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マウリシア大陸編

四十話 真実

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「美味しい♪」
あれから、あたしも手伝って、ヴァル兄とお茶を入れた。
「確かに。あいつはこういうのには拘るからな。何故なのか、よくわからないところだが。」
「何言ってんのよ、美味しい方が良いに決まってるからじゃない。」
「フッ、そうだな。」

あたしは、いろいろ思うところはあったが、とりあえずは黙っていた。最後まで聞いてからじゃないとわからないところもあるだろうしね。
「落ち着いたな、話しの続きをしていいか?」
「いいよ。」



「ほんと、何処に行ったのかしら。まさか外に行ったわけじゃ無いわよね?」
そうは言いながら、アリィとケイは、町の出入り口付近まで来ていた。
「そうも言い切れないがな。」

あれから、実は手分けして町中を歩いて見たのだが、見つかりはしなかった。もっとも、運良く爺さんの家の前にいたメイに出くわさなかったとも言えるが。

ケイは町の外を眺めていて、ふと人影が見えることに気づいた。そんなに遠くではないので、見慣れた人物を見間違うこともない。
「いたぞ。」
「え?何処に?」
「あそこだ。」
ケイの指さす方を、アリィは目で追う。そこには、誰かと話しながら、呑気にお茶を飲んでいるメイの姿があった。
「あの馬鹿、何を呑気に・・・って、一緒に居るのヴァルヴィアヴィスじゃない。なんでこんな所にいるの?」
「なんだ、知らなかったのか?ボストア村の時から居たぞ。」
「そう。でも、何を話しているのかしら。」
っていうか、なんでケイはヴァルヴィアヴィスの名前をちゃんとわかったのか?この魔法や精霊に関してはまったく疎いこの男が。
(それ以前に、なんでボストア村からって知ってんのよ!?)
いろいろ疑問は湧いてくるが、とりあえずはメイをどうしてくれようか、思案するアリィだった。
「どうする?放っておくか?」
「いいえ、この前からどうもおかしいわ。何をコソコソしてるのかわからないけど。」
(別にコソコソしてるんじゃなく、お前が苛めるからだろう。)
と、ケイは突っ込みたかったが、とりあえず言わないでおくことにした。そんなアリィは、もうつかつかとメイの方に向かっていた。



「精霊界での異変は、こっちに及ぼす影響は大きくはない。おそらく、普通に生活している人達は気づかないだろうし、生活していく分には問題ない。ただ魔術師や精霊力を行使する人間達は、少なからず異変に気づくだろうが、まあ何かがおかしいとしかわからないだろう。もしかすると、先程の爺さんぐらいなら気づくかもしれないがな。」
淡々と話すヴァル兄がそこで一呼吸する。あたしは黙って続きを待った。
「だが、精霊界はほぼ跡形もなくなる。滅ぶわけではない。壊れるだけだが、再生には大変な時間を有する。以前は、ミューテとクラウフだけが巻き込まれたが、二千年年近くも眠るはめになってしまった。つまり、精霊界全体が崩壊すると、おそらくもっと長い年月を再生に要するだろうし、それまでの間の、精霊の力を介した魔法は著しく低下するだろう。簡単に言えば、今の精霊の力を介して魔法を使ってる奴らは、昔のお前みたいになるってことだ。」
「まあ、判りやすい説明だこと。」
以前のあたしを例にとるなんて、判りやすいけど、なんかなぁ・・・。
「別に皮肉で言ってるわけではない。」
「そりゃわかってますって。」
「続けるぞ?」
「うん。」

「何故、以前のマータリンセスが中途半端になったか、それは俺達の所為なんだ。あの時・・・。」
「メイ~~~!!」
ヴァル兄の台詞をかき消して、何かが凄い勢いでこっちに向かってくる。何かがと言っても、声を聞いたときにわかっているんだけど。

アリィはあたし達の前まで来ると
「あんたねぇ、この前からコソコソ何やってんのよ。なんでヴァルヴィアヴィスまでいるわけ?」
そうか、アリィはヴァル兄が来てる理由知らないんだっけ。ケイは盗み聞きをしてたから知ってるけど。それよりも、
「あのね、アリィ達があたしのこと除け者にするからでしょうが!」
「それはいいのよ。」
・・・おい・・・。
「とにかく、何してるの?」
アリィめ、とことんな我が侭っぷりね。そんなアリィに、あたしが言うより早く、ヴァル兄が口を開いた。
「悪いが、今大事な話をしているんだ。話しが終わり次第返すから、今は席を外してくれないか。」
鋭い眼光がアリィに向けられる。そんなものに怯むアリィでは無いと思うが、それよりも、話しが終わったら返すって、あたしは物か?あんたらの所有物じゃないっての。
「わかったわ。」
「朝には戻るよ。」
アリィが、「仕方ないわね」みたいな仕草をして頷いた。ケイは居ないのかなと辺りを見まわしてみれば、町の出入り口のところにいた。二人ともあたしを探してくれたのかな?
「それじゃ、何か話すことがあったら遠慮なく言ってね。」
「ありがとう。」
アリィは大人しく戻っていったが、それはおそらくヴァル兄のことを考えていたからだろうと思う。
(ああ、朝戻ってからが恐いような気がする・・・。)

