【完結】婚約破棄された私が惨めだと笑われている?馬鹿にされているのは本当に私ですか?

なか

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15話

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「な、何を言っているのですか?」

動揺した声を上げたのはソフィアであった
信じられないというように
前に出るが、シュルクに引き留められる

「父様!ウソですよね!?私はずっと父様の娘だと…」

「………………すまない…ソフィア」

ワイアットの謝罪の言葉にサイレス王子が言った事が真実なのだと

ソフィアは悟り、膝をつき崩れ落ちる

「ソフィア、大丈夫か」

シュルクが支えるが、受け入れられない突然の真実にソフィアは動揺していた

「な、何を言っているのだ!!説明しろ!!ワイアット!!」


ディランはナイフを向けながら叫ぶが
ワイアット自身もソフィアの動揺ぶりを見て
落ち込むようにうつむいていた

「彼に説明させるのは酷だね……僕が説明しよう…」

サイレスは言葉を続ける

「現王は貴族の令嬢と結婚をした、間に生まれたのが純血の血筋となる僕だ」

「そ、それがどうしたのだ」

「だが、現王と令嬢の結婚は政略だ…王族の権威を保つため当時の二人は結婚するしかなかった…だが、現王には別に愛する人がいたんだ、それが使用人でありただの平民だった女性」

「ま、まさか…」

「そう、その使用人と現王の間に生まれた子供がソフィア…君なんだよ」

サイレスに見つめられて
ソフィアは顔を上げる………

「どうして……父様…なぜ言ってくれなかったのですか?」

「すまない、言えなかったんだ…知られればお前が狙われてしまう…」

「ワイアットの言う通り……国の貴族達からすれば使用人との子供といっても王族なのは間違いない…どんな手を使ってでも手に入れたいと願う者もいるだろう…使用人の子供など後ろ盾もない…」

「それで…私を…」

「そう、正確には君とシュルクだ」

「俺が…?」

驚いたシュルクにサイレスは頷く

「同時期に生まれたワイアットの子供…それが君だシュルク…現王は君とソフィアを入れ替えた…シュルクは孤児だと偽わらせてね」

「そんな…じゃあワイアット様は…俺の…父親?」

「そうだ、お前にもずっと噓をついてきた…すまない…シュルク」


ワイアットはうなだれながら謝罪する
シュルクもこの事実に頭の整理が追い付かずに……立ち尽くす


「シュルク、ソフィア…ワイアットは悪くない、全ては王族の責任だ、すまない…現王はもう亡くなってしまう、僕が事実を伝えたのは王として君たちを守ると決めたからだ……それまでワイアットには黙っていてもらった」

「……」「…私は…」



動揺する2人は言葉を出せなかった

その静寂をかき消すように、ディランは笑い出す

「ははは!!!とんだ喜劇だ!なら、僕たちはわざわざ穢れた血筋のソフィアを求めていたのか?もう純血の令嬢などいない…子を産める純血が居ないというのに!」

ディランの言葉にサイレスは少し怒りを見せるかのように睨みつける

「言葉に気を付けろ、元より貴族に青い血など流れていない、穢れた血など存在しないのだ」

「うるさい!もはや純血を…清き血が残せないのならこの世に未練などない!!」



ディランは懐からもう一つ、ナイフを取り出すと
それをデイモンドの前に投げる

鉄の音が鳴り響き、デイモンドの足元に転がる


「デイモンド…そこにいるソフィアとシュルクを殺せ、今までキュベレイ家を欺いてきた者どもだ…」

「よせ!!何を言っている!?ディラン!!」

「うるさい!!ワイアット!!動くな!ソフィアとシュルクよお前たちが逃げ出せばワイアットを殺す!!」


「正気か?ディラン!!」

アレキシスの言葉にディランはまるで聞く耳を持たずに
血走った目で叫ぶ


「殺れぇぇぇ!!!!!!デイモンドォォ!!!」


その叫びを聞いたデイモンドは
ただ無表情で足元に転がるナイフを手に取った

















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






俺は…なぜこんな場所にいるんだ

手に持つナイフを見つめる
白銀に輝くナイフは自分の顔を映し出した

酷い顔だ、傷だらけで
ズキズキと痛みを今でも感じる
殴られてわかった


俺が今までしてきたことを



目の前にいるソフィアとシュルクは
整理できない真実を知ってもなお、シュルクはソフィアの前に立ち、守ろうとしていた
ソフィアも彼に身を預けている



俺は…


ナイフを構え歩き出す



俺は…ただ愛する人と一緒に
けどもう遅い


「デイモンド」

サイレス王子が俺に声をかける
その落ち着いた声色に
ゆっくりと振りむいた


「お前は変わらなかった…他国に行ってもな…変わるなら今じゃないのか?」


「サイレス王子…」



変わる?遅いだろ
もう俺たちキュベレイ家は全員が死罪のようなものだ
後戻りもできない


だから



ナイフを振り上げ、歩きだす

シュルクが前に出るが







俺は踵を返し、走る


変わるなら今しかないからだ






走り出した俺は…ナイフを振り下ろす
真っ赤な鮮血が顔に飛び散る
ナイフの白銀の刃先は真っ赤に染まって、悲鳴のような叫び声が上がる


目の前には流れ出る血を抑えながら
信じられないといった顔をしている
父様……いや、狂った男…ディランがいた


「なっ!?デ…デイモ…ンド!?」


「なぁ…父様あんたの血は青くなかったな」


俺の呟きは父様の叫びにかき消されていった
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