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17話
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「おぉ……皇后様が自ら、我らの元へ来て下さるなんて……」
「ラシェル皇后、お会いできて光栄です」
クロヴィスが皇帝となって一年が経った。
私は今日も、帝国の医療施設や孤児院へと慰問に訪れる。
二年前と違い、私を囲むのは賞賛の声だ。
「皆様、安静になさっていてください。怪我人の方や、病気でお辛い方はおっしゃってくださいね」
私の光の魔力は、治癒魔法の技術の向上と共に増えていた。
いまは、きっと一年半前の私よりも倍の量のポーションを作れるだろう。
「さぁ、怪我を治しますので……並んでください」
治癒魔法を使えば、光の魔力は増大する。
私は慰問を繰り返し、誰かを救う傍ら、何かにすがるように魔力を増やしていった。
ポーションを絶えず作り、帝国内や他国の必要とする方々へと送っている。
そのせいか、いつしか救国の女神なんて言われている始末だ。
私には相応しくない称号だ。
だって、本当に救いたいたった一人すら……私は救えないのだから。
◇◇◇
「今日もお疲れさまです。ラシェル皇后」
「いえ、皆様も護衛……お疲れさまです」
いつもの慰問を終えて、私の護衛騎士達へと微笑む。
彼らはクロヴィスが帝国の治安維持のため、他国から集めた選りすぐりの騎士達だ。
そんな彼らが帝国の騎士を練兵しており、徐々に国の平和はクロヴィスが居なくとも維持ができるように進んでいる。
「しかし……陛下は今日も政務にお忙しいので?」
「…………ええ」
「ラシェル皇后の献身的なお姿。陛下にも見てもらいたいですね」
「そうですね。今度……共に来てくれるか聞いてみます」
「きっと陛下も、ラシェル皇后のご活躍ぶりに賞賛のお言葉をくださるはずです」
「……」
「そうだ。私どもはこれから練兵ですので、暫し護衛を外れますね」
「はい。こちらは気にしないでください」
護衛騎士には、意図的に一日に数回、護衛を外れるように練兵の時間を作っている。
その時間を使い、私は城内の奥へと一人進んでいく。
そして、私だけが鍵を持つ部屋へと足を踏み入れた。
「……クロヴィス。起きていますか?」
「あ……ぁ……お……てるよ」
「起き上がらなくて大丈夫です。私が隣に座りますから」
寝台の傍に置いてある椅子に座り、寝具から伸ばされた手を握る。
冷たくて、もう体温もない手を……
「調子は、どうですか? クロヴィス」
「悪くない。ラシェルが……来たから」
「ふふ、元気が出るなら……いつだって来ますよ」
呟きながら、私は彼の手に魔力を込める。
治癒魔法をかけていけば、少しは痛みが和らぐと思ってのことだ。
「ラシェル……なにか、困った事があれば、言えよ。最後に魔法を使う……余力は残ってる」
「なにも困ってません。私はもう、クロヴィスのおかげでたくさんの味方がいますから」
「そ……か……」
クロヴィスは魔法の酷使により、仮初の身体の限界がきていた。
すでに全身を動かす余力もなく……体温は消えている。
徐々に痩せていく身体は、終わりが近づくのを予期していた。
「代わりの皇帝は、しっかりやってるか?」
「ええ、あの方は十分にやってくれています」
「そうか」
クロヴィスが選んだ遠縁の皇族の方。
その人は、今はクロヴィスの代わりに政務を代行してくれている。
皇位を継いだ皇帝が半年で動けなくなった……という真実を、民達から隠すためだ。
「……俺は、ラシェルに救われたんだよ。本当にな」
「クロヴィス……」
「ラシェルが傍に居てくれたから……魔物と戦う恐怖も、死への恐れも……帰る事への望みに変わった」
「……」
「帰ったら、笑顔で迎えてくれるラシェルが居て……笑って、ラシェルが読みたいとせがむ絵本を読ませられたり……食事をいっしょにとったり……幸せだった」
「私も、幸せでしたよ。クロヴィスが父から救ってくれて一緒に居てくれた日々は、本当に大切な日々です」
泣いてる姿を見せたくないのに、彼の言葉に涙が止まらない。
絶対に泣かないと決めていたけれど、覚悟は脆く崩れてしまった。
「五年間も待っていてくれて……ありがとな。本当に、嬉しかった」
「私も、クロヴィスが帰ってきてくれて。本当に嬉しかったんです。だから、これからも一緒に……」
「俺はもう十分に幸せをもらった。だから俺の事なんて忘れて、これからを生きろ」
「嫌です。クロヴィス……私は、絶対に貴方を忘れません」
「悲しませたくないんだ。俺の元には……もう来るな」
彼は、私に新たな人生を歩めと言っている。
だけど、それだけは従う気はなかった。
「クロヴィス、貴方が私に……自分の事は気にせずに幸せになるように頑張ってくれたように……」
「ラ……シェル……?」
「私だって、自分の人生をかけてでも。貴方と共に暮らす道を模索します! 必ず、救ってみせるから」
「……」
「だから……諦めないでよ。クロヴィス。お願い……だから」
涙が止まらず、俯いて彼の手を握る。
すると、私の手がか細い力で握り返された。
「俺だって、ラシェルと一緒に暮らしたい。ずっと、ずっと……それだけを望んでいたんだよ」
「っ!?」
「くそ……生きたい。生きたいに決まってるだろ。俺だって、ラシェルとやりたい事や、行きたいところが……いっぱいあるんだよ」
「……私もです。だから……絶対に救うよ。クロヴィス」
「ラシェル……任せて、いいか?」
「はい! 今度は、私が救ってみせるから。待ってて、クロヴィス」
「……分かった。待ってる……ラシェル」
微笑んだ彼の瞼が、力なく落ちていく。
もう彼が起きていられる時間は、一日に十分もない。
だから、話している最中でさえ意識を飛ばしてしまう。
「絶対に救うからね。クロヴィス」
彼に言葉を告げ、私室へと戻る。
生死に関する過去の文献や、禁忌と呼ばれている魔法が書かれた禁書。
各国から手に入れたそれらを、片っ端から広げて彼が生きられる道を探す。
私は、たった一つだけ可能性のある方法を見つけている。
しかし、その方法には材料が足りないのだ。
だから別の方法を探すしかない。
その時だった––
「ラシェル様……書簡が届いております」
私付きの侍女が一通の書簡を手にやって来る。
その差出人を見て、私は言葉を出せずに拳を握りしめた。
どうして、今になって彼が……?
「ラシェル皇后、お会いできて光栄です」
クロヴィスが皇帝となって一年が経った。
私は今日も、帝国の医療施設や孤児院へと慰問に訪れる。
二年前と違い、私を囲むのは賞賛の声だ。
「皆様、安静になさっていてください。怪我人の方や、病気でお辛い方はおっしゃってくださいね」
私の光の魔力は、治癒魔法の技術の向上と共に増えていた。
いまは、きっと一年半前の私よりも倍の量のポーションを作れるだろう。
「さぁ、怪我を治しますので……並んでください」
治癒魔法を使えば、光の魔力は増大する。
私は慰問を繰り返し、誰かを救う傍ら、何かにすがるように魔力を増やしていった。
ポーションを絶えず作り、帝国内や他国の必要とする方々へと送っている。
そのせいか、いつしか救国の女神なんて言われている始末だ。
私には相応しくない称号だ。
だって、本当に救いたいたった一人すら……私は救えないのだから。
◇◇◇
「今日もお疲れさまです。ラシェル皇后」
「いえ、皆様も護衛……お疲れさまです」
いつもの慰問を終えて、私の護衛騎士達へと微笑む。
彼らはクロヴィスが帝国の治安維持のため、他国から集めた選りすぐりの騎士達だ。
そんな彼らが帝国の騎士を練兵しており、徐々に国の平和はクロヴィスが居なくとも維持ができるように進んでいる。
「しかし……陛下は今日も政務にお忙しいので?」
「…………ええ」
「ラシェル皇后の献身的なお姿。陛下にも見てもらいたいですね」
「そうですね。今度……共に来てくれるか聞いてみます」
「きっと陛下も、ラシェル皇后のご活躍ぶりに賞賛のお言葉をくださるはずです」
「……」
「そうだ。私どもはこれから練兵ですので、暫し護衛を外れますね」
「はい。こちらは気にしないでください」
護衛騎士には、意図的に一日に数回、護衛を外れるように練兵の時間を作っている。
その時間を使い、私は城内の奥へと一人進んでいく。
そして、私だけが鍵を持つ部屋へと足を踏み入れた。
「……クロヴィス。起きていますか?」
