【完結】反逆令嬢

なか

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2話ーレブル家ー

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「父様!!私は婚約破棄しましたわ!」

家に着いた途端に開口一番そう叫ぶ
くつろいでお茶を飲んでいた父様

ハインリッヒ・レブル子爵、私の父様は盛大に噴き出した

「あ、アビー!それは…本当か?」

「はい!これでもう許可していただけますよね?」

「う、いやしかし…」

言いよどむ父様に私は詰め寄る
今まで我慢してきたのだ、もう待っていられない

「父様、婚約したのならばは駄目だと、ですが私はもう自由です、許可していただけますよね?」

「……アビー本当にやるのだな」

「はい、ずっと待っておりましたので」

「分かった、ついてきなさい」

そう言って父様は私を連れて屋敷内、そしてさらに隠された部屋に連れていく

「これは旦那様、お嬢様…暗器の間に行かれえるのですか?」

途中、この屋敷の執事がそう言った
彼も事情を知る一人である

「ええ、ハイド!ようやく父様が許可してくださいましたの!」

ハイド

長い髪を後ろで縛る青年
執事である彼は落ち着いた様子で微笑む

「それは、大変良い事ですね………」

「ええ!後で見せてあげますわ」

「楽しみにしています」


ハイドを置いて隠し扉を開け、地下に繋がる階段を降りていく

「本当にいいのだな?もう戻れないのだぞ」

「ええ、子供の頃からずっと私はレブル家の使命をやり遂げたかったんです!」

「はぁ…父さんは心配だよ、娘がここまで望んでいるなんて…」

ため息混じりに呟きながら、父様は重たい扉を開いた

そこに待っていたのは








大量の武器、それもただの武器ではない
騎士や衛兵が持つような大きな武器は一つもなく

あるのは鉄甲や仕込み杖、忍び鎌、鉄扇、毒物など
暗器と呼ばれる物が数多くあった

「一つ選びなさいアビー、それが君の反逆者の始まりとなる」


私はニヤリと笑う

レブル家は私の祖父であるアルベルト・レブルから続く家系

表向きは普通の貴族だが実際は少し違う
裏では反逆者という稼業を行っている、権力を振りかざす悪や力を悪用する者に反逆する者
祖父の遺言だ

ー悪を罰し、他の人々の幸せを作れー

私達はこれを家訓とし守っている


私も幼少の頃よりの稼業の訓練を受けた
父様も、私の兄達も
そしていよいよ私も、その一人になれるのだ

「選ぶのは、すでに決まっております」


そう言って私は迷いもなく一つの武器を手に取った

「………アビー、これでお前も私達の稼業の一員だ」

「何だか嬉しそうじゃないですね、父様」

「当たり前だ………アビー、お前は女の子なのだからこの稼業は兄だけでよかったのに……」

はぁ………と頭を抱える父様を気にせずに私は来た道を戻る

「父様、悪に反逆するのに女も子供も関係ありません、そうでしょう?」

「はぁ、その口ぶりはお前の母にそっくりだよ」

「ふふ」


こうして私は反逆者としての一歩を進んだのだ


「いいものを選びましたね、お嬢様」

執事のハイドは私の選んだ武器を見ながらそうつぶやく
それは、小さなナイフ
服や、裾の隙間に仕込める私が選んだ武器

「もちろん、ずっと前からこれにすると決めていたの」

「そうでしたか………所で早速お嬢様には仕事をしていただきます、よろしいですね?」

「ええ、いくらでもきなさい!」

「では、今回の標的はこの方です」

受け取った紙をみて、思わず笑みが浮かぶ
きっとハイドも私がこうなると分かって、この方を残していたのだろう

「では、早速今夜向かうわ」

「お嬢様、一つだけ…約束事は守ってくださいね」

「………ええ、必ず守ります」


そう言って私は早速準備に取り掛かる
私の最初のお仕事、裏稼業の初めてのお相手は


私を婚約破棄した男性、ライアン・ストレングス様だったからだ

火照り、高鳴る鼓動を抑えながら
私は夜が近づくのを待つことにした



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