拳闘哀歌

人生真っ逆さま

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決心

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試合が終わり、車に乗りダマトジムへ向かうも、車内は、勝利にもしたにも、関わらず、喜びのムードではなかった。

俺は和まそうと「俺さ、こないだの買い出しの時に、定食屋さんの前を歩いてたらさ、ちょうど食い逃げ犯がタイミングよく出てきてさ、丁度、顔とか似てたもんで、間違えらたんだよね、でさ、何故か俺まで逃げるはめになってさ、食い逃げ犯だぜ、食い逃げ犯! そしたら、逃げた先に、警察官がいたの、そしたら、食い逃げ犯共々、捕まってさ、俺は自分の身の潔白を晴らす為にさ、ダマトジムの関係者だって言ってやった訳よ、それでも信じてもらえなくて、んで警察官引率で、定食屋の親父さんの前でどっちが犯人ですか、警察官が親父さんに聞いたら、やっと犯人側だって…そしたら、親父さんさぁ、俺に向かって『あんた、カバに似てるなぁ…』って、なあ、どう思うよ…散々さぁ、犯人に間違えられて、今度はカバだってよ、なぁ中々、世の中、理不尽だと思わねぇか」

「長いぜ、タケシ」 

「うーん、そうかい、まっ…そうかもな」

「なあ、スカーフェイス、本当にジムを去るのかい? 」

「ああ、向こうのジム…ズィクタトリアで新しく契約するし、そこは問題はない」

「ダマトもいいのかよ、スカーフェイス、ジム辞めちゃうんだぜ」

スカーフェイスの隣に座っていた、ダマトは黙っている。
しかし、暫くしてその重たい口を開ける。

「それは、本人の勝手じゃ、どうしても、ウチでやりたいなら、マフィアの連中とつるむの辞めるというなら、話は違うが、そうじゃない、なら、我々には止める権利はない」

静寂する車内で、俺はある事を提案する。

「なあ、ダマト…俺もスカーフェイスに付いて行っていいか? 」

「ッ!?  勝手にすればいい、お前さんがそうしたければな」

「タケシ、何で俺についていくんだ? メリットなんてなーんにもないぜ」

俺は、何故、この異世界に来たのか、考えた、偶然にも出合った、このスカーフェイスというボクサーの結末を見る為に、わざわざ、こっちに来たんじゃないかと…それに何の意味があるのか、無いのかもしれないけれど、俺は……ここ半年を過ごして、見たいと思った。

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