【完結】婚約破棄された私が惨めだと笑われている?馬鹿にされているのは本当に私ですか?

なか

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最終話ー共にー

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「ソフィア…準備はできたかい?」

「はい、父様!」


「シュルクはどうだい?」

「俺も……父さん……できましたよ」


私とシュルクは結婚式の衣装に着替えて
ワイアット父様はカメラを構えて、屋敷の庭で写真を撮ろうとしていた
あの日、式は台無しになってしまった

改めて式を上げようとしたが
3人でも構わないと思い
私達だけの結婚式を開く事にした


「シュルク、ここはソフィアを抱き上げてもいいかもしれないぞ」

「と……父さん……恥ずかしいんだけど」

「ソフィアもそれでいいかな?」

「う、うん…シュルク…重いかもだけどいい?」

「お。重い訳ないよ……」

シュルクは照れながらも私に手を伸ばした
私も顔を赤くしながら、体を寄せるとふわりと浮かび上がるように
抱き上げられた

「軽いぐらいだよ」

「も……シュルク……」


パシャッ!!


「いい顔だったな、ソフィア!」

「父様も!撮るときは言ってよ!」

「ははは!!もう一枚!ほら2人とも笑って」

私はシュルクの首元に抱きつくと
シュルクは力強く私を支えてくれた


再び撮ってもらった私達の顔は幸せそうに笑っていた


「ぐ……いい顔だ…2人とも……」

父様は目元を抑え、涙を流していた
最近は涙もろくなったようで……今日も一緒に朝食をとっただけで泣いてしまうのだ


「もう、また父様は」

「仕方ないだろう…これ以上嬉しいことはないのだから……」

「父さん、一緒に撮ろう」

「うん、父様も!」

私とシュルクが父様に腕を引き寄せる

「こ、こら!父さん涙が止まらないから!!」


笑い合っていると、1人の使用人が小走りでこちらへやって来た


「ソ、ソフィア様……今、少しよろしいでしょうか?」

「え、ええ……大丈夫ですよ」

使用人は手に持っていた一輪の花と、紙を渡してきた

「これを……さきほど玄関で……見知らぬ方がソフィア様にどうしても届けてほしいと」


花を受け取る

「ガーベラ?」

渡された花は真っ白なガーベラが一輪

「ソフィアが好きな花だったか?」

シュルクの問いかけに頷く

「けど…どなたから……」

花と共に渡された、二つ折りされた紙を開く




・一輪ですまない・




ただその一言が書かれていた


「これは……」





















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

幼き頃の想い出


「お前がソフィアか!!」

「は……はい……」

「俺はデイモンド!!お前の婚約者だ!」

「…………わかり……ました」


シュルクと共に歩めないと知った私こ落ち込んだ返事に
デイモンド様は少し不満そうにしながら私に問いかけた


「……お前……好きな花はあるか?」

「好きな花ですか?……白い…ガーベラが」

「なら!お前の結婚式には真っ白なガーベラを沢山用意してやる!!どうだ嬉しいか」

その元気な声に
こちらも元気が出たのは確かだった
思わず笑ってしまう

「ふふ…そうですね…お願い致します。」


彼との
優しかった想い出はこれしかない
だけど


でも






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「覚えていて…くれたんですね」

「ソフィア…これは……知っている方から?」

「………ええ…私達の幸せを祈ってくれている方からです。」


私はガーベラを持ちながらカメラの前にいく

「父様、シュルク…一緒に撮りましょう!!」


笑って言った私に
2人は少し顔を見合わせながらも
何かに納得したように、私の隣に来てくれた





使用人の方に、写真を撮ってもらう




「よろしいですか?」



「ええ、シュルク、父様」

「?」

「私ね、2人とも…大好きだよ!これからも…ずっとずっと!」


私の言葉と共にシャッター音が鳴る

その写真は幸せそうに笑う3人と
真っ白なガーベラが映し出され
幸せを彩った


きっとこの記憶は増えていく
幸せはずっとずっと


私達はこれからも





だから




あなたも


















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



とある国の
とある農村で
その2人は静かに過ごしていた


「ふぅ………ここの生活も悪くないわね」

「そうだな……」

「怪我の具合はどう?」

「もう動ける…働けるさ」

俺の言葉に、目の前の女性は心配そうな表情を見せた

「本当に~?貴族の坊ちゃんが平民の仕事なんかできるのかな?」

からかうような口調の彼女に苦笑しながらも
俺は頷いた

「もちろん、頼ってられないからな」

「そう、無理しないでね」

笑う彼女の腕を掴み、引き寄せ
唇を合わせた

いきなりだが、こうした時の彼女は普段の様子とは違い
顔を真っ赤に染める
そんな姿が愛おしい

「な!?いきなりはやめろって言ったろ?」

「ごめん、急にな」

「ったく」

「なぁ……良かったのか?俺と一緒で……お前なら他の貴族とも仲良くできただろう?」

「別に……それとも他の男に取られてほしいの?」

「そ、そういう訳じゃないが………そういえば!?」

「どうしたの?」

今更気づいた、俺が昔着ていた服を取り出し懐を探る
あった

最後にねだられていた……渡そうと思って持っていたのだ
かなり高価な指輪

それを、目の前の彼女に渡す


「!?……これって」

「持っていたのを忘れていたよ……これは元より君に渡す物だったんだ…売っても問題ない」

「馬鹿、何言ってるのよ!金に変えられない物ってあるのよ!」

彼女はそう言って、左手を差し伸べる

「いいのか?これを売れば……かなりの金になるんだぞ?」

「いいのよ、金が欲しければあんたと一緒にいないわよ」


そのはっきりとした言葉に笑いながら俺は彼女の指に指輪を嵌める
ピッタリと薬指にはまったその指輪を彼女は愛おしそうに見つめた


「ずっと一緒にいてくれるか?ロミエ」

「もちろん、愛してるわよデイモンド…」

俺たちは唇を再び合わせた





決してこの先、裕福な生活ではないだろう

だが、俺は



この日々が、なにより幸せだ

彼女の言葉は全て、真実だから


俺を…この世で唯一愛してくれるから















とある国のとある農村の

とある夫婦


彼らは一生、離れずに暮らした


























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感想 11

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みんなの感想(11件)

エステル
2021.12.30 エステル
ネタバレ含む
2021.12.30 なか

ご感想ありがとうございます!
(*´ω`*)

使用人として育てても良かったのかもしれません、言い方が悪いですが王としては入れ替えて自分の娘には淑女教育を受けさせたかった

エステルさんの仰る通り、様々な穴もある作品です
設定を増やせば穴が増え、それを塞ぐようにストーリーを作っていくのですが
作品がだれてしまうのを恐れて完全に穴を塞ぐ事ができておりませんでした
私の力量不足を感じております

また、色々な着眼点があるのだと
エステルさんの感想で気づくことが出来ました
これからの作品作りに活かします!
読んでいただき嬉しいです(≧▽≦)

解除
ulalume
2021.12.25 ulalume
ネタバレ含む
2021.12.25 なか

ご感想ありがとうございます!

こちらこそ読んでいただき嬉しいです
この作品の登場人物は裏がある発言ばかりをしているのですが
実は裏表もなく純粋に話しているのはデイモンドだったり…しますw

そんな真っ直ぐな彼だからこその最後
主人公は1人では無いかもしれません
読み返していただけて嬉しいです(≧ω≦)

解除
るび
2021.12.24 るび
ネタバレ含む
2021.12.24 なか

こちらの作品も読んでいただきありがとうございます(*´ω`*)

そう言っていただけて嬉しい!
出だしはなかなか目新しくできないのですが、少しづつお話を深くしていけました!
読み終わった後に、この作品を読んで良かったと思って頂けるように
これからも書いていきます!!


こちらこそ、ありがとうございます!
良い日になるように!
メリークリスマス!!です٩(ˊᗜˋ*)و

解除

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