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ローザside
「皆様、少しお話をよろしいでしょうか?」
彼らはデイジーを待つためなのだろうか、寮へと帰る生徒の波から抜けだして校舎の中庭で談笑をしていた、私にとってこれは好機意外のなにものでもない。
私は得意の偽りの笑顔を貼り付けてデイジーの学友達に声をかける、アイザックと呼ばれていた男性は警戒するように言葉を返す。
「ローザ殿、何用だ?」
警戒されている、当たり前だろう…私は彼らを貶めようとしたランドルフと一緒に踊っていたのだから…でもそれはデイジーへの信頼があってこそ、それを覆せば容易に友情は瓦解するだろう。
「先程はランドルフ様が申し訳ありません………それを言いに来たのです」
「それは、デイジーに言うべきよ」
気の強そうな女性………エリザといったか…この女のせいでガーランド講師の意志は崩れてしまった、忌々しく感じるが表情や態度には出さずに笑顔のまま答える。
「もちろんです、でも…それには理由があって……デイジーさんには言えないのです」
「い、言えない?それはどういった理由ですか?」
驚いた、会場ではランドルフに食ってかかった女性………モネという女生徒はあれだけ勇敢に感じたが、素では少し弱気に見える、デイジーのために前に出た…か、余計な勇気だ、私にとっては美談でなく邪魔な存在に変わりない。
「その、デイジーさんのご学友に事情をお話するのは………少し抵抗があるのですが…」
「なによ、そこまで言うのなら最後まで言いなさいよ」
「そうだな、ローザ殿………なによりそれを言いに来たように俺は思うのだが、余計な建前はいい、本音を言ってもらおうか」
エリザとアイザックは強気に答える、私は意を決して声を出すように大袈裟に深呼吸をして緊張を演じながら口を開いた。
「皆様は、デイジーさんがランドルフ様に振られた事は知っておりますか?」
「………」
訪れた沈黙、これは好機でもある…きっと彼らは知らない、私はランドルフ様に教えて頂いたために知っている、王妃教育を受けてなお振られてしまったデイジー、その真実に私が噓を混ぜる、偽に真実味を持たせて真偽をあやふやにすれば、疑心が生まれて彼らは彼女を疑い…自然と彼女から離れていくだろう。
「知らなかったのですね、デイジーさんはランドルフ様と結婚する予定でした………結果として振られてしまいましたがそれには理由があるのです」
私はここぞとばかりに言葉を続けてたたみかかる、考える時間を与えてはならないため。
「理由として、デイジーさんは王家の富と権力だけを見ていたからです…ランドルフ様は彼女を愛しておりましたがデイジーさんは違いました、お金にしか興味がなく、がめつかったために彼に呆れられたのです…現に彼女の装飾品は派手であり、その性格が現れていたでしょう?」
「ローザ殿………その話は………」
「聞いてください、ご質問は最後にお受けします」
信じていたデイジーの裏の顔を聞くのは辛いのか…話を止めたいと思っているのだろう、だが私は平然と嘘を織り交ぜ、彼らの信じるデイジーを貶めていく、もう二度と信じられないように
「振られてしまった彼女が狙ったのは貴方達です、今は仮面を被っておりますが真の狙いは貴方達の家柄や財産なの、その裏の顔を知っているからこそランドルフ様は彼女を止めるために道化を演じて、あのような所業を行っていたのです…高等部三年生まではデイジーさんな大人しい生徒であったのに急に性格が変わったように貴方達に近づいて来たでしょう?………それは貴方達に近づくために被った偽りの性格です」
「………も、もう…止めて…」
「ええ、これ以上は必要ないわ」
「いえ、最後まで言わせてください」
モネとエリザは止めようと声を上げるが、私は構わず話続ける…この好機をみすみす逃す程、私は愚かではない…これで完全にデイジーを信じられなくなった彼らは新たな拠り所を求める、それこそ…美しさと権威を持った私が相応しい。
