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思えば彼ら公爵家から、屋敷を追い出された後にローマン父様が離縁状を準備してくださり、私のサインとローズベル家の判を押して公爵家に送っていた、これは父様の配慮で、辛い思いをした私が公爵家と対談して離縁状を書くのは辛いだろうとの判断
その後、私とベンジャミンが離縁したと話は広まっていたが、正式に離縁状にサインと判が押されていた事は見ていない……離縁状は王国に送り担当者によって受理され正式に離縁となるが、貴族の離縁等、滅多に起こることでもないため、あくまでも形式的なものでありしっかりと管理されている訳じゃない…それに公爵家の財源があれば担当者の1人や2人囲い込む事ができるだろう…
改ざんした離縁状が仮に受理されており、私とベンジャミンが復縁した際には管理者の手違いだと……お得意の嘘と出鱈目で有耶無耶にするはず
故に離縁状が不正だと、訴える事は無理があるかもしれない、外堀を埋められている可能性が高い
子が出来ぬ私であるから、誰かと再婚するはずがないというふざけた考えなのだろう…悔しいことに、今の今まで気付けなかったのだけど………
………でも離縁してないからこそ、ベンジャミンには責めるべき有責がある
だからこそ、私は強く言ったのだ
「皆様と話すのがこれで最後になりそうで嬉しいのです」と
「最後だと?アメリア嬢…離縁状を見ただろう?お前とベンジャミンは正式な夫婦関係だ……妻として公爵家に戻ってきなさい」
グロウズ様は私にそう言って詰め寄るが、私は後ずさりしつつ質問に答える。
「ええ確かに確認しました、未だに未練がましく残していた事に血の気が引きました………ですが夫婦だからと言って貴方達の公爵家に戻る必要ありませんよね?」
「なにを言っている!?夫婦は共にあるのが当然だろう!」
「いえ、それは一般的に愛し合う2人だから成り立つ常識であります、私にはベンジャミンに対して愛などありませんので……別居も必然かと」
私の言葉に、わなわなと震えて怒りの表情をみせるグロウズ様…
それもそうだ、敢えて挑発するような小馬鹿にするような態度をとっているのだから
「お前は公爵家が面倒を見てやると言っているのだ!なぜそれを拒否する!!失礼だとは思わないのか!?」
「その話はすでにカミラ様と話しました、何度も言いたくありません………貴方達の庇護など私には一切必要ないのです…まずはご家族で話し合いの場を設けては?少しは冷静に考えられるかもしれませんよ?」
「こ………この!!!」
手をあげようと振りかざされた拳に、私は一切怯む事なく怯える姿を見せずに言葉を発する。
「殴りますか?どうぞお好きに…顔に傷を付けてくだされば、先程のベンジャミン様の平手も含めて暴力で私を支配しようとする方々だと吹聴するだけですので…公爵家の破滅になりそうですね」
「ぐっ!!くそ!!」
苛立ち、地団駄を踏むグロウズ様に…やはりベンジャミンとよく似ていると吞気に思いながら私の手を掴んでいたベンジャミンへと顔を向ける。
「いつまで手を掴んでいるのですか?離してください」
「ダメだ、アメリア…君は俺の妻なんだ!共にいるべきだ!絶対に君を離さない………愛していると分かってくれるまで!」
「………いい加減にしてください!!そうやって子供のように駄々をこねれば、いつか私が貴方になびくと思っているのですか?」
「っ!!」
声を荒げた私に驚いたのか、彼はあっさりと手を離してしまった。
愛していると分かってくれるまで離さない……よく言ったものだ…
「軽々しく、愛だとか言わないでください…………私は貴方の愛程、信用していない言葉はありませんから」
「待ってくれ……アリー…」
「アメリアです、二度とそう呼ばないで」
ベンジャミンと話し終え、忌々し気にこちらを睨んでいるグロウズ様に私は再び顔を向ける。
「と、いうことですグロウズ様………諦めてくださいましたか?」
