【完結】婚約破棄された私が惨めだと笑われている?馬鹿にされているのは本当に私ですか?

なか

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5話

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婚約破棄を宣言してから数日後

キュベレイ公爵家の扉を叩く音が鳴り、使用人が扉を開く

「どなたでしょう…………!?」

扉を開いた使用人はそこにいた人物を見た瞬間、驚いたように表情を変えて
慌てて寝室にいるデイモンドの元に向かう


「デ、デイモンド様!!すぐに出迎える準備をなさってください!!大変です!」

デイモンドは寝台から身体を起こし、横にいる裸で眠るロミエの髪をなでる

「おい、俺たちの部屋に勝手にはいってくるな!」

「!?」

脇にあったガラス製のコップを使用人に向けて投げつける

ガシャンと頭にコップをぶつけられた使用人は頭を下げながら
それでも慌てた様子を崩さずに話す

「すいません!ですが直ぐに準備してください!!」

「なんだ?誰か来たのか?」

「は、はい…実はーーーーー様が…」

使用人が口にした名前を聞いたデイモンドは血相を変えた
そしてすぐさま使用人達に一張羅の服を持ってくるように指示をした









「お、お待たせしました!!」

デイモンドは仰々しく頭を下げる

そこにいた人物は椅子に座ってくつろいでいた、屈強な男を三人護衛につけた人物
恐らく騎士であろう彼らを連れながら、彼は笑顔でデイモンドに手を振る

「いや、いいんだデイモンド……僕も急にきて悪かったね?」

「い、いえ!お越しいただき光栄です…サイレス王子…」


デイモンドの目の前にいた人物
黒く綺麗な長髪を後ろでまとめ、真っ赤な瞳で快活に笑う
まるで少年のようなあどけなさを残した男性

彼はこのアウリス国の王子であり

時期に王となるであろう
サイレス・アウリスだ

普段は王城にいる彼がわざわざ護衛を引き連れてキュベレイ公爵家にやってきた

(なにか問題を起こしただろうか……)

デイモンドは冷や汗を流しながら、顔を上げた

「わざわざ来ていただきありがとうございます。良ければゆっくりとしていてください」

「あぁ、大丈夫だよ……今日は君に確認したいことがあってね?」

「か、確認ですか?何でしょうか?」

サイレスは先ほどまでの笑顔を消して、無表情でデイモンドを見つめた
冷たい空気が部屋に張り詰める
表情一つでここまで雰囲気を変えるサイレスにデイモンドは恐ろしさを感じた

「聞きたいことは、君とソフィアの婚約関係についてだよ」

「は、はい…」

「正直に答えてくれるか?君がソフィアと婚約破棄をした件は…本当かい?」


空気が張り詰める
答えを間違える事は許されないような、サイレスの表情

デイモンドは生唾を飲み込みながら頷く

「はい、その通りですソフィアとの婚約は正式に破談しました」

「………………………………」





無言の時間が流れる
聞こえるのは時計の針が動く音だけであった








空気が冷たく、デイモンドは胸を突き刺されたかのような緊張感で包まれたが




「ぷっ!!!あはははははは!!!!!」




突然、サイレスは笑い出す



「あははは、そうか…やっとか」

「やっと?」

「あぁ、君にソフィアは似合っていないと思ってね、彼女に別れるように言った事もあるんだよ…君から言ってくれて良かった」

その言葉にデイモンドはほっと息を吐く

(アレキシス殿が言っていた破談を望んでいた方はサイレス様だったのか)
彼自身もデイモンドの事を考えてくれていたのだと安堵した

「いやぁ、それは…王子自らありがとうございます……やっぱり俺にはソフィアではふさわしくありませんよね?」

「あぁ、君には全くソフィアは相応しくないな!!!」


驚くほどはっきりと答えるサイレス王子にデイモンドも笑い出したのだった







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