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第二百十七話
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アルル、レオ、キースの話を聞いたアロンとヴィンセントは目を丸くした後に大爆笑をすると、大きくうなずいた。そしてしばらくの間、どのように行動すべきか考え、そして大体のまとまりのついたところでアロンが口を開いた。
「やるならばこいつらは邪魔じゃの。先に牢へ飛ばしておくぞ。」
その言葉にヴィンセントがうなずくと、五人の男達は一瞬でその場から姿を消した。
「悪魔達の協力も得られそうかの?」
アロンがそう言った時、ヴィンセントは自身の悪魔と話をしながらも眉間にしわを寄せた。
ヴィンセントに付く悪魔はもちろん協力はしてくれるようなのだが、王命ですべての悪魔を動かして良い物か、其の悪魔も考えているようであった。
アルルはその様子に声を上げた。
「ゼロ!どこかで見ているんでしょう!力を貸して。」
次の瞬間突風が吹き、アルルの目の前に悪魔ゼロが現れた。
その姿にヴィンセントもアロンも目を丸くして驚いたのだがアルルは動じずに言った。
「手伝って。」
ゼロはポリポリと頭を掻くとどうしたものかと悩んでいる様子だったのだが、ふわりとした優しい風がアルルの体の周りに吹き、その様子にゼロはため息をつくとうなずいた。
「今回だけだぞ。」
その言葉にアルルはにっこりと笑みを深めたのだが、ヴィンセントは厳しい表情で言った。
「対価は?」
ゼロはヴィンセントの方を見ると小さくため息をついてから言った。
「対価はすでに、もらっている。」
その言葉にヴィンセントは眉間にしわを寄せるが、ゼロは言った。
「大丈夫だ。お前らからではないからな。とにかく協力をする。全悪魔が従うようにしよう。」
ゼロはそう言うと姿を消し、その言葉にアロンはにっこりと笑うと言った。
「話は纏まったようじゃな。よしやるか!」
アロンの言葉に、ヴィンセントも少し思案した後にうなずいた。
「そう、だな。だが私とキースは魔術、悪魔の力を借りた物だが、魔法と合せることが出来るものか?」
ヴィンセントの言葉に、アロンは小さく小首をかしげると言った。
「まあ、やったことはないのぉ。では、アルル、レオ、杖をこちらへ、キース、ヴィンセント王、手をこちらへ重ね合わせるのじゃ。」
アロンに言われた様に手と杖を重ね合わせた四人に、アロンも自身の杖を加えると渦を巻くように杖を回し始めた。
「魔力と魔術をまじ合わせ、十分の時、力よ行き交え。」
そう唱えた瞬間に、五人の力がまるで糸のように交わりはじめ、青白く光りを放つとまじりあってくのが感じられた。
ヴィンセントはさすが偉大なる大魔法使いであるとアロンを感心したように見つめた。
普段魔術師と魔法使いとが力を合わせる機会などほとんどない。そんな中で、即席でこのような魔法を生み出すことが出来るのはアロンくらいのものであろう。
「だが、これは十分しか持たないからな。あまり長くするとそれぞれの魔力、また魔術に異変をきたしかねない。」
アロンの言葉に皆がうなずき、そして五人は笑みを浮かべるとうなずきあった。
もしこれが失敗すれば、魔術師のこの国に悲劇が起こる。
それを分からない五人ではない。
ではなぜこれほどまでに笑顔で強気で立ち向かうのか。
やらなければ、ただ、悲劇を待つだけだからである。
立ち向かいもせずに、悲劇を受け入れるなど五人には考えられなかった。
アルルは笑顔で言った。
「さあやろう!」
その言葉に皆が笑顔を返した。
不安がないわけではない。
それでも、一人な訳ではない。
五人は背中を合わせ、それぞれが身構えた。
「やるならばこいつらは邪魔じゃの。先に牢へ飛ばしておくぞ。」
その言葉にヴィンセントがうなずくと、五人の男達は一瞬でその場から姿を消した。
「悪魔達の協力も得られそうかの?」
アロンがそう言った時、ヴィンセントは自身の悪魔と話をしながらも眉間にしわを寄せた。
ヴィンセントに付く悪魔はもちろん協力はしてくれるようなのだが、王命ですべての悪魔を動かして良い物か、其の悪魔も考えているようであった。
アルルはその様子に声を上げた。
「ゼロ!どこかで見ているんでしょう!力を貸して。」
次の瞬間突風が吹き、アルルの目の前に悪魔ゼロが現れた。
その姿にヴィンセントもアロンも目を丸くして驚いたのだがアルルは動じずに言った。
「手伝って。」
ゼロはポリポリと頭を掻くとどうしたものかと悩んでいる様子だったのだが、ふわりとした優しい風がアルルの体の周りに吹き、その様子にゼロはため息をつくとうなずいた。
「今回だけだぞ。」
その言葉にアルルはにっこりと笑みを深めたのだが、ヴィンセントは厳しい表情で言った。
「対価は?」
ゼロはヴィンセントの方を見ると小さくため息をついてから言った。
「対価はすでに、もらっている。」
その言葉にヴィンセントは眉間にしわを寄せるが、ゼロは言った。
「大丈夫だ。お前らからではないからな。とにかく協力をする。全悪魔が従うようにしよう。」
ゼロはそう言うと姿を消し、その言葉にアロンはにっこりと笑うと言った。
「話は纏まったようじゃな。よしやるか!」
アロンの言葉に、ヴィンセントも少し思案した後にうなずいた。
「そう、だな。だが私とキースは魔術、悪魔の力を借りた物だが、魔法と合せることが出来るものか?」
ヴィンセントの言葉に、アロンは小さく小首をかしげると言った。
「まあ、やったことはないのぉ。では、アルル、レオ、杖をこちらへ、キース、ヴィンセント王、手をこちらへ重ね合わせるのじゃ。」
アロンに言われた様に手と杖を重ね合わせた四人に、アロンも自身の杖を加えると渦を巻くように杖を回し始めた。
「魔力と魔術をまじ合わせ、十分の時、力よ行き交え。」
そう唱えた瞬間に、五人の力がまるで糸のように交わりはじめ、青白く光りを放つとまじりあってくのが感じられた。
ヴィンセントはさすが偉大なる大魔法使いであるとアロンを感心したように見つめた。
普段魔術師と魔法使いとが力を合わせる機会などほとんどない。そんな中で、即席でこのような魔法を生み出すことが出来るのはアロンくらいのものであろう。
「だが、これは十分しか持たないからな。あまり長くするとそれぞれの魔力、また魔術に異変をきたしかねない。」
アロンの言葉に皆がうなずき、そして五人は笑みを浮かべるとうなずきあった。
もしこれが失敗すれば、魔術師のこの国に悲劇が起こる。
それを分からない五人ではない。
ではなぜこれほどまでに笑顔で強気で立ち向かうのか。
やらなければ、ただ、悲劇を待つだけだからである。
立ち向かいもせずに、悲劇を受け入れるなど五人には考えられなかった。
アルルは笑顔で言った。
「さあやろう!」
その言葉に皆が笑顔を返した。
不安がないわけではない。
それでも、一人な訳ではない。
五人は背中を合わせ、それぞれが身構えた。
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