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69.今更だが、決意

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「ご馳走様でした。」
店を出たところで、俺と中島は高野さんにお礼を言って頭を下げる。


何処かにあるプリンスホテル。
予想以上に場違いな場所に、俺と中島、鳳隆院は制服のまま乗り込んだ。ホテルの2Fに在るアリア。例の財閥グループが運営するカフェだが、名前の意味は知らん。
当然、俺や中島は好奇の視線に晒される事になった。そりゃそうだろう、学生服どころかラフな服装している男も女も見かけない。
そんな奴らの視線は何処か馬鹿にするようで、見下すような雰囲気だった。

当然、何故来たのか後悔した。

店に入ると高野さんが、対応に来た店員に話しをする。少し待たされた後、店の支配人が現れ奥の予約席と書かれたプレートが乗るテーブルまで案内された。
店内の客の目は変わった気はするが、やはり先ほどまでの雰囲気を拭いされるものではない。だが、支配人に続き堂々と歩く鳳隆院が一瞥すると、みんな目を逸らしていった。
逆に恥ずかしい。

出された紅茶、ケーキ、確かに美味しかったのだろう。だがその程度の判別しか出来なかった。居心地というのが重要だというのも、分かった気がする。意識が別のところに向けられてしまうと、自分が体験している事への認識が希薄になるんだ。だから、味がはっきりと分からない。


「お嬢様のご学友に楽しんで頂けたのなら、私も嬉しゅうございます。」
支払いは全て高野さんがしてくれた。だから、俺と中島は高野さんに頭を下げている。それと、当たり前のようにお土産でケーキも持たされている。
これは、予め鳳隆院が話してくれていたのだろうか?腕を組んで満足そうに立っている態度からは、何も分からない。

「では、お車の方へ。ご自宅までお送りします。」
高野さんはそう言うと、駐車場の方へと案内しようとする。
「あ、ごめん。俺は電車で帰ります。」
「そうですわセバスチャン。鳳隆院と関わりのない者に、そこまでする必要はありませんわ。」
本当にな。
「しかし、そういう訳には・・・」
「あぁ、いいんだ高野さん。俺も、場違いというか、慣れていない雰囲気に疲れたから、帰りは電車で気楽に帰りたいんだ。」
本音なんだが、一つ出来ていない目的もあるため乗るわけにもいかない。
「僕も同じく、電車で帰ります。」
「そうで御座いますか、気付きませんで申し訳ありません。」
何故そこまでしてくれるかは不明だが、高野さんは申し訳なさそうに言って頭を下げる。
「いや、気にしないでください。」
逆に困る。
「ほら、早く行きますわよセバスチャン。」
「はい。お嬢様。」
高野さんは最後に一礼すると、先に歩き出した鳳隆院に付き従うように去って行った。

「疲れた・・・」
「僕も。」
二人の姿が見えなくなると、それまで強張っていた身体から力が抜ける。緊張感から解放され安堵の息を吐くようにその言葉が出た。
「雪待は確か、路線違ったよね?」
「言われてみればそうだな。」
普段、電車なんか乗らないからあまり考えた事がない。中島は近所の友達ってわけでもないので、学校を起点に考えるとまったくの別方向になる。だから、使う路線も自然と違うわけだ。
「駅まで一緒に行こうか。」
「すまん、先に行ってくれ。我慢出来そうにないんだ。」
そう言って俺は腹を抑える。
「まさか高価なケーキは身体が受け付けないとかじゃないよね。」
「んなわけあるか。」
笑って言う中島に、俺も笑って返しおく。
「うん、じゃぁまた明日・・・ってか帰ったらDEWSで会うね。」
「あぁ、後でな。」
途中の階段で別れ、降りていく中島を見ると俺はトイレに向う。
・・・
場所が分からねぇ。
フロアマップを確認して、見付けると、在る方向に歩き始める。一応、トイレの前まで来てから周囲を確認する。
(完全に怪しい奴になってるな・・・)

そこから直ぐにアリアに戻った。別にトイレが目的なわけじゃないんだが、少し時間を稼いでおかないと、駅で中島に会っても困る。

店に入ると、店員とまだフロアに居た支配人が俺の方を見た。すると、直ぐに支配人が近付いて来る。
「これはお嬢様のお連れ様、忘れ物でしょうか?」
まぁ、忘れ物っちゃ忘れ物だが。
「いや、その・・・ケーキを、別に買って帰りたくて。」
ってか緊張するな・・・
「畏まりました、ではこちらへ。」
支配人は笑顔で案内してくれる。入り口から見える場所なので、案内は不要なんだが、ついて行くしかない。

「こちらでございます。」
ケーキが保存されている硝子のショーケースの前まで来ると、その値段に驚きを隠せなかった。
ものの大きさは小さめだが、どのケーキも一切れ安くても1個1000円前後だ。
もともと、珈琲や紅茶も、安くて2000円くらいはしたからな。メニューを見たときも驚いたのと、そもそも学生が来る場所じゃねぇと思わされた。

「ありがとうございます。またお越しください。」
もう来ねぇよ。
店の入り口まで見送ってくれた支配人に、そう言われて心の中で突っ込んだ。正確に言えば来れないなのだが。
「美味しかったです、ご馳走さまでした。」
一応、俺も挨拶をすると、逃げるようにホテルを後にする。そもそも制服であの中にいるのが目立っているんじゃないかと気になって、居づらかったからだ。


電車に乗り最寄りの駅まで移動すると、外で待ち構えていた麻璃亜にケーキを渡す。
お金は払うと言っていたが、払ったもん勝ちという事に気付いた。つまり、今までのお返しに受け取る事を拒否してやった。
麻璃亜は無理に押し付けるような事もせず、嬉しそうにケーキを抱えて帰って行った。俺も家に帰ろうと思いある事に気付く。
自転車、学校じゃねぇか・・・

仕方が無いので、バスに乗り家の近くまで行った。電車代にバス代と、余計な出費がかさんだ事で思う。慣れない事はするもんじゃないなと。




-CAZH社 自社データセンター 休憩室-

休憩室にあるテーブルを前に黒咲は座り、テーブルに置いた箱を笑顔で眺める。
「何だ急に、あたしはそんな暇じゃないぞー?」
そこへ、禍月が面倒そうに言いながら休憩室に入って来た。
「ケーキ食べよ。」
「何、ケーキだと・・・」
黒咲が目の前の箱を持ち上げながら言うと、禍月は驚きに目を見開いた。
「え、そんな驚くものじゃないでしょ。」
「気にするな、ただのノリだ。だが、実際のところケーキを買ってくるなんて珍しいじゃないか。」
禍月は言うと、黒咲の向かい側に座る。
「なんと、あのパティシエ、吾妻のケーキだよ。」
「何、買えたのか!?」
禍月もその情報は知っているらしく、今度は本当に驚きの声を上げた。
「ううん、晶社くんに貰ったの。」
「偽物だな。」
黒咲の言葉に、一気に脱力すると禍月は目を細めて即断した。
「晶社くんはそんな事をしませーん。」
「いやいや、よく考えてみろー。ユアキスのゲームでの発言や行動を見る限り、そんな気の利いた事をするタイプじゃないぞー。」
横を向いて頬を膨らませる黒咲に対し、禍月は呆れながら言う。その自分の発言で気付き、疑念の眼差しを黒咲に向けた。
「つまりだ、まりあが買わせたんだろー?」
「そうだけどさぁ。」
不満気に言いながらも、黒咲は箱を開けていく。
「2つあるから、半分こずつで食べよ。」
「うむ。」

「うまー!」
「うん、頼んで良かった。」
食べ始めると禍月は感動の声を上げ、黒咲は幸せそうに口にした。

「お金は払うって言ったのに、受け取ってくれなかったのよ。」
「ふん、少ない小遣いで無理をしたなー。だが、有難く食わせてもらった。」
余韻に浸っているのか、禍月は食べ終わった後も満足そうに言った。
「そうなると、なんかお返しでもしてやるかー。」
「お、いいねぇ。」
顎に指をあて考える禍月を、黒咲は楽しそうに見ていた。

「片手剣の素材でもこっそり追加しといてやろうか・・・」
「それは怒るんじゃないかな・・・」
黒咲も言われた内容に、雪待がどんな反応をするか考える。純粋にゲーム楽しんでいる方からすれば、そういうのは嫌がるじゃないかと思う。おそらく、自分で集めて自分で作成するのが楽しみなんじゃないかと。

「まりあの頼みで、買えるかも不明な人気のケーキをわざわざ買って来てくれたわけだ。それ相応の仕返しはしてやりたいよなー。」
「仕返しって。」
未だに考えている禍月の言葉に、黒咲は突っ込んでクスッと笑う。
「仕方がない、とっておきのアレをだすか。」
「え、何々?」
禍月は言ってにやりと嗤う。
「まりあのいやらしい画像。」
「ちょ、やめてよ!ってなんでそんなの持ってるのよ!?」
黒咲はテーブルに手を付くと、身を乗り出して抗議の声を上げた。
「あのなぁ、パンツ丸出しでゲームしてたのを忘れたのか。しっかり録画されてるぞ。そもそも、あっきーには見せといてユアキスはダメなのか。」
「あれは、仕事の癖というか、相手の反応からその人の感覚や性格を確認するためにやってるだけだもん。」
「ほう・・・」
言い訳をする黒咲に、禍月は目を細める。
「本当だってば。」
「くっくっく。冗談だ。」
「えぇ、酷いよ。」
堪えきれず笑う禍月を見て、黒咲は頬を膨らませた。
「さて、リフレッシュも出来たことだし、あたしは仕事に戻るぞー。」
「うん。私もゲームに向かう。」





