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デビュー戦、そして…
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真夏の会場は、むせ返る程の客の熱気で覆われていた。
リングに上がるボクサーに、日頃溜まっている鬱憤を晴らすかのように、野次を飛ばしたり、推しのボクサーには、黄色い声援が飛んだりと混沌した趣きで会場はごった返していた。
俺は、そんな異様な熱気に呑まれそうになるも、会場のリングへと足を進めた。
リングアナウンサーが、俺の名を読み上げる。
『只今より、ミドル級4回戦を行います、青コーナー、身長180センチ、体重72キロ、Jプロモーション所属、本日プロデビュー、本名不明のボクサー、皆が言う…その名はスカーフェイス!』
スカーフェイス、それが俺の名だ。
顔の左半分に目を介して縦一直線に入った刀傷から、皆からそう呼ばれている。
セコンドを引き連れて、滑り止め用に用意されている松脂の粉がある踏み台を踏み、リングシューズに纏わせリングに俺は上がる。
リングに上がると、会場の客に見せつけるように、俺自身をアピールする。
俺が、リングインすると、今度は相手の方の名が読まれ、リングに近づいていく。
『赤コーナー、身長185センチ、体重72,2キロ、6戦6勝3ko、アルプロモーション所属メキシキの若き旋風…リカルド・モンティエル!』
リカルド・ モンティエルは、リングに上がると、リング外の観客に挨拶するかのように、お辞儀をしている。
そして……リングで相対した。
体格差も分かるもので、相手は俺よりも少し体格は勝っているようだ。
恐れているのか?
俺は勝ちに来たんだ、ここで敗北しようなんて、さらさらにも思っちゃいない。
だけど……怖さがあった。
デビュー戦で、無残にも呆気なくマットに沈められてる自分を想像してる。
そんな、俺にセコンドの一人で親友のマークが肩に手を置いて言う。
「やれることはやった、あとやるだけだ、あのキツイ練習を思い出せ、お前は出来る奴だ」
その言葉に励まされ少しだけ、緊張は解れた気がした。
トレーナーのダマトにも、「お前には人を倒す才能がある、今までのトレーニングでそれを引き出した、怖いか?いい事だ、それを操れるようになれ、恐怖は火だ、恐れのない奴に勝利はない」
分かったよ…俺はこの恐怖を飼いならしてみせるから、だから、見ててくれ、俺の試合、闘いを!
リングアナウンサーの紹介も終わり、各セコンドは、リング外で選手を見守っている。
熱気溢れるリングで相手と相対し審判から、試合には、正々堂々戦うように告げられ、いよいよ、ゴングが鳴る。
構えは、お互いオードソックスだ。
そのゴングが鳴るや、俺は相手に詰め寄り、左ジャブ、右ボディへと繰り出し、相手へ牽制する。
しかし、相手は、左ジャブをパーリングで防ぎ、右ボディを距離を取られる。
リカルドは、自分の周りをサークリングしながら左ジャブが飛ぶ。
それは鋭く、俺の顔へ1発、2発、3発と当たる。
流石、試合慣れしてるのか、ペースを掴むのが上手いと悔しいが思う。
奴はアウトボクサーなのか、まともに打ち合わず、着実に距離を取りながら、その鋭いジャブを、繰り出し、その度に全弾とはいかないが、ヒットするその攻撃に、俺の心は苛立つ。
しかし、それを見越してかセコンドから、声が聞こえる。
「落ち着け、スカー!ガードだ、相手はリーチが長い!タイミングを見て懐に潜り込め!」
そうだ、練習でも言われてたじゃないか、お前は頭に血が登りやすい、きっと試合中でも、そうだと、試合前にも言われだが、お前は実感主義の傾向がある。
その度に俺たちセコンドが声をかける、それで、頭を冷やせと。
その言葉で冷静さを取り戻す俺は、ジャブを掻い潜り左ボディをヒットさせた。
それが、効いたのか、ロープ際まで後退するリカルドを追撃しようとする、俺は迫ると…なんと体を入れ替え、お返しとばかりにと、左フックを入れてきた。
効いたのかのように見えたのは、演技だったのか…、それを間一髪、スリッピングアウェーでしのぎ、ダウンこそ間逃れたたが、ダメージは、あるようで今度はこちらが、ピンチだ。
ガードを固め、相手の攻撃を凌ぎ、致命的な一撃を貰わないと後退する。
レフェリーストップがかからないかと、不安にもなるが、幸い、全弾上手く捌ききっている。
そして、ゴングが鳴る。
インターバルだ、自陣に戻り束の間の休息を取る。
「苦戦してるようだな、だがお前には、取っておきがあるだろう?まだ、それがあるから不安にはなるなよ」
目蓋の腫れを冷ますエンスウェルを腫れた箇所に、当てながらマークが励ましてくれる。
取っておきか…それなら、勝てるか。
俺の最大の武器であるあれを使ってみるさ。
インターバル終了が終わり、次のラウンドの鐘が鳴る。
ここを切り開くには、あれを狙う。
リカルドがこちらを倒す為に、右ストレートを叩き込んでくるが、それを外しクリンチになる。
そして…クリンチがもつれにもつれ、コーナーポストまで移動するのを、レフェリーがクリンチを解くように割ってはいる。
クリンチが解け、相手は再び右ストレートを見舞うと、俺はそれに合わすかのように、左ストレートをクロスで決めた。
相手は、ダウンし、レフェリーが駆け寄るが、目が虚ろになっており、立てる様子では、無かった。
それを見たレフェリーは、続行不能と見なし試合終了のジェスチャーをする。
勝った…上手くクロスカウンターがハマり、勝利に繋がった。
リングアナウンサーがリングに上がり、勝者の名を読み上げる。
『勝者、jプロモーション所属スカーフェイス!』
会場が湧き上がり、両陣営のセコンドが入る。
マークが、俺に抱きつき勝利を祝った。
「やったじゃねーか、スカー!早速1勝だぜ」
「まだだろ?先は長いんだ、浮かれてはいられないさ」
「そう言うなって、なっ、ダマトさんだってそう思うだろ?」
「スカーの言う通りだ、マークははしゃぎ過ぎだぞ」
「ちぇ、みんな意外と慎ましいというか…」
そして…リングでマイクパフォーマンスも終わり、帰宅に向かうはずだったんだ。
なのに…帰路に向かう為に車内に乗車しようとしたら、突如、銃声が鳴ったんだ。
マーク…が、マークが…撃たれてたんだ。
胸を撃たれ、血が溢れ出し来た。
マークを抱え車に乗せ、ダマトが急いで、エンジンを掛け車を出すも、相手はそれ以上撃っては来なかった。
「マーク!聞こえるか!!待ってろすぐ病院に連れて行くからな!」
「ダマトさん……ス、カー…俺は、助、か、らないから…へへ、ス、カーよ今夜みてぇに、み、ん、なをあっと、言、わ、せ、て」
「もういい喋るな!ダマトのおっさん、病院はどれぐらいで着く?」
「10分ぐらいだ、胸の傷をガーゼで押さえとけ」
「もうやってる!」
傷口を押さえるも、血が溢れ、ガーゼも血だらけになる。止まってくれと神様にお祈りしながら、一生懸命、押さえつける。
マークのからも、明らかに血の気が、引いてるのが分かる。
「ス、カー、もう…い、い、ぉれは、助か、らん…お、れを撃ったや、つ、はユー、スティ、ティアだ。」
ユースティティアだって、あのマフィア組織が…なんで奴らがマークを…
リングに上がるボクサーに、日頃溜まっている鬱憤を晴らすかのように、野次を飛ばしたり、推しのボクサーには、黄色い声援が飛んだりと混沌した趣きで会場はごった返していた。
俺は、そんな異様な熱気に呑まれそうになるも、会場のリングへと足を進めた。
リングアナウンサーが、俺の名を読み上げる。
『只今より、ミドル級4回戦を行います、青コーナー、身長180センチ、体重72キロ、Jプロモーション所属、本日プロデビュー、本名不明のボクサー、皆が言う…その名はスカーフェイス!』
スカーフェイス、それが俺の名だ。
顔の左半分に目を介して縦一直線に入った刀傷から、皆からそう呼ばれている。
セコンドを引き連れて、滑り止め用に用意されている松脂の粉がある踏み台を踏み、リングシューズに纏わせリングに俺は上がる。
リングに上がると、会場の客に見せつけるように、俺自身をアピールする。
俺が、リングインすると、今度は相手の方の名が読まれ、リングに近づいていく。
『赤コーナー、身長185センチ、体重72,2キロ、6戦6勝3ko、アルプロモーション所属メキシキの若き旋風…リカルド・モンティエル!』
リカルド・ モンティエルは、リングに上がると、リング外の観客に挨拶するかのように、お辞儀をしている。
そして……リングで相対した。
体格差も分かるもので、相手は俺よりも少し体格は勝っているようだ。
恐れているのか?
俺は勝ちに来たんだ、ここで敗北しようなんて、さらさらにも思っちゃいない。
だけど……怖さがあった。
デビュー戦で、無残にも呆気なくマットに沈められてる自分を想像してる。
そんな、俺にセコンドの一人で親友のマークが肩に手を置いて言う。
「やれることはやった、あとやるだけだ、あのキツイ練習を思い出せ、お前は出来る奴だ」
その言葉に励まされ少しだけ、緊張は解れた気がした。
トレーナーのダマトにも、「お前には人を倒す才能がある、今までのトレーニングでそれを引き出した、怖いか?いい事だ、それを操れるようになれ、恐怖は火だ、恐れのない奴に勝利はない」
分かったよ…俺はこの恐怖を飼いならしてみせるから、だから、見ててくれ、俺の試合、闘いを!
リングアナウンサーの紹介も終わり、各セコンドは、リング外で選手を見守っている。
熱気溢れるリングで相手と相対し審判から、試合には、正々堂々戦うように告げられ、いよいよ、ゴングが鳴る。
構えは、お互いオードソックスだ。
そのゴングが鳴るや、俺は相手に詰め寄り、左ジャブ、右ボディへと繰り出し、相手へ牽制する。
しかし、相手は、左ジャブをパーリングで防ぎ、右ボディを距離を取られる。
リカルドは、自分の周りをサークリングしながら左ジャブが飛ぶ。
それは鋭く、俺の顔へ1発、2発、3発と当たる。
流石、試合慣れしてるのか、ペースを掴むのが上手いと悔しいが思う。
奴はアウトボクサーなのか、まともに打ち合わず、着実に距離を取りながら、その鋭いジャブを、繰り出し、その度に全弾とはいかないが、ヒットするその攻撃に、俺の心は苛立つ。
しかし、それを見越してかセコンドから、声が聞こえる。
「落ち着け、スカー!ガードだ、相手はリーチが長い!タイミングを見て懐に潜り込め!」
そうだ、練習でも言われてたじゃないか、お前は頭に血が登りやすい、きっと試合中でも、そうだと、試合前にも言われだが、お前は実感主義の傾向がある。
その度に俺たちセコンドが声をかける、それで、頭を冷やせと。
その言葉で冷静さを取り戻す俺は、ジャブを掻い潜り左ボディをヒットさせた。
それが、効いたのか、ロープ際まで後退するリカルドを追撃しようとする、俺は迫ると…なんと体を入れ替え、お返しとばかりにと、左フックを入れてきた。
効いたのかのように見えたのは、演技だったのか…、それを間一髪、スリッピングアウェーでしのぎ、ダウンこそ間逃れたたが、ダメージは、あるようで今度はこちらが、ピンチだ。
ガードを固め、相手の攻撃を凌ぎ、致命的な一撃を貰わないと後退する。
レフェリーストップがかからないかと、不安にもなるが、幸い、全弾上手く捌ききっている。
そして、ゴングが鳴る。
インターバルだ、自陣に戻り束の間の休息を取る。
「苦戦してるようだな、だがお前には、取っておきがあるだろう?まだ、それがあるから不安にはなるなよ」
目蓋の腫れを冷ますエンスウェルを腫れた箇所に、当てながらマークが励ましてくれる。
取っておきか…それなら、勝てるか。
俺の最大の武器であるあれを使ってみるさ。
インターバル終了が終わり、次のラウンドの鐘が鳴る。
ここを切り開くには、あれを狙う。
リカルドがこちらを倒す為に、右ストレートを叩き込んでくるが、それを外しクリンチになる。
そして…クリンチがもつれにもつれ、コーナーポストまで移動するのを、レフェリーがクリンチを解くように割ってはいる。
クリンチが解け、相手は再び右ストレートを見舞うと、俺はそれに合わすかのように、左ストレートをクロスで決めた。
相手は、ダウンし、レフェリーが駆け寄るが、目が虚ろになっており、立てる様子では、無かった。
それを見たレフェリーは、続行不能と見なし試合終了のジェスチャーをする。
勝った…上手くクロスカウンターがハマり、勝利に繋がった。
リングアナウンサーがリングに上がり、勝者の名を読み上げる。
『勝者、jプロモーション所属スカーフェイス!』
会場が湧き上がり、両陣営のセコンドが入る。
マークが、俺に抱きつき勝利を祝った。
「やったじゃねーか、スカー!早速1勝だぜ」
「まだだろ?先は長いんだ、浮かれてはいられないさ」
「そう言うなって、なっ、ダマトさんだってそう思うだろ?」
「スカーの言う通りだ、マークははしゃぎ過ぎだぞ」
「ちぇ、みんな意外と慎ましいというか…」
そして…リングでマイクパフォーマンスも終わり、帰宅に向かうはずだったんだ。
なのに…帰路に向かう為に車内に乗車しようとしたら、突如、銃声が鳴ったんだ。
マーク…が、マークが…撃たれてたんだ。
胸を撃たれ、血が溢れ出し来た。
マークを抱え車に乗せ、ダマトが急いで、エンジンを掛け車を出すも、相手はそれ以上撃っては来なかった。
「マーク!聞こえるか!!待ってろすぐ病院に連れて行くからな!」
「ダマトさん……ス、カー…俺は、助、か、らないから…へへ、ス、カーよ今夜みてぇに、み、ん、なをあっと、言、わ、せ、て」
「もういい喋るな!ダマトのおっさん、病院はどれぐらいで着く?」
「10分ぐらいだ、胸の傷をガーゼで押さえとけ」
「もうやってる!」
傷口を押さえるも、血が溢れ、ガーゼも血だらけになる。止まってくれと神様にお祈りしながら、一生懸命、押さえつける。
マークのからも、明らかに血の気が、引いてるのが分かる。
「ス、カー、もう…い、い、ぉれは、助か、らん…お、れを撃ったや、つ、はユー、スティ、ティアだ。」
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