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「アルフレッド……貴方は私を愛していたのですね」
「っ!? 違う、俺は妃候補としてお前を心配しただけだ」
図星を突かれたように驚きの表情を浮かべた彼に言葉を続ける。
「ずっと不思議でした。なぜ私を捨てた貴方が今さらになって求めてくるのか……でも、さっきの言葉で気付きましたよ。初夜の日、私は確かに泣いていましたが、それを知る者は本来ならいないはずです。あの夜は人払いをしていおり、寝室の詳細を知る者はいるはずない。なのに貴方は詳細を言い切りましたよね? あの夜、貴方は私をずっと見ていたのですね、朝まで」
朝まで泣いていた事実を知っている彼は、私をずっと見ていた。
気持ち悪く、嫌悪感しか沸かないが……同時に彼の不可解な行動の理由が分かってくる。
「セレン妃の寝室に足繫く通っていたのは嫌がらせだけでない。窓から見た景色は私の寝室が見えた……ずっと見ていたのですよね? 私を」
「そ……そんな事をする必要がどこにある? 妄言だ」
彼の目は泳いでいた。
分かりやすく動揺を顔に出す。
「嗜虐心というのでしょうか、貴方の愛情はそれに近いのでしょう? 初夜を一人にしたあの日から私が悲しむ姿を見る事が貴方を満たす愛情になった」
「リルレット、それ以上の愚弄は許さんぞ」
問い詰めるような言葉も今の私には関係ない。
理解してしまったのだ、私の初恋は彼の嗜好を満たすために利用されていただけだと。
それが悔しくてたまらなかった。
「ずっと分からなかった。なぜ貴方は私にあれだけ酷い事をするのか……理由も告げずに突き放し、悲しむ姿を愉悦に満ちた笑みで見つめる。それらは全てが嗜好を満たすためであったのですよね。妃候補から外してからローゼリア邸を訪れた理由もこれで分かりましたよ。一度突き放すのが楽しかったのでしょう? 満足して迎えに行けば私が行方不明になっていたから慌てて探し始めた」
カラミナ妃も被害者であったのだ。
私を悲しませるために親しい間柄を装い、王宮の去り際まで偶然を装って会いに来た。
私がいなくなってから、慌てた彼は新たに嗜好を満たしてくれる対象を求めてカラミナ妃へ行為を強要し、嫌がる姿を求めた。
セレン妃も、カラミナ妃も……そして私も彼の欲求を満たすため、いいように扱われていた。
妃候補という制度で私達の淡い恋情を踏みにじった、下劣な行為。
失恋の悲しみは消え、燃えるような怒りで彼を睨みつける。
「いくら否定しても構いません。ですが酷い仕打ちをした貴方を二度と愛す気はありません。二度と貴方の欲求を満たすだけの都合のいい女には戻るつもりはありませんから」
「ま、待ってくれリルレット……俺は……」
彼にとっては知られたくはない事だろう、愛想をつかされてしまえば彼を想って泣く事など出来るはずがない。
歪んだ愛情を向けられても、それに気付いてしまえばもう二度と惹かれる事はない。
突きつけた言葉に彼は玩具を取られた子供のように、力なくうなだれて執務室のソファに腰掛けてうなだれる。
ブツブツと否定する言葉を並べていたが、今の私には戯言に等しい。
貴方の愛情が歪んでしまった理由など私にとってどうでもいい事だ。
「申し訳ありません、団長……ユリウス。話を続けましょう」
話が逸れた事を謝罪し、頭を下げる。
シュレイン団長はチラリとアルフレッドに視線を向けて小さく笑う。
「殿下も残って大人しくしてくれるようだ、このまま続けようか」
少しだけ皮肉を込めて呟き、場を茶化してくれたシュレイン団長に頭を下げる。
そこに同情はなく、あくまでも騎士団として話し合いを続けてくれるようだ。
ユリウスも同様にアルフレッドには視線を向けず、私を見てニコリと頷いてくれた。
「話を戻そう、リルレット君の報告を全て信じるとすれば……このラインハルト王国へ野盗を手引きしているのはガディウス達、王宮騎士団だろうね」
シュレイン団長の言葉にユリウスも頷く。
「同意です、あれだけの金の出所はどこかと思っていましたが王族からの支援金なら納得ですね」
野盗達が持っていた大量の金貨も元の出所が王族となればあの量も頷ける。
