13 / 75
11
しおりを挟む
「行きましょうか…モネ」
「う、うん!行こうデイジー」
私は少し緊張したモネと共に寮から出て学園へと向かう道を歩く、私が結った髪型を彼女は崩さないように風が吹けば手で抑えている、「大丈夫よ」と言っても折角結ってもらったから大事にしたいと言った彼女に嬉しい気持ちで微笑む。
清々しく、気分が良くなる程の日差しを受けてモネと共に歩く学園までの並木道で風に吹かれて心地よい自然の香りを感じながら私は考える。
私はとある計画を練っている、それは私を王妃から捨てたランドルフ王子さえも巻き込む計画である……それには人が多く必要であった、それも打算的に考えれば爵位の高い人間と仲良くするのが好ましい。
正直に言うと、計画を思えばモネとは仲良くなる必要はなかった……だがそれはあくまでも打算的に考えた場合だ、私の計画と関係なく友達になりたいと素直に思った、助けたいと思った……私は自分が思うほどに冷酷な思考は出来ていないのだろう。
「いい天気だねデイジー……昨日の課題は終わってる?」
「っ……ええ、そうね終わってるわ」
無言で考え事をしていたせいか、モネは気を遣って話題を振ってくれたので慌てて答える。
「デイジー、舞踏会には参加する予定なの?」
「舞踏会……そういえばもう少しで開催でしたね」
モネに言われて思い出す、舞踏会とは学園主催で参加自由のレクリエーション大会であり、生徒達がダンスをして交流を深める会、確か一か月後程に開催されるはず。
「モネは出たいの?」
「………う、うん…今までは出てなかったけど…デイジーとなら出たいな」
素直に頷くモネにそう言われては私も参加を拒否する理由も特にない、ちょうど計画もある、そういった祭事には参加しておいた方が都合がいいかもしれない。
「では参加しましょうかモネ、2人で」
「い!いいの!?嬉しい!……今までエリザにも参加しようって言ったけど彼女は行きたがらなかったから……」
エリザの気持ちも少しだけ分かるかもしれない、学園の祭事という事は王子や公爵家の方々も参加する可能性がある……懇親会のように参加が半強制的でもなければわざわざ自分が肩身の狭い祭事に参加する理由もない。
「でも、今年はあの子も祭事に来ると思いますよ?」
「なんでわかるの?」
「ふふ、勘です」
私が笑いながらそう言うと、モネはプクリと頬を膨らまして「言ってよ!」と明るく言ってくる…そんなやり取りに久しく感じていなかった楽しさを懐かしみながら、共に学園へとモネと共に歩みを進めた。
◇◇◇
ランドルフside
「噓だろ………なんで………」
俺は先程見てしまった光景に思わず呟いてしまう、いじめられるかと思っていたデイジーが誰か知らない学友と共に並木道を歩き、楽しそうに談笑していたのだ。
「くそっ……なんでだ」
完全に目論見が外れた事に苛立ちを隠せず、通りにいる学園生達にわざと肩をぶつけていく、何か言い返そうと俺を見ては固まって下を向く者達を見て少しではあるが溜飲が下がる。
俺の知っているデイジーであればいじめられて孤立し、やがて憔悴して勝手に退学にでもなると思っていた、そうすれば俺が何もせずとも王妃の資格を失って王家の尊厳も守れると思ったのに、結果を見れば先日デイジーを責めていた2人の内、1人と仲良くしているではないか………
俺が彼女の本当の性格を知らなかった?嫌、俺は学園でもデイジーを隠れて監視していた事もある、彼女の性格は俺に対しても表裏がなかった、という事は……懇親会のあの日、別人のように思えたがきっかけを与えた事で吹っ切れたという事か?
