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7 王としての資質
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「どうしてですか!父上!」
王座に君臨する国王に向かって、王子ダニエルはまるで子どもの駄々のように声をあらげた。
王の横に控えている王妃も国王に渋い顔を向けて言った。
「陛下。ダニエルの気持ちを組んでくださいませ。コーデリアの言葉はあまりに過ぎます。」
国王はそんな言葉を口にする王妃とダニエルを一瞥すると小さくため息をついた。
二人の考えなど全くない言葉には頭が痛くなる。
そんないつもとは違ったその様子に二人は顔を歪めて訝しげに国王を見る。
「父上?」
「陛下?」
「チャンスをやろう。」
「え?」
国王は静かに、最後の通告とばかりに重々しい口調で言った。
「3ヶ月やる。3ヶ月で次期王として自らが相応しいと証明して見せよ。コーデリアにも同じ通達をする。」
その言葉に二人の顔色が変わった。
ダニエルは顔面を蒼白にして声をあげた。
「お、お待ちください!どういうことですか父上!?時期国王は私のはずです!」
「そうです!この子が第一王子!コーデリアは側妃の子ですよ!!」
国王は立ち上がると言った。
「王としての資質を見せてみよ。話はこれまでだ。下がれ。」
「父上!」
「陛下!」
二人は無理矢理に控えていた騎士らにつれていかれる。
その様子を見ながら、国王は漏らしたくなる溜め息を堪える。
王の資質のない者を王位につけるわけにはいかない。
3ヶ月は短い。
恐らくは、コーデリアは今日の一日も無駄にはしないだろう。
現時点ですでにどちらが王位に相応しいかは見えている。
だが、必要なのは第一王子という肩書を凌駕する王の資質である。
それを示せなければ、コーデリアに王座までの道はない。
「宰相を呼べ。隣国とのことで話がある。」
現段階の問題も過酷である。
問題は山のようにあると、国王は眉間にシワを寄せる。
だが、ふと、今日のコーデリアの様子を思い出す。
愛した女性に似た凛とした真っ直ぐな瞳。そして、彼女にはなかった己の道を切り開こうとする強さを感じた。
「美しく、育ったな。」
国王が何を思うのか、その当時に何があったのかを説明できるものはいない。
だが、王のコーデリアを思う目は優しい。そして王として次期王を見定める目は厳しい。
王は国民の命を背負うもの。
だからこそ、自分の子であろうとその見極めは厳しくなくてはならないと王は宰相との話し合いに移るのであった。
王座に君臨する国王に向かって、王子ダニエルはまるで子どもの駄々のように声をあらげた。
王の横に控えている王妃も国王に渋い顔を向けて言った。
「陛下。ダニエルの気持ちを組んでくださいませ。コーデリアの言葉はあまりに過ぎます。」
国王はそんな言葉を口にする王妃とダニエルを一瞥すると小さくため息をついた。
二人の考えなど全くない言葉には頭が痛くなる。
そんないつもとは違ったその様子に二人は顔を歪めて訝しげに国王を見る。
「父上?」
「陛下?」
「チャンスをやろう。」
「え?」
国王は静かに、最後の通告とばかりに重々しい口調で言った。
「3ヶ月やる。3ヶ月で次期王として自らが相応しいと証明して見せよ。コーデリアにも同じ通達をする。」
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ダニエルは顔面を蒼白にして声をあげた。
「お、お待ちください!どういうことですか父上!?時期国王は私のはずです!」
「そうです!この子が第一王子!コーデリアは側妃の子ですよ!!」
国王は立ち上がると言った。
「王としての資質を見せてみよ。話はこれまでだ。下がれ。」
「父上!」
「陛下!」
二人は無理矢理に控えていた騎士らにつれていかれる。
その様子を見ながら、国王は漏らしたくなる溜め息を堪える。
王の資質のない者を王位につけるわけにはいかない。
3ヶ月は短い。
恐らくは、コーデリアは今日の一日も無駄にはしないだろう。
現時点ですでにどちらが王位に相応しいかは見えている。
だが、必要なのは第一王子という肩書を凌駕する王の資質である。
それを示せなければ、コーデリアに王座までの道はない。
「宰相を呼べ。隣国とのことで話がある。」
現段階の問題も過酷である。
問題は山のようにあると、国王は眉間にシワを寄せる。
だが、ふと、今日のコーデリアの様子を思い出す。
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「美しく、育ったな。」
国王が何を思うのか、その当時に何があったのかを説明できるものはいない。
だが、王のコーデリアを思う目は優しい。そして王として次期王を見定める目は厳しい。
王は国民の命を背負うもの。
だからこそ、自分の子であろうとその見極めは厳しくなくてはならないと王は宰相との話し合いに移るのであった。
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