魔法使いアルル

かのん

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第二百四十一話

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 各国の要人らが一つのところに集まることは珍しい。

 警備はもちろん厳重になるが、そもそもの仕掛けさえしておけばそう難しいことではない。

 王城を占拠した黒い魔法使い達による事件の時、彼ら決して気づかれることのないように、一つの仕掛けを施していた。

 いずれ、時が来た場合に使えるように。

 ノアは、思いの他作戦が上手くいったことに笑みを深めた。

 目の前の牢屋の中には各国の要人らを閉じ込めている。

 罠にさえ入ってもらえれば、捕らえるのは簡単なものである。

「一体どういうことだ!」

「自国への帰り道が、何故このような場所に繋がっている!」

「お前は何者だ!」

 檻の中で喚く者たちをほの暗い瞳で見つめたノアはにっこりと笑みを浮かべると言った。

「なぁに、少しばかり我々も大人しくしすぎていたのでね、そろそろドカンといってみようかと思いまして。」

 ノアがそう呟いた瞬間に、床に黒い影が広がり始め、闇に足を掬われそうになる。

 しかし、闇に呑まれるものはいない。

 要人に、闇に対する守護の魔法をかけていないわけがない。

 ノアもそれは分かっている。

「さぁ、助けが先か、闇に呑まれるのが先か、楽しみですねぇ。」

 ノアのぞっとするほど暗い瞳に、その場にいた皆の背筋は寒くなる。

「さぁ、我らが王は、この件をどう解決するのでしょうねぇ。」

 アルルとレオの姿を思い浮かべながら楽しそうにノアはそう言うと、部屋をさらに深い闇で満たしていく。

「あぁ、楽しみだなぁ。」

 呟かれた声は、闇の中に静かにこだました。



 
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