「ど…どうする?考えろ………俺」
今更に焦ってしまう、勝手に退学になると思っていた安心感からデイジーを退学に追い込む手段を何も考えていなかった、どんな時もあの公爵家の麗しいローザを考えていたのだ。
性格も変わって、行動も予想もつかなくなっているデイジーに今更ながら恐怖を感じた。
「くそ!くそ!……俺の知っているデイジーじゃないなら、考えも分からない……もしかして奴が考えているのは………ふ、復讐……捨てた俺に怨みを抱えているのでは?」
血の気が引いて青ざめてしまった、この恐怖を振り払うためにも…俺は……
俺は彼女の人生を潰してでも、退学に追い込まないといけない…改めて決意を固めた俺はようやく彼女を退学に追い込むための手段を考える事にした。
◇◇◇
デイジーside
ふふ、ずいぶんと焦っていますね……。
モネとは私から仲良くなりたいと思いましたが思わず副産物です。
「どうかしたの?デイジー」
「いえ、少し羽虫が飛んでいる気がしたのです…」
「暖かくなってきたもんね」
私はチラリと後ろを見ながらランドルフを確認する、昔から監視………いやストーカー癖があるのは知っていたけど、あの頃は愛されていると思い込んでいたけど、今は素直に気持ち悪いと思う。
あれで隠れて見ている気なのだろうか?人混みに紛れているけど人々の視線はごまかせない
生徒達の隙間から青ざめている姿に思わず微笑む……ランドルフの思惑は手に取るように分かる、正妃候補を捨てた事で王家に生まれる不信感を逃れるために私を退学させ、王妃としての資格を失わせるためだろう。
今の状況でもルドウィン家から責を問い、諸侯貴族達に王家への不信感を持たせる事は容易にできただろうが…それでは足りない…私は一回目の人生で捨てられて自死を選ぶまで追い込まれた。
あなたにも…相応の報いを…ランドルフ。
「う、うん!行こうデイジー」
私は少し緊張したモネと共に寮から出て学園へと向かう道を歩く、私が結った髪型を彼女は崩さないように風が吹けば手で抑えている、「大丈夫よ」と言っても折角結ってもらったから大事にしたいと言った彼女に嬉しい気持ちで微笑む。
清々しく、気分が良くなる程の日差しを受けてモネと共に歩く学園までの並木道で風に吹かれて心地よい自然の香りを感じながら私は考える。
私はとある計画を練っている、それは私を王妃から捨てたランドルフ王子さえも巻き込む計画である……それには人が多く必要であった、それも打算的に考えれば爵位の高い人間と仲良くするのが好ましい。
正直に言うと、計画を思えばモネとは仲良くなる必要はなかった……だがそれはあくまでも打算的に考えた場合だ、私の計画と関係なく友達になりたいと素直に思った、助けたいと思った……私は自分が思うほどに冷酷な思考は出来ていないのだろう。
「いい天気だねデイジー……昨日の課題は終わってる?」
「っ……ええ、そうね終わってるわ」
無言で考え事をしていたせいか、モネは気を遣って話題を振ってくれたので慌てて答える。
「デイジー、舞踏会には参加する予定なの?」
「舞踏会……そういえばもう少しで開催でしたね」
モネに言われて思い出す、舞踏会とは学園主催で参加自由のレクリエーション大会であり、生徒達がダンスをして交流を深める会、確か一か月後程に開催されるはず。
「モネは出たいの?」
「………う、うん…今までは出てなかったけど…デイジーとなら出たいな」
素直に頷くモネにそう言われては私も参加を拒否する理由も特にない、ちょうど計画もある、そういった祭事には参加しておいた方が都合がいいかもしれない。
「では参加しましょうかモネ、2人で」
「い!いいの!?嬉しい!……今までエリザにも参加しようって言ったけど彼女は行きたがらなかったから……」
エリザの気持ちも少しだけ分かるかもしれない、学園の祭事という事は王子や公爵家の方々も参加する可能性がある……懇親会のように参加が半強制的でもなければわざわざ自分が肩身の狭い祭事に参加する理由もない。
「でも、今年はあの子も祭事に来ると思いますよ?」
「なんでわかるの?」
「ふふ、勘です」
私が笑いながらそう言うと、モネはプクリと頬を膨らまして「言ってよ!」と明るく言ってくる…そんなやり取りに久しく感じていなかった楽しさを懐かしみながら、共に学園へとモネと共に歩みを進めた。
◇◇◇
ランドルフside
「噓だろ………なんで………」
俺は先程見てしまった光景に思わず呟いてしまう、いじめられるかと思っていたデイジーが誰か知らない学友と共に並木道を歩き、楽しそうに談笑していたのだ。
「くそっ……なんでだ」
完全に目論見が外れた事に苛立ちを隠せず、通りにいる学園生達にわざと肩をぶつけていく、何か言い返そうと俺を見ては固まって下を向く者達を見て少しではあるが溜飲が下がる。
俺の知っているデイジーであればいじめられて孤立し、やがて憔悴して勝手に退学にでもなると思っていた、そうすれば俺が何もせずとも王妃の資格を失って王家の尊厳も守れると思ったのに、結果を見れば先日デイジーを責めていた2人の内、1人と仲良くしているではないか………
俺が彼女の本当の性格を知らなかった?嫌、俺は学園でもデイジーを隠れて監視していた事もある、彼女の性格は俺に対しても表裏がなかった、という事は……懇親会のあの日、別人のように思えたがきっかけを与えた事で吹っ切れたという事か?