「例え君に気持ちがなかろうと、離縁状にこちらが判を押さない限り………ベンジャミンと夫婦関係なのは変わりない!」
「その件で、貴方達は見落としていませんか?」
「は?」
「私達が夫婦だというのであればベンジャミン様の不貞の件は確実に離縁の理由に足る事だと思うのですが……ローズベル家としては傷ついた慰謝料を頂いてもよろしいのですよ?」
「な!?………何を言って!?」
「知らなかったのですね、だからまずは話し合いの場を設けるべきだと言ったのです…であれば離縁状に判を押していない事が公爵家としても不利益になると分かるでしょうに」
私はそのまま言葉を続ける。
「といっても、私は貴方達のお金になんて微塵も興味はありません………ですがこれ以上、夫婦関係である事を強調し、強要するのなら話は別です」
「ふざけるな…ふざけるな!!通るか!そんな話!」
「ふざけているのはそちらでしょう………今更、突き放した私に復縁を迫り……こんなに強引な手段で連れて行こうとする……誰に聞いてもおかしな事は明白ですよ?」
苦々しい表情を浮かべ、私を睨み付けるグロウズ様に最後の言葉を投げかける。
私は貴方達の思い通りに連れて行かれるような女性ではない、都合のいい女はもうこりごりだ
「慰謝料はいりません、代わりに離縁状に判を押してください………言っておきますが、無理に連れていこうとしても無駄です、貴方達の思い通りになるぐらいなら舌でも噛み切りますので」
「ぐ………」
「………………」
私の言葉に、彼らは相変わらずの沈黙で答える。
この不毛な時間を早く終わらせたいのだけど、ベンジャミンと今まで接して来ていてよく分かる。
彼らはこうやって黙ると………うんざりする程、長いと………
「早く押してください」と私が言おうと口を開いた
瞬間
「もう……や、やめましょう……あなた、ベンジャミン」
声を出したのは意外な方だった、それは私以外も一緒であり
ベンジャミンもグロウズ様も啞然としている。
先程まで成り行きを見守っていたベンジャミンの母…カミラ様が声を上げたのだから
「この子に私達がすべき事はこのような非道な行為ではありません………罪を償い、心の底から謝罪するべきです」
その後、私とベンジャミンが離縁したと話は広まっていたが、正式に離縁状にサインと判が押されていた事は見ていない……離縁状は王国に送り担当者によって受理され正式に離縁となるが、貴族の離縁等、滅多に起こることでもないため、あくまでも形式的なものでありしっかりと管理されている訳じゃない…それに公爵家の財源があれば担当者の1人や2人囲い込む事ができるだろう…
改ざんした離縁状が仮に受理されており、私とベンジャミンが復縁した際には管理者の手違いだと……お得意の嘘と出鱈目で有耶無耶にするはず
故に離縁状が不正だと、訴える事は無理があるかもしれない、外堀を埋められている可能性が高い
子が出来ぬ私であるから、誰かと再婚するはずがないというふざけた考えなのだろう…悔しいことに、今の今まで気付けなかったのだけど………
………でも離縁してないからこそ、ベンジャミンには責めるべき有責がある
だからこそ、私は強く言ったのだ
「皆様と話すのがこれで最後になりそうで嬉しいのです」と
「最後だと?アメリア嬢…離縁状を見ただろう?お前とベンジャミンは正式な夫婦関係だ……妻として公爵家に戻ってきなさい」
グロウズ様は私にそう言って詰め寄るが、私は後ずさりしつつ質問に答える。
「ええ確かに確認しました、未だに未練がましく残していた事に血の気が引きました………ですが夫婦だからと言って貴方達の公爵家に戻る必要ありませんよね?」
「なにを言っている!?夫婦は共にあるのが当然だろう!」
「いえ、それは一般的に愛し合う2人だから成り立つ常識であります、私にはベンジャミンに対して愛などありませんので……別居も必然かと」
私の言葉に、わなわなと震えて怒りの表情をみせるグロウズ様…
それもそうだ、敢えて挑発するような小馬鹿にするような態度をとっているのだから
「お前は公爵家が面倒を見てやると言っているのだ!なぜそれを拒否する!!失礼だとは思わないのか!?」
「その話はすでにカミラ様と話しました、何度も言いたくありません………貴方達の庇護など私には一切必要ないのです…まずはご家族で話し合いの場を設けては?少しは冷静に考えられるかもしれませんよ?」
「こ………この!!!」
手をあげようと振りかざされた拳に、私は一切怯む事なく怯える姿を見せずに言葉を発する。
「殴りますか?どうぞお好きに…顔に傷を付けてくだされば、先程のベンジャミン様の平手も含めて暴力で私を支配しようとする方々だと吹聴するだけですので…公爵家の破滅になりそうですね」
「ぐっ!!くそ!!」
苛立ち、地団駄を踏むグロウズ様に…やはりベンジャミンとよく似ていると吞気に思いながら私の手を掴んでいたベンジャミンへと顔を向ける。
「いつまで手を掴んでいるのですか?離してください」
「ダメだ、アメリア…君は俺の妻なんだ!共にいるべきだ!絶対に君を離さない………愛していると分かってくれるまで!」
「………いい加減にしてください!!そうやって子供のように駄々をこねれば、いつか私が貴方になびくと思っているのですか?」
「っ!!」
声を荒げた私に驚いたのか、彼はあっさりと手を離してしまった。
愛していると分かってくれるまで離さない……よく言ったものだ…
「軽々しく、愛だとか言わないでください…………私は貴方の愛程、信用していない言葉はありませんから」
「待ってくれ……アリー…」
「アメリアです、二度とそう呼ばないで」
ベンジャミンと話し終え、忌々し気にこちらを睨んでいるグロウズ様に私は再び顔を向ける。
「と、いうことですグロウズ様………諦めてくださいましたか?」
「例え君に気持ちがなかろうと、離縁状にこちらが判を押さない限り………ベンジャミンと夫婦関係なのは変わりない!」
「その件で、貴方達は見落としていませんか?」
「は?」
「私達が夫婦だというのであればベンジャミン様の不貞の件は確実に離縁の理由に足る事だと思うのですが……ローズベル家としては傷ついた慰謝料を頂いてもよろしいのですよ?」
「な!?………何を言って!?」
「知らなかったのですね、だからまずは話し合いの場を設けるべきだと言ったのです…であれば離縁状に判を押していない事が公爵家としても不利益になると分かるでしょうに」
私はそのまま言葉を続ける。
「といっても、私は貴方達のお金になんて微塵も興味はありません………ですがこれ以上、夫婦関係である事を強調し、強要するのなら話は別です」
「ふざけるな…ふざけるな!!通るか!そんな話!」
「ふざけているのはそちらでしょう………今更、突き放した私に復縁を迫り……こんなに強引な手段で連れて行こうとする……誰に聞いてもおかしな事は明白ですよ?」
苦々しい表情を浮かべ、私を睨み付けるグロウズ様に最後の言葉を投げかける。
私は貴方達の思い通りに連れて行かれるような女性ではない、都合のいい女はもうこりごりだ
「慰謝料はいりません、代わりに離縁状に判を押してください………言っておきますが、無理に連れていこうとしても無駄です、貴方達の思い通りになるぐらいなら舌でも噛み切りますので」
「ぐ………」
「………………」
私の言葉に、彼らは相変わらずの沈黙で答える。
この不毛な時間を早く終わらせたいのだけど、ベンジャミンと今まで接して来ていてよく分かる。
彼らはこうやって黙ると………うんざりする程、長いと………
「早く押してください」と私が言おうと口を開いた
瞬間
「もう……や、やめましょう……あなた、ベンジャミン」
声を出したのは意外な方だった、それは私以外も一緒であり
ベンジャミンもグロウズ様も啞然としている。
先程まで成り行きを見守っていたベンジャミンの母…カミラ様が声を上げたのだから
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