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12話
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「助かりました、アレキシス殿」
ワイアットが頭を下げる
「いえ、クラリス家に用があり立ち寄ったのですが、まさかディラン公爵が来ているとは」
「用ですか?一体なにが?」
アレキシスは頷きながら
ソフィアの前に歩み寄り
片膝をつく
「ソフィア、実は君に用があってきたんだ」
「わ、私にですか?」
「あぁ」
アレキシスは笑みを見せながら
ソフィアの腕に触れる
「僕と結婚してくれないか?ソフィア」
「え!?」
「デイモンドがいない時の働きぶり、そしてその強い心に僕は強く惹かれたんだ……だからお願いだ」
アレキシスが、ソフィアの手に口付けをしようとした瞬間
シュルクがソフィアを引っ張り抱き寄せる
「きゃ…」
「ダメだ」
シュルクはアレキシスを睨むように見つめるが
対する彼はまるで分かっていたかのように笑みを浮かべたままだ
「ダメだとはどういう意味ですかな?君とソフィアの関係を知りたいのだが?」
「それは……」「シュルク……?」
ごくりと、シュルクは何かを決意したかのように
ソフィアを強く抱きしめ
口付けを交わす
「ん……」
「……もう、誰にもソフィアを渡したくない…ようやく昔のトラウマに反抗できたんだ……ずっと俺の隣にいてくれるか?」
「!?……シュルク……もちろん…ずっと待ってたんだよそう言ってくれるのを……私はデイモンドから逃げ出してでもあなたと一緒にいたかったの……」
「ごめん、待たせて…」
「ううん…もういいよ」
見つめう二人の横で「はぁ…」とアレキシスは大きなため息をつき
笑い出した
「全く、これじゃあ手の出しようがないな」
「すいません、アレキシス様…結婚の申し出についてですが……」
「いや、全部言わなくてもいいよ……もうわかった……シュルクと言ったね?……これを」
アレキシスはシュルクにとある物を手渡した
それはキラキラと輝きを放つ宝石で、とても高価なものだと一目でわかる物だ
「!?、これは…いただけませんよ」
「いや、いいんだ、元より結婚が決まれば渡そうと思っていた物だ、何か好きなジュエリーにでも加工してくれ」
「……アレキシス様……ありがとうございます!」
「僕が諦めたんだ…シュルクこの意味がわかるか?」
「必ず……ソフィアを守り、幸せにします」
「あぁ、頼んだよシュルク……」
アレキシスは笑顔のまま部屋を出ていく
「あの!アレキシス様……」
ソフィアの呼びかけに、アレキシスは立ち止まった
「その……きっとアレキシス様が色々な事を助けてくれて……私は自由になれました……こんな事しか言えませんが………………ありがとうございます!!」
「……あぁ、幸せにね」
アレキシスは振り返らずに
ただ手だけを振って屋敷から出ていくのであった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ…」
馬車に乗り込んで座ったと同時に
思わずため息を吐いてしまう
自分でおもうよりもショックを受けていたみたいだ
だが、彼女とシュルクが見つめ合う姿に……
嫉妬ではなく、嬉しさが沸いたのだ
彼女が幸せそうに笑っていた姿が素直に嬉しかった
彼女の無表情の姿しか見たことはなかったから
僕の隣ではあの笑顔は見れなかっただろう
「ずいぶん落ち込んでいますね?アレキシスさん?」
からかうような声をかけられる
共に馬車に乗り
走る振動に揺れる女性の姿
「からかうな、ロミエ」
彼女はキュベレイ家から持ち出してきた
きらびやかな宝石に囲まれながら笑っていた
デイモンドが殴られ、ディランがクラリス家に向かった事を報告したのは彼女だ
だからこそ、最悪の展開は避けることができた
「まさか振られたんですか?私を雇ってまでデイモンドと婚約破棄させたのに」
「はぁ…あまり大声で言うな……」
「あら?ごめんなさい…でも変わってますね……盗賊だった私を雇ってまで一緒になりたい恋仲なんて」
「それだけ手に入れたかったのだ……それに貴族同士は蹴落とし、だまし合う関係だ……こうして陰で暗躍するなどよくあることだ」
「ふ~ん……私には分かりませんね、ただお金があって生きていければそれだけでいいんだし」
「その方がよっぽど純粋さ……だからこそソフィアと僕は結ばれなくて良かったのかもな……あの子を醜い貴族同士の争いに巻き込みたくない」
「まぁ、これで私の仕事は終わりですかね?」
「あぁ、好きに生きるといい……キュベレイ家にも戻れないだろうしな……他国に行くのなら手配するが?」
彼女は少しだけ考えこんでいた
だが、手に持つ宝石を見つめてポツリと呟く
「デイモンド……あの子……私の事本当に好きだったのかな?」
「それは、僕にはわからないな」
「正直さ、印象は最悪だよ?あのソフィアって子に暴力してたんでしょ?有り得ないよね」
「そうだな、考えられん」
「けどさ」
ーロミエ!!逃げろ!!ー
(あいつ、自分が危ないのに私の事助けたんだよね……)
「どうした?もしキュベレイ家に見つかるのが嫌なら他国へ行くか?」
「いや……もう少しだけこの国にいるよ……ちょっとだけゆっくりしようかな」
笑顔で宝石を見つめるロミエに
どこか寂しげな雰囲気を感じた
ワイアットが頭を下げる
「いえ、クラリス家に用があり立ち寄ったのですが、まさかディラン公爵が来ているとは」
「用ですか?一体なにが?」
アレキシスは頷きながら
ソフィアの前に歩み寄り
片膝をつく
「ソフィア、実は君に用があってきたんだ」
「わ、私にですか?」
「あぁ」
アレキシスは笑みを見せながら
ソフィアの腕に触れる
「僕と結婚してくれないか?ソフィア」
「え!?」
「デイモンドがいない時の働きぶり、そしてその強い心に僕は強く惹かれたんだ……だからお願いだ」
アレキシスが、ソフィアの手に口付けをしようとした瞬間
シュルクがソフィアを引っ張り抱き寄せる
「きゃ…」
「ダメだ」
シュルクはアレキシスを睨むように見つめるが
対する彼はまるで分かっていたかのように笑みを浮かべたままだ
「ダメだとはどういう意味ですかな?君とソフィアの関係を知りたいのだが?」
「それは……」「シュルク……?」
ごくりと、シュルクは何かを決意したかのように
ソフィアを強く抱きしめ
口付けを交わす
「ん……」
「……もう、誰にもソフィアを渡したくない…ようやく昔のトラウマに反抗できたんだ……ずっと俺の隣にいてくれるか?」
「!?……シュルク……もちろん…ずっと待ってたんだよそう言ってくれるのを……私はデイモンドから逃げ出してでもあなたと一緒にいたかったの……」
「ごめん、待たせて…」
「ううん…もういいよ」
見つめう二人の横で「はぁ…」とアレキシスは大きなため息をつき
笑い出した
「全く、これじゃあ手の出しようがないな」
「すいません、アレキシス様…結婚の申し出についてですが……」
「いや、全部言わなくてもいいよ……もうわかった……シュルクと言ったね?……これを」
アレキシスはシュルクにとある物を手渡した
それはキラキラと輝きを放つ宝石で、とても高価なものだと一目でわかる物だ
「!?、これは…いただけませんよ」
「いや、いいんだ、元より結婚が決まれば渡そうと思っていた物だ、何か好きなジュエリーにでも加工してくれ」
「……アレキシス様……ありがとうございます!」
「僕が諦めたんだ…シュルクこの意味がわかるか?」
「必ず……ソフィアを守り、幸せにします」
「あぁ、頼んだよシュルク……」
アレキシスは笑顔のまま部屋を出ていく
「あの!アレキシス様……」
ソフィアの呼びかけに、アレキシスは立ち止まった
「その……きっとアレキシス様が色々な事を助けてくれて……私は自由になれました……こんな事しか言えませんが………………ありがとうございます!!」
「……あぁ、幸せにね」
アレキシスは振り返らずに
ただ手だけを振って屋敷から出ていくのであった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ…」
馬車に乗り込んで座ったと同時に
思わずため息を吐いてしまう
自分でおもうよりもショックを受けていたみたいだ
だが、彼女とシュルクが見つめ合う姿に……
嫉妬ではなく、嬉しさが沸いたのだ
彼女が幸せそうに笑っていた姿が素直に嬉しかった
彼女の無表情の姿しか見たことはなかったから
僕の隣ではあの笑顔は見れなかっただろう
「ずいぶん落ち込んでいますね?アレキシスさん?」
からかうような声をかけられる
共に馬車に乗り
走る振動に揺れる女性の姿
「からかうな、ロミエ」
彼女はキュベレイ家から持ち出してきた
きらびやかな宝石に囲まれながら笑っていた
デイモンドが殴られ、ディランがクラリス家に向かった事を報告したのは彼女だ
だからこそ、最悪の展開は避けることができた
「まさか振られたんですか?私を雇ってまでデイモンドと婚約破棄させたのに」
「はぁ…あまり大声で言うな……」
「あら?ごめんなさい…でも変わってますね……盗賊だった私を雇ってまで一緒になりたい恋仲なんて」
「それだけ手に入れたかったのだ……それに貴族同士は蹴落とし、だまし合う関係だ……こうして陰で暗躍するなどよくあることだ」
「ふ~ん……私には分かりませんね、ただお金があって生きていければそれだけでいいんだし」
「その方がよっぽど純粋さ……だからこそソフィアと僕は結ばれなくて良かったのかもな……あの子を醜い貴族同士の争いに巻き込みたくない」
「まぁ、これで私の仕事は終わりですかね?」
「あぁ、好きに生きるといい……キュベレイ家にも戻れないだろうしな……他国に行くのなら手配するが?」
彼女は少しだけ考えこんでいた
だが、手に持つ宝石を見つめてポツリと呟く
「デイモンド……あの子……私の事本当に好きだったのかな?」
「それは、僕にはわからないな」
「正直さ、印象は最悪だよ?あのソフィアって子に暴力してたんでしょ?有り得ないよね」
「そうだな、考えられん」
「けどさ」
ーロミエ!!逃げろ!!ー
(あいつ、自分が危ないのに私の事助けたんだよね……)
「どうした?もしキュベレイ家に見つかるのが嫌なら他国へ行くか?」
「いや……もう少しだけこの国にいるよ……ちょっとだけゆっくりしようかな」
笑顔で宝石を見つめるロミエに
どこか寂しげな雰囲気を感じた
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