「ど…どうする?考えろ………俺」
今更に焦ってしまう、勝手に退学になると思っていた安心感からデイジーを退学に追い込む手段を何も考えていなかった、どんな時もあの公爵家の麗しいローザを考えていたのだ。
性格も変わって、行動も予想もつかなくなっているデイジーに今更ながら恐怖を感じた。
「くそ!くそ!……俺の知っているデイジーじゃないなら、考えも分からない……もしかして奴が考えているのは………ふ、復讐……捨てた俺に怨みを抱えているのでは?」
血の気が引いて青ざめてしまった、この恐怖を振り払うためにも…俺は……
俺は彼女の人生を潰してでも、退学に追い込まないといけない…改めて決意を固めた俺はようやく彼女を退学に追い込むための手段を考える事にした。
◇◇◇
デイジーside
ふふ、ずいぶんと焦っていますね……。
モネとは私から仲良くなりたいと思いましたが思わず副産物です。
「どうかしたの?デイジー」
「いえ、少し羽虫が飛んでいる気がしたのです…」
「暖かくなってきたもんね」
私はチラリと後ろを見ながらランドルフを確認する、昔から監視………いやストーカー癖があるのは知っていたけど、あの頃は愛されていると思い込んでいたけど、今は素直に気持ち悪いと思う。
あれで隠れて見ている気なのだろうか?人混みに紛れているけど人々の視線はごまかせない
生徒達の隙間から青ざめている姿に思わず微笑む……ランドルフの思惑は手に取るように分かる、正妃候補を捨てた事で王家に生まれる不信感を逃れるために私を退学させ、王妃としての資格を失わせるためだろう。
今の状況でもルドウィン家から責を問い、諸侯貴族達に王家への不信感を持たせる事は容易にできただろうが…それでは足りない…私は一回目の人生で捨てられて自死を選ぶまで追い込まれた。
あなたにも…相応の報いを…ランドルフ。
251
お気に入りに追加
5,799
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
【完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。
王冠
恋愛
幼馴染のリュダールと八年前に婚約したティアラ。
友達の延長線だと思っていたけど、それは恋に変化した。
仲睦まじく過ごし、未来を描いて日々幸せに暮らしていた矢先、リュダールと妹のアリーシャの密会現場を発見してしまい…。
書きながらなので、亀更新です。
どうにか完結に持って行きたい。
ゆるふわ設定につき、我慢がならない場合はそっとページをお閉じ下さい。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
アリシアの恋は終わったのです。
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
愛しき我が子に捧ぐ
夜瑠
恋愛
政略結婚だと分かっていた。他に愛する人が居ることも自分が正妻に選ばれたのは家格からだとも。
私だって貴方の愛なんて求めていなかった。
なのにこんな仕打ちないじゃない。
薬を盛って流産させるなんて。
もう二度と子供を望めないなんて。
胸糞注意⚠本編3話+番外編2話の計5話構成
嫌われ者の側妃はのんびり暮らしたい
風見ゆうみ
恋愛
「オレのタイプじゃないんだよ。地味過ぎて顔も見たくない。だから、お前は側妃だ」
顔だけは良い皇帝陛下は、自らが正妃にしたいと希望した私を側妃にして別宮に送り、正妃は私の妹にすると言う。
裏表のあるの妹のお世話はもううんざり!
側妃は私以外にもいるし、面倒なことは任せて、私はのんびり自由に暮らすわ!
そう思っていたのに、別宮には皇帝陛下の腹違いの弟や、他の側妃とのトラブルはあるし、それだけでなく皇帝陛下は私を妹の毒見役に指定してきて――
それって側妃がやることじゃないでしょう!?
※のんびり暮らしたかった側妃がなんだかんだあって、のんびりできなかったけれど幸せにはなるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる