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8話ー力とはー
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「なんだぁぁぁ!!貴様!」
「あーー!うるさい!」
「アグっ!」
私が投げたナイフがヘンリー王子の肩に突き刺さり
血が飛び散る
これで暫く黙るだろう
「ルーク様…行きましょう、あなたにはまだやっていただく事があります」
「アビゲイル、君は一体…」
「ふふ、貴方が初めて会った時言ったんですよ…好きな人にはそんなの関係ないと」
私の言葉に、ルーク様もニコリと笑う
「その通りだ、君はやっぱり強い人だよ」
お互いが手を握る
だが、当然
目の前の男がそれを許さない
「ま、待てよ!お前たちに何ができる…貴族も民衆も…俺を信用している…国外にでも出ようってか?…馬鹿め!無駄だよ!こんな事したんだ、一生追いかけ」
「はぁ…これ聞いてください」
私はとある機械のスイッチを押す
それは録音機で、今までの内容が鮮明に録音されていた
「あ…は…はぁ?」
わからないか、しょうがない
教えてあげるか
「これを民衆や貴族に聞いていただきます…あなたの今までの悪事の証拠も既に揃えました…おじい様に持っておけと言われましたが役に立ちましたね」
「ふ…ふざけるな!そんなもの意味が無い!!騎士共!!お前たちの仕事の時間だぞ!!」
ぞろぞろと、騎士達が部屋に入ってくる
この王子、思ったよりも用意周到のようだ
「ははは…お前たちがここで死ねば…明るみに出ることはない!そんなもの意味はない」
予想通りの反応だ
ここまで騎士団を手中にしていたとは予想外だったが
「ルーク様、走れますか?城から出れば、私達の勝利です…お覚悟を」
「大丈夫だよアビゲイル、僕は君についていく」
頷き、手を強く握るルーク様に安心した
彼は強い…こんな状況でも希望を持ち
私を信じてくれている
それに答えよう
私は迫りくる騎士達を切り裂きながら部屋を出ていく
赤い閃光が走るように、刹那の瞬きの間に数人の騎士が血を流し、倒れる
「追うんだ!!城内には騎士が大勢いるのだ!!逃げられるものか!!」
私とルーク様は走り続ける
だが、廊下を塞ぐように騎士達が迫りくる、切り裂き、走り抜けるが数が多い
私一人なら何とかなるが、今はルーク様の命が最優先だ
(ヘンリー王子、あなたは一応正解です…私達を殺せば罪が明るみに出ることはない)
走りながら、私は考える
(けど、一つだけ勘違いしていますよ)
私は
レブル家は
一人ではないのだ
大きく息を吸って走りながら叫んだ
「お兄ちゃん!!力貸して!!」
城中に響く声
それと同時に迫りくる騎士達の動きが
まるで、時間が止まったように動かなくなる
「アビゲイル…なにが」
「いいから!行きましょう!ルーク様!!」
走り去るアビゲイル達を騎士達は動けずに見るだけしか出来なかった
「お、お前たち!!なにしている!早く追え!!」
「そ、それが…」「う、動けません」
ヘンリー王子は気付いた
騎士達を、糸がしばっているのだ…無数の糸が後方から
振り返ると、そこには男性がいた
黒い面をつけた異質な雰囲気の男性
ハイド・レブル
糸を使い、彼が騎士達の動きを止めていたのだ
「あまりいじめないでやってくれるか…俺のたった一人の妹なんでね」
「ま、まだいたのか…!!」
ヘンリー王子が縛られている騎士の剣を抜き取り、それを振るうが
カラン、カラン
王子の剣は細切れとなり、ハイドは煌めく糸を巧みに操り
城内にいた、騎士達を次から次へと縛り、動けなくしていく
一切動くこともなく
城の中にいる騎士を全て行動不能にしたのだ
仕事を終えると彼は仮面をずらして煙草を吸いだした
ヘンリー王子は目の前のハイドに抵抗できない…
だが
「ははは…これで勝ったと思うなよ…城内の騎士達を封じても、まだ外には奴がいる」
ヘンリー王子の言葉にハイドはゆっくりと煙を吐きながら答える
「そりゃあ用意周到だな、ヘンリー王子さんよ」
「そうやって余裕があるのも今のうちだ!!外にはもしもの為に現騎士団長のゴレオンがいるのだ!!アイツらもお前も!殺される!!」
「へぇ…そりゃあ楽しみだ」
ハイドはもう一服すると、腕を引く
その瞬間、ヘンリー王子の意識は落ちていった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
城の外の広場に大勢の騎士達と
一際大きな男がたたずんでいた
彼は現騎士団長ゴレオン
2メートルはある大きな斧を持ちながら、城から出てくるネズミを逃がさないように見張っていた
彼は騎士団の中でも最強であり、その力は他国からも恐れられている武力の持ち主である
つまり…ストレングス国の最強の騎士
彼は金に目がくらみ、ヘンリー王子に忠誠を誓った
地位や名誉もヘンリーが王になれば約束されたのだ
「ネズミ一匹逃すな、俺たちの出世のためにもな!」
ゴレオンの掛け声に周りの騎士達も答える
だが、その中の1人が異変に気付いた
「ゴ、ゴレオン様!!後方から人が!」
「なに?」
後ろに振り向くと明らかに異常な男がいた
黒いローブに身を包み、黒い面をつけた男が
杖をついてヨタヨタと歩いてきているのだ
その男はハインリッヒ・レブル
レブル子爵家の当主にして、現レブル家最強の男
その男が、ストレングス国最強の騎士へとゆっくりと歩む
面の下でニヤリと口角を上げながら
「それじゃあ…最後の仕事といこうか…可愛い娘の為にもな」
そう呟いた
「あーー!うるさい!」
「アグっ!」
私が投げたナイフがヘンリー王子の肩に突き刺さり
血が飛び散る
これで暫く黙るだろう
「ルーク様…行きましょう、あなたにはまだやっていただく事があります」
「アビゲイル、君は一体…」
「ふふ、貴方が初めて会った時言ったんですよ…好きな人にはそんなの関係ないと」
私の言葉に、ルーク様もニコリと笑う
「その通りだ、君はやっぱり強い人だよ」
お互いが手を握る
だが、当然
目の前の男がそれを許さない
「ま、待てよ!お前たちに何ができる…貴族も民衆も…俺を信用している…国外にでも出ようってか?…馬鹿め!無駄だよ!こんな事したんだ、一生追いかけ」
「はぁ…これ聞いてください」
私はとある機械のスイッチを押す
それは録音機で、今までの内容が鮮明に録音されていた
「あ…は…はぁ?」
わからないか、しょうがない
教えてあげるか
「これを民衆や貴族に聞いていただきます…あなたの今までの悪事の証拠も既に揃えました…おじい様に持っておけと言われましたが役に立ちましたね」
「ふ…ふざけるな!そんなもの意味が無い!!騎士共!!お前たちの仕事の時間だぞ!!」
ぞろぞろと、騎士達が部屋に入ってくる
この王子、思ったよりも用意周到のようだ
「ははは…お前たちがここで死ねば…明るみに出ることはない!そんなもの意味はない」
予想通りの反応だ
ここまで騎士団を手中にしていたとは予想外だったが
「ルーク様、走れますか?城から出れば、私達の勝利です…お覚悟を」
「大丈夫だよアビゲイル、僕は君についていく」
頷き、手を強く握るルーク様に安心した
彼は強い…こんな状況でも希望を持ち
私を信じてくれている
それに答えよう
私は迫りくる騎士達を切り裂きながら部屋を出ていく
赤い閃光が走るように、刹那の瞬きの間に数人の騎士が血を流し、倒れる
「追うんだ!!城内には騎士が大勢いるのだ!!逃げられるものか!!」
私とルーク様は走り続ける
だが、廊下を塞ぐように騎士達が迫りくる、切り裂き、走り抜けるが数が多い
私一人なら何とかなるが、今はルーク様の命が最優先だ
(ヘンリー王子、あなたは一応正解です…私達を殺せば罪が明るみに出ることはない)
走りながら、私は考える
(けど、一つだけ勘違いしていますよ)
私は
レブル家は
一人ではないのだ
大きく息を吸って走りながら叫んだ
「お兄ちゃん!!力貸して!!」
城中に響く声
それと同時に迫りくる騎士達の動きが
まるで、時間が止まったように動かなくなる
「アビゲイル…なにが」
「いいから!行きましょう!ルーク様!!」
走り去るアビゲイル達を騎士達は動けずに見るだけしか出来なかった
「お、お前たち!!なにしている!早く追え!!」
「そ、それが…」「う、動けません」
ヘンリー王子は気付いた
騎士達を、糸がしばっているのだ…無数の糸が後方から
振り返ると、そこには男性がいた
黒い面をつけた異質な雰囲気の男性
ハイド・レブル
糸を使い、彼が騎士達の動きを止めていたのだ
「あまりいじめないでやってくれるか…俺のたった一人の妹なんでね」
「ま、まだいたのか…!!」
ヘンリー王子が縛られている騎士の剣を抜き取り、それを振るうが
カラン、カラン
王子の剣は細切れとなり、ハイドは煌めく糸を巧みに操り
城内にいた、騎士達を次から次へと縛り、動けなくしていく
一切動くこともなく
城の中にいる騎士を全て行動不能にしたのだ
仕事を終えると彼は仮面をずらして煙草を吸いだした
ヘンリー王子は目の前のハイドに抵抗できない…
だが
「ははは…これで勝ったと思うなよ…城内の騎士達を封じても、まだ外には奴がいる」
ヘンリー王子の言葉にハイドはゆっくりと煙を吐きながら答える
「そりゃあ用意周到だな、ヘンリー王子さんよ」
「そうやって余裕があるのも今のうちだ!!外にはもしもの為に現騎士団長のゴレオンがいるのだ!!アイツらもお前も!殺される!!」
「へぇ…そりゃあ楽しみだ」
ハイドはもう一服すると、腕を引く
その瞬間、ヘンリー王子の意識は落ちていった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
城の外の広場に大勢の騎士達と
一際大きな男がたたずんでいた
彼は現騎士団長ゴレオン
2メートルはある大きな斧を持ちながら、城から出てくるネズミを逃がさないように見張っていた
彼は騎士団の中でも最強であり、その力は他国からも恐れられている武力の持ち主である
つまり…ストレングス国の最強の騎士
彼は金に目がくらみ、ヘンリー王子に忠誠を誓った
地位や名誉もヘンリーが王になれば約束されたのだ
「ネズミ一匹逃すな、俺たちの出世のためにもな!」
ゴレオンの掛け声に周りの騎士達も答える
だが、その中の1人が異変に気付いた
「ゴ、ゴレオン様!!後方から人が!」
「なに?」
後ろに振り向くと明らかに異常な男がいた
黒いローブに身を包み、黒い面をつけた男が
杖をついてヨタヨタと歩いてきているのだ
その男はハインリッヒ・レブル
レブル子爵家の当主にして、現レブル家最強の男
その男が、ストレングス国最強の騎士へとゆっくりと歩む
面の下でニヤリと口角を上げながら
「それじゃあ…最後の仕事といこうか…可愛い娘の為にもな」
そう呟いた
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