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「クロード兄様………どうしてここに………?」
いきなり現れたクロード兄様に私は幻ではないのかと思うほどに驚いてしまう。
彼の服に付いていた葉っぱなどを見ると木陰にでも隠れていたのだろうか?
「アメリア………やはり君が1人帰るのを心配に思って追いかけてきたら……二回の破裂音が聞こえてきてね、慌ててこちらにやって来て失礼ながら盗み聞きさせてもらったんだ………」
二回の破裂音………カミラ様がベンジャミン達を叩いた平手打ちの音の事だろう
確かにあの軽快な音は遠くにいても聞こえそうだ、納得しつつ…私は重要な疑問を投げかける
「クロード兄様、ベンジャミン様が愛していないとは……一体どういう……何か知っているのですか?」
「アメリア……説明するよ、でもその前に少し待っていてくれ」
「え?」
私との会話を途切れさせ、クロード兄様はベンジャミンへと近づくと胸倉を掴み引き上げた
そして、今まで兄様が見せた事のない程の激昂の表情を浮かべて話す。
「久々だなベンジャミン……」
「あ………あぁ………クロード………」
「一言だけ言っとくよ、見損なった………」
「違うんだ………クロード………俺は」
鈍い音が鳴り、ベンジャミンを殴りつけたクロード兄様は怒りを抑えるように息を吐きながら、呻いているベンジャミンに向かって話しかける。
「違わない………ベンジャミン、お前と誓った約束…僕は今でも覚えてる…なのにお前のやっていた事は自己保身のために女性を弄ぶ下劣な行為だ」
「………………」
沈黙し、答えなくなったベンジャミンにクロード兄様も睨み付け…黙ってしまう。
「あ、あのクロード兄様……ベンジャミン様と一体どういったご関係で」
私の疑問の声に振り返った兄様は怒りを抑えつつ、いつもの笑顔に戻り応える
「彼とは、幼い頃からの友人だったんだ……そして約束した仲でもある、共にこの国を栄えさせる2人になろうと………僕は外で知識を蓄え、ベンジャミンは残り国の発展に貢献するようにすると…」
「そんなことが………」
「けど、僕が他国から帰ってきて最初に聞いたのは彼の良くない話だった」
クロード兄様の言葉を聞いて、ベンジャミンが青ざめた表情を浮かべた
「良くない話………ですか?」
「その話こそがベンジャミンが君に迫る理由だよ、これは有力な諸侯貴族の数家にしか知らされていない話で、君の父のローマン殿も知らないが…ベンジャミン、彼は公爵家としての爵位の剝奪を宣告されているんだ」
「え………」
思いがけない事実に、私の頭の中は混乱してしまう。
爵位の剝奪、そんな事は今まで前例のない………
それも公爵家が……
「ど、どういうこと!?ベンジャミン!」
「………………」
彼の母であるカミラ様は愕然とし、父のグロウズ様は黙している。
2人を見るにグロウズ様はその話を知っていて、此度の強行に及んだ………カミラ様は純粋に息子のためだったのだろう………家を守るため、息子の願いのため、それぞれが冷静さを欠いて行動してしまっていたのかもしれない
クロード兄様は呆れ、ため息を吐きながらベンジャミンの代わりに答えた