「あ……ぁ……お……てるよ」
「起き上がらなくて大丈夫です。私が隣に座りますから」
寝台の傍に置いてある椅子に座り、寝具から伸ばされた手を握る。
冷たくて、もう体温もない手を……
「調子は、どうですか? クロヴィス」
「悪くない。ラシェルが……来たから」
「ふふ、元気が出るなら……いつだって来ますよ」
呟きながら、私は彼の手に魔力を込める。
治癒魔法をかけていけば、少しは痛みが和らぐと思ってのことだ。
「ラシェル……なにか、困った事があれば、言えよ。最後に魔法を使う……余力は残ってる」
「なにも困ってません。私はもう、クロヴィスのおかげでたくさんの味方がいますから」
「そ……か……」
クロヴィスは魔法の酷使により、仮初の身体の限界がきていた。
すでに全身を動かす余力もなく……体温は消えている。
徐々に痩せていく身体は、終わりが近づくのを予期していた。
「代わりの皇帝は、しっかりやってるか?」
「ええ、あの方は十分にやってくれています」
「そうか」
クロヴィスが選んだ遠縁の皇族の方。
その人は、今はクロヴィスの代わりに政務を代行してくれている。
皇位を継いだ皇帝が半年で動けなくなった……という真実を、民達から隠すためだ。
「……俺は、ラシェルに救われたんだよ。本当にな」
「クロヴィス……」
「ラシェルが傍に居てくれたから……魔物と戦う恐怖も、死への恐れも……帰る事への望みに変わった」
「……」
「帰ったら、笑顔で迎えてくれるラシェルが居て……笑って、ラシェルが読みたいとせがむ絵本を読ませられたり……食事をいっしょにとったり……幸せだった」
「私も、幸せでしたよ。クロヴィスが父から救ってくれて一緒に居てくれた日々は、本当に大切な日々です」
泣いてる姿を見せたくないのに、彼の言葉に涙が止まらない。
絶対に泣かないと決めていたけれど、覚悟は脆く崩れてしまった。
「五年間も待っていてくれて……ありがとな。本当に、嬉しかった」
「私も、クロヴィスが帰ってきてくれて。本当に嬉しかったんです。だから、これからも一緒に……」
「俺はもう十分に幸せをもらった。だから俺の事なんて忘れて、これからを生きろ」
「嫌です。クロヴィス……私は、絶対に貴方を忘れません」
「悲しませたくないんだ。俺の元には……もう来るな」
彼は、私に新たな人生を歩めと言っている。
だけど、それだけは従う気はなかった。
「クロヴィス、貴方が私に……自分の事は気にせずに幸せになるように頑張ってくれたように……」
「ラ……シェル……?」
「私だって、自分の人生をかけてでも。貴方と共に暮らす道を模索します! 必ず、救ってみせるから」
「……」
「だから……諦めないでよ。クロヴィス。お願い……だから」
涙が止まらず、俯いて彼の手を握る。
すると、私の手がか細い力で握り返された。
「俺だって、ラシェルと一緒に暮らしたい。ずっと、ずっと……それだけを望んでいたんだよ」
「っ!?」
「くそ……生きたい。生きたいに決まってるだろ。俺だって、ラシェルとやりたい事や、行きたいところが……いっぱいあるんだよ」
「……私もです。だから……絶対に救うよ。クロヴィス」
「ラシェル……任せて、いいか?」
「はい! 今度は、私が救ってみせるから。待ってて、クロヴィス」
「……分かった。待ってる……ラシェル」
微笑んだ彼の瞼が、力なく落ちていく。
もう彼が起きていられる時間は、一日に十分もない。
だから、話している最中でさえ意識を飛ばしてしまう。
「絶対に救うからね。クロヴィス」
彼に言葉を告げ、私室へと戻る。
生死に関する過去の文献や、禁忌と呼ばれている魔法が書かれた禁書。
各国から手に入れたそれらを、片っ端から広げて彼が生きられる道を探す。
私は、たった一つだけ可能性のある方法を見つけている。
しかし、その方法には材料が足りないのだ。
だから別の方法を探すしかない。
その時だった––
「ラシェル様……書簡が届いております」
私付きの侍女が一通の書簡を手にやって来る。
その差出人を見て、私は言葉を出せずに拳を握りしめた。
どうして、今になって彼が……?
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