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第4章
愛のある場所
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案内されたのは、いわゆるキャバレーと呼ばれる類の店だった。
地下にある割には中々に広い店の最奥には、赤いカーペットが敷かれた半円型のステージがあり、ビロードのソファ席がそれを囲むように配置されている。
おそらく、時間になれば何らかの見せ物が催され、それを肴に酒を楽しむのだろう。
今も客席にはそこそこの人が入っており、楽しそうに人々が酒を飲み交わしている店内は、ひっそりと自身の存在を隠すかのような店構えとは正反対の、明るい活気に満ちていた。
「どうぞ、そちらに座って下さい。ノンアルコールがいいですよね?」
「え、ああ…」
グレゴリオ、少なくともジャンヌの認識では彼は、店を入ってすぐにあるバーカウンターの中へと当然のように入ると、慣れた手つきでグラスに飲み物を注ぐ。
ジャンヌが言うのも何だが、明るい店内で見るグレゴリオは、小柄な体型も手伝って女性にしか見えない。
「はい。ただのレモネードですけど。」
「どうも…」
戸惑いつつ一口含むと、レモンの酸味が口内を爽やかにし、気持ちまでスッキリした。
「その、何から聞けば良いのか…?」
「そうですよね~。僕も何から話せば良いのか。あ、先程は助けていただき、ありがとうございました。あなたを待っている間に絡まれてしまいまして。」
「また…」
こちらが脱力してしまう話し方と、相好を崩した顔は、やはり昼間に会った人物のそれだ。
ジャンヌは落ち着いてきた頭で話を整理する。
「まず、あなたはこの店で働いているんですか?いや、わざわざここを指定したのなら、この店がどういう店かを聞くのが先なのかな?」
「やはり、あなたは頭が良い…ここは、何といえばいいのかな…性的マイノリティの人間が働くキャバレーです。そして、僕はお察しの通り従業員であり、同性愛者です。」
同性愛者。
そう答えたグレゴリオの目には、一切の迷いも恥じらいもない。
「…なるほど。では、あちらの方たちも皆、あなたと同じ…?」
「ああ、いいえ。どんな人間でも働きたければ性別、階級、性的嗜好など問わないというのがオーナーのポリシーなのです。」
「へえ。」
「つまり、僕のようなタイプもいれば、あなたのようなタイプもいるってことです。」
その言葉には、ここにいる者も人間という括りでは同じだという熱意と牽制が混じっているように思えた。
グレゴリオの態度から言えば、牽制の意味合いが強めか。
「…一応言っておくと、私はあなた方を非難したり、批判したりするつもりはないし、おかしな偏見もありません。世界にはどれだけのマイノリティがあると?その辺の了見が狭い奴と一緒にするのはやめてほしいですね。」
不快感を顕にすると、グレゴリオは大きな目細め、笑ったようだった。
「なぜか、あなたならそう言う気がしていました…僕のことはどうぞ、昼間と同じくグレゴリオと。格好はこんなですけど、これは僕にとってこの店で働く制服のようなもので…気軽な口調で構いませんよ、ジャンヌさん。あぁ、あなたはジャンヌさんで良いのでしょうか?」
「構わない。俺に対してもどうぞ気楽に。グレゴリオ、君には聞きたいことが山ほどあるんだ。」
「それはこちらも同じだよ。」
ジャンヌが口の端を上げて不敵に笑うと、グレゴリオは苦笑混じりにそれを鼻先で笑った。
「ジャンヌ、君を初めて見た時は驚いたよ~。白昼堂々と女装をして、しかもその姿で勤めてるなんて。」
「まあ、訳ありでね。それにしても、よく分かったな?俺の女装、そこそこイケてると思うんだけど?」
「お仲間なら流石に分かるよ。君の場合、仲間というには毛色が違いすぎるみたいだけどね。」
「そうか…それで俺に助けを求めたのか?」
「この街の人間は大抵この店を知ってるから。見覚えはなかったけど、もしかして知り合いの知り合いかもって期待したんだ。結果、ジャンヌに助けてもらったのは正解だったよ。」
「グレゴリオを助けたのは、どちらかと言うと、うちのお嬢様だと思うぞ。」
そうか、この状況を作り出したのは結果的にキアラなのかと、ジャンヌの胸がじわりと熱くなる。
彼女の、見ているこちらがハラハラするくらいお節介な性格も、たまには悪くないかもしれない。
「ほぅ、君にそんな顔をさせるなんて、キアラさんも只者じゃないってことかな~。」
「確かに、キアラは凡人とは違う、魅力溢れる、興味の尽きない素敵な女だよ。」
自分がキアラを思うとき、どんな顔をしているかなど分かりきっている。それを隠そうなどとは思わないし、同性愛者だろうと十二分に分からせておかねば。
「独占欲の権化か…君がキアラさんをどう思ってるかはよく分かった。それで?君たちは一体、何者なの?」
グレゴリオの、リスを思わせるような顔がこちらを真っ直ぐと見据える。
ジャンヌはそれに動じることなく、表情を消して見返す。
「その質問に応える前に聞いておきたい。グレゴリオ、君は俺たちにとって敵なのか、味方なのか。」
「ジャンヌたちが探しているのは、ブルーノ…ブルーノ・アルファーノのカフスボタンだよね?それだけ教えてほしい。」
「……そうだ。」
グレゴリオはその答えを聞くと、一瞬だけ逡巡するように目を伏せた後、何かを決意したようにジャンヌを見た。
「だったら僕は、敵でも味方でもない。ただ、君たちに助けてもらいたいんだ。」
「助ける…?」
「今度助けるのはボクじゃない。ブルーノ・アルファーノ、大切な僕の親友だ。」
ジャンヌは予想外の回答に、思わず言葉を詰まらせる。
「端的に言うと、ブルーノは今、僕のせいで面倒なことに巻き込まれているんだ。ジャンヌたちはカフスボタンのことが知りたいんだろう?それについては僕が知っていることを教えるから、その代わり…」
「アルファーノ氏を面倒ごとから救ってほしい、と?ちょっと待て。それでいうと、俺たちが知りたいのは、カフスボタンというより、アルファーノ氏本人のことなんだが。」
「だったら尚更だ!ジャンヌたちが彼のことを知りたいというなら、助けてから本人にいくらでも聞けばいい。」
「いや、本人に聞くのは…」
あなたは現王制に謀反の意があるか?などと本人に聞くのは気が狂っているとしか思えない。だが、事情を知らないグレゴリオからすれば、至極真っ当な考えだろう。
「本人に聞けないことなら、僕が教えるよ。何でも。」
「何でも?」
「何でも。本当に大切な…親友、なんだ。ジャンヌたちが何のためにブルーノのことを知りたがっているかは聞かない。だから、お願いだ…」
グレゴリオが謀反を企んでいる可能性がないわけではないが、どうもこの男にはジャンヌの危機察知センサーが働かない。
そもそも、今にも泣きそうな顔で助けを求める子犬のようなこの男にやられるような国なら、滅んだ方がいいのでは。
「あのさ、俺たちが悪い人間だったらどうするんだ?アルファーノ氏の弱みを掴んで、強請ったり、集ったりするような。」
「それはないでしょ~。短い時間だったけど、ジャンヌたちの為人を見てれば、分かる!」
「そうやって今までさんざん騙されてきたんじゃないだろうな。」
「………」
「黙るなよ!」
「いやいや、でも、ジャンヌもキアラさんも、結局は困ってる人間を見捨てなかったじゃないか。二度も僕を助けてくれた。二人には、人としての愛がある。」
「愛ねぇ…トラブル体質ってだけな気もするけど?」
「愛のないとこにはトラブルも起こらないよ。この店の名前の意味を知ってる?」
「さあ?」
するとグレゴリオはカウンターからマッチを取り出してジャンヌに渡した。
グレーのマッチ箱には、女性とも男性とも言えない人の横顔が黒のシルエットで描かれており、その下にはイグニスの古語が赤文字で入っている。
「愛の…ある…場所?」
「ブラーヴォ!そう、ここは愛のある場所。愛がある場所に人は集まる。人も同じで、愛のある人に人は集まる。」
愛のある人。
そう言われて一番に浮かんだのは、くるくると表情を変えるライラックの瞳の持ち主だった。ジャンヌはグレゴリオの思うような人間ではないが、確かに彼女はそうかもしれない。
「残念ながら、俺は慈善家ではない…だが、彼女なら君を見捨てられないだろうな。」
「じゃあ!」
「とりあえず、レモネードをもう一杯。一旦話をきこう。」
結局、またしても彼女がジャンヌをトラブルに巻き込むのだ。だが、それも今は悪くないと思えた。
地下にある割には中々に広い店の最奥には、赤いカーペットが敷かれた半円型のステージがあり、ビロードのソファ席がそれを囲むように配置されている。
おそらく、時間になれば何らかの見せ物が催され、それを肴に酒を楽しむのだろう。
今も客席にはそこそこの人が入っており、楽しそうに人々が酒を飲み交わしている店内は、ひっそりと自身の存在を隠すかのような店構えとは正反対の、明るい活気に満ちていた。
「どうぞ、そちらに座って下さい。ノンアルコールがいいですよね?」
「え、ああ…」
グレゴリオ、少なくともジャンヌの認識では彼は、店を入ってすぐにあるバーカウンターの中へと当然のように入ると、慣れた手つきでグラスに飲み物を注ぐ。
ジャンヌが言うのも何だが、明るい店内で見るグレゴリオは、小柄な体型も手伝って女性にしか見えない。
「はい。ただのレモネードですけど。」
「どうも…」
戸惑いつつ一口含むと、レモンの酸味が口内を爽やかにし、気持ちまでスッキリした。
「その、何から聞けば良いのか…?」
「そうですよね~。僕も何から話せば良いのか。あ、先程は助けていただき、ありがとうございました。あなたを待っている間に絡まれてしまいまして。」
「また…」
こちらが脱力してしまう話し方と、相好を崩した顔は、やはり昼間に会った人物のそれだ。
ジャンヌは落ち着いてきた頭で話を整理する。
「まず、あなたはこの店で働いているんですか?いや、わざわざここを指定したのなら、この店がどういう店かを聞くのが先なのかな?」
「やはり、あなたは頭が良い…ここは、何といえばいいのかな…性的マイノリティの人間が働くキャバレーです。そして、僕はお察しの通り従業員であり、同性愛者です。」
同性愛者。
そう答えたグレゴリオの目には、一切の迷いも恥じらいもない。
「…なるほど。では、あちらの方たちも皆、あなたと同じ…?」
「ああ、いいえ。どんな人間でも働きたければ性別、階級、性的嗜好など問わないというのがオーナーのポリシーなのです。」
「へえ。」
「つまり、僕のようなタイプもいれば、あなたのようなタイプもいるってことです。」
その言葉には、ここにいる者も人間という括りでは同じだという熱意と牽制が混じっているように思えた。
グレゴリオの態度から言えば、牽制の意味合いが強めか。
「…一応言っておくと、私はあなた方を非難したり、批判したりするつもりはないし、おかしな偏見もありません。世界にはどれだけのマイノリティがあると?その辺の了見が狭い奴と一緒にするのはやめてほしいですね。」
不快感を顕にすると、グレゴリオは大きな目細め、笑ったようだった。
「なぜか、あなたならそう言う気がしていました…僕のことはどうぞ、昼間と同じくグレゴリオと。格好はこんなですけど、これは僕にとってこの店で働く制服のようなもので…気軽な口調で構いませんよ、ジャンヌさん。あぁ、あなたはジャンヌさんで良いのでしょうか?」
「構わない。俺に対してもどうぞ気楽に。グレゴリオ、君には聞きたいことが山ほどあるんだ。」
「それはこちらも同じだよ。」
ジャンヌが口の端を上げて不敵に笑うと、グレゴリオは苦笑混じりにそれを鼻先で笑った。
「ジャンヌ、君を初めて見た時は驚いたよ~。白昼堂々と女装をして、しかもその姿で勤めてるなんて。」
「まあ、訳ありでね。それにしても、よく分かったな?俺の女装、そこそこイケてると思うんだけど?」
「お仲間なら流石に分かるよ。君の場合、仲間というには毛色が違いすぎるみたいだけどね。」
「そうか…それで俺に助けを求めたのか?」
「この街の人間は大抵この店を知ってるから。見覚えはなかったけど、もしかして知り合いの知り合いかもって期待したんだ。結果、ジャンヌに助けてもらったのは正解だったよ。」
「グレゴリオを助けたのは、どちらかと言うと、うちのお嬢様だと思うぞ。」
そうか、この状況を作り出したのは結果的にキアラなのかと、ジャンヌの胸がじわりと熱くなる。
彼女の、見ているこちらがハラハラするくらいお節介な性格も、たまには悪くないかもしれない。
