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第二十二話 迷える子羊(田上 史)
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あの一件から数日が立ち、史は、あの日の光景を思い出して、改めて目の前で優雅に紅茶を飲む桜子に礼を言った。
『本当に、ありがとうございました。きっと、もう慶太は大丈夫です。』
桜子はティーカップを置くと、はっきりとした口調で言った。
「私は現実を教えて差し上げただけですわ。」
『あそこまでしてくれるなんて、感謝してもしきれないです。』
桜子はやるならば徹底的にと学校を相手取り、手を回した。
親達を呼び出し、実行部隊を駆使して真実を暴き出した。
いじめ主犯格の親達は自分の子のしでかしている事に絶望したり、現実を受け止められなかったり様々ではあった。
それは子ども達も同様であり、親に知られた事で酷く動揺する子らも多かった。
学は仕事でおらず、今ここには桜子と史だけが向かい合って座っている。
空席が一つあり、そこへ、客人が現れて座った。
桜子は、ゆっくりと口を開いた。
「よく、ニュースでうちの学校はいじめなんてありませんと言う人がいるでしょう?」
『、、、、え?はい。』
「でもわたくしは、大なり小なり、いじめの無い所なんて、ほとんどないと思っているの。」
『、、はい。』
「思春期は心も体も大きく変わる時期で、現実を学んでいく時期ではあるわ。学校は小さな社会。そこでいじめられて傷つく子も傷つける子もいる。」
『はい。』
「分かってないのよ。学校という場を盾にして、いじめを正当化する人がいるけれど、あれはバカね。」
『え?』
「どこだろうと、学びの途中だろうと、思春期だろうと、人を傷つければ罪よ。それを分かっていないから、平気で人を傷つける。」
『、、、』
「まだ未熟なうちは、確かに他人との付き合い方で揉めることはあるでしょう。でも、揉めることといじめる事は違うわ。だから、胸を張りなさい。いじめは悪い。理由があろうと人を傷つけてもいい権利は自分にはないという事を、知るきっかけを、貴方達が作ったのよ。」
『、、、。』
「通訳をしてあげる。話をしてから行きなさい。」
史の目の前に、慶太が座っていた。
慶太は桜子の言葉に、息を吐くと口を開いた。
「史、そこにいるのか。」
『慶太、、なんでここに。』
桜子は棒読みではあるが、史の言葉を訳す。
「西園寺さんに、教えてもらって、連れてきてもらったんだ。史、ありがとう。」
『なんで、俺、お前に何もできなかった。』
「バカ。いつも、助けてくれてただろ。」
『え?なんのこと?』
「史の声がいつも聞こえる気がして、俺、自分から死なないですんだ。」
『そんなことない。俺は慶太の事助けたいのに助けられなくて、、本当にごめん。』
「助けてくれたよ。いつも。謝んな。」
『う、、、うん。慶太、、ありがとう。』
「こっちこそ、ありがとう。俺の為にこっちに残ってくれたんだろ?けど、もう大丈夫だから。」
『え?』
「家族とも話をした。こっから、俺頑張るし、もう、負けない。だから、安心していけよ?」
『慶太。』
「ありがとう。親友。」
『あぁ。こっちこそありがとう。親友。』
拳を二人は合わせ、かっこつけて始めた今ではダサいセリフとボーズをして二人は笑った。
『桜子さん。ありがとうございました。学さんにもよろしくお伝えください。ありがとうございました。』
「いいえ。それではね。」
『はい。慶太、負けんなよ。』
史は光に包まれた。
そして、居なくなった瞬間から慶太の瞳から涙が溢れ出た。
桜子は何も言わずに、優雅に紅茶を飲んだ。
『本当に、ありがとうございました。きっと、もう慶太は大丈夫です。』
桜子はティーカップを置くと、はっきりとした口調で言った。
「私は現実を教えて差し上げただけですわ。」
『あそこまでしてくれるなんて、感謝してもしきれないです。』
桜子はやるならば徹底的にと学校を相手取り、手を回した。
親達を呼び出し、実行部隊を駆使して真実を暴き出した。
いじめ主犯格の親達は自分の子のしでかしている事に絶望したり、現実を受け止められなかったり様々ではあった。
それは子ども達も同様であり、親に知られた事で酷く動揺する子らも多かった。
学は仕事でおらず、今ここには桜子と史だけが向かい合って座っている。
空席が一つあり、そこへ、客人が現れて座った。
桜子は、ゆっくりと口を開いた。
「よく、ニュースでうちの学校はいじめなんてありませんと言う人がいるでしょう?」
『、、、、え?はい。』
「でもわたくしは、大なり小なり、いじめの無い所なんて、ほとんどないと思っているの。」
『、、はい。』
「思春期は心も体も大きく変わる時期で、現実を学んでいく時期ではあるわ。学校は小さな社会。そこでいじめられて傷つく子も傷つける子もいる。」
『はい。』
「分かってないのよ。学校という場を盾にして、いじめを正当化する人がいるけれど、あれはバカね。」
『え?』
「どこだろうと、学びの途中だろうと、思春期だろうと、人を傷つければ罪よ。それを分かっていないから、平気で人を傷つける。」
『、、、』
「まだ未熟なうちは、確かに他人との付き合い方で揉めることはあるでしょう。でも、揉めることといじめる事は違うわ。だから、胸を張りなさい。いじめは悪い。理由があろうと人を傷つけてもいい権利は自分にはないという事を、知るきっかけを、貴方達が作ったのよ。」
『、、、。』
「通訳をしてあげる。話をしてから行きなさい。」
史の目の前に、慶太が座っていた。
慶太は桜子の言葉に、息を吐くと口を開いた。
「史、そこにいるのか。」
『慶太、、なんでここに。』
桜子は棒読みではあるが、史の言葉を訳す。
「西園寺さんに、教えてもらって、連れてきてもらったんだ。史、ありがとう。」
『なんで、俺、お前に何もできなかった。』
「バカ。いつも、助けてくれてただろ。」
『え?なんのこと?』
「史の声がいつも聞こえる気がして、俺、自分から死なないですんだ。」
『そんなことない。俺は慶太の事助けたいのに助けられなくて、、本当にごめん。』
「助けてくれたよ。いつも。謝んな。」
『う、、、うん。慶太、、ありがとう。』
「こっちこそ、ありがとう。俺の為にこっちに残ってくれたんだろ?けど、もう大丈夫だから。」
『え?』
「家族とも話をした。こっから、俺頑張るし、もう、負けない。だから、安心していけよ?」
『慶太。』
「ありがとう。親友。」
『あぁ。こっちこそありがとう。親友。』
拳を二人は合わせ、かっこつけて始めた今ではダサいセリフとボーズをして二人は笑った。
『桜子さん。ありがとうございました。学さんにもよろしくお伝えください。ありがとうございました。』
「いいえ。それではね。」
『はい。慶太、負けんなよ。』
史は光に包まれた。
そして、居なくなった瞬間から慶太の瞳から涙が溢れ出た。
桜子は何も言わずに、優雅に紅茶を飲んだ。
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