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12 自分にできること
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「こちらをご覧ください。」
コーデリアは国王へと報告用に作っていた資料をエドウィンに配ってもらった。
「最初に行ったのは、私と懇意にしてくださっている貴族の皆様や、商人の皆様への協力の打診です。現在私が手がけているのは、我が国の鉱山より採掘された鉱石の加工と細かな装飾。ドレスや紳士服などのデザイン、そして隣国にいる知人と共同で行っている料理の考案です。この三点で出た収益は以前から慈善事業に当てておりますので、3ヶ月の成果ではございません。」
資料には事細かに現在の収支と、収入によって立てられた孤児院や養老院などの現状が記入されている。
「3ヶ月。短い期間ですが、国王陛下にいただいた貴重な公務として動ける期間。それを存分に利用させていただきました。」
今までは結局のところただのコーデリアが出来る範囲のことだった。
だが、国王陛下の許しがあれば、王女コーデリアとして動くことが可能となった。
「隣国からは以前から物流の打診がありましたので、今回は我が国の装飾やドレスなどを売り込みをかけております。そして隣国からは隣国でしか取れない食材の輸入を考えているところです。実現可能なところまで来ていますのであとは、国王陛下の許可が降りることを願うばかりです。」
争いの続いていた隣国との貿易の架け橋となるであろう貿易。
ダニエルは顔面を蒼白にさせて呆然と聞いていた。
しかも、コーデリアの話はまだ終わらない。
「次に、貧民街についてですが。現在数ヵ所に学校と病院、その他施設の建設を他国からの収入を当てて検討中です。」
3ヶ月である。
たった、3ヶ月。
一体どうやったらそのような結果が出るというのであろうか。
「い、インチキだ。」
ダニエルは声を出す。
「3ヶ月でそんなことが出来るわけがない!」
その言葉に、会場がしんとなり、コーデリアはダニエルに向き直ると言った。
「はい。私一人の力では無理でしょう。」
「なっ!?やはりインチキじゃないか!人に手伝ってもらって!」
「国は一人では作れません。」
「は?」
「王としての資質とは、私は国をどう人と協力し動かしていけるかではないかと思います。私は自分に出来ることを信頼できる人と共に行っただけです。」
その言葉に、ダニエルは唇を噛む。
国王は頷くと言った。
「最後まで聞かずとも、明白。次期国王にはコーデリアを指名するものとする。」
「陛下!お待ちくださいませ!ダニエルは第一王子ですよ!!!」
王妃は顔を蒼白にさせてそう懇願するが、国王ははっきりと告げる。
「ダニエルは、王の器にあらず。コーデリア、よいな。」
コーデリアは恭しく頭を下げた。
「はい。謹んでお受けいたします。」
王妃は倒れ、ダニエルはその場に崩れた。
この日を境に、コーデリアをお菓子姫と呼ぶものはいなくなった。
コーデリアは国王へと報告用に作っていた資料をエドウィンに配ってもらった。
「最初に行ったのは、私と懇意にしてくださっている貴族の皆様や、商人の皆様への協力の打診です。現在私が手がけているのは、我が国の鉱山より採掘された鉱石の加工と細かな装飾。ドレスや紳士服などのデザイン、そして隣国にいる知人と共同で行っている料理の考案です。この三点で出た収益は以前から慈善事業に当てておりますので、3ヶ月の成果ではございません。」
資料には事細かに現在の収支と、収入によって立てられた孤児院や養老院などの現状が記入されている。
「3ヶ月。短い期間ですが、国王陛下にいただいた貴重な公務として動ける期間。それを存分に利用させていただきました。」
今までは結局のところただのコーデリアが出来る範囲のことだった。
だが、国王陛下の許しがあれば、王女コーデリアとして動くことが可能となった。
「隣国からは以前から物流の打診がありましたので、今回は我が国の装飾やドレスなどを売り込みをかけております。そして隣国からは隣国でしか取れない食材の輸入を考えているところです。実現可能なところまで来ていますのであとは、国王陛下の許可が降りることを願うばかりです。」
争いの続いていた隣国との貿易の架け橋となるであろう貿易。
ダニエルは顔面を蒼白にさせて呆然と聞いていた。
しかも、コーデリアの話はまだ終わらない。
「次に、貧民街についてですが。現在数ヵ所に学校と病院、その他施設の建設を他国からの収入を当てて検討中です。」
3ヶ月である。
たった、3ヶ月。
一体どうやったらそのような結果が出るというのであろうか。
「い、インチキだ。」
ダニエルは声を出す。
「3ヶ月でそんなことが出来るわけがない!」
その言葉に、会場がしんとなり、コーデリアはダニエルに向き直ると言った。
「はい。私一人の力では無理でしょう。」
「なっ!?やはりインチキじゃないか!人に手伝ってもらって!」
「国は一人では作れません。」
「は?」
「王としての資質とは、私は国をどう人と協力し動かしていけるかではないかと思います。私は自分に出来ることを信頼できる人と共に行っただけです。」
その言葉に、ダニエルは唇を噛む。
国王は頷くと言った。
「最後まで聞かずとも、明白。次期国王にはコーデリアを指名するものとする。」
「陛下!お待ちくださいませ!ダニエルは第一王子ですよ!!!」
王妃は顔を蒼白にさせてそう懇願するが、国王ははっきりと告げる。
「ダニエルは、王の器にあらず。コーデリア、よいな。」
コーデリアは恭しく頭を下げた。
「はい。謹んでお受けいたします。」
王妃は倒れ、ダニエルはその場に崩れた。
この日を境に、コーデリアをお菓子姫と呼ぶものはいなくなった。
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