14 / 19
14話
しおりを挟む
「父様、どうですか!」
嬉しそうに純白のドレスを身につけたソフィアは父であるワイアットの前で
子供のようにはしゃいでいる
ドレスを見せるように回り、ワイアットの言葉を待っていた
「ぐ……ふぐ…」
「父様!?なんで泣いてるの!?」
「う、嬉しいんだ…ソフィアがこうして笑って…シュルクと幸せになれる事が……ずっと夢見ていたことが現実になったんだ」
「父様………………ありがとう、私ね……父様も大好きだよ」
「あぁ……あぁ……父さんもお前が大好きだ…幸せにな」
「もう、まるで居なくなるみたいに……」
「………………さぁ、ソフィア…式がはじまるよ、準備しようか」
「うん!」
ソフィアとワイアットが腕を組み
歩き出す
式場へ
シュルクの待つ場所へと
「なぁ、ソフィア…」
「どうしたの?父様」
「この式が終わっても…父さんを……父と呼んでくれるか?」
「もう!何言ってるの?結婚前に不安になってるんでしょ?」
「ははは、そうかもな…さぁこの先だ」
ソフィア達は扉の前に立つ
この先にはすでに大勢の貴族達が結婚を祝うために出席して待っている
そして、新郎であるシュルクも
「いこうか、ソフィア」
「うん、父様」
扉が開き
ワイアットとソフィアは前に進む
大勢の貴族達が祝福の声をかける
その中にはアレキシスも微笑み見守っていた
笑顔と、祝いの言葉に包まれながら前に進む
その先には緊張した様子のシュルクが待っていた
だが、ソフィアと目を合わせると
互いに微笑み合う
「さぁ、シュルクの元に」
「はい」
ソフィアはワイアットと組んでいた腕を離し
前に進んでいく
その姿に父親として
ようやく娘を幸せにできたことが
ワイアットは嬉しく、また涙を浮かべてしまった
「おめでとう…ソフィア…」
ソフィアとシュルク
寄り添い微笑み合う2人に
ワイアットが祝福の声をかけた
瞬間
声が響いた
「皆様!!本日は式に来てくださりありがとうございます!!」
その声には誰もが振り向いた
来ると思っていなかった人物が、そこにはいた
キュベレイ公爵家の当主、ディラン・キュベレイが笑いながら会場に入ってくる
その後ろには妻であるレイチェル
そして、顔に血の染みた包帯を巻いたデイモンドがよろよろと続いた
「なんだあれは…」「デイモンドか?」
「傷だらけだぞ」
貴族達は動揺している中
アレキシス公爵だけが立ち上がり
ディランを睨む
「ディラン殿、今は式の途中です…何用ですか?」
「何用?アレキシス殿はなにを言っているのですか?この式は我が息子のデイモンドとソフィアの結婚ではありませんか!」
「は?」
その返答にアレキシスは理解が出来なかった
「何を言っているのですか」
「だから、ソフィアと結婚をするのはデイモンドだといっているだろう?」
「ふざけないでください!ディラン殿!!」
ワイアットは激昂してディランへと詰め寄る
娘の晴れ舞台を壊すような振る舞いに我慢ができずにディランへ掴みかかるが
「ふざけてなどいない!!」
ディランは懐からナイフを取り出し
ワイアットの首元に当てる
冷たい刃がひたりとワイアットの首筋に当たった
「おい、うそだろ」「何をしてる!」
他貴族達が怒りながら立ち上がり
止めにかかるが
「邪魔しないで!!!」
ディランの妻であるレイチェルが同じく刃物を振り回し
近づくことができない
「父様!!」「ワイアット様!!」
シュルクとソフィアが駆けだすが、その前に包帯を巻いたデイモンドが立ちはだかる
その瞳はうつろで、ぼんやりと2人を見つめていた
「デイモンド様…そこをどいてください」
「ソフィア…できない…おれは」
「どいて!お父様が!!」
叫んだソフィア
シュルクは拳を握り、デイモンドへと駆け出したが
「止まれぇ!!この場にいる者が動けばワイアットを殺す!!」
ディランの声が響き
皆の動きが止まる
「気が狂ったか…ディラン…」
「ワイアット
こんな手を使いたくなかったよ、お前が賢明な判断をしていればな…」
「ぐ……ふざけるな…」
「ふざけてなどいないさ…デイモンド…ソフィアを連れてこい」
ディランの声に
デイモンドは頷き前に進む
「ディラン殿、どうする気ですかな?こんな事をしてタダで済むはずがない…爵位も剝奪される…今すぐ止めるんだ」
アレキシスの言葉にディランは笑い出す
「ははは!!もはや爵位など関係ないソフィアを連れて逃げ…どこか遠い地で子供でも孕ませるのだ!清き貴族の純血さえ産めば…キュベレイ家は滅びないさ!」
「ふざけるな…」
狂っている
アレキシスの予想以上に
目の前の男は狂っている
もっと早く手を打てばと…後悔をしたがそんな事は考えている暇はない
なにか手はないかとアレキシスが考えるが、デイモンドはゆっくりとソフィアへと歩み寄る
「ソフィア…後ろに」
シュルクがデイモンドの前に立つ
お互いの視線が交差し、動きを止める
「デイモンド殿…あなたは本当にこんな事を望んでいるのか?」
「………………」
シュルクの言葉にデイモンドは黙っていた
「早くしろ、デイモンド」
「逃げなさい!ソフィア…私の事はいい!!」
「うるさい、ワイアット!!黙っていろ!純血を保つ事もできない愚図が!」
ディランが叫んだ時
もう1人の人物が、式場へやって来た
「いや、ディラン公爵……もう貴族の純血は絶えるさ」
アレキシスが顔を上げる
その場にいないと思っていた人物が会場にやってきたのだ
「サイレス………王子……」
「なにやら物騒な事をしているね」
サイレス王子はこの状況を気にする様子もなく
ディラン達の前へと進んでいく
「サイレス王子……一体どういうことですか?純血が保てない?ふざけた事を……ワイアットは純血の令嬢との間に子を持ちました…それがソフィアのはず」
「もう、話してもいいだろう?ワイアット……これまでよくぞ隠してくれた」
「サイレス王子………………」
サイレスの言葉に、ワイアットは何かを諦めたように頷いた
「な、何を隠していたのだ……」
「ソフィアは純血ではないさ………………いやそれよりも………………」
サイレスは笑顔のまま
淡々と言葉を続けた
「ワイアット・クラリス男爵の娘でもないのだから」
嬉しそうに純白のドレスを身につけたソフィアは父であるワイアットの前で
子供のようにはしゃいでいる
ドレスを見せるように回り、ワイアットの言葉を待っていた
「ぐ……ふぐ…」
「父様!?なんで泣いてるの!?」
「う、嬉しいんだ…ソフィアがこうして笑って…シュルクと幸せになれる事が……ずっと夢見ていたことが現実になったんだ」
「父様………………ありがとう、私ね……父様も大好きだよ」
「あぁ……あぁ……父さんもお前が大好きだ…幸せにな」
「もう、まるで居なくなるみたいに……」
「………………さぁ、ソフィア…式がはじまるよ、準備しようか」
「うん!」
ソフィアとワイアットが腕を組み
歩き出す
式場へ
シュルクの待つ場所へと
「なぁ、ソフィア…」
「どうしたの?父様」
「この式が終わっても…父さんを……父と呼んでくれるか?」
「もう!何言ってるの?結婚前に不安になってるんでしょ?」
「ははは、そうかもな…さぁこの先だ」
ソフィア達は扉の前に立つ
この先にはすでに大勢の貴族達が結婚を祝うために出席して待っている
そして、新郎であるシュルクも
「いこうか、ソフィア」
「うん、父様」
扉が開き
ワイアットとソフィアは前に進む
大勢の貴族達が祝福の声をかける
その中にはアレキシスも微笑み見守っていた
笑顔と、祝いの言葉に包まれながら前に進む
その先には緊張した様子のシュルクが待っていた
だが、ソフィアと目を合わせると
互いに微笑み合う
「さぁ、シュルクの元に」
「はい」
ソフィアはワイアットと組んでいた腕を離し
前に進んでいく
その姿に父親として
ようやく娘を幸せにできたことが
ワイアットは嬉しく、また涙を浮かべてしまった
「おめでとう…ソフィア…」
ソフィアとシュルク
寄り添い微笑み合う2人に
ワイアットが祝福の声をかけた
瞬間
声が響いた
「皆様!!本日は式に来てくださりありがとうございます!!」
その声には誰もが振り向いた
来ると思っていなかった人物が、そこにはいた
キュベレイ公爵家の当主、ディラン・キュベレイが笑いながら会場に入ってくる
その後ろには妻であるレイチェル
そして、顔に血の染みた包帯を巻いたデイモンドがよろよろと続いた
「なんだあれは…」「デイモンドか?」
「傷だらけだぞ」
貴族達は動揺している中
アレキシス公爵だけが立ち上がり
ディランを睨む
「ディラン殿、今は式の途中です…何用ですか?」
「何用?アレキシス殿はなにを言っているのですか?この式は我が息子のデイモンドとソフィアの結婚ではありませんか!」
「は?」
その返答にアレキシスは理解が出来なかった
「何を言っているのですか」
「だから、ソフィアと結婚をするのはデイモンドだといっているだろう?」
「ふざけないでください!ディラン殿!!」
ワイアットは激昂してディランへと詰め寄る
娘の晴れ舞台を壊すような振る舞いに我慢ができずにディランへ掴みかかるが
「ふざけてなどいない!!」
ディランは懐からナイフを取り出し
ワイアットの首元に当てる
冷たい刃がひたりとワイアットの首筋に当たった
「おい、うそだろ」「何をしてる!」
他貴族達が怒りながら立ち上がり
止めにかかるが
「邪魔しないで!!!」
ディランの妻であるレイチェルが同じく刃物を振り回し
近づくことができない
「父様!!」「ワイアット様!!」
シュルクとソフィアが駆けだすが、その前に包帯を巻いたデイモンドが立ちはだかる
その瞳はうつろで、ぼんやりと2人を見つめていた
「デイモンド様…そこをどいてください」
「ソフィア…できない…おれは」
「どいて!お父様が!!」
叫んだソフィア
シュルクは拳を握り、デイモンドへと駆け出したが
「止まれぇ!!この場にいる者が動けばワイアットを殺す!!」
ディランの声が響き
皆の動きが止まる
「気が狂ったか…ディラン…」
「ワイアット
こんな手を使いたくなかったよ、お前が賢明な判断をしていればな…」
「ぐ……ふざけるな…」
「ふざけてなどいないさ…デイモンド…ソフィアを連れてこい」
ディランの声に
デイモンドは頷き前に進む
「ディラン殿、どうする気ですかな?こんな事をしてタダで済むはずがない…爵位も剝奪される…今すぐ止めるんだ」
アレキシスの言葉にディランは笑い出す
「ははは!!もはや爵位など関係ないソフィアを連れて逃げ…どこか遠い地で子供でも孕ませるのだ!清き貴族の純血さえ産めば…キュベレイ家は滅びないさ!」
「ふざけるな…」
狂っている
アレキシスの予想以上に
目の前の男は狂っている
もっと早く手を打てばと…後悔をしたがそんな事は考えている暇はない
なにか手はないかとアレキシスが考えるが、デイモンドはゆっくりとソフィアへと歩み寄る
「ソフィア…後ろに」
シュルクがデイモンドの前に立つ
お互いの視線が交差し、動きを止める
「デイモンド殿…あなたは本当にこんな事を望んでいるのか?」
「………………」
シュルクの言葉にデイモンドは黙っていた
「早くしろ、デイモンド」
「逃げなさい!ソフィア…私の事はいい!!」
「うるさい、ワイアット!!黙っていろ!純血を保つ事もできない愚図が!」
ディランが叫んだ時
もう1人の人物が、式場へやって来た
「いや、ディラン公爵……もう貴族の純血は絶えるさ」
アレキシスが顔を上げる
その場にいないと思っていた人物が会場にやってきたのだ
「サイレス………王子……」
「なにやら物騒な事をしているね」
サイレス王子はこの状況を気にする様子もなく
ディラン達の前へと進んでいく
「サイレス王子……一体どういうことですか?純血が保てない?ふざけた事を……ワイアットは純血の令嬢との間に子を持ちました…それがソフィアのはず」
「もう、話してもいいだろう?ワイアット……これまでよくぞ隠してくれた」
「サイレス王子………………」
サイレスの言葉に、ワイアットは何かを諦めたように頷いた
「な、何を隠していたのだ……」
「ソフィアは純血ではないさ………………いやそれよりも………………」
サイレスは笑顔のまま
淡々と言葉を続けた
「ワイアット・クラリス男爵の娘でもないのだから」
404
お気に入りに追加
2,029
あなたにおすすめの小説

妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~
ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された
「理由はどういったことなのでしょうか?」
「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」
悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる
それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。
腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。

虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アニカは、妹と違い婚約者がいなかった。
妹レモノは侯爵令息との婚約が決まり、私を見下すようになる。
その後……私はレモノの嘘によって、家族から虐げられていた。
家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。
ジェイドは私を心配して、守るから耐える必要はないと言ってくれる。
耐える必要がなくなった私は、家族に反撃します。

婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。
アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。
もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。

【完結】恋人にしたい人と結婚したい人とは別だよね?―――激しく同意するので別れましょう
冬馬亮
恋愛
「恋人にしたい人と結婚したい人とは別だよね?」
セシリエの婚約者、イアーゴはそう言った。
少し離れた後ろの席で、婚約者にその台詞を聞かれているとも知らずに。
※たぶん全部で15〜20話くらいの予定です。
さくさく進みます。

婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる