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14.5ーエゾギクー

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「いい?カミラ……女性の幸せは結婚だけよ?だから…貴方は男性に好かれる女性になりなさい」

「はい、お母様」

「カミラはいい子だな……結婚して父さん達を安心させてくれよ」

「分かりました、お父様」

子供の頃から、耳が痛くなるほどに言われた言葉…今でも脳裏に思い出せる程にこの言葉を聞き続けてきた。
私はこの両親からの言い聞かせに一切の疑問を持っていない、幼い頃から結婚のために女性としての魅力を磨き続けてきた、そして当時は公爵家ではなく伯爵家の1人だったグロウズと出会い、恋をして、結婚をした。


伯爵家として公務に励むグロウズを傍で支え、彼の活躍が認められて公爵としての爵位を頂いた時は心の底から幸せだった…

これが女性の幸せだと、私は両親の言っていた通りに思ったし、それ以外の選択肢なんてないと思っていた………
結婚こそが、女性が生きる上で至上の役目


だから、アメリアさん………貴方の言っている事は全く理解できなかった
女性の役目は結婚、教師の夢など持つべきではないと罵った私に、彼女は一切の動揺もなく言った

「女性だとか、男性だとか………関係ありません、夢を目指すことに役目を考える必要がありますか」と

理解できなかった………
離縁されたアメリアさんは、きっとベンジャミンとの復縁を望んでいると思ったから、私も自身の息子の想いを尊重したかった、子供は養子を迎えればいい、復縁を迫れば彼女は泣いて喜ぶ…


結婚が一番だと思っていた私は拒否をするアメリアさんを一切理解できなくて……怒りの声を上げた


と同時に……


羨ましいと、思ったの………


私も、子供の頃はピアノが好きで、みんなの前で演奏をして楽しませたい
そんな仕事に就きたいと思った…

でも、結婚には必要がないからと諦めた



服を作る仕事に就きたいと思った事もあった…私が作った服を色々な人に着てもらいたいと…

でも、結婚には必要がないと………………また諦めて




色々な事を諦めた、女性の幸せは結婚だと自分に言い聞かせて…

だからこそ、夢を見るアメリアさんの真っ直ぐな瞳に、若く綺麗な考え方に……

羨ましいと素直に思い、同時に怒りも沸き起こった………
私の人生が否定されているようで、結婚こそが至高の幸せでなければ…私の人生はどうなるの?



ずっとそのために生きてきた、結婚のために捨てて捨てて、諦めて…
そんな私だから、彼女に怒り、羨ましいと心の底から思った。








故に、いま目の前の光景を見て………私が取るべき行動は一つだけ

ベンジャミンとグロウズに付いて来たのはアメリアさんを連れ戻すため、でも敢えて私は何も言わずに俯瞰して見て

気づいた……自分の行っていた愚行を…恥ずべき行為に後悔した。







私達が行ってきたのは、彼女の夢の邪魔でしかない…





私は貴方の考えを認めない、夢を諦めない貴方を認めると…私の人生が否定されるようで………


でも、アメリアさん…貴方の夢を羨ましいと思う私も確かに存在する。
だって、貴方の人生は………私が捨てた女性としての新たな道だから…

貴方の素敵な夢を邪魔するような下劣な行為をもうこれ以上、私の家族がする事を許せない…




今更、私なんかに味方されても貴方は困るかもしれないけど…
貴方のその芯の強い、覚悟の決まった夢を…私の家族の下劣な行為から守るために、母として…

女性として…今この瞬間だけは貴方の夢のために


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