王宮から王宮騎士団の数が減っていたのは他国から大勢の野盗達を手引きするためであった、そのために王宮騎士団の自由をアルフレッドに認めてもらっていたと考えられる。
「しかし、なぜそのような事をしているか……ですよね?」
「それについては、君の報告のおかげでようやく答えがわかったよ」
シュレイン団長はそう言って、ラインハルト王国の周辺をまとめた地図を広げ、木製の駒をあちこちに置いていく。
「実は各地の視察を行っていく最中、分かった事があったんだ。この駒を置いているのは野盗によって被害があった箇所。過去から順に置いていくよ」
配置されていく駒を見て、私ユリウスも眉を潜めて事の重大さを理解する。
野盗団の被害に見立てた駒は徐々にこの王都へと近づき、その数を増していた。
被害地域を見れば多くの野盗団が王都へと集まっているのだ。
これでは……まるで。
「軍事的に攻め入られているとすれば、かなり厳しいですね。王都周辺まで迫っている」
冷や汗と共に呟いたユリウスに私も頷きで返す。
今まではまばらに見えていた野盗達であったが、これら全てをガディウスが管轄して手引きしているのだとすれば正騎士団にも匹敵する数になる。
シュレイン団長は真剣な表情のまま自分の考えを明かした。
「ガディウスが揃ったと言ったのはこの事だろう。これだけの数を実際に指揮して王都に攻め入れば国をとることは容易だ。そして真っ先に狙われるとすればアルフレッド殿下です」
「っ!?」
流石に顔を上げたアルフレッドは問うような視線を送ってくる。
答えるようにシュレイン団長は言葉を続けた。
「王位継承を狙っている可能性で考えれば、賊の凶刃によって殿下が討たれ、それをガディウスが王宮騎士団を率いて野盗団を討てば大義名分は成り立つ。英雄となったガディウスが王政を握る大きな足がかりになりましょう」
今のガディウスにとっては王都に攻め入るのは容易。
裏で手を引いているのがガディウス達なのだ、アルフレッドを殺害した後に王国を救ったという筋書きを演じるのは簡単だ。
「各地に派遣されている正騎士団を呼び戻しますか?」
ユリウスの提案にシュレイン団長は首を横に振り、珍しく額に汗を流した。
「各地の正騎士団が動いたと感づけばガディウスは今すぐにでも動き出すだろう。奴がリルレット君に言ったように大局は変えられない。奴の駒はすべて揃っており、準備が整えばすぐにでも仕掛ける事が出来る。かといって王都近郊の正騎士団で食い止めるには数が足りない……ここまで周到に準備しているとはね。何がそこまで君を駆り立てるんだガディウス」
シュレイン団長は呟きながら、大きく息を吐く。
諦めている表情ではない、出来る手立てを考えているのだろう。
明確な答えが出せていないのは不確定な要素もあるからだ、爆発した金貨……あれは誰が行ったのかは謎のままであり、それが可能であったジェイソン様をガディウスが自ら殺している。
謎は残りつつも、シュレイン団長は絞り出すように提案を告げた。
「奴にとって唯一のイレギュラーがあるとすれば、殿下がいまこの場にいる事だろう」
アルフレッドは目を丸くし、私達も思わず視線を彼に向ける。
シュレイン団長は構わずに言葉を続けた。
「殿下が一時的に王宮騎士団を王宮へと呼び戻してくだされば、指揮系統を失った野盗団の目を盗み正騎士団が王都近郊の貴族家に助力を要請できます。王命とあれば正規軍として王都へと軍を呼出す事もできるはずです。今の状況を切り抜けるには殿下と僕達が協力しないといけない」
ガディウスがアルフレッドの招集を受け入れる可能性は五分、だが賭けるには充分だ。
絶望的な程に敵の布陣は整っている、現状では詰みなのだから。
「聞いていましたかアルフレッド……今は国難の時、王家として助力をお願いします」
「殿下……」
国の危機に私情を挟む気はない。
今は過去の話など気にして助力を怠れば多くの民が犠牲になってしまうかもしれないからだ。
助力を求めてアルフレッドへと視線を向けると……彼は憑き物が落ちたように晴れ晴れとした笑みを浮かべる。
頼られた事に喜々として、笑顔のまま答えた。
「断る。もし俺の助力を求めるのであればリルレット……お前が俺の元へと戻ると約束しろ」
「っ!? 違う、俺は妃候補としてお前を心配しただけだ」
図星を突かれたように驚きの表情を浮かべた彼に言葉を続ける。
「ずっと不思議でした。なぜ私を捨てた貴方が今さらになって求めてくるのか……でも、さっきの言葉で気付きましたよ。初夜の日、私は確かに泣いていましたが、それを知る者は本来ならいないはずです。あの夜は人払いをしていおり、寝室の詳細を知る者はいるはずない。なのに貴方は詳細を言い切りましたよね? あの夜、貴方は私をずっと見ていたのですね、朝まで」
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気持ち悪く、嫌悪感しか沸かないが……同時に彼の不可解な行動の理由が分かってくる。
「セレン妃の寝室に足繫く通っていたのは嫌がらせだけでない。窓から見た景色は私の寝室が見えた……ずっと見ていたのですよね? 私を」
「そ……そんな事をする必要がどこにある? 妄言だ」
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分かりやすく動揺を顔に出す。
「嗜虐心というのでしょうか、貴方の愛情はそれに近いのでしょう? 初夜を一人にしたあの日から私が悲しむ姿を見る事が貴方を満たす愛情になった」
「リルレット、それ以上の愚弄は許さんぞ」
問い詰めるような言葉も今の私には関係ない。
理解してしまったのだ、私の初恋は彼の嗜好を満たすために利用されていただけだと。
それが悔しくてたまらなかった。
「ずっと分からなかった。なぜ貴方は私にあれだけ酷い事をするのか……理由も告げずに突き放し、悲しむ姿を愉悦に満ちた笑みで見つめる。それらは全てが嗜好を満たすためであったのですよね。妃候補から外してからローゼリア邸を訪れた理由もこれで分かりましたよ。一度突き放すのが楽しかったのでしょう? 満足して迎えに行けば私が行方不明になっていたから慌てて探し始めた」
カラミナ妃も被害者であったのだ。
私を悲しませるために親しい間柄を装い、王宮の去り際まで偶然を装って会いに来た。
私がいなくなってから、慌てた彼は新たに嗜好を満たしてくれる対象を求めてカラミナ妃へ行為を強要し、嫌がる姿を求めた。
セレン妃も、カラミナ妃も……そして私も彼の欲求を満たすため、いいように扱われていた。
妃候補という制度で私達の淡い恋情を踏みにじった、下劣な行為。
失恋の悲しみは消え、燃えるような怒りで彼を睨みつける。
「いくら否定しても構いません。ですが酷い仕打ちをした貴方を二度と愛す気はありません。二度と貴方の欲求を満たすだけの都合のいい女には戻るつもりはありませんから」
「ま、待ってくれリルレット……俺は……」
彼にとっては知られたくはない事だろう、愛想をつかされてしまえば彼を想って泣く事など出来るはずがない。
歪んだ愛情を向けられても、それに気付いてしまえばもう二度と惹かれる事はない。
突きつけた言葉に彼は玩具を取られた子供のように、力なくうなだれて執務室のソファに腰掛けてうなだれる。
ブツブツと否定する言葉を並べていたが、今の私には戯言に等しい。
貴方の愛情が歪んでしまった理由など私にとってどうでもいい事だ。
「申し訳ありません、団長……ユリウス。話を続けましょう」
話が逸れた事を謝罪し、頭を下げる。
シュレイン団長はチラリとアルフレッドに視線を向けて小さく笑う。
「殿下も残って大人しくしてくれるようだ、このまま続けようか」
少しだけ皮肉を込めて呟き、場を茶化してくれたシュレイン団長に頭を下げる。
そこに同情はなく、あくまでも騎士団として話し合いを続けてくれるようだ。
ユリウスも同様にアルフレッドには視線を向けず、私を見てニコリと頷いてくれた。
「話を戻そう、リルレット君の報告を全て信じるとすれば……このラインハルト王国へ野盗を手引きしているのはガディウス達、王宮騎士団だろうね」
シュレイン団長の言葉にユリウスも頷く。
「同意です、あれだけの金の出所はどこかと思っていましたが王族からの支援金なら納得ですね」
野盗達が持っていた大量の金貨も元の出所が王族となればあの量も頷ける。
王宮から王宮騎士団の数が減っていたのは他国から大勢の野盗達を手引きするためであった、そのために王宮騎士団の自由をアルフレッドに認めてもらっていたと考えられる。
「しかし、なぜそのような事をしているか……ですよね?」
「それについては、君の報告のおかげでようやく答えがわかったよ」
シュレイン団長はそう言って、ラインハルト王国の周辺をまとめた地図を広げ、木製の駒をあちこちに置いていく。
「実は各地の視察を行っていく最中、分かった事があったんだ。この駒を置いているのは野盗によって被害があった箇所。過去から順に置いていくよ」
配置されていく駒を見て、私ユリウスも眉を潜めて事の重大さを理解する。
野盗団の被害に見立てた駒は徐々にこの王都へと近づき、その数を増していた。
被害地域を見れば多くの野盗団が王都へと集まっているのだ。
これでは……まるで。
「軍事的に攻め入られているとすれば、かなり厳しいですね。王都周辺まで迫っている」
冷や汗と共に呟いたユリウスに私も頷きで返す。
今まではまばらに見えていた野盗達であったが、これら全てをガディウスが管轄して手引きしているのだとすれば正騎士団にも匹敵する数になる。
シュレイン団長は真剣な表情のまま自分の考えを明かした。
「ガディウスが揃ったと言ったのはこの事だろう。これだけの数を実際に指揮して王都に攻め入れば国をとることは容易だ。そして真っ先に狙われるとすればアルフレッド殿下です」
「っ!?」
流石に顔を上げたアルフレッドは問うような視線を送ってくる。
答えるようにシュレイン団長は言葉を続けた。
「王位継承を狙っている可能性で考えれば、賊の凶刃によって殿下が討たれ、それをガディウスが王宮騎士団を率いて野盗団を討てば大義名分は成り立つ。英雄となったガディウスが王政を握る大きな足がかりになりましょう」
今のガディウスにとっては王都に攻め入るのは容易。
裏で手を引いているのがガディウス達なのだ、アルフレッドを殺害した後に王国を救ったという筋書きを演じるのは簡単だ。
「各地に派遣されている正騎士団を呼び戻しますか?」
ユリウスの提案にシュレイン団長は首を横に振り、珍しく額に汗を流した。
「各地の正騎士団が動いたと感づけばガディウスは今すぐにでも動き出すだろう。奴がリルレット君に言ったように大局は変えられない。奴の駒はすべて揃っており、準備が整えばすぐにでも仕掛ける事が出来る。かといって王都近郊の正騎士団で食い止めるには数が足りない……ここまで周到に準備しているとはね。何がそこまで君を駆り立てるんだガディウス」
シュレイン団長は呟きながら、大きく息を吐く。
諦めている表情ではない、出来る手立てを考えているのだろう。
明確な答えが出せていないのは不確定な要素もあるからだ、爆発した金貨……あれは誰が行ったのかは謎のままであり、それが可能であったジェイソン様をガディウスが自ら殺している。
謎は残りつつも、シュレイン団長は絞り出すように提案を告げた。
「奴にとって唯一のイレギュラーがあるとすれば、殿下がいまこの場にいる事だろう」
アルフレッドは目を丸くし、私達も思わず視線を彼に向ける。
シュレイン団長は構わずに言葉を続けた。
「殿下が一時的に王宮騎士団を王宮へと呼び戻してくだされば、指揮系統を失った野盗団の目を盗み正騎士団が王都近郊の貴族家に助力を要請できます。王命とあれば正規軍として王都へと軍を呼出す事もできるはずです。今の状況を切り抜けるには殿下と僕達が協力しないといけない」
ガディウスがアルフレッドの招集を受け入れる可能性は五分、だが賭けるには充分だ。
絶望的な程に敵の布陣は整っている、現状では詰みなのだから。
「聞いていましたかアルフレッド……今は国難の時、王家として助力をお願いします」
「殿下……」
国の危機に私情を挟む気はない。
今は過去の話など気にして助力を怠れば多くの民が犠牲になってしまうかもしれないからだ。
助力を求めてアルフレッドへと視線を向けると……彼は憑き物が落ちたように晴れ晴れとした笑みを浮かべる。
頼られた事に喜々として、笑顔のまま答えた。
「断る。もし俺の助力を求めるのであればリルレット……お前が俺の元へと戻ると約束しろ」
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