拳闘哀歌

人生真っ逆さま

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邂逅

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あの、月明かりで照らされた顔に傷のある人は誰だったんだろ。
たしか…スカーフェイスで呼ばれていたっけな。
結局、お礼を言えずじまいだったし、なんかモヤモヤする。

ピーンポーン!
自宅のチャイムが鳴った。

うとうと、眠い中、自室から階段を降り、自宅のドアまで、歩いた。
誰かなと思いドアのチェーンロックを付けたまま、ドアを開けると、そこにはマネージャーのローレルがいた。
チェーンを外すと、ローレルが入って来て、これから事務所まで、行くよと言う。

「今からですか!?」

「そう、驚いた?ミーノット仕事よ」

「今日、休みだったんじゃ…」

「そんなこと言わずに…ほらほら乗って!」

「はーい」

ローレルに促されるままに、自動車に乗り、事情を聞くと、隣国デーモスクラトスにて、コンサートの企画が舞い込んだそうで、私にも聞いておいて欲しいそうだ。

「それなら、事後報告でもいいんじゃないん?」

それをローレルは、運転しながらチッチっと言い否定する。

「こういうのは、早め早めにやっておくのよ、今回のはウチだけじゃなくて、向こうの事務所の社長さんも来てるんだから、結構大きなね」

デーモスクラトス側の事務所か…大手だとイェグディエルかな。

「ウチのミカエル事務所だけでは、出来ない仕事だからね…でも、キーである、あんたがいれば一発OKよ」

「そうなのかな…」

仕事の雑談話してるうちに、窓を見ると誰か、ランニングをしていた。
それも、ペース早めに…そしてよく見ると顔に傷がある。
あれは…あの時の!?

「ローレル車停めて!」

「何々、いきなり!」

「いいから!」

幸い、車の通行量が少なく、すぐに停めてくれた。私のお願いを聞いてくれて、ありがとう、ローレル。

「待って!そこの人!」
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