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64.会いたかったんだろ、魔竜

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-CAZH社 自社データセンター 喫煙室-

「そんな事は分かっている。HMDのログだってサーバーに転送されいるんだ、見ないわけがないだろー?ユアキスのもまりあのも、精神異常を感知してのログアウトになっていたんだ。」
禍月は言い終わると、プレッツェルを口に運んで齧り始めた。

黒咲は禍月をいつも通り喫煙室に連れてきて、今回起きた事を話した。それはゲーム内で雪待から聞いた内容を伝えたのだが。禍月から返ってきたのは、半分呆れを含んだ言葉だった。
「今回のは見たの?」
「いや、それはまだだが。」
「晶社くんがね、来るのは分かっていたから受けた後も平常心でいた、って言ってたのよ。にも係わらず強制ログアウトさせられたって。」
「それを先に言えー。」
黒咲の言葉で、禍月はプレッツェルを突き付けて言うと、呆れた視線を送るも直ぐに考え込む。
「だが、ユアキスの奴なかなか使えるなー。まさか自分から被検体として飛び込むなんてな、普通はやらないぞ。」
禍月は言うとニヤリとして黒咲の方を見た。
「だから、晶社くんを巻き込んじゃだめだよ。」
「知らん、あたしは利用できるものは利用するだけだー。」
「そりゃ、夢那はそうでしょうけど。」
口の端を上げて笑う禍月に対し、黒咲を少し頬を膨らませる。

「それに、どちらかと言えば、巻き込んでいるのはまりあだろー?」
「そう言われると・・・そうなんだけど。」
自覚はあるのか、禍月の言葉に黒咲は少し切なそうな顔をする。そこには自責も含まれているように禍月には見えた。
「でもあたしとしては感謝しているぞー。」
「そうなの?」
「あたしは今のまりあを見ていられるのが嬉しい。じーさんの仕事をしているより、な。」
禍月がそう言って浮かべた笑みは、優しい笑みだった。黒咲も普段はあまり見られないその表情に、同じく優しく微笑んだ。
「そっかぁ。夢那と晶社くんに感謝だね。」
嬉しそうに言う黒咲に、禍月はまた怪しい笑みを浮かべる。
「そうなるとユアキスには一応感謝くらいしておかないとな。」
「そうだよ。監視されていると分かっても、気にせずに協力までしてくれているし。」
「だったら、その二つある膨大な脂肪の塊でも掴ませておけ。あたしじゃ足りないからなー。」
「夢那のバカ!なんて事言うの・・・」
ニヤリと嗤って言った禍月の言葉に、黒咲は自分の胸を両腕で隠すようにして頬を膨らませた。
「正直な話し、感謝に関しては本当だからなー。」
「夢那がそんな事を言うなんて珍し。でも、私も同じかなぁ。」

黒咲は嬉しそうに言ったが、その言葉の後、禍月は笑みを消して真面目な表情になる。
「どうしたの?」
「光は闇を照らす存在じゃない。光の中で闇は存在出来ないからだ。」
脈絡もなく話し始めた禍月の言葉に、黒咲は意味が分からず首を傾げる。
「だが、光が無ければ影は出来ない。つまり、光があるからこそ闇は生まれる。」
続ける禍月の表情は真面目と言うよりは、感情が欠如したようで、視線は鋭く瞳の色は消えていた。黒咲はその状態の禍月を良く知っていた、何故ならそれは西園寺の仕事をする時の顔だからだった。
何故ここでその顔になるのか、黒咲には疑問ではあるが、禍月が何を言いたいかはなんとなく分かり始めていた。

「あたしらが存在する影は、じーさんが創り出している。表に立つじーさんを照らす光が作り出す影、じーさんはその影に闇を創り出した。」
「宗太郎の表と裏・・・」
自分たちはその闇なのだと、禍月は言いたいのだろうと黒咲は思った。ただ、その話しは今更であって、何故今なのかは分からない。
「そうだ。だから勘違いするな、光の下は眩しいんじゃない、消え去るだけだ。あたしらが自由に飛び回れるのは、じーさんが創り出した籠の中だけだ。光はそこから、見る事しか出来ない。」
「そんなの、今更だよ。」
黒咲は自分の立場なんて、嫌という程思い知らされてきた。嫌で嫌で堪らなくても、何処に行けるわけでもない。それが苦痛に変わり、自分でもどうしようも無くなった時、黒咲は禍月に泣きついたのだから。

「何故、今そんな話しをするの?」
「今は此処での検証があるからいい。だが、あたしもまりあも何れ、元の仕事に戻る事になるだろう。」
「・・・」
それは黒咲にも分かっていた事だが、出来れば現状、考えたくはない事でもあった。
「まぁ、その時はその時で考えればいい事だけどな。」
「じゃぁ、どうして。」
「その時を迎えるにあたり、一つ忠告だ。」
禍月はそう言うと、視線を更に鋭くして黒咲を下から睨め付けるように見上げる。黒咲はその視線を正面から受け止め、続く言葉を待った。
「雪待晶社、アレにあまり深く関わるな。」
「・・・」

その言葉に、黒咲は暫し無言になった。深く関わっている自覚は無かったが、禍月にはそう見えているのかもしれない。
もしそうならと思うと、黒咲の表情は暗くなった。
「そう、だね・・・私たちが原因で晶社くんに何かあったら、そう思うと嫌だよね。」
「そうじゃない。」
雪待の事を心配するのは当然の事だと思った黒咲だっがた、禍月から返ってきた言葉は否定だった。
「雪待晶社が何処で野垂れ死のうがあたしには知った事ではない。問題はお前だまりあ。」
「私・・・?」
言われた内容に対し、黒咲は目を丸くした。まさか自分の話しだとは思っていなかったら。
「そうだ。自責でまりあが潰れてしまうような事になるんじゃないか、あたしはそれを懸念しているんだ。」

今までの話しの流れがやっと得心がいった黒咲は、禍月に対して何時もの笑みを向ける。だが、禍月の瞳は未だに変化を見せない。
「あはは、だったら手遅れ・・・かな。」
「はぁっ!?」
苦笑しながら言った黒咲に、流石の禍月も驚きに表情が変化する。驚きに表情が変化しただけではなく、目も普段の禍月に戻っていた。
「まりあ、お前もしかして・・・」
「ううん、そうじゃなくて。晶社くんが何処かで野垂れ死んだら、私はきっと泣いちゃうなって。」
「はぁ・・・」
禍月はそこで、深く溜息を吐きながら両肩を落とした。
「アホくさ。」
「私もそこまで馬鹿じゃないよ、自分の立場くらい弁えている。」
黒咲から目を逸らした禍月は、それだけ言うとプレッツェルを銜えた。その姿を見ながら、黒咲は苦笑して言う。

「でも本当に晶社くんが死んだら、夢那の服がびしょびしょになるかも。」
「勘弁してくれ・・・まりあ汁は量が多いんだ。あたしはこの前のでもう懲りたからなー。」
「酷い言われ様、ふふ。」
半眼で言う禍月に、黒咲は楽しそうに言う。
「夢那が死んだら・・・やっぱり晶社くんかな。」
黒咲は考えるように顎に人差し指を当て上方に目を向けると、禍月に視線を戻して微笑んで言った。
「止めてやれ。」
半ば呆れて言うと、禍月は新しいプレッツェルを口に運ぶ。
「でもね私、夢那が死んだら、この世界では生きていけない。」
そう言った黒咲の瞳は真っ直ぐ禍月に向けられていた。切なさを含んだ表情と言葉に、禍月は視線を逸らすと喫煙室の出口に向かう。
「やれやれ、先に死なせてくれないなんて、我儘な妹だなー。」
禍月は言いながら喫煙室のドアを開けて、プレッツェルを口に銜えて出て行った。その顔は、嬉しそうに口元を綻ばせていたようにも、黒咲には見えた。

「うん、そうだよ。」
一人になった喫煙室で、黒咲は小さく言うと、煙草を銜えて火を点けた。






「あれが魔竜か。」
「えぇ、魔竜ですわ。」

クエストLV14-8 劫魔竜ルーヅォイーの討伐
ニベルレイス第8層 颶衝空洞

第8層の一角、その全てが巨大な空洞となって広がっていた。その中央には青みがかった灰色の竜が横たわっている。
確かに、この広さじゃないと竜と戦うには狭すぎる。

最近のボスと言えば人型魔獣が多かったから、この手の魔獣は久しぶりな気がする。そりゃ雑魚では魔獣なんていくらでもいるが、そうじゃない大型に、アヤカも不敵な笑みを浮かべていた。

「良かったなタッキー、目当ての魔竜に出会えて。」
「え?」
俺の言葉に疑問を浮かべるタッキー。

「仕方がありませんわ。魔竜を求めてやまなかった貴方に、先陣は譲ってさしあげます。」
「いや・・・」
続くアヤカが口惜しそうに言うと、タッキーは表情に焦りを浮かばせる。

「え、タッキーってアレと戦いたかったんだ。それじゃしょうがない、あたしも譲る。」
「なかなか勇敢ですね。」
「ちが・・・」
月下と姫も倣い、タッキーに先陣を譲ろうとするが、当の本人は既に顔が引き攣っていた。

「いや、魔竜と言ってもこの中にいるマリ・・・」
「わーわー・・・」
俺は思い出すような仕種で言ってやるが、その言葉はタッキーが騒ぐことで遮られた。なんて事をしてくれやがる。
「もうその話しはいいだろ・・・」
自分で種を蒔いたくせに。
「まぁ、俺としてはどっちでもいいんだけどな。」
「ひどいよ。」
遊ぶのもこのくらいにしておくか。

「あら、そうだったのね。お姉さんも勇敢なところ、見たいな。」
「僕は魔竜を倒すために此処まで来たんです、だからその雄姿を見ていてください!」
「えぇ、頑張って。」
「はい!」
・・・
笑顔で言うマリアに、タッキーは鼻息も荒く意気込んだ。

マリアのやつ、絶対遊んでやがるな。

「お花畑は頭の中だけにして欲しいですね。」
・・・


「また人間か・・・飽きもせずよく来るな。」
ルーヅォイーは横たわったまま、目を開くと視線だけこちらに向けて言った。その態度は、プレイヤーを相手にする事が面倒なようにも見える。
ってか、竜が言葉を使うのは初めてだな。
「喋りましたわ、トカゲの分際で。」
トカゲって言うな、台無しだろうが。
「でも、今までの竜よりもこう、貫禄みたいなものがありますね。」
「あ、そうかも。」
確かに、姫の言う通り、そう見えなくもない。

「ふ、今回は退屈させないさ。なんたって僕が相手だからね。」
・・・
やべぇ、アホ度が増したんじゃねぇか?
タッキーは一人でルーヅォイーに近付くと、大仰な仕種で言った。
「ほう、ならば楽しませてみるがいい。」

「会話、してます?」
「っぽいね。」
まさか、この竜はプレイヤーと会話ができるAIを使ってるのか?アリシアと違ってちゃんとクエストだしな、この竜の討伐は。
そう思ってアリシアの方を見ると、目が合った。するとアリシアは不敵な笑みを浮かべ、両手を腰に当てる。
「いいでしょう、受けて立ちますわ。」
「何も言ってねぇよ!」
「あら、目が語っていましたわ。」
「勝手に語らすな・・・」
今回は無いと思っていたのに。
「ふっ。今日こそ土の味を思い知らせてあげますわ。」
しっかり聞いていたのだろう、アヤカが会話に割り込んでくる。
「貴女こそ、泥水を啜りたいようですわね。」

もう、止められねぇな・・・

「後悔するなよ、ドラゴンスレイヤーと呼ばれたかも知れない僕のぶっ!・・・」

こっちとは別に盛り上がっていたタッキーだったが、ドラゴンスレイヤーとかアホな事を言い出したあたりで、起き上がったルーヅォイーの裏拳でフィールドの端に吹っ飛んでいった。

「どれ、少し遊んでやるとするか。」
完全に起き上がったルーヅォイーがそう言った後、口腔内に青い光が収束していく。
遊ぶとか言っておきながらいきなりブレスかよ!
地面擦れ擦れまで顎を落とすと、左から薙ぎ払う様に直線型のブレスが吐き出される。メンバーがそれぞれ跳躍でブレスを乗り越え、ルーヅォイーの首が右まで旋回して吐ききる。
その終点で、起き上がったタッキーは回復薬を使用していたが直撃。ブレスに触れると爆発が起きるようで、その爆発の中、HPが0になるタッキーの姿が見えた。

「あ、死んだよ。」
「マリアの所為でな。」
「私の所為じゃないわ。」
「見えていたお花畑は、三途の川の先でしたね、ふふふ。」
姫が凄く楽しそう・・・

そんな会話をしている間に、ブレスを吐き終わったルーヅォイーは頭部を上方へと持ち上げていく。その口腔内では、既に赤い光が収束を始めていた。
「連続かよ!」
完全に立ち上がった状態になった直後、今度は吹き降ろすように灼熱のブレスが地面に叩き付けられた。横に広がっていくブレスから逃れるように俺たちは散開する。
「げ、熱気でHPが減るよぉ。」
真っ赤に染まる視界の中、月下の言葉でゲージを見ると確かに減っていた。当たらなくても削られるのかよ・・・

「終わったわ。」
マリアの合図で、ブレスが止んだ直後に攻撃に転じる。アヤカとマリアが左右から斬り込み、俺は正面から近付く。それぞれがルーヅォイーに届きそうな時、姫の閃光矢がルーヅォイーの顔付近に飛来した。
ルーヅォイーはその矢に向かい、短い咆哮で一喝、矢が消滅。
「く・・・トカゲのくせにやりますわ。」
アヤカの上段からの振り下ろしを、ルーヅォイーは右手の爪で受け、マリアの牽制を左手であしらう。
その隙に跳躍した月下が、ルーヅォイーの頭部を狙って槍斧を振り被っていた。
「イヤ・・・」
その月下に対し、ルーヅォイーは獰猛な瞳を動かし姿を捉える。嫌な予感がした月下は、それだけ口にするとルーヅォイーの尾撃で叩き落された。

同時に、ルーヅォイーの口腔内に黄色い光が収束を始める。
(今度はなんだ?)
そう思った瞬間、一段と光った口から球状の光弾が吐き出される。光弾は、地面に叩き付けられ起き上がったばかりの月下の足元に着弾。同時に閃光と共に大爆発が起きた。当然、回復をする暇など無かった月下のHPは0になる。
その隙に、姫からの雷矢を受けSSSを叩きこんでみたが、ルーヅォイーのHPは殆ど減らなかった。

「ちょっと強すぎます。」
普段、温和な笑みを浮かべている事が多い姫も、表情に不安を隠せていない。
「これは、無理だわ。」
「同感だ・・・」
苦笑して言うマリアに、俺も同意する。既に二人やられて、突破口も見えない状況じゃどうしようもない。アリシアとエメラは相変わらず攻撃しているが、二人の攻撃でどうこうなる相手じゃないらしい。
「諦めますの?」
「まぁ、死んだらな。」
「当たり前ですわ。」
アヤカの問いにそう答えると、俺はまたルーヅォイーに向かって走り出す。アヤカも不敵な笑みを浮かべて攻撃を続けた。どうせ勝てないなら、次のために少しでも手数を見ておかないと、そう思って。



