【完結】お嬢様は今日も優雅にお茶を飲む

第二十三話 学と桜子

　今日も今日とて桜子は優雅にお茶を飲む。

　その目の前には学が座り、ともにお茶を飲んでほっと息をついた。

　空を見上げれば青空が広がり、風はとても心地がいい。

　あの学校のいじめ事件から数日たった今、学はふと思い出したかのように尋ねた。

「一つ、聞いてもいいですか？」

「何かしら？」

「桜子さんは、どうして幽霊の手伝いをするんです？あ、自分の欲もあるとは思いますが、桜子さんなら、しなくても問題はないでしよう？」

　その言葉に、学に桜子は視線を向けると優雅に微笑みを浮かべた。

「どうしてだと思う？」

「桜子さんが優しいから。かなぁと自分は思うんですがね？違いますか？」

　桜子はお茶を飲むと言った。

「お茶が美味しいからよ。」

「は？」

　桜子はそれ以上は何も言わず、お茶を美味しそうに飲むものだから、学もつられて笑みを浮かべながらお茶を飲んだ。

「はぁ～。美味しいですねぇ。」

「ええ。」

　迷える子羊が光の向こうへと行けた後のお茶は一段と美味しく感じるのだ。

　それは何故なのか。

　偽善なのか。

　慈善なのか。

　はたまた自らの欲を満たした為なのか。

　理由はどうであれ、桜子の目の前には今日も迷える子羊がやってくる。

　だから、桜子は今日も優雅にお茶を飲むのである。

「今日はどうなさったの？」

　もし、迷える子羊を見かけたのなら、優雅にお茶を飲むの桜子の元へと導いてやってほしい。