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第二百十三話
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アルルが眠った後、アロンはそっと部屋を出ると、ヴィンセントの元を訪れておいた。
ヴィンセントは悪魔と共に魔法陣の中に立っており、その表情は険しかった。
アロンは事前にほころびの事ヴィンセントに伝えており、子ども達が寝静まった頃に話し合いをしようと打ち合わせていたのだが、そう悠長に話し合いをしている間はどうやらなさそうだとアロンは感じた。
「アロン殿。来たか。」
「ヴィンセント王よ、その顔は、何かがあったのかの?」
「あぁ。これを見てくれ。」
ヴィンセントが空中に手をかざすと、悪魔が魔法陣を開き、映像を空中に移し始める。
そこには、町が上空から移っており、いつつのほころびから、青白い光が繋がれ、巨大な魔法陣が組まれている事が分かった。
「これは?」
アロンが眉間にしわを寄せると、ヴィンセントは重々しい口調で言った。
「恐ろしい魔法陣だ。」
「あのほころびは、魔法陣を繋ぐものであったか。」
「そのようだ。この魔法陣を調べたところ、悪魔封じの魔法陣だろうと結論はでた。だが、これは未完成だ。」
「ほう。ならば正常には作動しないのでは?」
それにヴィンセントは首を横に振った。
「確かに、正しくは作動しない。だが、それが問題だ。」
「ほう?」
ヴィンセントは、腕にはめた悪魔との契約の腕輪を撫でながら言った。
「魔術師は悪魔との契約の証となる物を介して力を得る。」
「あぁ。」
「この魔法陣は、この契約の証を壊そうとしているようだ。だが、未完成がために、おそらく、上手く壊れない。」
「ほぉ。そうなると、どうなるのじゃ?」
ヴィンセントは、顔を少しばかり青ざめさせながら言った。
「契約が解消されないままの状態で、証だけが壊れる。つまり、、、契約違反。魔術師の国の人々はそれ故に、死に絶えるだろう。」
「なっ!?」
アロンが驚きの声を上げると、ヴィンセントは大きくため息をついた。
「何としてでも防がなければならん。アロン殿、どうか、力を貸してくれないか。」
その言葉に、アロンはもちろんうなずいた。
「もちろんじゃ。して、策はあるのか?」
「あぁ。敵はこの魔法陣を作動させる為に、必ずほころびの元へと現れるはず。それを叩こうと考えている。だが、この魔法陣は少しでも作動させると何が起こるか分からない。だから、五か所全てが、必ず作動を防がなければならない。」
アロンはにやりと笑った。
「大丈夫じゃよ。わしには優秀な弟子がいるのでな、わしとアルルとレオとで三か所は守れる。後の二か所は、国王とキース王子で、大丈夫かの?」
ヴィンセントはうなずいた。
「弟子で大丈夫か?」
信頼していないわけではないが、ヴィンセントの思い出すアルルとレオの姿はまだ幼い。
そんな幼い二人に諭され、励まされたのはヴィンセント本人なのだが、それは棚に上げている。
アロンはにっこりと笑って言った。
「その辺の魔法使い十人を相手にしたとしても、あの二人であれば余裕じゃわい!まぁ、わしは百人を相手にしようが余裕じゃがの?」
ヴィンセントはその言葉に笑い、そして浮かび上がる魔法陣に視線を移した。
「私は、絶対にこの国を守りたい。」
その言葉に賛同するようにアロンはうなずいた。
「もちろんじゃ。」
ヴィンセントは悪魔と共に魔法陣の中に立っており、その表情は険しかった。
アロンは事前にほころびの事ヴィンセントに伝えており、子ども達が寝静まった頃に話し合いをしようと打ち合わせていたのだが、そう悠長に話し合いをしている間はどうやらなさそうだとアロンは感じた。
「アロン殿。来たか。」
「ヴィンセント王よ、その顔は、何かがあったのかの?」
「あぁ。これを見てくれ。」
ヴィンセントが空中に手をかざすと、悪魔が魔法陣を開き、映像を空中に移し始める。
そこには、町が上空から移っており、いつつのほころびから、青白い光が繋がれ、巨大な魔法陣が組まれている事が分かった。
「これは?」
アロンが眉間にしわを寄せると、ヴィンセントは重々しい口調で言った。
「恐ろしい魔法陣だ。」
「あのほころびは、魔法陣を繋ぐものであったか。」
「そのようだ。この魔法陣を調べたところ、悪魔封じの魔法陣だろうと結論はでた。だが、これは未完成だ。」
「ほう。ならば正常には作動しないのでは?」
それにヴィンセントは首を横に振った。
「確かに、正しくは作動しない。だが、それが問題だ。」
「ほう?」
ヴィンセントは、腕にはめた悪魔との契約の腕輪を撫でながら言った。
「魔術師は悪魔との契約の証となる物を介して力を得る。」
「あぁ。」
「この魔法陣は、この契約の証を壊そうとしているようだ。だが、未完成がために、おそらく、上手く壊れない。」
「ほぉ。そうなると、どうなるのじゃ?」
ヴィンセントは、顔を少しばかり青ざめさせながら言った。
「契約が解消されないままの状態で、証だけが壊れる。つまり、、、契約違反。魔術師の国の人々はそれ故に、死に絶えるだろう。」
「なっ!?」
アロンが驚きの声を上げると、ヴィンセントは大きくため息をついた。
「何としてでも防がなければならん。アロン殿、どうか、力を貸してくれないか。」
その言葉に、アロンはもちろんうなずいた。
「もちろんじゃ。して、策はあるのか?」
「あぁ。敵はこの魔法陣を作動させる為に、必ずほころびの元へと現れるはず。それを叩こうと考えている。だが、この魔法陣は少しでも作動させると何が起こるか分からない。だから、五か所全てが、必ず作動を防がなければならない。」
アロンはにやりと笑った。
「大丈夫じゃよ。わしには優秀な弟子がいるのでな、わしとアルルとレオとで三か所は守れる。後の二か所は、国王とキース王子で、大丈夫かの?」
ヴィンセントはうなずいた。
「弟子で大丈夫か?」
信頼していないわけではないが、ヴィンセントの思い出すアルルとレオの姿はまだ幼い。
そんな幼い二人に諭され、励まされたのはヴィンセント本人なのだが、それは棚に上げている。
アロンはにっこりと笑って言った。
「その辺の魔法使い十人を相手にしたとしても、あの二人であれば余裕じゃわい!まぁ、わしは百人を相手にしようが余裕じゃがの?」
ヴィンセントはその言葉に笑い、そして浮かび上がる魔法陣に視線を移した。
「私は、絶対にこの国を守りたい。」
その言葉に賛同するようにアロンはうなずいた。
「もちろんじゃ。」
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