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第二百三十五話
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突然目の前に箒にまたがった少年があらわれ、音楽の民たちは目を丸くしたが、すぐにけらけらと笑い声をあげだした。
「アロンじゃないか!」
「あのいたずら小僧また来たのか!」
「きっと今回のイベントのことを聞き付けてやって来たんだなぁ! しょうがないやつめ!」
アルルとレオは目を丸くするとアロンを見上げて驚いた。
「お父さん!?」
「アロン先生!?どうして子どもの姿になっているんですか?!」
アロンは目を丸くする二人を見てニカッと笑うと言った。
「そりゃあ、音楽の民のこの地へは子どもしかはいれないからじゃよ。とりあえず、二人とも無事でよかったわい。」
その時であった。
虹色の光が降ってきたかと思えば、たくさんの虹色の道が現れた。
「さぁ。スペシャル企画イベントの始まりです!最初にゴールに辿り着けた子には素敵なプレゼントがありますよ!よーい、スタートー!」
「アロンもせっかくだから参加していけー!」
「頑張れよぉー!」
音楽の民たちは楽しげに声をあげた。
子どもたちはにこにことしながら走り始める。
アロンはその様子を見ると、アルルとレオに言った。
「よいか。いち早くゴールし、全ての子どもたちに今日中に自国へと戻れるように魔法をかけるのじゃ!今他国の要人の子どもたちが消えて問題になっておるのじゃ。」
「えぇ?!そうなの?」
「そうじゃ。この国と外側とでは時間の流れにずれが生じるからの。いち早く戻す必要があるのじゃ。」
アルルもレオもうなずくと、アロン同様に箒にまたがろうとしたのだが、突然箒が消えてしまい空を飛べなくなった。
「ずるはなしでお願いしまーす。」
その声に三人は顔を見合わせると、慌てて走り始めた。
「こりゃあ年寄りには堪えるのぉ。」
見た目は明らかに子どもの姿でそう呟くアロンにアルルもレオも苦笑いを浮かべた。
しばらく走ると、子どもたちが足を止めている場所があった。
「なんだろう。」
子どもたちの中を進んでいくと、なんとそこにはたくさんの楽器が飛んでいた。
そしてそんな楽器の前には看板が立てられている。
【楽器を捕まえて演奏し、次の道へ進め!】
子どもたちは一生懸命に楽器を追いかけている。
中には捕まえた子もいるが、演奏の仕方がわからないようで、顔を真っ赤にしながらどうにか演奏しようと試行錯誤している。
「え、どうしよう。」
アルルはもちろん楽器など演奏したことがない。
レオは笑みを浮かべるとアルルに言った。
「大丈夫だよ。アルルは、あの飛んでいるタンブリンを捕まえて。僕はヴァイオリンを取ってくる。アロン先生はどうしますか?」
「わしゃーあのカスタネットにするかのぉ。」
アロンは楽器が弾けるとばかり思っていたがそうでもないらしく、カスタネットを取りに走って行ってしまった。
「レオ、大丈夫かなぁ?」
「ん?大丈夫だよ。ほら、頑張って捕まえて。僕も捕まえてくるよ。」
アルルとレオとアロンはそれぞれ必死に楽器を追いかけると、どうにか捕まえる事が出来た。そして、レオはにっこりと笑うとアルルに言った。
「アルルとアロン先生は一・二・三・四の四拍子のリズムで、タンブリンとカスタネットを打って。アルルはタン・ウン・タン・ウン。アロン先生はウン・タン・ウン・タンのリズムで。いいですか?」
レオはヴァイオリンをかまえると、美しい旋律を鳴らし始める。
それに音楽の民は耳を傾け、そして楽しげに体を揺らし始めた。
「アルル、アロン先生、次から入って下さい。行きますよ。さん、はい!」
レオの音楽に重ねるように、タンブリンとカスタネットの音が響く。
簡単な楽器なのにもかかわらず、レオが美しく旋律を奏でてくれるからであろう。タンブリンとカスタネットのまるで行進のリズムのように楽しげに響く。
そして演奏が終わると、音楽の民から拍手がおこった。
「素晴らしい! 三人とも通っていいよ!」
「とっても素敵な演奏だったよ!」
たくさんの拍手にアルルは驚きながら、レオはにこやかにお辞儀をしている。
アロンはにこにこと笑って言った。
「レオが居てくれて良かったな!」
「本当に。レオ。ありがとう。」
「僕も久しぶりに弾いたからどきどきしたけど良かったよ! さぁ、次へ進もう!」
三人はまた虹色の道をゴール目指して駆けていくのであった。
「アロンじゃないか!」
「あのいたずら小僧また来たのか!」
「きっと今回のイベントのことを聞き付けてやって来たんだなぁ! しょうがないやつめ!」
アルルとレオは目を丸くするとアロンを見上げて驚いた。
「お父さん!?」
「アロン先生!?どうして子どもの姿になっているんですか?!」
アロンは目を丸くする二人を見てニカッと笑うと言った。
「そりゃあ、音楽の民のこの地へは子どもしかはいれないからじゃよ。とりあえず、二人とも無事でよかったわい。」
その時であった。
虹色の光が降ってきたかと思えば、たくさんの虹色の道が現れた。
「さぁ。スペシャル企画イベントの始まりです!最初にゴールに辿り着けた子には素敵なプレゼントがありますよ!よーい、スタートー!」
「アロンもせっかくだから参加していけー!」
「頑張れよぉー!」
音楽の民たちは楽しげに声をあげた。
子どもたちはにこにことしながら走り始める。
アロンはその様子を見ると、アルルとレオに言った。
「よいか。いち早くゴールし、全ての子どもたちに今日中に自国へと戻れるように魔法をかけるのじゃ!今他国の要人の子どもたちが消えて問題になっておるのじゃ。」
「えぇ?!そうなの?」
「そうじゃ。この国と外側とでは時間の流れにずれが生じるからの。いち早く戻す必要があるのじゃ。」
アルルもレオもうなずくと、アロン同様に箒にまたがろうとしたのだが、突然箒が消えてしまい空を飛べなくなった。
「ずるはなしでお願いしまーす。」
その声に三人は顔を見合わせると、慌てて走り始めた。
「こりゃあ年寄りには堪えるのぉ。」
見た目は明らかに子どもの姿でそう呟くアロンにアルルもレオも苦笑いを浮かべた。
しばらく走ると、子どもたちが足を止めている場所があった。
「なんだろう。」
子どもたちの中を進んでいくと、なんとそこにはたくさんの楽器が飛んでいた。
そしてそんな楽器の前には看板が立てられている。
【楽器を捕まえて演奏し、次の道へ進め!】
子どもたちは一生懸命に楽器を追いかけている。
中には捕まえた子もいるが、演奏の仕方がわからないようで、顔を真っ赤にしながらどうにか演奏しようと試行錯誤している。
「え、どうしよう。」
アルルはもちろん楽器など演奏したことがない。
レオは笑みを浮かべるとアルルに言った。
「大丈夫だよ。アルルは、あの飛んでいるタンブリンを捕まえて。僕はヴァイオリンを取ってくる。アロン先生はどうしますか?」
「わしゃーあのカスタネットにするかのぉ。」
アロンは楽器が弾けるとばかり思っていたがそうでもないらしく、カスタネットを取りに走って行ってしまった。
「レオ、大丈夫かなぁ?」
「ん?大丈夫だよ。ほら、頑張って捕まえて。僕も捕まえてくるよ。」
アルルとレオとアロンはそれぞれ必死に楽器を追いかけると、どうにか捕まえる事が出来た。そして、レオはにっこりと笑うとアルルに言った。
「アルルとアロン先生は一・二・三・四の四拍子のリズムで、タンブリンとカスタネットを打って。アルルはタン・ウン・タン・ウン。アロン先生はウン・タン・ウン・タンのリズムで。いいですか?」
レオはヴァイオリンをかまえると、美しい旋律を鳴らし始める。
それに音楽の民は耳を傾け、そして楽しげに体を揺らし始めた。
「アルル、アロン先生、次から入って下さい。行きますよ。さん、はい!」
レオの音楽に重ねるように、タンブリンとカスタネットの音が響く。
簡単な楽器なのにもかかわらず、レオが美しく旋律を奏でてくれるからであろう。タンブリンとカスタネットのまるで行進のリズムのように楽しげに響く。
そして演奏が終わると、音楽の民から拍手がおこった。
「素晴らしい! 三人とも通っていいよ!」
「とっても素敵な演奏だったよ!」
たくさんの拍手にアルルは驚きながら、レオはにこやかにお辞儀をしている。
アロンはにこにこと笑って言った。
「レオが居てくれて良かったな!」
「本当に。レオ。ありがとう。」
「僕も久しぶりに弾いたからどきどきしたけど良かったよ! さぁ、次へ進もう!」
三人はまた虹色の道をゴール目指して駆けていくのであった。
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