薄氷が割れる

しまっコ

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ごめんなさい、ありがとう――ローレンスを見送って肩の力を抜いた瞬間、背後から驚くほどの力で抱きしめられた。 
「レオンハルト様?」 
「おまえを失う恐怖で心臓が壊れるかと思った」 
「言ったでしょう? 私の心はレオンハルト様のものだって」 
「マリカ……」 
マリカは自分を抱きしめるレオンハルトの腕が震えていることに気付いた。 
「貴方を愛しているの」 
囁くように言うと、レオンハルトの拘束が強くなる。 
「ああマリカ、俺のマリカ。愛している。言葉では伝えきれない」 
「言葉で伝えきれない分は寝所で教えてください」 
「今すぐにでも教えてやりたい」 
レオンハルトはマリカを抱き上げ天幕を出た。 
「話はついたようだな」 
「ああ。詳しいことはこの調印文書を見てくれ」 
筒状にまかれた合意文書を受け取ったジークフリードはさっと目を通し、顔をしかめた。
「複数子が生まれなかったら、どうするつもりだ」 
「励むしかなかろう」 
馬車に乗り込むなり、レオンハルトはマリカの顔中にキスを浴びせた。
マリカも一生懸命キスを返してくれる。
レオンハルトはマリカのドレスをはだけさせ、白い膨らみを露わにした。
マリカは潤んだ瞳でレオンハルトを見上げた。
マリカの小ぶりな胸の膨らみをすっぽりと掌で覆い、代わる代わる揉みしだく。 
「マリカ。俺のマリカ」 
「んっ……レオンハルトさまぁ……」 
マリカの口から強請るように濡れた声が出た。 
マリカを座席に横たえ、つんと立ちあがった頂を口に含む。 
「あ……んっ」 
レオンハルトは口に含んだ頂を舌先で転がすように舐めては時折強く吸った。 
「あっ、あんっ、きもちいぃ、レオンハルトさま、きもちいいの……」 
3か月ぶりの愛撫に、マリカが可愛らしく喘ぐ。 
「んっ、レオンハルト様、あの……」 
羞恥に頬を染め言いよどむマリカの可愛さにレオンハルトはたまらない気持ちになる。
このままここで奪ってしまいたい。
しかし、病み上がりのマリカをこんな場所で抱くわけにはいかない。
そもそもカフカから伽の許可がまだ出ていないのだ。 
「すまない。おまえを連れ帰ることができて浮かれている」 
「私もです。レオンハルト様……私……」 
マリカが恥ずかしそうに目を伏せた。 
「大丈夫だ。もう二度と無体はしない。心配するな」 
レオンハルトはマリカを抱き起こし、しばし抱きしめて欲望が鎮まるのを待った。
それからマリカのはだけたドレスを直してやった。 
「レオンハルト様……」 
次の瞬間、マリカの泣きそうな顔を見てレオンハルトは慌てた。 
「マリカ、どこか痛めたか !?」 
マリカは無言で首を振った。 
辛い思いをさせてしまったのだろうか。 
病身のマリカに無体を働き命を危険に晒してから、レオンハルトは二度とマリカを傷つけないと硬く心に誓った。
それなのに馬車の中でマリカを押し倒すなど、あってはならないことをした。 
しかし、マリカは蚊の鳴くような小さな声で訴えた。
「体の奥が疼いて……もっと触れていただきたくて……」 
「……」 
愛撫を受けたマリカの身体がレオンハルトを求めているということなのか――…。 
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