拳闘哀歌

人生真っ逆さま

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嵐の前の静けさ

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春のそよ風が頬をよぎる。
デーモスクラトス、ジョージアナ区には、賑わっていた。
会場である、マジックガーデンには、スカーフェイス対ダニエル・J・コーベットの2人の対戦を観に大勢の客が、会場を埋め尽くしている。
控え室にて。
セコンドには、ブレンダンジムの面々に頼み、来てもらった。
俺、一人では、心細かったから助かったぜ。

「なあ、スカーフェイス、試合は大丈夫なのかよ、勝ったとしても…」

「タケシ、勝負の前に勝負の後の事を考えてもしょうがないぜ」

「だけどよ」

「俺はあの男に勝つ、先ずはそれからさ」

バンテージを巻きながら、スカーフェイスは言った。
バンテージを巻き終え、グローブを紐で締めながら紐の周りをテーピングテープで巻いていき、試合の準備を終えた。
モニターでは、試合はまだ、続いてるようだ。
いや、TKOだ。
レフェリーが試合を止めた。

「スカーフェイス選手、出番です」

そう呼ばれ、俺達は試合会場へ、足を進めた。
スカーフェイスは青いガウンを纏い
通路を進むと、会場の客が賑わっている。
カメラが俺達を撮り、フラッシュがたかれリングへ進む。

『青コーナより、スカーフェイス選手の入場です』

リングアナウンサーが紹介し、リングへ上がっていき、スカーフェイスは会場の客に手を振った。

「赤コーナーより、ダニエル・J・コーベット選手の入場です」

赤いガウンを纏ったダニエル・J・コーベットは、セコンドを引き連れ華麗にリングインした。

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