22 / 49
20
しおりを挟む
盗賊団との一件から七日が経ち、療養を終えた私は久々に隊服に袖を通し、補佐官としてユリウス様へと会いに行く。
とはいえ、彼は職務の合間を見ては病室へと頻繫にやって来てくれていたので、顔合わせはそれほど久しい訳じゃない。
会う度にアプローチしてきて、胸がもたない日々からとりあえず通常通りに戻る事に一息つける。
別に嫌な訳ではないが、しかし心の平穏が必要な時もある。
鼻歌まじりに副団長の執務室へと向かっていると、廊下で待つように立っている人物が申し訳なさそうな表情を見せていた。
「マルク……久々ですね」
「リールっ!! 完治したと聞いて待っていたんだ」
パッと明るい笑みを浮かべ、嬉しさのあまり私へと抱きつくマルクであったが、私は胸を押して距離を取る。
少し、友達関係にしては距離が近く感じた。
「マルクも怪我はなかったのですね。良かったです」
「あぁ、お前が助けてくれたおかげだよ。あの時……俺は自分の力不足を痛感した、リールには助けられてユリウス様には𠮟責されてな」
「仕方ありませんよ。あの事態は誰も予想できていませんでしたから」
「俺は……血を流すお前を見て、守るために強くなりたいと思ったんだ。役立たずで力不足な俺じゃあ守れない」
「マルク、何度も言っています。僕は守られる気はないと」
私の言葉を切り、マルクは言葉を続ける。
「だから、シュレイン団長に頼み込んで補佐官にしてもらった。いずれ、俺がユリウス様を超えてお前を守ってやる、絶対にな!!」
全く……彼は何も分かってくれていない。
彼の両頬を叩くように手で挟み、瞳を見つめて諭す。
「聞いてマルク、僕は貴方を対等の友達として見ています。貴方に守られるなんて、足手まといだと言われているようで不愉快です。友人として、共に並んで立ってはくれないのですか?」
「友達じゃ嫌だ」
言葉を受けながら、マルクは両頬を挟んでいた私の手に自分の手を重ねる。
寂しさと悲しみの色を帯びた瞳で私を見つめ、覚悟を決めたように唇をキュッと嚙みしめた。
「マルク?」
「入団試験、訓練中もお前とずっと一緒にいて……気持ちが離れない。ユリウス様とお前が近くにいると胸が苦しくて辛い。……分からないんだこの気持ちが、男色だと笑っていたのに、お前が気になって仕方ないんだ」
マルクの瞳は見たことがある。
恋心を抱いた相手が、自分を見ていないと気付いた瞳。
私自身がかつてアルフレッドへ向けていた瞳によく似ている。
「男のお前と特別になりたいといえば……困るか? リール」
「マルク……僕は」
彼が私へと抱いている想いがようやく分かった。
過剰な心配も私への想いゆえ、そして私の正体が分かっていないからこそ葛藤させてしまっている。
騎士としても、女性としても曖昧な私のせいで彼が悩んでしまったのだ。
私がいなければ、本来なら受けなくていい苦しみを彼は抱えてしまった。
どうすればいいのだ、こんな時にどう返すべきか分からない。
しかし、マルクが打ち明けてくれた気持ちから目を背けられない。
あやふやにして長引かせるのはアルフレッドと同じだ。
「僕は、僕は……」
私が口を開いた時。
コツコツと足音が廊下に響いて、こちらへと近づいてくる。
視線を向けた瞬間、会話を邪魔するように私達へと声がかかった。
「邪魔をする。シュレインの執務室はどこだ?」
気配さえなく、私達の傍に立った人物に一驚する。
そこにいたのは私の父であるギーデウス伯に並ぶ程に大きな男性だった。
夜中のように真っ黒な髪、見たこともない珍しい銀眼で私達を見つめている瞳はヒヤリとする程に冷たく感じる。
軍服に身を包んでいるが、正騎士団とは明らかに違って真っ黒な装いだ。
その男性は私達を羽虫でも見るように見下ろしており、視線が合えば身震いするほどの威圧感だ。
あまりの威圧感に危機を感じ取り、私とマルクは咄嗟に構えた。
「失礼ですが……お名前を聞かせてください。団長の補佐官として見知らぬ方を案内できません」
マルクの言葉に長身の男は見下ろしながら大きなため息を吐く。
「シュレインに会いに来ただけだ。大人しく通せ」
「出来ません、俺にも補佐官としてのプライドが––っ!?」
突如、マルクの身体は宙に浮いて壁に叩きつけられた。
見えない程の速さで長身の男が裏拳を繰り出し、マルクを片手で吹き飛ばしたのだ。
「ぐっ……」
倒れて悶えるマルクの身体を長身の男はゆっくりと触れて頬を緩めた。
その笑みに暖かさはない、まるで玩具を手に入れたような笑みだ。
私はそれを見て、身震いする恐怖を感じてしまう。
「対応力はないが、良い筋肉だ。シュレインの補佐官というのも頷ける……有望株だ。王宮騎士に興味があれば俺の元へと来るがいい」
怯えている場合ではない、これはれっきとした正騎士団への暴行だ。
マルクの懐に紙きれをしまっている男の隙をとり、私は剣を抜いて首筋へと当てた。
「名前を聞かせてください。そしてマルクを離して」
「……」
男は素直にマルクから手を離し、両手を上げながら私へと振り返る。
背筋が凍えそうな瞳、怖くて剣が震えた。
「ガディウス・マドゥール……分かりやすく言おう。王宮騎士団の団長だ」
「な……ぐっ!?」
王宮騎士団長、その言葉に動揺した一瞬の隙に私の剣は振り払われてしまい、首を掴まれて壁に抑えられる。
身体が宙に浮き、脚が床に届かず力が入らない。
「お前は知っているぞ? ユリウスの補佐官リール……しかしおかしい、報告では男だと聞いていたが」
「な……にを」
ぞわりと身の毛がよだつ感覚が身体を走る。
私の身体をゆっくりと撫で、ガディウスは抑えられないとばかりに笑い声を上げた。
「なにやらくだらない色恋について語っていると思ったが、合点がいった。そこのお前、よく見ろ」
「っ!? やめ!!」
ガディウスはマルクへ視線を投げかけて、私の服を掴んで引きちぎる。
サラシ布を巻いた胸があらわとなり、それを見たマルクは呆然と口を開く。
「女が騎士だと? 立派な軍律違反だな。正騎士団共よ」
見られてしまった、明かされてしまったのだ。
ガディウスは弱みを握ったように笑い声を上げた、その瞬間。
銀色の輝きを放つ剣先がガディウスの首元へと走り、それを避けるように奴は私から手を離す。
ずるりと床に落ちる私を支えたのはユリウス様だった。
「ガディウス……なんのつもりだ?」
激昂した声色と、怒りに満ちた瞳。
ガディウスにさえ劣らない威圧感を放つ彼は、今まで見たことない程に怒気をまとって問いかけた。
とはいえ、彼は職務の合間を見ては病室へと頻繫にやって来てくれていたので、顔合わせはそれほど久しい訳じゃない。
会う度にアプローチしてきて、胸がもたない日々からとりあえず通常通りに戻る事に一息つける。
別に嫌な訳ではないが、しかし心の平穏が必要な時もある。
鼻歌まじりに副団長の執務室へと向かっていると、廊下で待つように立っている人物が申し訳なさそうな表情を見せていた。
「マルク……久々ですね」
「リールっ!! 完治したと聞いて待っていたんだ」
パッと明るい笑みを浮かべ、嬉しさのあまり私へと抱きつくマルクであったが、私は胸を押して距離を取る。
少し、友達関係にしては距離が近く感じた。
「マルクも怪我はなかったのですね。良かったです」
「あぁ、お前が助けてくれたおかげだよ。あの時……俺は自分の力不足を痛感した、リールには助けられてユリウス様には𠮟責されてな」
「仕方ありませんよ。あの事態は誰も予想できていませんでしたから」
「俺は……血を流すお前を見て、守るために強くなりたいと思ったんだ。役立たずで力不足な俺じゃあ守れない」
「マルク、何度も言っています。僕は守られる気はないと」
私の言葉を切り、マルクは言葉を続ける。
「だから、シュレイン団長に頼み込んで補佐官にしてもらった。いずれ、俺がユリウス様を超えてお前を守ってやる、絶対にな!!」
全く……彼は何も分かってくれていない。
彼の両頬を叩くように手で挟み、瞳を見つめて諭す。
「聞いてマルク、僕は貴方を対等の友達として見ています。貴方に守られるなんて、足手まといだと言われているようで不愉快です。友人として、共に並んで立ってはくれないのですか?」
「友達じゃ嫌だ」
言葉を受けながら、マルクは両頬を挟んでいた私の手に自分の手を重ねる。
寂しさと悲しみの色を帯びた瞳で私を見つめ、覚悟を決めたように唇をキュッと嚙みしめた。
「マルク?」
「入団試験、訓練中もお前とずっと一緒にいて……気持ちが離れない。ユリウス様とお前が近くにいると胸が苦しくて辛い。……分からないんだこの気持ちが、男色だと笑っていたのに、お前が気になって仕方ないんだ」
