薄氷が割れる

しまっコ

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抱きたい。
無理をさせたくない。 
愛し合いたい。
傷つけたくない。 
相反する思いがせめぎ合う。 
「もう、ほしく、なくなってしまったのですか……? こどもの、身体だから……」 
マリカの声には悲痛な響きがあった。 
「なっ…… ! そんなわけがあるか」 
今この時も、爆発しそうな欲望を制御するのが精一杯だというのに――。 
「煽るな。おまえが欲しくて気が狂いそうなのに」 
「ほしいなら、して?」 
「マリカ」 
このままやめてしまったら、マリカの女としての矜持を傷つけることになる。
それなら、抱いてしまう方がマリカの心を守ってやることになるのではないのか――…。 
レオンハルトは再び雄芯を進め始めた。
慎重に、極力身体の負担にならないように。
気が遠くなるような時間をかけて、マリカの中に欲望を埋めこんだ。 
マリカはレオンハルトにしがみつきながら、浅い呼吸を繰り返している。
その必死な様子が憐れでいじらしくて、レオンハルトは胸を締め付けられた。 
「マリカ。俺のマリカ。愛おしくてならない」
「レオンハルトさま、私の中、きもちいい……?」 
「ああ、たまらなく気持ちがいい。俺がこんなことをしたいと思うのも、俺をこんなに気持ちよくできるのもおまえだけだ。マリカ、愛している」 
「うれしい」 
マリカはふわりと笑った。美しくも儚い笑みだ。 
「おまえが体に無理かけてまで俺を求めてくれたこと、生涯忘れない」 
小さな顔中にキスを落とし、左右の胸を代わる代わる揉んでやりながら、小刻みに腰を動かす。
時間をかけて丁寧にならすうちに、蜜壺が綻んできた。 
「あっ……、あっ、あっ、あんっ、んっ……」 
マリカが甘やかな啼き声を上げ始めたところで、レオンハルトはマリカの奥を突き上げた。 
「あんっ…… !」 
「気持ちがいいか」 
「はい、レオンハルトさま。きもちいい」 
「俺も気持ちがいい。どうにかなってしまいそうな程、気持ちがいい」 
「レオンハルト、さま……だいすき」 
「ああマリカ。愛している。おまえの中でイきたい」 
「いっぱいして?」 
「マリカ…… !」 
「あっ、あっ、すきっ、あんっ…… !」 
甘く切なげな声をあげるマリカを突いて揺さぶって、最奥で吐精する。
どくどくと精が溢れる間、レオンハルトはマリカの花芯を嬲った。 
「あぁぁぁっ」 
摘まんだ花芯を押しつぶすと、マリカは背を反らして蜜壺を収縮させた。 
「マリカ。ありがとう」 
ぐったりして気絶するように眠りに引き込まれるマリカを抱きしめ、もう一度したいというどうしようもない雄の欲望とレオンハルトは独りで戦わねばならなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~ 


「おじい様、おばあ様」 
風と共に訪れた二人を見てライルが目を輝かせた。 
「ライル。元気でいたか」 
エアリオの風がライルとランディを持ち上げ、キャッキャとはしゃぐ子どもの声が庭園をにぎやかにする。 
マリカはレオンハルトの腕の中で微笑んだ。 
20歳になったマリカのおなかには新たな命が宿っている。 
つらいことがなかったわけではないけれど、それ以上の幸せを貰ってきた。 
これからも愛する人たちとともに歩んでいく。 
足元の氷は解け、マリカの前には日なたの道が広がっている。


読んでいただきありがとうございました!
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