「まだ間に合います、今すぐに彼女から離れてください…もしお困りの事があれば私が手助けいたします、オルレアン公爵家を代表して貴方達をあの悪女であるデイジーからお守りいたします!」
彼らは身体を震わせている、余程ショックだったのだろう…見ていればかなりデイジーを信頼していた様子であった、そんな彼らに私は笑顔を見せて語りかける。
オルレアン家の珠玉と呼ばれた私の笑顔は、その美しさから皆が安心し…男性であれば一瞬で恋してしまう、女性であっても頬を赤らめる時すらあるのだ、自画自賛となってしまうが…それ程までに私は美しい。
「大丈夫です、私は絶対に貴方達の味方ですから…」
手を差し伸べ、笑顔を浮かべた私に向かって彼らは手を……。
伸ばす事なく、呆れたように首を横に振りため息を吐いた。
「は?」
思わず、猫をかぶっていた私は素の自分を出してしまう、だが彼らはそんな事をお構いなしな様子で語りかける。
「ローザ殿、君は大きな間違いをしている」
「な………アイザック様、一体何を言って……」
「そんな事を…デイジーがするはずがない、俺達は彼女をよく知っているからこそ………そうハッキリと言える…君は大噓つきだとね」
「だから止めてくださいと言ったのです」
「モネに同意、聞いてられない…無駄な時間だったわ」
私を見つめる彼らの瞳には一切の迷いや疑念がなく、偽りの言葉を信じさせる隙がないことに今更ながらに気づいた、これ程の信頼を築いていた事は想定外であった。
いや、見誤ったのだ…今世の美貌に甘えてろくに人付き合いを学ぶ事がなかった、だからこそ他人の信頼度を浅く見繕ってしまっていた。
失策、ランドルフの失敗に焦ってしまった…。
「な……なぜ私の言っている事が嘘だと…そう言えるのですか?」
食い下がるように、私は問いかけた。
無駄な事だと…内心は分かっていたのに。
「皆様、少しお話をよろしいでしょうか?」
彼らはデイジーを待つためなのだろうか、寮へと帰る生徒の波から抜けだして校舎の中庭で談笑をしていた、私にとってこれは好機意外のなにものでもない。
私は得意の偽りの笑顔を貼り付けてデイジーの学友達に声をかける、アイザックと呼ばれていた男性は警戒するように言葉を返す。
「ローザ殿、何用だ?」
警戒されている、当たり前だろう…私は彼らを貶めようとしたランドルフと一緒に踊っていたのだから…でもそれはデイジーへの信頼があってこそ、それを覆せば容易に友情は瓦解するだろう。
「先程はランドルフ様が申し訳ありません………それを言いに来たのです」
「それは、デイジーに言うべきよ」
気の強そうな女性………エリザといったか…この女のせいでガーランド講師の意志は崩れてしまった、忌々しく感じるが表情や態度には出さずに笑顔のまま答える。
「もちろんです、でも…それには理由があって……デイジーさんには言えないのです」
「い、言えない?それはどういった理由ですか?」
驚いた、会場ではランドルフに食ってかかった女性………モネという女生徒はあれだけ勇敢に感じたが、素では少し弱気に見える、デイジーのために前に出た…か、余計な勇気だ、私にとっては美談でなく邪魔な存在に変わりない。
「その、デイジーさんのご学友に事情をお話するのは………少し抵抗があるのですが…」
「なによ、そこまで言うのなら最後まで言いなさいよ」
「そうだな、ローザ殿………なによりそれを言いに来たように俺は思うのだが、余計な建前はいい、本音を言ってもらおうか」
エリザとアイザックは強気に答える、私は意を決して声を出すように大袈裟に深呼吸をして緊張を演じながら口を開いた。
「皆様は、デイジーさんがランドルフ様に振られた事は知っておりますか?」
「………」
訪れた沈黙、これは好機でもある…きっと彼らは知らない、私はランドルフ様に教えて頂いたために知っている、王妃教育を受けてなお振られてしまったデイジー、その真実に私が噓を混ぜる、偽に真実味を持たせて真偽をあやふやにすれば、疑心が生まれて彼らは彼女を疑い…自然と彼女から離れていくだろう。
「知らなかったのですね、デイジーさんはランドルフ様と結婚する予定でした………結果として振られてしまいましたがそれには理由があるのです」
私はここぞとばかりに言葉を続けてたたみかかる、考える時間を与えてはならないため。
「理由として、デイジーさんは王家の富と権力だけを見ていたからです…ランドルフ様は彼女を愛しておりましたがデイジーさんは違いました、お金にしか興味がなく、がめつかったために彼に呆れられたのです…現に彼女の装飾品は派手であり、その性格が現れていたでしょう?」
「ローザ殿………その話は………」
「聞いてください、ご質問は最後にお受けします」
信じていたデイジーの裏の顔を聞くのは辛いのか…話を止めたいと思っているのだろう、だが私は平然と嘘を織り交ぜ、彼らの信じるデイジーを貶めていく、もう二度と信じられないように
「振られてしまった彼女が狙ったのは貴方達です、今は仮面を被っておりますが真の狙いは貴方達の家柄や財産なの、その裏の顔を知っているからこそランドルフ様は彼女を止めるために道化を演じて、あのような所業を行っていたのです…高等部三年生まではデイジーさんな大人しい生徒であったのに急に性格が変わったように貴方達に近づいて来たでしょう?………それは貴方達に近づくために被った偽りの性格です」
「………も、もう…止めて…」
「ええ、これ以上は必要ないわ」
「いえ、最後まで言わせてください」
モネとエリザは止めようと声を上げるが、私は構わず話続ける…この好機をみすみす逃す程、私は愚かではない…これで完全にデイジーを信じられなくなった彼らは新たな拠り所を求める、それこそ…美しさと権威を持った私が相応しい。
「まだ間に合います、今すぐに彼女から離れてください…もしお困りの事があれば私が手助けいたします、オルレアン公爵家を代表して貴方達をあの悪女であるデイジーからお守りいたします!」
彼らは身体を震わせている、余程ショックだったのだろう…見ていればかなりデイジーを信頼していた様子であった、そんな彼らに私は笑顔を見せて語りかける。
オルレアン家の珠玉と呼ばれた私の笑顔は、その美しさから皆が安心し…男性であれば一瞬で恋してしまう、女性であっても頬を赤らめる時すらあるのだ、自画自賛となってしまうが…それ程までに私は美しい。
「大丈夫です、私は絶対に貴方達の味方ですから…」
手を差し伸べ、笑顔を浮かべた私に向かって彼らは手を……。
伸ばす事なく、呆れたように首を横に振りため息を吐いた。
「は?」
思わず、猫をかぶっていた私は素の自分を出してしまう、だが彼らはそんな事をお構いなしな様子で語りかける。
「ローザ殿、君は大きな間違いをしている」
「な………アイザック様、一体何を言って……」
「そんな事を…デイジーがするはずがない、俺達は彼女をよく知っているからこそ………そうハッキリと言える…君は大噓つきだとね」
「だから止めてくださいと言ったのです」
「モネに同意、聞いてられない…無駄な時間だったわ」
私を見つめる彼らの瞳には一切の迷いや疑念がなく、偽りの言葉を信じさせる隙がないことに今更ながらに気づいた、これ程の信頼を築いていた事は想定外であった。
いや、見誤ったのだ…今世の美貌に甘えてろくに人付き合いを学ぶ事がなかった、だからこそ他人の信頼度を浅く見繕ってしまっていた。
失策、ランドルフの失敗に焦ってしまった…。
「な……なぜ私の言っている事が嘘だと…そう言えるのですか?」
食い下がるように、私は問いかけた。
無駄な事だと…内心は分かっていたのに。
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