マルクの瞳は見たことがある。
恋心を抱いた相手が、自分を見ていないと気付いた瞳。
私自身がかつてアルフレッドへ向けていた瞳によく似ている。
「男のお前と特別になりたいといえば……困るか? リール」
「マルク……僕は」
彼が私へと抱いている想いがようやく分かった。
過剰な心配も私への想いゆえ、そして私の正体が分かっていないからこそ葛藤させてしまっている。
騎士としても、女性としても曖昧な私のせいで彼が悩んでしまったのだ。
私がいなければ、本来なら受けなくていい苦しみを彼は抱えてしまった。
どうすればいいのだ、こんな時にどう返すべきか分からない。
しかし、マルクが打ち明けてくれた気持ちから目を背けられない。
あやふやにして長引かせるのはアルフレッドと同じだ。
「僕は、僕は……」
私が口を開いた時。
コツコツと足音が廊下に響いて、こちらへと近づいてくる。
視線を向けた瞬間、会話を邪魔するように私達へと声がかかった。
「邪魔をする。シュレインの執務室はどこだ?」
気配さえなく、私達の傍に立った人物に一驚する。
そこにいたのは私の父であるギーデウス伯に並ぶ程に大きな男性だった。
夜中のように真っ黒な髪、見たこともない珍しい銀眼で私達を見つめている瞳はヒヤリとする程に冷たく感じる。
軍服に身を包んでいるが、正騎士団とは明らかに違って真っ黒な装いだ。
その男性は私達を羽虫でも見るように見下ろしており、視線が合えば身震いするほどの威圧感だ。
あまりの威圧感に危機を感じ取り、私とマルクは咄嗟に構えた。
「失礼ですが……お名前を聞かせてください。団長の補佐官として見知らぬ方を案内できません」
マルクの言葉に長身の男は見下ろしながら大きなため息を吐く。
「シュレインに会いに来ただけだ。大人しく通せ」
「出来ません、俺にも補佐官としてのプライドが––っ!?」
突如、マルクの身体は宙に浮いて壁に叩きつけられた。
見えない程の速さで長身の男が裏拳を繰り出し、マルクを片手で吹き飛ばしたのだ。
「ぐっ……」
倒れて悶えるマルクの身体を長身の男はゆっくりと触れて頬を緩めた。
その笑みに暖かさはない、まるで玩具を手に入れたような笑みだ。
私はそれを見て、身震いする恐怖を感じてしまう。
「対応力はないが、良い筋肉だ。シュレインの補佐官というのも頷ける……有望株だ。王宮騎士に興味があれば俺の元へと来るがいい」
怯えている場合ではない、これはれっきとした正騎士団への暴行だ。
マルクの懐に紙きれをしまっている男の隙をとり、私は剣を抜いて首筋へと当てた。
「名前を聞かせてください。そしてマルクを離して」
「……」
男は素直にマルクから手を離し、両手を上げながら私へと振り返る。
背筋が凍えそうな瞳、怖くて剣が震えた。
「ガディウス・マドゥール……分かりやすく言おう。王宮騎士団の団長だ」
「な……ぐっ!?」
王宮騎士団長、その言葉に動揺した一瞬の隙に私の剣は振り払われてしまい、首を掴まれて壁に抑えられる。
身体が宙に浮き、脚が床に届かず力が入らない。
「お前は知っているぞ? ユリウスの補佐官リール……しかしおかしい、報告では男だと聞いていたが」
「な……にを」
ぞわりと身の毛がよだつ感覚が身体を走る。
私の身体をゆっくりと撫で、ガディウスは抑えられないとばかりに笑い声を上げた。
「なにやらくだらない色恋について語っていると思ったが、合点がいった。そこのお前、よく見ろ」
「っ!? やめ!!」
ガディウスはマルクへ視線を投げかけて、私の服を掴んで引きちぎる。
サラシ布を巻いた胸があらわとなり、それを見たマルクは呆然と口を開く。
「女が騎士だと? 立派な軍律違反だな。正騎士団共よ」
見られてしまった、明かされてしまったのだ。
ガディウスは弱みを握ったように笑い声を上げた、その瞬間。
銀色の輝きを放つ剣先がガディウスの首元へと走り、それを避けるように奴は私から手を離す。
ずるりと床に落ちる私を支えたのはユリウス様だった。
「ガディウス……なんのつもりだ?」
激昂した声色と、怒りに満ちた瞳。
ガディウスにさえ劣らない威圧感を放つ彼は、今まで見たことない程に怒気をまとって問いかけた。
270
お気に入りに追加
2,998
あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?

