拳闘哀歌

人生真っ逆さま

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邂逅2

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「待って、そこの人!」

周りには、俺しかいなかったから、振り返ると遠くに金髪の少女が車を、脇に立っていた。
向こうから、駆け寄られると、分かった。
あの時、男達に囲まわれていた、あの子だ。

「ハアハア…あの時、助けてくれてありがとう 」

俺と車からの距離が、離れているのか走って来たせいか、少女は、肩で息をしていた。
いや、それより、まさかお礼を言う為だけに、こんな行動したのか。

「まさか、お礼言う為に、車停めてまで、言いに来たの?」

「そうよ、あの時、いい損ねたから…それにあなたの顔をちゃんと見ときたかったし」

「奇特な人だなぁ、俺はただ、理不尽さ横行する現場を看過出来なかっただけだぜ」

「それでも、言いたかったの、私は」

その青い瞳が、俺を真っ直ぐ見つめていた。
綺麗な瞳だと、素直に思った。

「ありがとう、お礼言われる側から言うのもアレだけど、お嬢ちゃんのその心意気に敬意を出すよ」

「ありがとうだなんて…でも言えてスッキリした、あとお嬢ちゃんなんて歳じゃないんだから私は!君と同じくらいか…上ぐらいじゃないかな」

「そうなのか! 」

「そうよ」

そう言ってあの女の子は、元いた、車まで駆け去っていったよ。
なんか、悪い気はしないな。

※※※

暫く、ランニングしていると、また呼び止められた。
振り返ると老人が俺の後ろに立ち、何やら異様な雰囲気を醸し出していた。

「何です? 俺、練習中なんで大したようがなければ…」

「君とちょっとお話したいんだ、スカーフェイス」

老人は、懐から拳銃を取り出し、脇に停めてある車に乗るように催促する。

「穏やかじゃないですね、そんな込み入った話ですか? 」

「ユースティティアの関係者だと言えば、こんなものも、必要じゃなかったかな」 

「ユースティティアだと…」

その名前を聞いた瞬間、俺は、頭に血が上り老人に殴りかかった。
すると殴りかかった俺の右手を取り、投げた。

「ガハッ」

老人は、倒れた俺に再度、言った。

「君とお話したいんだ、スカーフェイス、車に乗ってくれるかい?」

すると、脇に停めてある車から二人程、降りて来て俺の体を拘束しやがった。
念の入った事だ。

「いいぜ、聞かせて貰おうじゃねーか」

「賢明な判断だ」

そうして俺を乗せた車は、何処かへ走り去っていた。
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