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「それでは前へと出よ。」
国王の声に、コーデリアとダニエルが王座の前へと跪く。
国王の眼光は鋭く、次期王を見定めるためにその視線は二人に降り注ぐ。
だが、視線を追えばその視線は国王だけのものではない。
有力な貴族らの視線もまた厳しい。
「3ヶ月。3ヶ月で王の資質を見せよと申し付けた。ダニエル、コーデリア、それぞれの働きをこの3ヶ月、貴族や商人、様々な密偵より聞き及んでいる。」
その言葉に、ダニエルが目を見開くと周りを見回した。
皆がすっと目を細め、ダニエルから視線を逸らした。
ダニエルはこの時になってようやく、3ヶ月の使い方は自分はあっていたのだろうかと心に動揺が走る。
その動揺を、ダニエルはどうにか言葉で補おうと声を上げた。
「お、お待ちください!父上!そのような事一言もおっしゃらなかったではないですか!」
国王はその様子を一瞥すると、深くため息をついて言った。
「ほう。言われなければお前は出来ない、赤子だったか?」
「ち、父上!」
国王はゆっくりとした口調のまま言った。
「期限は同じ3ヶ月。ダニエル…お前は何をしていた。」
「な・・・。それは、もちろん。有力な貴族らとの交友を・・深めて・・・。」
「酒を飲み、騒ぎ、楽しんだと?」
「それ・・・は。で、ですが、そのおかげで王家と貴族らとの絆は深まりました!」
堂々と胸を張ってそう言ったダニエルの言葉に、国王は目を伏せると手に持っていた資料を投げて渡した。
「こ、れは?」
「読んでみよ。」
そこに記載されているのはダニエルが絆を深めたと言う者達からの書状。ダニエルを次期王に据えるには不安があると言う嘆願書。
「こ・・これは何かの間違いです!彼らは・・・彼らは楽しんでいた!」
「まだいうか。ダニエル。お前には失望した。」
「お、お待ちください!何かの陰謀です!この貴族らはきっと、私を陥れようと!そ、そうだ。コーデリアの仕業に違いがありません!」
その言葉に国王の視線がコーデリアへと注がれる。
そして国王は静かに首を振ると言った。
「ダニエルよ。そこでこの3か月間、コーデリアのしてきたことを聞いておけ。」
「なっ。」
「コーデリア、3ヶ月の成果を話しなさい。」
国王の言葉に、コーデリアは頷くと落ち着いた声で3か月間で行った事を、丁寧に話し始めたのであった。
国王の声に、コーデリアとダニエルが王座の前へと跪く。
国王の眼光は鋭く、次期王を見定めるためにその視線は二人に降り注ぐ。
だが、視線を追えばその視線は国王だけのものではない。
有力な貴族らの視線もまた厳しい。
「3ヶ月。3ヶ月で王の資質を見せよと申し付けた。ダニエル、コーデリア、それぞれの働きをこの3ヶ月、貴族や商人、様々な密偵より聞き及んでいる。」
その言葉に、ダニエルが目を見開くと周りを見回した。
皆がすっと目を細め、ダニエルから視線を逸らした。
ダニエルはこの時になってようやく、3ヶ月の使い方は自分はあっていたのだろうかと心に動揺が走る。
その動揺を、ダニエルはどうにか言葉で補おうと声を上げた。
「お、お待ちください!父上!そのような事一言もおっしゃらなかったではないですか!」
国王はその様子を一瞥すると、深くため息をついて言った。
「ほう。言われなければお前は出来ない、赤子だったか?」
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「期限は同じ3ヶ月。ダニエル…お前は何をしていた。」
「な・・・。それは、もちろん。有力な貴族らとの交友を・・深めて・・・。」
「酒を飲み、騒ぎ、楽しんだと?」
「それ・・・は。で、ですが、そのおかげで王家と貴族らとの絆は深まりました!」
堂々と胸を張ってそう言ったダニエルの言葉に、国王は目を伏せると手に持っていた資料を投げて渡した。
「こ、れは?」
「読んでみよ。」
そこに記載されているのはダニエルが絆を深めたと言う者達からの書状。ダニエルを次期王に据えるには不安があると言う嘆願書。
「こ・・これは何かの間違いです!彼らは・・・彼らは楽しんでいた!」
「まだいうか。ダニエル。お前には失望した。」
「お、お待ちください!何かの陰謀です!この貴族らはきっと、私を陥れようと!そ、そうだ。コーデリアの仕業に違いがありません!」
その言葉に国王の視線がコーデリアへと注がれる。
そして国王は静かに首を振ると言った。
「ダニエルよ。そこでこの3か月間、コーデリアのしてきたことを聞いておけ。」
「なっ。」
「コーデリア、3ヶ月の成果を話しなさい。」
国王の言葉に、コーデリアは頷くと落ち着いた声で3か月間で行った事を、丁寧に話し始めたのであった。
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