成人したのであなたから卒業させていただきます。
ぽんぽこ狸
恋愛
フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。
すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。
メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。
しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。
それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。
そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。
変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました
柚木ゆず
恋愛
《もうすぐアンナに婚約の破棄を宣告できるようになる。そうしたらいつでも会えるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ》
最近お忙しく、めっきり会えなくなってしまった婚約者のロマニ様。そんなロマニ様から届いた私アンナへのお手紙には、そういった内容が記されていました。
そのため、詳しいお話を伺うべくレルザー侯爵邸に――ロマニ様のもとへ向かおうとしていた、そんな時でした。ロマニ様の双子の弟であるダヴィッド様が突然ご来訪され、予想だにしなかったことを仰られ始めたのでした。

【完結】白い結婚なのでさっさとこの家から出ていきます~私の人生本番は離婚から。しっかり稼ぎたいと思います~
Na20
恋愛
ヴァイオレットは十歳の時に両親を事故で亡くしたショックで前世を思い出した。次期マクスター伯爵であったヴァイオレットだが、まだ十歳ということで父の弟である叔父がヴァイオレットが十八歳になるまでの代理として爵位を継ぐことになる。しかし叔父はヴァイオレットが十七歳の時に縁談を取り付け家から追い出してしまう。その縁談の相手は平民の恋人がいる侯爵家の嫡男だった。
「俺はお前を愛することはない!」
初夜にそう宣言した旦那様にヴァイオレットは思った。
(この家も長くはもたないわね)
貴族同士の結婚は簡単には離婚することができない。だけど離婚できる方法はもちろんある。それが三年の白い結婚だ。
ヴァイオレットは結婚初日に白い結婚でさっさと離婚し、この家から出ていくと決めたのだった。
6話と7話の間が抜けてしまいました…
7*として投稿しましたのでよろしければご覧ください!

【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-
七瀬菜々
恋愛
ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。
両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。
もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。
ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。
---愛されていないわけじゃない。
アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。
しかし、その願いが届くことはなかった。
アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。
かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。
アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。
ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。
アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。
結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。
望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………?
※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。
※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。
※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。

婚約「解消」ではなく「破棄」ですか? いいでしょう、お受けしますよ?
ピコっぴ
恋愛
7歳の時から婚姻契約にある我が婚約者は、どんな努力をしても私に全く関心を見せなかった。
13歳の時、寄り添った夫婦になる事を諦めた。夜会のエスコートすらしてくれなくなったから。
16歳の現在、シャンパンゴールドの人形のような可愛らしい令嬢を伴って夜会に現れ、婚約破棄すると宣う婚約者。
そちらが歩み寄ろうともせず、無視を決め込んだ挙句に、王命での婚姻契約を一方的に「破棄」ですか?
ただ素直に「解消」すればいいものを⋯⋯
婚約者との関係を諦めていた私はともかく、まわりが怒り心頭、許してはくれないようです。
恋愛らしい恋愛小説が上手く書けず、試行錯誤中なのですが、一話あたり短めにしてあるので、サクッと読めるはず? デス🙇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる