぁ歩きながら話してあげるよ。」
「あぁ。」
俺は頷いて立ち上がると、ユミナスも一緒に立ち上がった。
「あ・・・」
その瞬間、ユミナスの周囲が歪み始めた。
「おい!」
「・・・」
空間の歪みの所為なのか、ユミナスの口は動いているが声はもう届いて来なかった。だけど、ユミナスは笑顔で手を振って来る。
本当に、物怖じしない奴だな。
そう思いながら、俺も口元を緩めて軽く手だけ上げておいた。
「うあー、マジ死ねるわー・・・」
禍月は机に突っ伏して、脱力とともに声を吐き出した。
「自業自得だろう。」
美馬津は呆れた目を向けていう。その美馬津の表情も、疲れが色濃く出ていた。
「そうとも言う。だからあっきー、あとよろしくー。」
「いやおかしいだろ!」
既に管理室の出入り口に移動していた禍月に、美馬津は全力で突っ込んでいた。
その日の夜、ヒナが風呂に入っている時に、俺は朝方体験した話しを親父と母さんにした。
夢でも見ていたんじゃないか?
そう言われるのは分かっていたが、どうしても話してみたかった。どんな感想が出て来るのか気になったし、話しの流れで将来の事とか考えていたのかを聞いてみたくて。
だが、二人の反応は予想外だった。
母さんは話しを聞くと、口元を押さえて涙を流し始める。親父の目も潤んでいるのが分かった。
何かまずい話しでもしたんじゃないかと思ったが、そうでもないらしい。表情はどこか嬉しそうだったからだ。
その涙の理由を知りたくはあったが、多分二人にとって大事な事なんじゃないかと思うと、俺はリビングを離れて部屋に戻る事にした。
「数音・・・莉菜が、莉菜が生きて・・・」
莉菜は晶社が居なくなると、微かな声で言いながら数音の肩に手を置いた。晶社が居る時には堪えていた涙も、一気に溢れ出す。
「うん、莉菜さん、持ち堪えたんだね。良かった。」
数音も眼鏡を外し、莉菜の肩を抱き寄せると目から涙が零れた。
「ずっと、ずっと心残りだった。僕だけ貰って、莉菜さんは失うのかと。」
「それは私だって同じだ。」
「心のどこかで、ずっと思っていた。」
「私たちだけ、幸せでいいのかって。」
「莉菜さんも、生きててくれて本当に良かった。」
「あぁ。」
「やっと、心から言える気がするよ。」
「そうだな。」
『ありがとう。』
あとがき
いろいろ考えた結果、こんな話しになりました。
結構前から考えていたのですが、なかなか書くに至らず。
本編早く書けよって気もしますが、思い付いたらこっちも書きたい。
そんな感じの作者です。
今回はRTLの設定を引っ張って来ました。
だから何?と言われるとちょっと悲しいですが、また一つの話しとして、数音と莉菜の事を残しておこうかと。本編、ほとんど出てきませんからね。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
次回はもっと軽い話しの予定です。
それでは。
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