48 / 76
第二百十六話
しおりを挟む
男達は青ざめた顔で、国王にぶるぶると震えながら言った。
「どどどど、どうすればいいのでしょうか。」
「ここここんな事になるとは、、、」
「俺達は、、だだだ騙されたのか?」
「ウソだ。ウソだ。ウソだ。」
「王様、どどどうか。どうか。我々は知らなかったのです。」
その言葉に、ヴィンセントは首を横に振ると言った。
「国の頂点に立つ者には、その国を背負う責任がある。だからこそ、間違えないように慎重に、国民の声を聴きながら、国を作って行かなければならない。それが王と言うものだ。知らなかったで国が滅びてはその国の民がなんと哀れな事か。いいか。最後のチャンスだ。これをお前達に渡したのは誰で、今、突然魔法陣が光り始めたのはどういう事か話せ。」
男達は我先にと言わんばかりに話し始めた。
五人が五人とも必死に話すものだからよくよく聞いていかなければアルルには良く分からなかったのだが、どうにも話を整理していくと一人の男が関わっているらしいことが分かった。
名前も知らないその男の事を、五人は心酔するように素晴らしい男だったと話をした。そして、その男からこの魔法陣の描き方を聞き、魔術の国を救おうと決意したと馬鹿げたことを言った。
「では、突然この魔法陣が光りだした原因は?」
「えっと、その男から、もしも上手く五人で魔力を流せなくても、魔法陣がいずれ作動する仕掛をしておいたと言っていた。」
「なんだと。」
アロンは表情を厳しくすると、魔法陣に手をかざして眉間にしわを寄せた。
「まだ作動はしていないな。」
「これほどの魔法陣だ。すぐには作動できないだろう。だがやっかいだな。」
アロンはヴィンセントの言葉にうなずくと眉間にしわを寄せた。
「時限式の魔法陣だとすると、魔法陣の中にそれも組み込まれているのだろう。それを解除するには時間がいるな。」
「しかもこの男達が少しでもこの魔法陣に知識があれば良かったがそれもない。ヒントもない状態という事か。」
魔法陣はかなりの時間をかけて作られたものであろう。それを短時間で解読し、そしてその上で作動させないように仕組みを変えるなどという事は無理な話だ。
アロンとヴィンセントがどう対応するかと考えていると、アルルとレオとキースは少し考えると顔を見合わせた。
三人の頭の中には、あの地下での仕掛が浮かんでいた。
解けないと思った時、石版に乗るだけで向こう側にたどり着けたという光景が頭をよぎっていく。
「ねぇ、キース、レオ、同じこともしかして考えている?」
「うん。僕は一緒だと思う。」
「はは。俺もだ。」
三人はにっこりと笑顔を浮かべると、アロンとヴィンセントに向かって言った。
「発想の転換をしよう。」
「そうだよ!止められないならさ。」
「この魔法陣を使ってしまえばいいんだよ。」
子ども達の言葉に、ヴィンセントとアロンは目を丸くした。
「どどどど、どうすればいいのでしょうか。」
「ここここんな事になるとは、、、」
「俺達は、、だだだ騙されたのか?」
「ウソだ。ウソだ。ウソだ。」
「王様、どどどうか。どうか。我々は知らなかったのです。」
その言葉に、ヴィンセントは首を横に振ると言った。
「国の頂点に立つ者には、その国を背負う責任がある。だからこそ、間違えないように慎重に、国民の声を聴きながら、国を作って行かなければならない。それが王と言うものだ。知らなかったで国が滅びてはその国の民がなんと哀れな事か。いいか。最後のチャンスだ。これをお前達に渡したのは誰で、今、突然魔法陣が光り始めたのはどういう事か話せ。」
男達は我先にと言わんばかりに話し始めた。
五人が五人とも必死に話すものだからよくよく聞いていかなければアルルには良く分からなかったのだが、どうにも話を整理していくと一人の男が関わっているらしいことが分かった。
名前も知らないその男の事を、五人は心酔するように素晴らしい男だったと話をした。そして、その男からこの魔法陣の描き方を聞き、魔術の国を救おうと決意したと馬鹿げたことを言った。
「では、突然この魔法陣が光りだした原因は?」
「えっと、その男から、もしも上手く五人で魔力を流せなくても、魔法陣がいずれ作動する仕掛をしておいたと言っていた。」
「なんだと。」
アロンは表情を厳しくすると、魔法陣に手をかざして眉間にしわを寄せた。
「まだ作動はしていないな。」
「これほどの魔法陣だ。すぐには作動できないだろう。だがやっかいだな。」
アロンはヴィンセントの言葉にうなずくと眉間にしわを寄せた。
「時限式の魔法陣だとすると、魔法陣の中にそれも組み込まれているのだろう。それを解除するには時間がいるな。」
「しかもこの男達が少しでもこの魔法陣に知識があれば良かったがそれもない。ヒントもない状態という事か。」
魔法陣はかなりの時間をかけて作られたものであろう。それを短時間で解読し、そしてその上で作動させないように仕組みを変えるなどという事は無理な話だ。
アロンとヴィンセントがどう対応するかと考えていると、アルルとレオとキースは少し考えると顔を見合わせた。
三人の頭の中には、あの地下での仕掛が浮かんでいた。
解けないと思った時、石版に乗るだけで向こう側にたどり着けたという光景が頭をよぎっていく。
「ねぇ、キース、レオ、同じこともしかして考えている?」
「うん。僕は一緒だと思う。」
「はは。俺もだ。」
三人はにっこりと笑顔を浮かべると、アロンとヴィンセントに向かって言った。
「発想の転換をしよう。」
「そうだよ!止められないならさ。」
「この魔法陣を使ってしまえばいいんだよ。」
子ども達の言葉に、ヴィンセントとアロンは目を丸くした。
0
お気に入りに追加
2,637
あなたにおすすめの小説

お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました

理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
楪巴 (ゆずりは)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる