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一巡「後悔」
プロローグ
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「レオン陛下……セレリナ妃が、自死されました」
「なんだと……?」
静寂が広がっていた玉座の間。
そこへ慌てて入ってきた衛兵が上げた報告に、思わず聞き返してしまう。
途端に周囲の使用人達や衛兵、大臣達の視線が俺へと注がれた。
何を言うか、どう動くのかを見守るように。
「レオン陛下……」
「構わん」
「え……」
王の前というのに、素っ頓狂な声を漏らした衛兵にはあきれる。
俺が……悲しむとでも思ったのか?
「セレリナは罪を犯した。自死を選んだのは、奴が罪を認めた事にほかならない」
「陛下……しかし……セレリナ妃は貴方を」
「俺の言葉に異論があれば……貴様も相応の処罰を下す」
「……っ!?」
口を挟んできた大臣を睨みつけ、周囲にも同じく睨みを向ける。
使用人や衛兵は何か言いたげに俺を見つめるが、耐えるように唇を噛んだ。
その視線に気付きながらも、言葉を変える気は無い。
「セレリナの死は、喜ぶべき事だ。希代の悪女が死んだのだから」
「レオン陛下! セレリナ妃のお気持ちを……」
「何度も言わせるな……王の言葉に異論があるのか?」
「……」
口をつぐんだ大臣から視線を外し、苛立ちをぶつけるように玉座へと勢い良く腰を下ろす。
「……これでいい」
セレリナが自死を選んだとて、俺の気持ちは変わらぬ。
同情や後悔、罪悪感などあるはずもない。
あの女は……死に値する罪を犯したのだから。
だが、この時の俺は知らなかった。
まさかこの日を境に……セレリナについてを知り、後悔に苛まれる事になるとは。
「なんだと……?」
静寂が広がっていた玉座の間。
そこへ慌てて入ってきた衛兵が上げた報告に、思わず聞き返してしまう。
途端に周囲の使用人達や衛兵、大臣達の視線が俺へと注がれた。
何を言うか、どう動くのかを見守るように。
「レオン陛下……」
「構わん」
「え……」
王の前というのに、素っ頓狂な声を漏らした衛兵にはあきれる。
俺が……悲しむとでも思ったのか?
「セレリナは罪を犯した。自死を選んだのは、奴が罪を認めた事にほかならない」
「陛下……しかし……セレリナ妃は貴方を」
「俺の言葉に異論があれば……貴様も相応の処罰を下す」
「……っ!?」
口を挟んできた大臣を睨みつけ、周囲にも同じく睨みを向ける。
使用人や衛兵は何か言いたげに俺を見つめるが、耐えるように唇を噛んだ。
その視線に気付きながらも、言葉を変える気は無い。
「セレリナの死は、喜ぶべき事だ。希代の悪女が死んだのだから」
「レオン陛下! セレリナ妃のお気持ちを……」
「何度も言わせるな……王の言葉に異論があるのか?」
「……」
口をつぐんだ大臣から視線を外し、苛立ちをぶつけるように玉座へと勢い良く腰を下ろす。
「……これでいい」
セレリナが自死を選んだとて、俺の気持ちは変わらぬ。
同情や後悔、罪悪感などあるはずもない。
あの女は……死に値する罪を犯したのだから。
だが、この時の俺は知らなかった。
まさかこの日を境に……セレリナについてを知り、後悔に苛まれる事になるとは。
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