「で、何でヴァル兄達の所為なの?」
アリィがケイの所まで戻ってから話しを再開する。



「で、どうだった?」
「大切な話しだから来るなってさ。」
宿に戻りながら、さっきのことを話すアリィとケイ。
「とりあえず、私は朝までゆっくり寝させてもらうわ。なんか、無駄に歩き回った気がしてきて、疲れたわ。」
「そうか、俺はちょっとやりたいことがあるんでな。此処でお別れってことで。」
「あんた、こんな夜更けになにを?」
「飲みに。」
「あっそ、程々にね。それじゃ。」
「ああ。」

もちろん、ケイの言った飲みに行くってのは嘘である。あそこでメイとヴァルヴィアヴィスが話しているということは、おそらくこの前のボストア村で話していたことに関係があるんじゃなかろうかと思い、戻ってこっそり話しを聞くことにしたのである。



「それはな、さっき言ったことなんだが、ユティが好きだったことに原因があるんだ。」
は?と、思うが、ヴァル兄は少し黙ってしまった。

「それはぁ~、リヴィアクォールが生贄のような存在だからですぅ~。」
突然、のんびりしたふざけたような感じの声が聞こえる。あたしが誰?と口にする前に、あたしの前にその呆けた感じの女の人が現れた。
「クラウフ!物事には順序ってものがあるんだ。ましてや今、俺が説明しているのに横から口を挟むな!」
(ったく、おいしいところを取りやがって・・・。この話の、一番のメインだってのに。)
「クラウフって、土の精霊?」
あたしはヴァルに聞いた。なんか、この呆けた感じのクラウフには話しかける気がしなかったから。
「ああ、マリアが目覚めさせたんだ。」
「そゆこと、『特大ネコスタンプ!』」
マリアンの声が聞こえたかと思ったら、頭上からなにかが降ってきた。
(この場に居ると巻き込まれる!)
あたしはその場から咄嗟に跳び退いた。ヴァル兄もいつの間にかさっきまで居た場所から離れている。
ぺたん!!
思った以上に気の抜けた音とともに、マリアンがでっかいネコブーツみたいなのを履いて着地した。クラウフは見事に下敷きになったらしい。
「ごめんねぇ。話し続けて、この子はわたしが黙らせてるから。」
なんて緊張感の無い場なんだろう・・・と、あたしは思った。間延びした声のクラウフにマリアン。その場の緊張感一気にぶち壊すよね。

「じゃ、あんなの放っておいて続けましょう。」
あたしはヴァル兄の傍に行って座ると、続きを促した。
「わかった。」
ヴァル兄は座らずに、そのまま話し出した。
「クラウフの言った通り、リヴィアクォールとは生贄のようなものだ。その生命を触媒として、我々の力を一気に解放するための。我々が力を、その生命に蓄えていき、その命の全てを持って一度に全ての力を放出することで精霊界の崩れた均衡を修復する。そのために我々はリヴィアクォールという存在を作り上げるのだ。」
「つまり、あたしは死ぬわけだ。」
「今までの話しからすれば、そういうことになるな。だから、契約した者はその力がどんどん上がっていく。」
「あたしの魔力が上がっているのは、そういう訳なのね。」
少し悲しいような気もする。自分の中の力は、大したこと無いんだなと思えて。
「そうでもない。お前の中にあるものはな。ユティは優れた魔術師だった。例えて言うならアリィのような魔力を持っていた。が、お前はどうやらそれを凌いでいるようだ。」
そうだとしても、先が無いんじゃねぇ・・・。
「ところで、ユティの事に関して聞いてないんだけど?」
「そうだったな。マティア、アーレリィ、ミューテ、クラウフ、ヴェイリアは問題なかったが、俺達高位精霊は、ユティを失うことに抵抗を感じて協力しなかったんだ。それなら、世界が崩壊しても構わないと。だが、崩壊間近の時、ユティは行ってしまった。その不完全なままの力で。最初から覚悟は出来ていた。自分が力を使うことで俺達が助かるのならば、構いはしないと。結局、俺達の我が侭は、ユティの思いを裏切り、ミューテとクラウフに傷を残した結果となってしまった。」
そういうことか・・・。
「確かに、それじゃユティに対して失礼ね。聞いてれば、結構失礼なこと、多いんじゃない?」
「お前の言うとおりだな。」
「あたしには、そんなことしないでよね。」
別にあたしは、ユティみたいには思いはしないけど、まあやれるだけのことはやるさ。
「それでお前にもう一度聞きたい。」
「聞く必要なんてないわ。あたしの答えは変わらない。ただ、ユティみたいに何かの為にやるんじゃない。自分の為にやるんだけどね。」
そう、あたしはあたしの為に動く。誰の為でも無い!
「わかった。」



(俺は昔、ヴァルヴィアヴィスやマリアン達高位精霊を恨んだ。たかが人間一人の為に精霊界を捨てるのかと。)
(我も同じ思いでした。だけど、わかってもらえないかもしれないが、今はヴァル殿の気持ちがわかる気がする。)
(マティア・・・私もそれは思うぞ。)
(アーレリィ・・・我は今回も考え方は変えるつもりはないです。精霊界のために。が、気持ちは以前とは違う。メイリーがそう決めたのなら、我もまたそれに全力であたるだけです。)
(あたしもやるよ!)
(俺には、未だにメイリーがどんな奴かわからないが、やるだけのことはやるさ。まあ、面白い奴だとは思うがな。)
(面白いどころか、ふざけた奴だぞ。)
(そう、アーレリィの言うとおりふざけた奴です。)



「話しは済んだのねん。」
マリアンがあたしとヴァル兄の前に来た。
「ああ。」
「じゃぁ、クラウフとの契約をしましょうか。それでほぼ準備は整うわぁ。」
「おっけ~。って、高位精霊ってのは契約しなくてもいいのか?」
「俺達はいいんだよ。精霊が契約していればそれでな。」
「ふぅ~ん。」
そうか、ならばいよいよなんだな。マータリンセスとやらも、もう近いみたいだし。

「ちょっと待てよ。」
いつの間にかあたしの後ろにケイが居た。
「ケイ、なんで此処に?宿に戻ったんじゃ・・・?」
「悪いな、この前の話しに関係があるんじゃないかと思って聞かせてもらった。俺が居るのを承知で、ヴァルヴィアヴィスとマリアンは話しを進めてたみたいだがな。今回の話しを聞いて、俺の決心は固まった。」
ケイは懐からアルゲイストを取り出す。
「な、なによ?」
「勝手に決めるなよ・・・と、言いたいところだが、お前は身勝手で、いつも勝手に進んで行く奴だったよな。」
「うっさいわね、なんなのよ、今更。」
そんなあたしを無視してケイはヴァルヴィアヴィスの方を向く。
「あんたに一つ質問がある。次の精霊と契約したら、すぐに精霊界とやらに行くのか?」
ケイの眼光が何時にも増して鋭い。
「いや、まだ他にもやることはあるのでな、すぐには無理だ。」
ケイはそれを聞くと、アルゲイストをしまった。
「なんなのよ、ケイ。」
あたしはわけがわからなかった。ケイがいったい何を考えているのか、そして何を思っているのか、どうしたいのか。
「俺は何時か、お前と闘いたいと思っていた。が、何時かでは駄目らしい。お前の道はお前が決めるのに俺は文句も言えないし、お前の勝手だが、俺の勝手はお前と闘うことなんだ。」
そうか、それでこの前、この話しが出たときからケイ考えてたんだ。あんなに強いケイが、このあたしに挑んでくるなんてね。

「嫌なら嫌でも構わないが、その時は・・・。」
ケイの台詞を遮って、あたしは言う。
「別に、嫌でもなんでもないわ。あたしに喧嘩を売ったことを後悔させてあげるわよ。」
あたしに迷いは無い。ケイが望むなら・・・と、思うけど、実はあたしも闘ってみたかったりしたのよね。今なら、良い勝負出来そうな気がするし。
「良く言うよ、ヘボ魔術師が。自分のヘボさを再認識させてやるよ。ってことで、行く前には言えよ。」
「わかった。」
「じゃ、俺は戻って寝るか。」
そう言って空を見上げた。あたしもつられて空を見たけど、もう夜が明けそうだった。
(今から戻ってもそんな寝れないじゃん。)
などと思う・・・って、あたしもじゃん!
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