12 / 14
12 自分にできること
しおりを挟む
「こちらをご覧ください。」
コーデリアは国王へと報告用に作っていた資料をエドウィンに配ってもらった。
「最初に行ったのは、私と懇意にしてくださっている貴族の皆様や、商人の皆様への協力の打診です。現在私が手がけているのは、我が国の鉱山より採掘された鉱石の加工と細かな装飾。ドレスや紳士服などのデザイン、そして隣国にいる知人と共同で行っている料理の考案です。この三点で出た収益は以前から慈善事業に当てておりますので、3ヶ月の成果ではございません。」
資料には事細かに現在の収支と、収入によって立てられた孤児院や養老院などの現状が記入されている。
「3ヶ月。短い期間ですが、国王陛下にいただいた貴重な公務として動ける期間。それを存分に利用させていただきました。」
今までは結局のところただのコーデリアが出来る範囲のことだった。
だが、国王陛下の許しがあれば、王女コーデリアとして動くことが可能となった。
「隣国からは以前から物流の打診がありましたので、今回は我が国の装飾やドレスなどを売り込みをかけております。そして隣国からは隣国でしか取れない食材の輸入を考えているところです。実現可能なところまで来ていますのであとは、国王陛下の許可が降りることを願うばかりです。」
争いの続いていた隣国との貿易の架け橋となるであろう貿易。
ダニエルは顔面を蒼白にさせて呆然と聞いていた。
しかも、コーデリアの話はまだ終わらない。
「次に、貧民街についてですが。現在数ヵ所に学校と病院、その他施設の建設を他国からの収入を当てて検討中です。」
3ヶ月である。
たった、3ヶ月。
一体どうやったらそのような結果が出るというのであろうか。
「い、インチキだ。」
ダニエルは声を出す。
「3ヶ月でそんなことが出来るわけがない!」
その言葉に、会場がしんとなり、コーデリアはダニエルに向き直ると言った。
「はい。私一人の力では無理でしょう。」
「なっ!?やはりインチキじゃないか!人に手伝ってもらって!」
「国は一人では作れません。」
「は?」
「王としての資質とは、私は国をどう人と協力し動かしていけるかではないかと思います。私は自分に出来ることを信頼できる人と共に行っただけです。」
その言葉に、ダニエルは唇を噛む。
国王は頷くと言った。
「最後まで聞かずとも、明白。次期国王にはコーデリアを指名するものとする。」
「陛下!お待ちくださいませ!ダニエルは第一王子ですよ!!!」
王妃は顔を蒼白にさせてそう懇願するが、国王ははっきりと告げる。
「ダニエルは、王の器にあらず。コーデリア、よいな。」
コーデリアは恭しく頭を下げた。
「はい。謹んでお受けいたします。」
王妃は倒れ、ダニエルはその場に崩れた。
この日を境に、コーデリアをお菓子姫と呼ぶものはいなくなった。
コーデリアは国王へと報告用に作っていた資料をエドウィンに配ってもらった。
「最初に行ったのは、私と懇意にしてくださっている貴族の皆様や、商人の皆様への協力の打診です。現在私が手がけているのは、我が国の鉱山より採掘された鉱石の加工と細かな装飾。ドレスや紳士服などのデザイン、そして隣国にいる知人と共同で行っている料理の考案です。この三点で出た収益は以前から慈善事業に当てておりますので、3ヶ月の成果ではございません。」
資料には事細かに現在の収支と、収入によって立てられた孤児院や養老院などの現状が記入されている。
「3ヶ月。短い期間ですが、国王陛下にいただいた貴重な公務として動ける期間。それを存分に利用させていただきました。」
今までは結局のところただのコーデリアが出来る範囲のことだった。
だが、国王陛下の許しがあれば、王女コーデリアとして動くことが可能となった。
「隣国からは以前から物流の打診がありましたので、今回は我が国の装飾やドレスなどを売り込みをかけております。そして隣国からは隣国でしか取れない食材の輸入を考えているところです。実現可能なところまで来ていますのであとは、国王陛下の許可が降りることを願うばかりです。」
争いの続いていた隣国との貿易の架け橋となるであろう貿易。
ダニエルは顔面を蒼白にさせて呆然と聞いていた。
しかも、コーデリアの話はまだ終わらない。
「次に、貧民街についてですが。現在数ヵ所に学校と病院、その他施設の建設を他国からの収入を当てて検討中です。」
3ヶ月である。
たった、3ヶ月。
一体どうやったらそのような結果が出るというのであろうか。
「い、インチキだ。」
ダニエルは声を出す。
「3ヶ月でそんなことが出来るわけがない!」
その言葉に、会場がしんとなり、コーデリアはダニエルに向き直ると言った。
「はい。私一人の力では無理でしょう。」
「なっ!?やはりインチキじゃないか!人に手伝ってもらって!」
「国は一人では作れません。」
「は?」
「王としての資質とは、私は国をどう人と協力し動かしていけるかではないかと思います。私は自分に出来ることを信頼できる人と共に行っただけです。」
その言葉に、ダニエルは唇を噛む。
国王は頷くと言った。
「最後まで聞かずとも、明白。次期国王にはコーデリアを指名するものとする。」
「陛下!お待ちくださいませ!ダニエルは第一王子ですよ!!!」
王妃は顔を蒼白にさせてそう懇願するが、国王ははっきりと告げる。
「ダニエルは、王の器にあらず。コーデリア、よいな。」
コーデリアは恭しく頭を下げた。
「はい。謹んでお受けいたします。」
王妃は倒れ、ダニエルはその場に崩れた。
この日を境に、コーデリアをお菓子姫と呼ぶものはいなくなった。
13
お気に入りに追加
2,673
あなたにおすすめの小説

お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました
さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア
姉の婚約者は第三王子
お茶会をすると一緒に来てと言われる
アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる
ある日姉が父に言った。
アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね?
バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
21時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

【完結】白い結婚なのでさっさとこの家から出ていきます~私の人生本番は離婚から。しっかり稼ぎたいと思います~
Na20
恋愛
ヴァイオレットは十歳の時に両親を事故で亡くしたショックで前世を思い出した。次期マクスター伯爵であったヴァイオレットだが、まだ十歳ということで父の弟である叔父がヴァイオレットが十八歳になるまでの代理として爵位を継ぐことになる。しかし叔父はヴァイオレットが十七歳の時に縁談を取り付け家から追い出してしまう。その縁談の相手は平民の恋人がいる侯爵家の嫡男だった。
「俺はお前を愛することはない!」
初夜にそう宣言した旦那様にヴァイオレットは思った。
(この家も長くはもたないわね)
貴族同士の結婚は簡単には離婚することができない。だけど離婚できる方法はもちろんある。それが三年の白い結婚だ。
ヴァイオレットは結婚初日に白い結婚でさっさと離婚し、この家から出ていくと決めたのだった。
6話と7話の間が抜けてしまいました…
7*として投稿しましたのでよろしければご覧ください!

【完結】いいえ。チートなのは旦那様です
仲村 嘉高
恋愛
伯爵家の嫡男の婚約者だったが、相手の不貞により婚約破棄になった伯爵令嬢のタイテーニア。
自分家は貧乏伯爵家で、婚約者の伯爵家に助けられていた……と、思ったら実は騙されていたらしい!
ひょんな事から出会った公爵家の嫡男と、あれよあれよと言う間に結婚し、今までの搾取された物を取り返す!!
という事が、本人の知らない所で色々進んでいくお話(笑)
※HOT最高◎位!ありがとうございます!(何位だったか曖昧でw)
【完結】「私は善意に殺された」
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました
常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。
裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。
ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる