死霊術師の人生日記

胡嶌要汰

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第4章

第三十六話「再決闘」

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 決闘の最中、金髪のイケメンが放った一言。

「エリーゼ……ちゃん?」
「そうだよ。僕の妹。それが何か?」
「いえ、なんでも」

 さわやかな笑顔でこっちを向いて話した。
それだけで狂気を感じる。

「お兄様。なぜここに?」
「ん? いや、エリーゼちゃんがスケルトンに襲われてると思って。違った?」
「違います! これは決闘です! 邪魔しないでください!」

 エリーゼは金髪イケメンに「邪魔」とはっきりと言った。

「エリーゼちゃん……」

 お? あのイケメンもついに怒ったか?

「お兄ちゃんは嬉しいよ!! そんな剣士として誇らしいことを言えるなんて」

 怒らないぃぃぃぃ!!
圧倒的シスコン!!
これは敵わない。

「でもね、エリーゼちゃん。どうして士官がいないのに決闘なんてしたのかな?」
「そ、それは……」

 金髪イケメンは笑顔で質問して圧をかけてくる。
エリーゼはそれに少し怯えている。

「君、名前は?」

 金髪イケメンに突然指を刺された。

「俺は、ヨウです。」
「ヨウくん。君の職業は?」
「【死霊術師ネクロマンサー】です。」
「そうか。なら、僕が士官をやろう!」

 金髪イケメンは突然、決闘の士官をやると言い出した。

「お兄様!」
「エリーゼちゃんのためだ。これぐらいお安い御用だよ!」

 何というイケメン。
これは女子は落ちるわな。

「では、仕切り直して。これより! エリーゼ=フロンティア対ヨウの試合を始める! 士官タイラー=フロンティアの名の下に始め!!」

 決闘開始の合図が降りた。
先程、金髪イケメン改め、タイラーにアルバータはやられたため、今度はボウが出ることになった。

「そんな肉の塊私が串刺しにしてあげる!! 【細剣術】〈炎火・乱れ刺し〉!!」

 何回も刺し引きをして繰り出されるレイピア技。
大抵は早くて防御もままならないが、ボウなら!

「【鉄壁】〈鉄の鎧アーマード〉!」

 ボウは【鉄壁】のスキルで鉄の鎧を見に纏ったような格好になった。

「何よ! 鎧なんかして、でも所詮は鉄! 耐久があるわけじゃない! 【細剣術】〈炎火・一線〉!」
「【暴虐】〈狂戦化バーサーク〉! グルォォォォ!!」

 狂戦化したボウは一定のダメージを与えないと止まることはない。

「何よ! 何よ、何よ! 何でこんな猪がこんなに強いの!?」

 エリーゼは防戦一方だった。
ボウの斧を防ぐことで精一杯のようだ。

「グルォォォォ!」

 ボウは斧を振り回し、エリーゼを攻撃している。
あともう少し。

「そこまで!」

 その時、タイラーの口から終了の合図が出た。
タイラーは合図すると俺の方に近づいた。

「ヨウくん。君の従魔は素晴らしい。だが、それは君自身の力なのか?」

 タイラーからの一言で俺は気づいた。
 今まで戦闘ではアルバータやボウ達に任せっきりだったことを。
 それが普通で、それが死霊術師ネクロマンサーだと思っていたからだ。

「ヨウくん。僕はここの生徒会長を任されている。僕の一言があれば君をこの学院に入学させられることができる。が、それは君が強くなりたいか君次第になってくる。どうだ? 君は強くなりたいか?」

 俺は転生してから今までの経緯を思い出しながら言った。

「俺は強くなりたい!!」

 俺もアルバータ達と共に歩みたいと思った。

「よし、決まりだな。君はいい目をしているよ」

 翌日
 俺は無事に学院に入学できた。
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