「ほぅ、君にそんな顔をさせるなんて、キアラさんも只者じゃないってことかな~。」
「確かに、キアラは凡人とは違う、魅力溢れる、興味の尽きない素敵な女だよ。」
自分がキアラを思うとき、どんな顔をしているかなど分かりきっている。それを隠そうなどとは思わないし、同性愛者だろうと十二分に分からせておかねば。
「独占欲の権化か…君がキアラさんをどう思ってるかはよく分かった。それで?君たちは一体、何者なの?」
グレゴリオの、リスを思わせるような顔がこちらを真っ直ぐと見据える。
ジャンヌはそれに動じることなく、表情を消して見返す。
「その質問に応える前に聞いておきたい。グレゴリオ、君は俺たちにとって敵なのか、味方なのか。」
「ジャンヌたちが探しているのは、ブルーノ…ブルーノ・アルファーノのカフスボタンだよね?それだけ教えてほしい。」
「……そうだ。」
グレゴリオはその答えを聞くと、一瞬だけ逡巡するように目を伏せた後、何かを決意したようにジャンヌを見た。
「だったら僕は、敵でも味方でもない。ただ、君たちに助けてもらいたいんだ。」
「助ける…?」
「今度助けるのはボクじゃない。ブルーノ・アルファーノ、大切な僕の親友だ。」
ジャンヌは予想外の回答に、思わず言葉を詰まらせる。
「端的に言うと、ブルーノは今、僕のせいで面倒なことに巻き込まれているんだ。ジャンヌたちはカフスボタンのことが知りたいんだろう?それについては僕が知っていることを教えるから、その代わり…」
「アルファーノ氏を面倒ごとから救ってほしい、と?ちょっと待て。それでいうと、俺たちが知りたいのは、カフスボタンというより、アルファーノ氏本人のことなんだが。」
「だったら尚更だ!ジャンヌたちが彼のことを知りたいというなら、助けてから本人にいくらでも聞けばいい。」
「いや、本人に聞くのは…」
あなたは現王制に謀反の意があるか?などと本人に聞くのは気が狂っているとしか思えない。だが、事情を知らないグレゴリオからすれば、至極真っ当な考えだろう。
「本人に聞けないことなら、僕が教えるよ。何でも。」
「何でも?」
「何でも。本当に大切な…親友、なんだ。ジャンヌたちが何のためにブルーノのことを知りたがっているかは聞かない。だから、お願いだ…」
グレゴリオが謀反を企んでいる可能性がないわけではないが、どうもこの男にはジャンヌの危機察知センサーが働かない。
そもそも、今にも泣きそうな顔で助けを求める子犬のようなこの男にやられるような国なら、滅んだ方がいいのでは。
「あのさ、俺たちが悪い人間だったらどうするんだ?アルファーノ氏の弱みを掴んで、強請ったり、集ったりするような。」
「それはないでしょ~。短い時間だったけど、ジャンヌたちの為人を見てれば、分かる!」
「そうやって今までさんざん騙されてきたんじゃないだろうな。」
「………」
「黙るなよ!」
「いやいや、でも、ジャンヌもキアラさんも、結局は困ってる人間を見捨てなかったじゃないか。二度も僕を助けてくれた。二人には、人としての愛がある。」
「愛ねぇ…トラブル体質ってだけな気もするけど?」
「愛のないとこにはトラブルも起こらないよ。この店の名前の意味を知ってる?」
「さあ?」
するとグレゴリオはカウンターからマッチを取り出してジャンヌに渡した。
グレーのマッチ箱には、女性とも男性とも言えない人の横顔が黒のシルエットで描かれており、その下にはイグニスの古語が赤文字で入っている。
「愛の…ある…場所?」
「ブラーヴォ!そう、ここは愛のある場所。愛がある場所に人は集まる。人も同じで、愛のある人に人は集まる。」
愛のある人。
そう言われて一番に浮かんだのは、くるくると表情を変えるライラックの瞳の持ち主だった。ジャンヌはグレゴリオの思うような人間ではないが、確かに彼女はそうかもしれない。
「残念ながら、俺は慈善家ではない…だが、彼女なら君を見捨てられないだろうな。」
「じゃあ!」
「とりあえず、レモネードをもう一杯。一旦話をきこう。」
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