42 / 48
もう一組のつがい
しおりを挟む
ルクレツィアとラファエロが黒曜宮に招待されたのは、王太子ウリエルのつがいが見つかってからひと月近くが経った頃だった。
ルクレツィアは自分と同じ忌子として生まれたエレナと会えるのを楽しみにしてきた。
初夏の庭園で手ずからブルーベリーを摘み、バラの花束とともにラッピングして貰う。
「今日は華美にならない程度におめかししてほしいの。良い印象を持って貰えるように」
「心得ております」
朝からうきうきしているルクレツィアをアンナは丁寧に着飾ってくれた。
髪を結いサファイアをちりばめた蝶の形の髪飾りでまとめ、今年ラファエロが作ってくれたアイスブルーのドレスを着つけて貰う。アクセサリーはシルバーとプラチナのシンプルな首飾りとイヤリングにした。
支度が整った頃、ラファエロが現れた。いつもと同じ姿で騎士らしくすっきりしている。
「あの、わたくし浮かれすぎでしょうか」
自分一人がめかしこんでいるのが恥ずかしくなって問うと、ラファエロはルクレツィアを抱き寄せて瞼にキスをした。
「とても愛らしい。このままベッドに連れていきたいくらいだ」
義姉になる方とやっとお会いできるのにベッドに逆戻りは困る。ルクレツィアがぷるぷる首を振るとラファエロはフッと笑ってルクレツィアの手を取った。
「行こう」
「はい」
出会った頃、ルクレツィアの身長はラファエロの胸半ばくらいしかなかった。本格的に魔力を注いで貰うようになってから急速に背が伸びて、今はラファエロの肩に届くほどになっている。
高貴な方のつがいとして離宮に召され、初めは不安だったけれど、今ルクレツィアはとても幸福だ。
同じ境遇のエレナにも幸せになってもらいたい。
蒼玉宮のエントランスを出たところでルクレツィアはラファエロに抱き上げられた。
「ラファエロ様、自分で歩けます」
「黒曜宮までは距離がある。おまえに無理はさせられない。今朝、2度俺を受け入れたのだから」
耳元で言われたことばにルクレツィアは頬を染めた。
外出が決まっている日に限って、ラファエロはことさら時間をかけてルクレツィアを抱く。もちろんこの上なく優しくしてくれるし、ルクレツィアも夢中になってしまうので仕方がないのだが、どうしてそういうタイミングなのかルクレツィアにはわからない。
さらに、閨事を思い出したせいで、ルクレツィアは蜜口を意識してしまった。
懐妊を望む女性は注いで貰った精が流れ出ないように蜜口にプラグをされるのだ。取り手のついた球体のような形をしていて、ルクレツィアの蜜口にも、今その球の部分がすっぽり埋め込まれている。
ひと月ほど前から、月の障りの時を除いて毎日装着されているので慣れてはいるのだが、意識してしまうと歩くのがぎこちなくなってしまう。
結局、クリスタルパレスの向こうに位置する黒曜宮まで、ルクレツィアはラファエロに横抱きにされて運ばれた。
「二人ともよく来てくれた」
初夏の庭園に面したテラスで、王太子ウリエルとエレナに出迎えられた。
「私のつがい、エレナだ」
濃い蜂蜜色の金髪と鳶色の瞳。背はルクレツィアより少し低いくらいで痩せている。
しかし、侯爵家の血筋を思わせる顔立ちは、どことなくアリアナに似ていた。
「初めまして。お会いできて光栄に存じます」
エレナが淑女の礼をとる。
「こちらこそ光栄です。お会いできる日を心待ちにしておりました」
淑女の礼を取り合う二人に、ウリエルが席を進めた。
「今日は無礼講だ。さあ、二人とも座って」
「王子妃殿下から贈り物でございます」」
アンナから薔薇の花束とブルーベリーの籠がエレナに手渡される。
「ルクレツィアが手ずから摘んだものだ」
「ありがとう存じます」
緊張に強張っていたエレナの顔に笑みが浮かぶ。
「とてもいい香りです」
喜んでもらえてルクレツィアも笑顔になった。
「つがいの先輩として、いろいろ話を聞かせてほしい」
ウリエルの言葉を皮切りに、黒曜宮の執事が4人のお茶を淹れ、お菓子が運ばれてくる。
「そういう話はユリウスが一番向いていると思うがな。きけば、うんざりするほど話し続ける」
「はは、確かにいろいろ話してくれるが、ユリウスの話はデータが主体だからね。当事者の話を聞けばエレナも安心すると思うんだ」
エレナが頷いた。
「ユリウス様からいろいろお話をお聞きして、ルクレツィア様にお会いするのを楽しみにしておりました」
「嬉しゅうございます。エレナ様」
ウリエルは運ばれてきたお菓子をひとつひとつ説明し、エレナに勧めている。大切で仕方がない様子だ。
同様にラファエロの手からいくつかの焼き菓子を口に入れられ、つがい同士お互い様という初めての状況をルクレツィアは嬉しく思った。
「二人はもう魔力適合に入ったのか」
ラファエロが唐突に核心をつく言葉を投げかけ、ルクレツィアはマカロンを喉に詰まらせかけた。
それはエレナも同じだったようで、目を白黒させている。
しかし、男同士だからなのか王族として当たり前の話題なのか、ウリエルは平然と答えた。
「まだだ。ここにきて一月、体調回復に専念させた。今は家庭教師がついて貴族社会のことを教えている」
「閨教育は?」
「昨日終えたところだ。そういう話がしたかった」
ルクレツィアもエレナも頬を染めた。できれば男女別々に話をしたい。
「おまえたちが魔力適合に入った時、ルクレツィアはまだ小さかっただろう? 今のエレナと比べてどうだった?」
「エレナよりも小さかったと思う。俺の胸半ばくらいだっただろうか」
「犯罪的な体格差じゃないか」
ウリエルに妙な突っ込みを入れられ、ルクレツィアは慌てて口をはさんだ。
「それは出会った頃の身長です。もう少し大きくなっていたと思いますわ」
「それでも肩には遠く及ばなかった」
「よく決心できたな。私だったら怖くて抱けたかどうか」
「魔力適合を始めてからルクレツィアの身長は一気に伸びて、寝込むこともなくなった。魔力を注ぐことが健康への一番の近道だ。エレナのためを思うなら、兄上も迷う必要はない」
「だが、怖いんだ。痛々しいほど華奢なエレナを壊してしまいそうで」
ウリエルが愛おしくて仕方がないという様子でエレナの手を握った。エレナが恥ずかしそうに目を伏せる。
「君はつらくなかった?」
ウリエルの視線を向けられ、ルクレツィアは耳まで赤くなった。二人のために答えてあげるべきなのはわかっている。しかし、話題が恥ずかしすぎて、顔をあげられない。
「初めての時はラファエロ様は最後までなさいませんでした」
何とか声を絞り出す。
「最後まで? でも魔力は注いだのだろう?」
「最後まで挿れなかったという意味だ。無理に入れれば裂けてしまいそうに小さかった」
ラファエロがルクレツィアの言葉を補足してくれた。
「それでどうやって魔力を注入したんだ?」
「先端だけを挿れて放った」
「それは……よく自制できたな」
ウリエルが心底感心した様子で呟いた。
「それでも痛みはあったと思う。可哀想に、入れた瞬間は体を強張らせていた」
ラファエロが痛ましそうにルクレツィアの頭を撫でた。
「いいえ、痛かったのは一瞬だけでした。ラファエロ様の魔力が体中に巡って、生まれ変わったみたいに体が軽くなって。一生忘れられないほど幸せな瞬間でした」
思わず二人がいることも忘れて、ルクレツィアはラファエロに言い募った。大きな手がルクレツィアの頭を抱き寄せる。
しかし、ウリエルの声でルクレツィアは現実に引き戻された。
「それで、最後まで挿入できるまでにどのくらいかかった?」
「ひと月ほどだろうか」
「……それほどか」
ウリエルはショックを受けたように黙り込んだ。
ルクレツィアは今の今まで知らなかった。そんなにラファエロに我慢を強いていたなんて。
「何も心配する必要はない。つがいを痛めつけるような真似はできない。俺たちはそういう風に作られている」
ラファエロが励ますとウリエルは、そうだな、と頷いた。
「エレナ、ルクレツィアを案内してあげるといい」
ウリエルの提案でエレナとルクレツィアは席を立った。
ルクレツィアは自分と同じ忌子として生まれたエレナと会えるのを楽しみにしてきた。
初夏の庭園で手ずからブルーベリーを摘み、バラの花束とともにラッピングして貰う。
「今日は華美にならない程度におめかししてほしいの。良い印象を持って貰えるように」
「心得ております」
朝からうきうきしているルクレツィアをアンナは丁寧に着飾ってくれた。
髪を結いサファイアをちりばめた蝶の形の髪飾りでまとめ、今年ラファエロが作ってくれたアイスブルーのドレスを着つけて貰う。アクセサリーはシルバーとプラチナのシンプルな首飾りとイヤリングにした。
支度が整った頃、ラファエロが現れた。いつもと同じ姿で騎士らしくすっきりしている。
「あの、わたくし浮かれすぎでしょうか」
自分一人がめかしこんでいるのが恥ずかしくなって問うと、ラファエロはルクレツィアを抱き寄せて瞼にキスをした。
「とても愛らしい。このままベッドに連れていきたいくらいだ」
義姉になる方とやっとお会いできるのにベッドに逆戻りは困る。ルクレツィアがぷるぷる首を振るとラファエロはフッと笑ってルクレツィアの手を取った。
「行こう」
「はい」
出会った頃、ルクレツィアの身長はラファエロの胸半ばくらいしかなかった。本格的に魔力を注いで貰うようになってから急速に背が伸びて、今はラファエロの肩に届くほどになっている。
高貴な方のつがいとして離宮に召され、初めは不安だったけれど、今ルクレツィアはとても幸福だ。
同じ境遇のエレナにも幸せになってもらいたい。
蒼玉宮のエントランスを出たところでルクレツィアはラファエロに抱き上げられた。
「ラファエロ様、自分で歩けます」
「黒曜宮までは距離がある。おまえに無理はさせられない。今朝、2度俺を受け入れたのだから」
耳元で言われたことばにルクレツィアは頬を染めた。
外出が決まっている日に限って、ラファエロはことさら時間をかけてルクレツィアを抱く。もちろんこの上なく優しくしてくれるし、ルクレツィアも夢中になってしまうので仕方がないのだが、どうしてそういうタイミングなのかルクレツィアにはわからない。
さらに、閨事を思い出したせいで、ルクレツィアは蜜口を意識してしまった。
懐妊を望む女性は注いで貰った精が流れ出ないように蜜口にプラグをされるのだ。取り手のついた球体のような形をしていて、ルクレツィアの蜜口にも、今その球の部分がすっぽり埋め込まれている。
ひと月ほど前から、月の障りの時を除いて毎日装着されているので慣れてはいるのだが、意識してしまうと歩くのがぎこちなくなってしまう。
結局、クリスタルパレスの向こうに位置する黒曜宮まで、ルクレツィアはラファエロに横抱きにされて運ばれた。
「二人ともよく来てくれた」
初夏の庭園に面したテラスで、王太子ウリエルとエレナに出迎えられた。
「私のつがい、エレナだ」
濃い蜂蜜色の金髪と鳶色の瞳。背はルクレツィアより少し低いくらいで痩せている。
しかし、侯爵家の血筋を思わせる顔立ちは、どことなくアリアナに似ていた。
「初めまして。お会いできて光栄に存じます」
エレナが淑女の礼をとる。
「こちらこそ光栄です。お会いできる日を心待ちにしておりました」
淑女の礼を取り合う二人に、ウリエルが席を進めた。
「今日は無礼講だ。さあ、二人とも座って」
「王子妃殿下から贈り物でございます」」
アンナから薔薇の花束とブルーベリーの籠がエレナに手渡される。
「ルクレツィアが手ずから摘んだものだ」
「ありがとう存じます」
緊張に強張っていたエレナの顔に笑みが浮かぶ。
「とてもいい香りです」
喜んでもらえてルクレツィアも笑顔になった。
「つがいの先輩として、いろいろ話を聞かせてほしい」
ウリエルの言葉を皮切りに、黒曜宮の執事が4人のお茶を淹れ、お菓子が運ばれてくる。
「そういう話はユリウスが一番向いていると思うがな。きけば、うんざりするほど話し続ける」
「はは、確かにいろいろ話してくれるが、ユリウスの話はデータが主体だからね。当事者の話を聞けばエレナも安心すると思うんだ」
エレナが頷いた。
「ユリウス様からいろいろお話をお聞きして、ルクレツィア様にお会いするのを楽しみにしておりました」
「嬉しゅうございます。エレナ様」
ウリエルは運ばれてきたお菓子をひとつひとつ説明し、エレナに勧めている。大切で仕方がない様子だ。
同様にラファエロの手からいくつかの焼き菓子を口に入れられ、つがい同士お互い様という初めての状況をルクレツィアは嬉しく思った。
「二人はもう魔力適合に入ったのか」
ラファエロが唐突に核心をつく言葉を投げかけ、ルクレツィアはマカロンを喉に詰まらせかけた。
それはエレナも同じだったようで、目を白黒させている。
しかし、男同士だからなのか王族として当たり前の話題なのか、ウリエルは平然と答えた。
「まだだ。ここにきて一月、体調回復に専念させた。今は家庭教師がついて貴族社会のことを教えている」
「閨教育は?」
「昨日終えたところだ。そういう話がしたかった」
ルクレツィアもエレナも頬を染めた。できれば男女別々に話をしたい。
「おまえたちが魔力適合に入った時、ルクレツィアはまだ小さかっただろう? 今のエレナと比べてどうだった?」
「エレナよりも小さかったと思う。俺の胸半ばくらいだっただろうか」
「犯罪的な体格差じゃないか」
ウリエルに妙な突っ込みを入れられ、ルクレツィアは慌てて口をはさんだ。
「それは出会った頃の身長です。もう少し大きくなっていたと思いますわ」
「それでも肩には遠く及ばなかった」
「よく決心できたな。私だったら怖くて抱けたかどうか」
「魔力適合を始めてからルクレツィアの身長は一気に伸びて、寝込むこともなくなった。魔力を注ぐことが健康への一番の近道だ。エレナのためを思うなら、兄上も迷う必要はない」
「だが、怖いんだ。痛々しいほど華奢なエレナを壊してしまいそうで」
ウリエルが愛おしくて仕方がないという様子でエレナの手を握った。エレナが恥ずかしそうに目を伏せる。
「君はつらくなかった?」
ウリエルの視線を向けられ、ルクレツィアは耳まで赤くなった。二人のために答えてあげるべきなのはわかっている。しかし、話題が恥ずかしすぎて、顔をあげられない。
「初めての時はラファエロ様は最後までなさいませんでした」
何とか声を絞り出す。
「最後まで? でも魔力は注いだのだろう?」
「最後まで挿れなかったという意味だ。無理に入れれば裂けてしまいそうに小さかった」
ラファエロがルクレツィアの言葉を補足してくれた。
「それでどうやって魔力を注入したんだ?」
「先端だけを挿れて放った」
「それは……よく自制できたな」
ウリエルが心底感心した様子で呟いた。
「それでも痛みはあったと思う。可哀想に、入れた瞬間は体を強張らせていた」
ラファエロが痛ましそうにルクレツィアの頭を撫でた。
「いいえ、痛かったのは一瞬だけでした。ラファエロ様の魔力が体中に巡って、生まれ変わったみたいに体が軽くなって。一生忘れられないほど幸せな瞬間でした」
思わず二人がいることも忘れて、ルクレツィアはラファエロに言い募った。大きな手がルクレツィアの頭を抱き寄せる。
しかし、ウリエルの声でルクレツィアは現実に引き戻された。
「それで、最後まで挿入できるまでにどのくらいかかった?」
「ひと月ほどだろうか」
「……それほどか」
ウリエルはショックを受けたように黙り込んだ。
ルクレツィアは今の今まで知らなかった。そんなにラファエロに我慢を強いていたなんて。
「何も心配する必要はない。つがいを痛めつけるような真似はできない。俺たちはそういう風に作られている」
ラファエロが励ますとウリエルは、そうだな、と頷いた。
「エレナ、ルクレツィアを案内してあげるといい」
ウリエルの提案でエレナとルクレツィアは席を立った。
0
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる