死霊術師の人生日記

胡嶌要汰

文字の大きさ
上 下
17 / 54
第2章

第十七話「決意」

しおりを挟む
 ドンッ、と思いっきり扉を開けて入ってきたのはナース姿の女性だった。

「あの、あなたは?」
「は? 見てわからないの? 看護師よ看護師のサリィ。ギルドの雇われ看護師」

 聞いたらほとんどの個人情報を教えてくれた。

「で、早速だけど何か体に異常はない?」
「はい、特にはありません。」
「なら、もう退院はできそうね。あと、あんたの連れがきてるから一応話しておけば?」

 ガチャ、と次に扉を開けて入ってきたのはダックさんだった。

「ダックさん!」
「元気にしてたか? ヨウ」
「はい。もちろん」

 ダックさんは俺が気を失っている間に今回の事件の報告から手続きまで全てを行ってくれた。

「その節は本当にありがとうございます!」
「いいって、いいって。実は、あいつら本当はパーティーランクを偽装していたらしい。実際のところAランクじゃなくてDランクとかなり騙していたらしいぞ。」
「そうなんですね」

 俺はもう、興味は無かった。
後から聞いた話だが、あのパーティーは冒険者ギルドを追放。
 後に、途方のない旅に出たと言う。
これに関しては自業自得と言うところだ。

「なぁ、ヨウ。」
「はい? 何ですか?」
「まだ、冒険者を続ける気はあるか?」

 確かに入学に必要以上の金は手に入ったし、続ける必要があるのかどうか……

「すみません。明日まで待ってもらえますか?」
「そうだな。急な話だ。ゆっくり考えてまとまったら俺に話してくれ」

 そう言ってダックさんは医務室を出て行った。
今日は安静の為、医務室で一夜を過ごした。

 夜

 俺達は冒険者を続けるか話し合っていた。

「私は反対です! またいつ裏切られるかわかりません。」

 アルバータは堅実的な事を言う。

「そんな堅苦しいこと言うからスケルトンなんて嫌われるのです。私みたいな凛々しい姿の死霊が主人殿は好きなのです!」

 ケルは煽る様にアルバータに言い返した。
けど……話ズレてね?
 それから1時間ほどケルとアルバータの言い合いが続いた。
 そして、それを止めたのはボウであった。

「2人ともうるさくなってる。これは主人様が決めること。」

 2人の頭を殴る様にして喧嘩を収めた。

「ナイスボウ! ボウの言う通りこれは俺自身が決めること。お前達の気持ちはわかるが、少しはしゃぎすぎだ。」
「「申し訳ございません。」」

 2人とも一斉に謝った。

「俺はな、まだ冒険者を続けてみたい……」
「ですが!……」

 ボウはアルバータの口を押さえてそれ以上言わせない様にした。

「俺は冒険者で何かを掴みたい。将来に繋がる何かを……だけど、俺にとって辞めることは逃げることと同じになってしまう。だから俺は冒険者を続けたい! それでもいいか?」
「……まぁ、主人殿がそう言うのであれば」
「ケル」
「僕もです」
「ボウ!」
「まぁ、仕方ないですね」
「アルバータ!」

 俺はみんなの許しを得て冒険者を続けることを決意した。
 翌日
 昼
 今日はダックさんに冒険者続行の話をする日だ。
 数分後
ガチャ、と扉を開けてダックさんは入ってきた。

「ふーん、その面構え、決意が出たか。」
「はい!」

 ダックさんは椅子に座り俺の方を向いた。

「で、聞かせてもらおうじゃないか。お前の決意を」
「俺は、冒険者を続けます!」
「よく言った! なら、俺とパーティーを組め!」
「へ?」

 食い気味で言われた言葉に俺は唖然とした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

処理中です...