「きっかけは公爵家の流した根も葉もない噂、あの信憑性のない出鱈目に、若い貴族の者は騙せたと思うけど、ローマン殿の事をよく知る貴族達は信じるはずがない」
クロード兄様は私を見ながら、言葉を続ける
「アメリア、君の父のローマン殿は凄い人でね………僕も父に聞いたんだけど、数々の政策を王に進言して民の生活を豊かにしてきた、決して自分の手柄にせずに爵位の引き上げにも応じずにね、そのお陰でグロウズ殿も彼の偉業を知らない」
「ど、どうして………」
「君のためだよ、幼かった君を1人屋敷に残していたローマン殿は爵位の引き上げと同時に訪れる多忙を避けたんだ、君を1人にしないために」
「と………父様………が………?」
「それを知っていた貴族達がローマン殿の娘である君を信じないはずない、彼が大切に育てた娘がそのような行為をするはずがないと……直ちに不貞の噂の出所と信憑性を手の者に調べさせ、そして………噂を流した者がベンジャミンだと判明し、さらに出鱈目であったと分かったんだ」
お父様が私のためにそこまでの事をしていてくれたなんて………
そして、そんなお父様を知る方々が信じてくれて動いてくれてた事に嬉しさを感じ、胸にくる感情をこらえきれずに私は瞳から涙を流した。
悲しみからくる涙ではない、嬉しいといった涙を始めて流したかもしれない
クロード兄様はそんな私にハンカチを渡してくれる。
涙を拭きながら、兄様の言葉を最後まで聞く
「事実を知った王は烈火の如く憤激した、当然だ…今まで民のために進言してくれた恩義のあるローマン殿に対して若き当主のベンジャミンが行った非道は公爵家といえど見過ごしていい問題ではない………数か月前に呼び出されたと聞いた、爵位の剝奪を宣告されたんだろう………アメリアもなにか思い当たる事があるんじゃないか?」
数か月前、ちょうどベンジャミンが私の屋敷に1人で訪れた頃かもしれない…
そうか、今にして思えば………あの必死にしがみつくように私に復縁を迫ったのも
「やはり、思い当たる事があるんだねアメリア」
「はい…」
「なら、ここからは僕が話す事じゃないね………」
そう言ってクロード兄様は私の背中を押してくれる、その力に甘えるようにゆっくりと、嘆くように俯いているベンジャミンの近くへと私は歩んでいく
「ベンジャミン様…貴方の愛とは自身の保身のためだったのですね……私と復縁をすれば爵位の剝奪も逃れられると思いましたか?」
「………………」
「いい加減に黙る癖をやめてください!」
私の叫ぶような声に、彼は身体を震わせると…
慌てたように懐から何かを取り出すと、私にそれを差し出した
その手に握られていたのは黒い花弁のチューリップだった
「そ、その通りだ……アリー…俺は君と復縁をすれば爵位の剝奪を免れると思った、でもそれは理由の一つで…君を幸せにしたいという気持ちは本当なんだ!…お願いだ!もう一度俺にチャンスをくれないか!?最後の頼みだ………」
「………ベンジャミン様…何度も言っています、その気は微塵もないと」
「………なら、ならどうすればいい?俺は何をすれば君に認めてもらえる?もう後がないんだ、俺は公爵の当主として爵位を守らなければならない、助けて欲しいんだ…愛してくれていたんだろ!?お願いだ!」
「…では、ベンジャミン様…私からも最後の頼みです」
「え?」
パンッツ!!!!
大きく音を響かせて、私の全力の平手打ちを受けたベンジャミンに私は言葉を投げかける
「私の愛した貴方だからこそ、雄々しく気高く罰を受けてください!!恥を晒すような行為を止めて!貴方がした事です、私もお父様も苦しめられて、追い詰められて………そんな私達に助けを乞うような恥を晒すような事は止めて!お願いだから…私が好きだった貴方でいて、これ以上惨めな姿を見せないで……お願い…」
思わずこぼれた涙を、止める事はできなかった………
かつて、私は目の前の男性を心の底から愛していた……過去の記憶だ、もう愛なんて存在しないし、微塵も想う気持ちなんて存在しない…なのに、もうこれ以上………彼の情けない姿を見たくなかった
「もう…諦めてよ………お願いだから…」
ダメだ……泣いてる姿なんて見せたくなかった……
なのに、情けなくて…どうしようもなくて……かつて愛した彼に恨みしかない、なのに愛していたからこそ………
幸せになって欲しかった…私は非情になれない子供のままだ
「アリー…俺は、俺は………でも、このまま公爵家が潰えれば、俺たちは一生後ろ指をさされて生きていくことになる、当主として…俺は公爵家を……」
震え、涙を流すベンジャミンにカミラ様とグロウズ様が手を添える。
そこには家族の姿があった
「もういいのよベンジャミン、これは私達が行ってしまった行為の代償です…彼女にすべきは助けを乞う事ではなく、謝罪するだけよ」
「そうだな、因果応報だ……情けない事にな…償う事ができるかわからんが、お前が抱え込む必要はない………家族なんだから」
「母さん………父さん………」
2人の言葉を聞いて、覚悟を決めたようにベンジャミンは涙を拭い前を向いた
「…すまないアリー…本当にすまなかった…」
「これで最後です、貴方と復縁する気はありません……離縁状に判を押してくださいますか?」
「あぁ…分かった…」
彼は自身の親指の皮を噛みちぎり、そのまま拇印を書類に押した
そして、再び頭を下げて私にその血に濡れ、くしゃくしゃとなった紙を手渡す。
正式に、真の意味で私とベンジャミンは離縁となった
「最後にこれを………………」
ベンジャミンは私へ黒い花弁のチューリップを手渡そうとするが、私は首を横に振り断る
「それは、元より貴方への私の気持ちです、前のゼラニウムも」
「どういう意味だ………それは?」
「私を忘れてください…………そうずっと伝えているのです」
私の言葉に、彼は考えながらも頷き、家族と共に帰っていく
馬車に乗り込む彼の背中を見ながら、私は風でなびく離縁状を強く握り締めた。
ようやく、終わった…
安堵と共にくる、脱力感に疲れを感じながら私は一息つく
走り去っていく馬車を見つめながら
頬を撫でる風を感じつつ、視界にはタンポポの綿毛が風に乗って大きく飛び上がっていく……
私も、彼も………………ようやく、前に進み始めたのかもしれない
いきなり現れたクロード兄様に私は幻ではないのかと思うほどに驚いてしまう。
彼の服に付いていた葉っぱなどを見ると木陰にでも隠れていたのだろうか?
「アメリア………やはり君が1人帰るのを心配に思って追いかけてきたら……二回の破裂音が聞こえてきてね、慌ててこちらにやって来て失礼ながら盗み聞きさせてもらったんだ………」
二回の破裂音………カミラ様がベンジャミン達を叩いた平手打ちの音の事だろう
確かにあの軽快な音は遠くにいても聞こえそうだ、納得しつつ…私は重要な疑問を投げかける
「クロード兄様、ベンジャミン様が愛していないとは……一体どういう……何か知っているのですか?」
「アメリア……説明するよ、でもその前に少し待っていてくれ」
「え?」
私との会話を途切れさせ、クロード兄様はベンジャミンへと近づくと胸倉を掴み引き上げた
そして、今まで兄様が見せた事のない程の激昂の表情を浮かべて話す。
「久々だなベンジャミン……」
「あ………あぁ………クロード………」
「一言だけ言っとくよ、見損なった………」
「違うんだ………クロード………俺は」
鈍い音が鳴り、ベンジャミンを殴りつけたクロード兄様は怒りを抑えるように息を吐きながら、呻いているベンジャミンに向かって話しかける。
「違わない………ベンジャミン、お前と誓った約束…僕は今でも覚えてる…なのにお前のやっていた事は自己保身のために女性を弄ぶ下劣な行為だ」
「………………」
沈黙し、答えなくなったベンジャミンにクロード兄様も睨み付け…黙ってしまう。
「あ、あのクロード兄様……ベンジャミン様と一体どういったご関係で」
私の疑問の声に振り返った兄様は怒りを抑えつつ、いつもの笑顔に戻り応える
「彼とは、幼い頃からの友人だったんだ……そして約束した仲でもある、共にこの国を栄えさせる2人になろうと………僕は外で知識を蓄え、ベンジャミンは残り国の発展に貢献するようにすると…」
「そんなことが………」
「けど、僕が他国から帰ってきて最初に聞いたのは彼の良くない話だった」
クロード兄様の言葉を聞いて、ベンジャミンが青ざめた表情を浮かべた
「良くない話………ですか?」
「その話こそがベンジャミンが君に迫る理由だよ、これは有力な諸侯貴族の数家にしか知らされていない話で、君の父のローマン殿も知らないが…ベンジャミン、彼は公爵家としての爵位の剝奪を宣告されているんだ」
「え………」
思いがけない事実に、私の頭の中は混乱してしまう。
爵位の剝奪、そんな事は今まで前例のない………
それも公爵家が……
「ど、どういうこと!?ベンジャミン!」
「………………」
彼の母であるカミラ様は愕然とし、父のグロウズ様は黙している。
2人を見るにグロウズ様はその話を知っていて、此度の強行に及んだ………カミラ様は純粋に息子のためだったのだろう………家を守るため、息子の願いのため、それぞれが冷静さを欠いて行動してしまっていたのかもしれない
クロード兄様は呆れ、ため息を吐きながらベンジャミンの代わりに答えた
「きっかけは公爵家の流した根も葉もない噂、あの信憑性のない出鱈目に、若い貴族の者は騙せたと思うけど、ローマン殿の事をよく知る貴族達は信じるはずがない」
クロード兄様は私を見ながら、言葉を続ける
「アメリア、君の父のローマン殿は凄い人でね………僕も父に聞いたんだけど、数々の政策を王に進言して民の生活を豊かにしてきた、決して自分の手柄にせずに爵位の引き上げにも応じずにね、そのお陰でグロウズ殿も彼の偉業を知らない」
「ど、どうして………」
「君のためだよ、幼かった君を1人屋敷に残していたローマン殿は爵位の引き上げと同時に訪れる多忙を避けたんだ、君を1人にしないために」
「と………父様………が………?」
「それを知っていた貴族達がローマン殿の娘である君を信じないはずない、彼が大切に育てた娘がそのような行為をするはずがないと……直ちに不貞の噂の出所と信憑性を手の者に調べさせ、そして………噂を流した者がベンジャミンだと判明し、さらに出鱈目であったと分かったんだ」
お父様が私のためにそこまでの事をしていてくれたなんて………
そして、そんなお父様を知る方々が信じてくれて動いてくれてた事に嬉しさを感じ、胸にくる感情をこらえきれずに私は瞳から涙を流した。
悲しみからくる涙ではない、嬉しいといった涙を始めて流したかもしれない
クロード兄様はそんな私にハンカチを渡してくれる。
涙を拭きながら、兄様の言葉を最後まで聞く
「事実を知った王は烈火の如く憤激した、当然だ…今まで民のために進言してくれた恩義のあるローマン殿に対して若き当主のベンジャミンが行った非道は公爵家といえど見過ごしていい問題ではない………数か月前に呼び出されたと聞いた、爵位の剝奪を宣告されたんだろう………アメリアもなにか思い当たる事があるんじゃないか?」
数か月前、ちょうどベンジャミンが私の屋敷に1人で訪れた頃かもしれない…
そうか、今にして思えば………あの必死にしがみつくように私に復縁を迫ったのも
「やはり、思い当たる事があるんだねアメリア」
「はい…」
「なら、ここからは僕が話す事じゃないね………」
そう言ってクロード兄様は私の背中を押してくれる、その力に甘えるようにゆっくりと、嘆くように俯いているベンジャミンの近くへと私は歩んでいく
「ベンジャミン様…貴方の愛とは自身の保身のためだったのですね……私と復縁をすれば爵位の剝奪も逃れられると思いましたか?」
「………………」
「いい加減に黙る癖をやめてください!」
私の叫ぶような声に、彼は身体を震わせると…
慌てたように懐から何かを取り出すと、私にそれを差し出した
その手に握られていたのは黒い花弁のチューリップだった
「そ、その通りだ……アリー…俺は君と復縁をすれば爵位の剝奪を免れると思った、でもそれは理由の一つで…君を幸せにしたいという気持ちは本当なんだ!…お願いだ!もう一度俺にチャンスをくれないか!?最後の頼みだ………」
「………ベンジャミン様…何度も言っています、その気は微塵もないと」
「………なら、ならどうすればいい?俺は何をすれば君に認めてもらえる?もう後がないんだ、俺は公爵の当主として爵位を守らなければならない、助けて欲しいんだ…愛してくれていたんだろ!?お願いだ!」
「…では、ベンジャミン様…私からも最後の頼みです」
「え?」
パンッツ!!!!
大きく音を響かせて、私の全力の平手打ちを受けたベンジャミンに私は言葉を投げかける
「私の愛した貴方だからこそ、雄々しく気高く罰を受けてください!!恥を晒すような行為を止めて!貴方がした事です、私もお父様も苦しめられて、追い詰められて………そんな私達に助けを乞うような恥を晒すような事は止めて!お願いだから…私が好きだった貴方でいて、これ以上惨めな姿を見せないで……お願い…」
思わずこぼれた涙を、止める事はできなかった………
かつて、私は目の前の男性を心の底から愛していた……過去の記憶だ、もう愛なんて存在しないし、微塵も想う気持ちなんて存在しない…なのに、もうこれ以上………彼の情けない姿を見たくなかった
「もう…諦めてよ………お願いだから…」
ダメだ……泣いてる姿なんて見せたくなかった……
なのに、情けなくて…どうしようもなくて……かつて愛した彼に恨みしかない、なのに愛していたからこそ………
幸せになって欲しかった…私は非情になれない子供のままだ
「アリー…俺は、俺は………でも、このまま公爵家が潰えれば、俺たちは一生後ろ指をさされて生きていくことになる、当主として…俺は公爵家を……」
震え、涙を流すベンジャミンにカミラ様とグロウズ様が手を添える。
そこには家族の姿があった
「もういいのよベンジャミン、これは私達が行ってしまった行為の代償です…彼女にすべきは助けを乞う事ではなく、謝罪するだけよ」
「そうだな、因果応報だ……情けない事にな…償う事ができるかわからんが、お前が抱え込む必要はない………家族なんだから」
「母さん………父さん………」
2人の言葉を聞いて、覚悟を決めたようにベンジャミンは涙を拭い前を向いた
「…すまないアリー…本当にすまなかった…」
「これで最後です、貴方と復縁する気はありません……離縁状に判を押してくださいますか?」
「あぁ…分かった…」
彼は自身の親指の皮を噛みちぎり、そのまま拇印を書類に押した
そして、再び頭を下げて私にその血に濡れ、くしゃくしゃとなった紙を手渡す。
正式に、真の意味で私とベンジャミンは離縁となった
「最後にこれを………………」
ベンジャミンは私へ黒い花弁のチューリップを手渡そうとするが、私は首を横に振り断る
「それは、元より貴方への私の気持ちです、前のゼラニウムも」
「どういう意味だ………それは?」
「私を忘れてください…………そうずっと伝えているのです」
私の言葉に、彼は考えながらも頷き、家族と共に帰っていく
馬車に乗り込む彼の背中を見ながら、私は風でなびく離縁状を強く握り締めた。
ようやく、終わった…
安堵と共にくる、脱力感に疲れを感じながら私は一息つく
走り去っていく馬車を見つめながら
頬を撫でる風を感じつつ、視界にはタンポポの綿毛が風に乗って大きく飛び上がっていく……
私も、彼も………………ようやく、前に進み始めたのかもしれない
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