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二章
二章・プロローグ
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澄み渡る青空、頬を撫でる優しい風を感じながら私は今日も城の庭園の畑へと歩いていく。
植えている野菜の成長を見れば、思わず頬が上がる。
あと少しで収穫できそうだ……それに私が植えたタンポポも咲き始めており、嬉しさで心が躍る。
「コケコ! コケ!」
水をやっていれば、一羽の鶏が私の足元を駆け抜けていく。
その姿を見た私は、咄嗟にその子を捕まえた。
「コッコちゃん、おはよう」
「コケケ」
コッコちゃんに朝の挨拶をするが、この子は置いてある餌しか見ていない。
……もう数年の付き合いなのだから、少しは私を見て欲しいのだけど……
「コケケ」「コッケー!」
「コッココッコ」
「コケ」「コココ」
気付けば、足元には複数の鶏が駆けてきて餌へと一心不乱にがっついていく。ヒナも含めれば十羽を超えるだろう。
釣られるように私が抱いていたコッコちゃんも手から離れてものすごい勢いで餌を食べ始めた。
「……コッコちゃんもいまや大家族だね」
「コケコッコー!」
コッコちゃんを城内で飼う事はストレスになるかもしれないために出来なかったけれど、特別にこの庭園で自由に放す許可がもらえた。
この広さで一羽ではかわいそうなので、もう数羽連れて来てもらったのだけど、気付けばこの大所帯となっているのだから驚きだ。
まさか、数年でここまで家族を作っているとは……コッコちゃんは凄い。
「さて……私も彼の元に戻らないと。またねみんな」
「ココー!」「コケ」
日課である畑への水やりも終え、大きく伸びをしながら私は空を見上げる。
今日も……いつも通りの幸せな日々だ。やりたい事をして、楽しく過ごそう。
まずは、なにをしようかな。
「おかさん! ここいた!」
考えていた時に可愛らしい声が聞こえて、思わず微笑んでしまう。
私の天使が、探しに来てくれたみたいだ。
「おはよう……リルレット」
笑いながら……私に抱きついた娘が産まれるまでの日々を思い出す。
シルウィオと仲を深めていった記憶を……
植えている野菜の成長を見れば、思わず頬が上がる。
あと少しで収穫できそうだ……それに私が植えたタンポポも咲き始めており、嬉しさで心が躍る。
「コケコ! コケ!」
水をやっていれば、一羽の鶏が私の足元を駆け抜けていく。
その姿を見た私は、咄嗟にその子を捕まえた。
「コッコちゃん、おはよう」
「コケケ」
コッコちゃんに朝の挨拶をするが、この子は置いてある餌しか見ていない。
……もう数年の付き合いなのだから、少しは私を見て欲しいのだけど……
「コケケ」「コッケー!」
「コッココッコ」
「コケ」「コココ」
気付けば、足元には複数の鶏が駆けてきて餌へと一心不乱にがっついていく。ヒナも含めれば十羽を超えるだろう。
釣られるように私が抱いていたコッコちゃんも手から離れてものすごい勢いで餌を食べ始めた。
「……コッコちゃんもいまや大家族だね」
「コケコッコー!」
コッコちゃんを城内で飼う事はストレスになるかもしれないために出来なかったけれど、特別にこの庭園で自由に放す許可がもらえた。
この広さで一羽ではかわいそうなので、もう数羽連れて来てもらったのだけど、気付けばこの大所帯となっているのだから驚きだ。
まさか、数年でここまで家族を作っているとは……コッコちゃんは凄い。
「さて……私も彼の元に戻らないと。またねみんな」
「ココー!」「コケ」
日課である畑への水やりも終え、大きく伸びをしながら私は空を見上げる。
今日も……いつも通りの幸せな日々だ。やりたい事をして、楽しく過ごそう。
まずは、なにをしようかな。
「おかさん! ここいた!」
考えていた時に可愛らしい声が聞こえて、思わず微笑んでしまう。
私の天使が、探しに来てくれたみたいだ。
「おはよう……リルレット」
笑いながら……私に抱きついた娘が産まれるまでの日々を思い出す。
シルウィオと仲を深めていった記憶を……
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