全滅した事で、俺たちはスニエフの街に強制送還された。

「無理だよ。」
タッキーが開口一番に言った。そもそもお前は戦ってすらいないじゃないか。
「あたしも・・・まさか瞬殺されるとは思わなかったよ。」
まぁ、ルーヅォイーの攻撃が見事としか言い様がないよな。プレイヤー側からしてみればハメみたいなもんだけどさ。
「でも、これメインクエストだろ。やらないと進まないじゃねぇか。」
「そんな事よりもあのトカゲ、斬らないと気が済みませんわ。」
そんな事もなにも、斬らないと進まないんだっての。
「此処で話していても進みません。再戦、ですよね。」
「当たり前ですわ。」
「あぁ。」

「アリシアはまだ戦っているのかしら?」
タッキーだけ乗り気ではない中、マリアがそんな疑問を漏らした。そうだよな、アリシアもエメラも、やられて街に戻るなんて事はない。
街までちゃんと帰って来れるかも不明だ。いや、大丈夫か、この前も二人で戻って来てたしな。
ただ前と違って、今回は置いて来た事に変わりは無いので、放置は気が引ける。
「必要そうなアイテム揃えて、行くか。」
「しょうがないな。」
タッキーは渋々重い腰を上げる。本当にやる気が無さそうだ。じゃ、俺もしょうがない、そう思ってマリアを見る。意図を汲み取ってくれたマリアは、ちょっと頬を膨らませて抗議してきた。
いやだって、アホを簡単に動かす方法が他に思い付かなかったんだよ。

「次は、頑張ってくれるのでしょう?」
「もちろん!」
よし。

出発する際、近寄って来たマリアが小声で言ってくる。
「一つ貸し、だからね。」
その言葉に不安しかなかったが、頼ったの間違いないので受け入れるしかないな。



「戻ってくると思っていましたわ。」
颶衝空洞の近くまで行くと、アリシアとエメラが雑談をしていた。俺たちに気付くと笑みを浮かべて言ってくる。
「わたくし、ユアキスが居ないと困りますわ。」
アリシアは直ぐ様振り向くと、エメラの頬を両手で掴んで引っ張る。
「この辺から変な声が聞こえましたわ。」
「いひゃい、いひゃいれす、おひょうひゃま・・・」
・・・

「よし、行くか。」
茶番は無視して、もう一度ルーヅォイーの前まで移動する。

「性懲りもなくまた来たのか。」
ルーヅォイーは俺たちに気付くと目を開けて言う。そのまま首を上げると、立ち上がった。
俺たちがそれぞれ武器を構える中、ルーヅォイーは気にする事もなく巨大な翼を動かして飛び上がる。
(まさか、空中から攻撃してくるのか・・・)

「貴様らでは暇つぶしにもならん。」

ルーヅォイーは鋭い視線で見下ろしながら言う。これでブレス吐かれて全滅だったら、どうしろってんだろうな。

「ただ、再び我がもとへ来る意気や良し。次に相対する時は、少しでも楽しませてみよ。」
は?

ルーヅォイーは言い終わると旋回して、颶衝空洞の奥に広がる闇の中へと飛び去っていった。

「あれ、クエストクリアになったよ。」
なんだそりゃ。
タッキーの言葉でシステムデバイスを確認すると、確かにクリアになっている。
「イベントだったんですね。」
「紛らわしい・・・」
「でも、次に進めるから良かったじゃない。」
まぁそうだよな。勝てる見込みが無かったんだ、そう思うとルーヅォイーとの戦闘が回避された事に安堵する。

「納得がいきませんわ。」
しとけよ。
「どうせそのうち戦う事になるんだから。」
自分で言って思ったが、何れはアレと戦わないといけないんだよな、きっと。どのくらい先かは分からないが、今のLVの装備でなんとかなるとは思えない。そう考えると、かなり先だろうな。
「そうですわね。」
一応納得はしてくれたようで、アヤカは言いながら渋々太刀を仕舞う。
「あー、なんかどっと疲れた。あたしちょっと休憩したい。」

緊張が解けたのだろう、力が抜けたように言う月下の発言に、満場一致で賛成だったのため、一旦街に戻って休憩する事にした。
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