メンテナンスは問題なく終わっていたので、晩飯を食った後、俺はDEWSにログインした。

ケーキは確かに美味しかった。あの店で食べるよりは、家で食べた方がちゃんと味わえた気がする。店に慣れれば、店の方がいいのだろうが。
ご丁寧にケーキは人数分用意されていたので、晩飯後は家族で味わえた。そこまで用意してくれた高野さんには、感謝の気持ちと申し訳ない思いが同時に湧いてくる。

(まだ誰も来ていないな・・・)

てっきり誰か来ているかと思ったが、まだのようだ。そう言えば、みんなそれぞれ予定があったもんな。

そんな事を思っていると、魔女が歩いて来た。
・・・
は?魔女?

そう、魔女なんだ。オレンジと紫を基調にした帽子、外套、ローブ・・・というか、ワンピースのようだな。このゲームに魔女は存在しなかったはずなので、コスチュームか何かだろう。
その魔女が俺の方に近付いて来る。
そんな知り合いは居ない。

「お待たせ。」
お前か!
近付いて来た魔女が話しかけてきた事でやっと判別出来た。髪型まで変わってるから分からないっての。ちなみに名前は帽子と被って見えにくい。それも気付かなった原因の一つだろう。
「また買ったのか?」
「うん、だってハロウィンだし。」
だっての意味は不明だが、何故だか凄く楽しそうだ。俺は興味が無いから、何が楽しいのか分からないが。
「似合う?」
「あぁ、似合う。」
むしろどうでもいい。
「その適当な発言は良くないわ。」
何処が適当なのか意味がわからん。どうでもいいという思いが、マリアは察しているのだろうが、似合うと言ったのだからそれでいいだろう。
「私の事、どうでもいいんだなって思われるわ。」
「そんなつもりは無いんだが。」
いや思ったけどさ。
「相手はそう思うの。だから、似合うという言葉にもう一言添えるようにすると、見てくれてるんだって相手も喜ぶわ。」
・・・

「考える事を放棄しないの。」
くそ、ばれたか。
「わ、マリア衣装変えたんだね!」
む、来やがったか。
「可愛いよ、髪型と帽子が凄く合っていて似合ってるよ。」
「えぇ。ありがと。」
マリアはそう言いながらタッキーを指差した。つまりこういう事だと言わんばかりに。よりによってタッキーとは。
なんだろう、この屈辱感・・・
「でも言う時は相手の顔、目を見て言うのよ。」
まぁ、それは分かる。
マリアの胸元に視線を固定しているタッキーを呆れた目で見ながら納得した。

「あぁ!マリア可愛い。あたしも欲しいなぁ。」
次に来た月下は羨ましそうにマリアを見ると、目を細めて俺の方を見た。
アホか。
「自分で買え。」
「ほんとケチだよねー。」
お前に言われる筋合いはない。
続いて来た姫は、怪しい笑みを浮かべながら何かを言っていた。いや、口元が動いていただけなんだが、聞こえない方がいい気がする。

「集まって来ましたわね。」
両手を腰に当て、胸を張って言うアリシア。注目しろとばかりの態度だが、注目しなくても服装が変わっているのが分かる。アリシアは基本、パンツルックなのだが、貴族を意識してなのか、その服装も煌びやかさがある。
この服、誰が用意しているんだろうな・・・
「レイピアも新しくなってるじゃねぇか。」
「あら、ユアキスのくせに良く気付きましたわね。」
くせにって何だよ。
「この服も機能性が以前より向上しておりますわ。あの鍛冶屋の店主、侮れませんわ。」
俺らはゲームキャラだから、装備や衣装は用意されたものを使っても動きに変化はない。ただ、生身であるというアリシアはそうはいかないのだろう。
となると、誰かが定期的に提供しているって事になるよな。
「さ、今日は何処に行きますの?」
考えても答えは出ないか。
「今日から更に、下の層に進めるぞ。」
「望むところですわ。」
今日からLV15だ。新しい階層に進める。
「ユアキスとならわたくし、何処へでも行けますわ。」
・・・
「痛っ、お嬢様、痛いです!」
レイピアの鞘で脇腹を突かれながら、エメラが離れていく。なるほど、エメラはきっと楽しいんだろうな。

「神石、ですわ・・・」
「うぉっ・・・」
突然背後からぼそりと言われ、かなり吃驚した。こんなんで強制ログアウトとか発動したら恥ずかしい事この上ないな。
「14じゃ目立った進化は無かっただろ。とりあえず15で作れるもん確認してみようぜ。」
オルデラに行きたいのだろうが、俺は行きたくない。
「仕方がありません、ヘタレに付き合ってあげますわ。」
ヘタレ言うな。
ってかヘタレじゃねぇよ、あいつとは戦いたくないんだっての。


クエストLV15-1 イヴェルカの憂鬱
ニベルレイス第10層 大赤晶門

メンバーが揃ったところで、早速クエストに向かう事になった。だが、意味が分からん。なんだよ憂鬱って。


「やっと来たか新入り共。」

巨大な赤い両開きの門の前で、褐色の肌をした女性が長柄の斧を担いで言って来た。イヴェルカと名前が表示されいるので、今回のクエストに関係しているのだろう。
名前の色からしてもプレイヤーではないし。

「まったく、オルデラの馬鹿が潰しまくるから、こっちは人手不足だっての。」

「何れ引導を渡しますから、安心しなさい。」
いや、会話をしようとするなよ。慣れるって事を知らないのかアヤカの奴。

「この門を壊さなきゃ先へは進めないんだ。」

話しの流れからいって、イヴェルカとの戦闘は無いか?

「でだ、アタイは腹が減っている。」

脈絡はねぇのか。
「オルデラと一緒で脳まで筋肉のようですね。」
まぁ、NPCだからいっか。
「作成者が。」
付け足すな・・・

「絶対狩って来いとかだよね。」
「うん、あたしもそう思う。」
「だろうな。」
タッキーっと月下の会話に、俺も同意する。まぁ、分かりやすくていいんだが、問題はどんな食糧かってところだな。

「そういう事だ新入り、お前らの仕事はアタイの食糧確保。この先に居るからとっとと持ってこい。飯のために街まで行ってられないからな、急げよ。」

気分的には放置したい。そう思わされるクエストだ。



指定された方向に暫く進むと、開けた場所に出る。途中、雑魚も居なかったので楽に来れたが。
「良いですわね。」
広場に着いた途端、アヤカが不敵な笑みを浮かべて太刀の柄に手を掛けた。
「あれ、食うの?」
「不味そう。」
「頭の中の筋肉を維持するのに、膨大なエネルギーが必要なんですね。」
好き勝手言いながらも、アヤカに続き戦闘態勢に入る。ほぼ同時に、戦闘が開始されアヤカとマリアが走り出す。金色の獰猛な目を向け、口の中に赤光を収束させ始めた赤竜に向かって。



「食うか?旨いぞドラゴンステーキ。」
イヴェルカは長剣に刺したドラゴンの肉を、火で炙りながら言ってくる。

「このクエスト、どこで終わるんだろうね?」
そんなイヴェルカは無視してタッキーが疑問を口にした。
「何処だろうな。」
「頭の中の筋肉が満足したらですかね。」
そっから離れろ。

「まぁいい。とりあえず次の仕事だが、アタイが食い終わったら指示するから、それまで待ってろ。」
なんて自分勝手な奴なんだ。が、そこでクエストがクリアになった。

「って事は、またこのキャラからの依頼クエストが出そうだね。」
「今回みたいに普通のクエストならいいんだが。」
話しの流れからいってそうだろうなと思い、俺も月下に同意する。
「そんな事より、鍛冶屋ですわ。」
しっかり覚えていやがったアヤカが、急かすように言ってきた。
「じゃぁ、街に戻るか。」

スニエフに戻りクエストの報告を済ますと、俺たちは鍛冶屋に向かった。装備品の確認をすると、LV14は既存装備の強化だったが、LV15では新しい装備が作成可能になっていた。
それを見たアヤカが狂気の笑みを浮かべている。
いや、言い過ぎた。
単にいつも通りの不敵な笑みで、俺の方を見る。はいはい、クエストに行きたいんだろ。他のメンバーも意見は一致だったので、もう一クエストやって、解散する事になった。



「ユアキス。」
解散する事になり、ログアウトしようとしていたら、アリシアが声を掛けて来る。
「なんだ?」
「この後、少し時間を貰えません?」
他には聞こえないよう、小さな声で言って来たアリシアの表情は、何か思い詰めているように見えた。
「分かった。」
既に関わってしまっているし、事情も知ってしまった。今更、突き放すような事は、俺には出来ない。だったら、どうなるか分からないが、関われるところまで関わってやろうと思った。
「ありがとう。」

他のメンバーがログアウトしていく中、気付いたであろうマリアが俺の方を心配そうに見て来るが、俺は大丈夫だと頷くと、マリアも頷いてログアウトしていった。

「それで、何があったんだ?」
全員が居なくなった後、改めてアリシアに向き直る。
「家の方でもよろしくて?」
「あぁ。」
街中での立ち話し程度ではないのだろう、アリシアの問いに頷くと、三人でアリシアの家まで移動した。
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