11 / 75
9
しおりを挟む
学園での授業は主に座学、内容は一般教養に女生徒は淑女科、男子生徒は騎士科と分かれて授業も行う日もある、淑女科では主に社交場での礼儀作法等を学び、騎士科は体力作りといった様子だ。
淑女科の授業に関しては王妃教育を受けていた私にとっては満点は当たり前であり、困る事はそれほどない…。
「きゃ!!」
「モネ………また失敗しているじゃない…全く貴方は駄目駄目ね……私を見習いなさいよ」」
「う、うん…私って本当に出来損ないだね…エリザを見習うよ」
朝、私に怒りを見せていたエリザが淑女科での授業で歩き方を間違えて転倒してしまったモネを馬鹿にして、お手本見せつけるように気分よく歩いて見せる。
(…気付かないのかしら……あの子…)
私はとある疑問を抱きながら続いて歩いていく、当たり前だが満点だ。
何事もなく授業は進んでいき、最後の授業を終えて各々の生徒は寮へと帰っていく、学期が始まるまでは家に帰っていたが、このラインベル学園では学期中は寮生活が義務付けられている、私も先日に必要な荷物は運び終わっており、お母様とも別れを告げてきたばかりだ。
(私も…寮に帰ろうかしら……)
予習のために教材を持ち、立ち上がろうとした私に1人の女性が声をかけてきた。
「あの!!デイジーさん!!」
「モネ……なにか?」
話しかけてきたモネは汗を額に流し、迷ったような表情で私を見つめて後ろに何かを隠すように手を回している。
「…………」
「なんの用ですか?………何もなければ失礼します」
何も言わないモネに構っている時間はないために立ち上がろうとした瞬間。
バシャリと水音が教室に響いて周囲の視線が集まる、モネが私に向けてコップに入った水をドレスにかけたのだ、ぽたぽたと水滴が床に垂れていき冷たい水が脚を伝っていく。
「…………」
黙っていると、モネは視線を泳がせながら私に叫ぶように言い放つ
「あ、貴方が!身の程をわきまえない格好をしているから悪いんです!!これは報いです!明日からは自分の身分にあった身だしなみに気を付けるんですね!!…………あ、あははは」
わざとらしい笑顔でモネは笑っているが、その顔は酷くひきつっており青ざめている…素直になれない人だ。
「情けないわね…モネ」
「あは…………え?」
私の言葉に演技する余裕もなくしたのか、固まったモネに詰め寄り、瞳を見つめる。
「私は言ったわ、今度は素直な貴方とお話をしたいと……誰かに尻尾を振って、やりたくもない事をやらされる情けない貴方なんて見たくなかった」
「デ……デイジーさ…ん」
私は教室の後ろでニヤニヤと笑って、手を下さずに楽しんでいる自称、モネのお友達に視線を投げて言葉を続ける。
「懇親会でも言いましたよね?お次は堂々と言ってくださいと………誰かに言わせるような、自身の声も上げられない性根の腐った方だったとは…見損ないました」
「は?……なにいって……」
忌々し気に私を睨むどうしようもないエリザを置いて、私はモネへと向き直る。
「来なさい、モネ」
「え!?」
私はそのまま、モネの手を握り引いていく…カバンを持って教室を出て彼女と共に手洗い場に駆け込む、彼女は動揺していたが、私はハンカチを水に浸して言葉を出す。
「先ずは、貴方のちゃんとした顔を見せなさい」
「あ!だめ!」
私は水に浸したタオルを彼女のそばかすに当ててこする、予想通り…彼女の顔のそばかすは綺麗に消えていき、真っ白で絹のような肌が見えてくる、頬は紅に染まり、照れる姿を見せる彼女の姿は自称友達のエリザよりもきめ細やかな肌で、美しい姿であった。
「貴方、エリザを立てようと思ってわざと自分の肌を偽って見せてますね……」
王妃教育ではメイクも勉強する、その時に教えてもらった事がある…自身を醜く魅せるためのメイクも存在すると、貧困街の女性などは男性から身を守るために意図的にそのメイクをすると聞いた。
彼女は、エリザのご機嫌とりのために自分をわざと低く見せていたのだろう。
「……いつから気付いていたんですか?」
モネの問いかけに私は答える。
「懇親会で見た時にそばかすはメイクだと疑問に思っていました、確信したのは先程の作法教育の時です…皆さんは騙せても私は分かります、貴方はわざと出来損ないを演じていると」
王妃教育で厳しい教えを受けていた私には分かった、きっと学園の先生も気づいているでしょうけど…なにも言わないのは先生も彼女の媚びを必要な事だと許容していたのだろう。
「なぜ、そうまでしてエリザに媚びを売る必要があるのですか?………貴方はこんなに美しいのに、それを隠して失敗を装って」
私の言葉、モネはタガが外れたように今までが我慢していた想いを吐き出す、自身のスカートの裾を握り震えた声で叫んで。
「あ…貴方には分かりませんよ!!私は……エリザと違って平民で、この学園で不自由なく過ごすために必要なんです!!素直になったって!良いことなんてない!!……貴方なんかに……私の気持ちなんて分からないです!!辛い日々になるぐらいなら、劣っている演技をした方がいいの!」
「…………」
「貴方みたいに素直に生きていたって絶対にいい事なんてない!!この学園から追い出されるだけです、私は両親がお金を貯めてくれて入学させてくれたこの学園を辞めたくない!だから平穏な日々のために仕方ない事なの!!」
バンッツ!!!
「っ!!?」
私は思わず壁に拳を当てて、彼女に詰め寄る…恐れて震える彼女に私は睨みながら呟く。
「懇親会で見た時から思っていました……貴方を見ていると腹が立つの」
「え………」
正確にはモネと重ねてしまうのだ、過去の…一回目の人生の私を。
私もモネと同じだった、一回目の人生ではランドルフに捨てられてから、自分の立場を何とかするために卑しく、笑いくたくも無いのに笑みを浮かべて、媚びを売って立場を守ろうとして……でもそんな事で守ったちっぽけな立場は、いいように笑い者にされるだけだ、利用価値が無くなれば捨てられるだけ。
そんな過去の自分とモネを重ねて腸が煮えくり返る、情けない自分を見ているようで…。
だから…。
「モネ、私が貴方を素直にしてあげる…誰にも媚びなんて売る必要なんてない」
私が、私を変えて見せる。
「え!?な、なに言ってるのデイジーさ…………!!」
私は持って来ていたカバンからメイク道具を取り出して彼女にメイクをしていく、抵抗するかと思ったけど睨みを利かせているおかげか無抵抗なために私も着々と彼女を美しくしていく。
きめ細やか肌、乱雑に伸びた髪を櫛ですくと綺麗で枝分かれ一つない髪の毛に変わる…自ら卑下する必要なんてない、素直になって欲しい…一回目の人生のように利用される人生を彼女には送ってほしくないと願い手を動かしていく。
彼女は自ら髪の毛を短くしているようだけど、その髪を編み込んで三つ編みにして折り込んでいき最後にゴムで止める。
「これ……すごい可愛いです……」
鏡で自分を見つめながら、初めて素直になった彼女を見て私は自然と笑みをこぼしてしまう…彼女の嬉しそうな表情を見れたからかもしれない。
「ウォーターフォールという髪型です、一人じゃ難しいと思うから…これからは毎日、私がやってあげます。」
「ま…毎日!?……それって」
彼女は動揺と嬉しさ、期待の混じった表情でうろたえる、素直になるにはあと一押しだろう…カバンからとある物を取り出して彼女の胸元に着ける。
「余分に持って来ていて良かった……やっぱりこの色、貴方によく似合ってる」
「これ……」
彼女の胸元で輝き、気高さと気品を演出して美しさを引き出すブローチ、私が持ってきていた余りである……真っ赤な花の装飾に濃いアメジストの宝石が中心で輝きモネによく似合っていた。
「あげます」
「そんな……貰えないよ!これ、高いだろうし……」
「じゃあ条件があります、モネ……私と友達になってくれる?」
「え!?」
「私と友達になってください、貴方が誰にも媚びないで生きられるように私が隣にいます、自分を醜くなんてしなくていい…ありのままの貴方でいなさい」
モネは私の言葉を聞いて動きを止める、沈黙の時間が流れて…しばしの時間の後にモネはゆっくりと覚悟をしたように口を開いた。
「嫌です」
私はその返答に胸をざわつかせるが、彼女の表情を見てその考えは杞憂だと理解した。
「…………理由を聞かせて、モネ」
「友達になってくれるのは凄く嬉しい…………でもデイジーさんに守られて素直になっても私は変わらないよ…それじゃあ今までと同じ、本当の友達なんかじゃない…貴方が友達になってくれるなら、私は強くて毅然とした貴方の隣に相応しい女性になりたい」
「モネ……」
「私は貴方の隣に立てる女性だと自分自身で証明してみせます……貴方が勇気をくれたから、もう惨めに生きる人生に終わりを告げます」
彼女は、今まで見せなかった屈託のない笑顔で言葉を続ける。
「水をかけてごめんなさい、エリザには私から言って反省してもらう………それが終わったら…私と友達になってくれる?デイジーさん」
彼女がエリザに異を唱える事は相当な勇気がいるはずだ、媚びを売って抑え付けられていた者に歯向かうなんて…簡単にはできない、それでも……手が震えながらも笑って言った彼女に私が告げる言葉は一つだ。
私は微笑みながら、彼女に向けて頷く…。
「思いっきり、ぶつけてきなさいモネ」
「うん!行ってくるね………デイジー」
彼女は美しい姿で歩いていく、作法教育で見ていて思った…平民でありながらも彼女の家は作法に厳しいのだろう…素直になった今のモネを見て確信する、背筋を伸ばして一切の迷いを見せずに歩く彼女の立ち振る舞いは……まさしく貴族の気品と強さを感じた。
歩いて行く彼女とすれ違う者は皆、その美しさに惹かれて振り返る…それ程までに素直になった彼女は美しかった。
淑女科の授業に関しては王妃教育を受けていた私にとっては満点は当たり前であり、困る事はそれほどない…。
「きゃ!!」
「モネ………また失敗しているじゃない…全く貴方は駄目駄目ね……私を見習いなさいよ」」
「う、うん…私って本当に出来損ないだね…エリザを見習うよ」
朝、私に怒りを見せていたエリザが淑女科での授業で歩き方を間違えて転倒してしまったモネを馬鹿にして、お手本見せつけるように気分よく歩いて見せる。
(…気付かないのかしら……あの子…)
私はとある疑問を抱きながら続いて歩いていく、当たり前だが満点だ。
何事もなく授業は進んでいき、最後の授業を終えて各々の生徒は寮へと帰っていく、学期が始まるまでは家に帰っていたが、このラインベル学園では学期中は寮生活が義務付けられている、私も先日に必要な荷物は運び終わっており、お母様とも別れを告げてきたばかりだ。
(私も…寮に帰ろうかしら……)
予習のために教材を持ち、立ち上がろうとした私に1人の女性が声をかけてきた。
「あの!!デイジーさん!!」
「モネ……なにか?」
話しかけてきたモネは汗を額に流し、迷ったような表情で私を見つめて後ろに何かを隠すように手を回している。
「…………」
「なんの用ですか?………何もなければ失礼します」
何も言わないモネに構っている時間はないために立ち上がろうとした瞬間。
バシャリと水音が教室に響いて周囲の視線が集まる、モネが私に向けてコップに入った水をドレスにかけたのだ、ぽたぽたと水滴が床に垂れていき冷たい水が脚を伝っていく。
「…………」
黙っていると、モネは視線を泳がせながら私に叫ぶように言い放つ
「あ、貴方が!身の程をわきまえない格好をしているから悪いんです!!これは報いです!明日からは自分の身分にあった身だしなみに気を付けるんですね!!…………あ、あははは」
わざとらしい笑顔でモネは笑っているが、その顔は酷くひきつっており青ざめている…素直になれない人だ。
「情けないわね…モネ」
「あは…………え?」
私の言葉に演技する余裕もなくしたのか、固まったモネに詰め寄り、瞳を見つめる。
「私は言ったわ、今度は素直な貴方とお話をしたいと……誰かに尻尾を振って、やりたくもない事をやらされる情けない貴方なんて見たくなかった」
「デ……デイジーさ…ん」
私は教室の後ろでニヤニヤと笑って、手を下さずに楽しんでいる自称、モネのお友達に視線を投げて言葉を続ける。
「懇親会でも言いましたよね?お次は堂々と言ってくださいと………誰かに言わせるような、自身の声も上げられない性根の腐った方だったとは…見損ないました」
「は?……なにいって……」
忌々し気に私を睨むどうしようもないエリザを置いて、私はモネへと向き直る。
「来なさい、モネ」
「え!?」
私はそのまま、モネの手を握り引いていく…カバンを持って教室を出て彼女と共に手洗い場に駆け込む、彼女は動揺していたが、私はハンカチを水に浸して言葉を出す。
「先ずは、貴方のちゃんとした顔を見せなさい」
「あ!だめ!」
私は水に浸したタオルを彼女のそばかすに当ててこする、予想通り…彼女の顔のそばかすは綺麗に消えていき、真っ白で絹のような肌が見えてくる、頬は紅に染まり、照れる姿を見せる彼女の姿は自称友達のエリザよりもきめ細やかな肌で、美しい姿であった。
「貴方、エリザを立てようと思ってわざと自分の肌を偽って見せてますね……」
王妃教育ではメイクも勉強する、その時に教えてもらった事がある…自身を醜く魅せるためのメイクも存在すると、貧困街の女性などは男性から身を守るために意図的にそのメイクをすると聞いた。
彼女は、エリザのご機嫌とりのために自分をわざと低く見せていたのだろう。
「……いつから気付いていたんですか?」
モネの問いかけに私は答える。
「懇親会で見た時にそばかすはメイクだと疑問に思っていました、確信したのは先程の作法教育の時です…皆さんは騙せても私は分かります、貴方はわざと出来損ないを演じていると」
王妃教育で厳しい教えを受けていた私には分かった、きっと学園の先生も気づいているでしょうけど…なにも言わないのは先生も彼女の媚びを必要な事だと許容していたのだろう。
「なぜ、そうまでしてエリザに媚びを売る必要があるのですか?………貴方はこんなに美しいのに、それを隠して失敗を装って」
私の言葉、モネはタガが外れたように今までが我慢していた想いを吐き出す、自身のスカートの裾を握り震えた声で叫んで。
「あ…貴方には分かりませんよ!!私は……エリザと違って平民で、この学園で不自由なく過ごすために必要なんです!!素直になったって!良いことなんてない!!……貴方なんかに……私の気持ちなんて分からないです!!辛い日々になるぐらいなら、劣っている演技をした方がいいの!」
「…………」
「貴方みたいに素直に生きていたって絶対にいい事なんてない!!この学園から追い出されるだけです、私は両親がお金を貯めてくれて入学させてくれたこの学園を辞めたくない!だから平穏な日々のために仕方ない事なの!!」
バンッツ!!!
「っ!!?」
私は思わず壁に拳を当てて、彼女に詰め寄る…恐れて震える彼女に私は睨みながら呟く。
「懇親会で見た時から思っていました……貴方を見ていると腹が立つの」
「え………」
正確にはモネと重ねてしまうのだ、過去の…一回目の人生の私を。
私もモネと同じだった、一回目の人生ではランドルフに捨てられてから、自分の立場を何とかするために卑しく、笑いくたくも無いのに笑みを浮かべて、媚びを売って立場を守ろうとして……でもそんな事で守ったちっぽけな立場は、いいように笑い者にされるだけだ、利用価値が無くなれば捨てられるだけ。
そんな過去の自分とモネを重ねて腸が煮えくり返る、情けない自分を見ているようで…。
だから…。
「モネ、私が貴方を素直にしてあげる…誰にも媚びなんて売る必要なんてない」
私が、私を変えて見せる。
「え!?な、なに言ってるのデイジーさ…………!!」
私は持って来ていたカバンからメイク道具を取り出して彼女にメイクをしていく、抵抗するかと思ったけど睨みを利かせているおかげか無抵抗なために私も着々と彼女を美しくしていく。
きめ細やか肌、乱雑に伸びた髪を櫛ですくと綺麗で枝分かれ一つない髪の毛に変わる…自ら卑下する必要なんてない、素直になって欲しい…一回目の人生のように利用される人生を彼女には送ってほしくないと願い手を動かしていく。
彼女は自ら髪の毛を短くしているようだけど、その髪を編み込んで三つ編みにして折り込んでいき最後にゴムで止める。
「これ……すごい可愛いです……」
鏡で自分を見つめながら、初めて素直になった彼女を見て私は自然と笑みをこぼしてしまう…彼女の嬉しそうな表情を見れたからかもしれない。
「ウォーターフォールという髪型です、一人じゃ難しいと思うから…これからは毎日、私がやってあげます。」
「ま…毎日!?……それって」
彼女は動揺と嬉しさ、期待の混じった表情でうろたえる、素直になるにはあと一押しだろう…カバンからとある物を取り出して彼女の胸元に着ける。
「余分に持って来ていて良かった……やっぱりこの色、貴方によく似合ってる」
「これ……」
彼女の胸元で輝き、気高さと気品を演出して美しさを引き出すブローチ、私が持ってきていた余りである……真っ赤な花の装飾に濃いアメジストの宝石が中心で輝きモネによく似合っていた。
「あげます」
「そんな……貰えないよ!これ、高いだろうし……」
「じゃあ条件があります、モネ……私と友達になってくれる?」
「え!?」
「私と友達になってください、貴方が誰にも媚びないで生きられるように私が隣にいます、自分を醜くなんてしなくていい…ありのままの貴方でいなさい」
モネは私の言葉を聞いて動きを止める、沈黙の時間が流れて…しばしの時間の後にモネはゆっくりと覚悟をしたように口を開いた。
「嫌です」
私はその返答に胸をざわつかせるが、彼女の表情を見てその考えは杞憂だと理解した。
「…………理由を聞かせて、モネ」
「友達になってくれるのは凄く嬉しい…………でもデイジーさんに守られて素直になっても私は変わらないよ…それじゃあ今までと同じ、本当の友達なんかじゃない…貴方が友達になってくれるなら、私は強くて毅然とした貴方の隣に相応しい女性になりたい」
「モネ……」
「私は貴方の隣に立てる女性だと自分自身で証明してみせます……貴方が勇気をくれたから、もう惨めに生きる人生に終わりを告げます」
彼女は、今まで見せなかった屈託のない笑顔で言葉を続ける。
「水をかけてごめんなさい、エリザには私から言って反省してもらう………それが終わったら…私と友達になってくれる?デイジーさん」
彼女がエリザに異を唱える事は相当な勇気がいるはずだ、媚びを売って抑え付けられていた者に歯向かうなんて…簡単にはできない、それでも……手が震えながらも笑って言った彼女に私が告げる言葉は一つだ。
私は微笑みながら、彼女に向けて頷く…。
「思いっきり、ぶつけてきなさいモネ」
「うん!行ってくるね………デイジー」
彼女は美しい姿で歩いていく、作法教育で見ていて思った…平民でありながらも彼女の家は作法に厳しいのだろう…素直になった今のモネを見て確信する、背筋を伸ばして一切の迷いを見せずに歩く彼女の立ち振る舞いは……まさしく貴族の気品と強さを感じた。
歩いて行く彼女とすれ違う者は皆、その美しさに惹かれて振り返る…それ程までに素直になった彼女は美しかった。
248
お気に入りに追加
5,799
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
【完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。
王冠
恋愛
幼馴染のリュダールと八年前に婚約したティアラ。
友達の延長線だと思っていたけど、それは恋に変化した。
仲睦まじく過ごし、未来を描いて日々幸せに暮らしていた矢先、リュダールと妹のアリーシャの密会現場を発見してしまい…。
書きながらなので、亀更新です。
どうにか完結に持って行きたい。
ゆるふわ設定につき、我慢がならない場合はそっとページをお閉じ下さい。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
あなたの嫉妬なんて知らない
abang
恋愛
「あなたが尻軽だとは知らなかったな」
「あ、そう。誰を信じるかは自由よ。じゃあ、終わりって事でいいのね」
「は……終わりだなんて、」
「こんな所にいらしたのね!お二人とも……皆探していましたよ……
"今日の主役が二人も抜けては"」
婚約パーティーの夜だった。
愛おしい恋人に「尻軽」だと身に覚えのない事で罵られたのは。
長年の恋人の言葉よりもあざとい秘書官の言葉を信頼する近頃の彼にどれほど傷ついただろう。
「はー、もういいわ」
皇帝という立場の恋人は、仕事仲間である優秀な秘書官を信頼していた。
彼女の言葉を信じて私に婚約パーティーの日に「尻軽」だと言った彼。
「公女様は、退屈な方ですね」そういって耳元で嘲笑った秘書官。
だから私は悪女になった。
「しつこいわね、見て分かんないの?貴方とは終わったの」
洗練された公女の所作に、恵まれた女性の魅力に、高貴な家門の名に、男女問わず皆が魅了される。
「貴女は、俺の婚約者だろう!」
「これを見ても?貴方の言ったとおり"尻軽"に振る舞ったのだけど、思いの他皆にモテているの。感謝するわ」
「ダリア!いい加減に……」
嫉妬に燃える皇帝はダリアの新しい恋を次々と邪魔して……?
愛しき我が子に捧ぐ
夜瑠
恋愛
政略結婚だと分かっていた。他に愛する人が居ることも自分が正妻に選ばれたのは家格からだとも。
私だって貴方の愛なんて求めていなかった。
なのにこんな仕打ちないじゃない。
薬を盛って流産させるなんて。
もう二度と子供を望めないなんて。
胸糞注意⚠本編3話+番外編2話の計5話構成
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる