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第二百三話
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三人は落ち着くと深呼吸をしてから辺りを見回した。
地図にはキースの父親の研究室までもう少しだと記されているが、どうにも続いているのは暗い道だけだ。
三人は歩きながら、本当に部屋があるのかと疑問に思ったときであった。
「え?」
突然、壁のような何かにぶつかり、それ以上進めなくなったのである。
三人はペタペタとその見えない壁をなぞった。
見えない壁はまるで水面のように波打ち、揺れるだけである。
「なるほどねぇ、こうやって結界みたいな魔術が張られているから、中を探ることが出来なかったんだね。」
アルルの言葉にレオもうなずいた。
「凄いなぁ。悪魔の力を借りての魔術は凄く細かな魔術が練られている。」
レオは透明の壁に指をなぞらせると、そこが微かに光輝いて見えた。
「よし、アルル!これを壊さないように中に入る為道を作ろう。」
「うん。」
アルルとレオは片手を重ね、もう片方の手は見えない壁に手をついた。
「扉よいでよ。」
「道を繋げ。」
少しずつ少しずつ微量の魔力を流すと、子どもが一人通れるほどの小さな扉が現れ、その扉がゆっくりと開いた。
アルルとレオはキースに顔を向けると言った。
「これで中を探ることが出来るようになったよ。」
「ここから中を探る?それとも実際に中に入ってみる?」
キースはその言葉に少し迷ったが、すぐに答えを返した。
「ここまで来たんだ。中に入って見よう。」
アルルとレオはうなずくと、キースが先頭で中に入ることになった。
入ってすぐにキースの父親がいることはないとは思うが、もしいた時に、キースの方が話が出来るだろうというつもりだったのだが、中に入った三人は目を丸くした。
そこはお城の中のようであり、出た場所は小さな小部屋ではあったが、中の装飾も床の色も魔術の国の王城そっくりであった。
三人は目を丸くしながらそっと部屋から出ると、皿に目を丸くした。
廊下に惹かれた絨毯の色も、壁も、やはり魔術の国の王城そっくりである。
城の中に出ただけだったのかと三人が思った時であった。
中庭の方から楽しげな声が聞こえ、三人は窓から中庭を覗き込んだ。
「え?あれは。」
「人?」
「いや、あれは。」
そこには、楽しげにお茶会をしている人々がいるのだが、何やら様子がおかしい。
何がおかしいのかと三人はじっと見つめてよく考えた。
そして、気が付いた。
「向き合って座っている人、、、、動いていない。」
「動いている人のお尻を見て。尻尾が生えている。」
アルルとレオがそう言い、キースを見ると、キースは呆然としていた。
そして、ゆっくりと指をさす。
「あれ。俺の、、、母だ。」
指の先にいたのは、美しいキースに似た女性と、その横に座る国王、そしてその向かいには一人の尻尾の生えた男性が座っていた。
その状況の異様さに、アルルもレオもキースもしばらくの間身動きを取ることが出来なかった。
地図にはキースの父親の研究室までもう少しだと記されているが、どうにも続いているのは暗い道だけだ。
三人は歩きながら、本当に部屋があるのかと疑問に思ったときであった。
「え?」
突然、壁のような何かにぶつかり、それ以上進めなくなったのである。
三人はペタペタとその見えない壁をなぞった。
見えない壁はまるで水面のように波打ち、揺れるだけである。
「なるほどねぇ、こうやって結界みたいな魔術が張られているから、中を探ることが出来なかったんだね。」
アルルの言葉にレオもうなずいた。
「凄いなぁ。悪魔の力を借りての魔術は凄く細かな魔術が練られている。」
レオは透明の壁に指をなぞらせると、そこが微かに光輝いて見えた。
「よし、アルル!これを壊さないように中に入る為道を作ろう。」
「うん。」
アルルとレオは片手を重ね、もう片方の手は見えない壁に手をついた。
「扉よいでよ。」
「道を繋げ。」
少しずつ少しずつ微量の魔力を流すと、子どもが一人通れるほどの小さな扉が現れ、その扉がゆっくりと開いた。
アルルとレオはキースに顔を向けると言った。
「これで中を探ることが出来るようになったよ。」
「ここから中を探る?それとも実際に中に入ってみる?」
キースはその言葉に少し迷ったが、すぐに答えを返した。
「ここまで来たんだ。中に入って見よう。」
アルルとレオはうなずくと、キースが先頭で中に入ることになった。
入ってすぐにキースの父親がいることはないとは思うが、もしいた時に、キースの方が話が出来るだろうというつもりだったのだが、中に入った三人は目を丸くした。
そこはお城の中のようであり、出た場所は小さな小部屋ではあったが、中の装飾も床の色も魔術の国の王城そっくりであった。
三人は目を丸くしながらそっと部屋から出ると、皿に目を丸くした。
廊下に惹かれた絨毯の色も、壁も、やはり魔術の国の王城そっくりである。
城の中に出ただけだったのかと三人が思った時であった。
中庭の方から楽しげな声が聞こえ、三人は窓から中庭を覗き込んだ。
「え?あれは。」
「人?」
「いや、あれは。」
そこには、楽しげにお茶会をしている人々がいるのだが、何やら様子がおかしい。
何がおかしいのかと三人はじっと見つめてよく考えた。
そして、気が付いた。
「向き合って座っている人、、、、動いていない。」
「動いている人のお尻を見て。尻尾が生えている。」
アルルとレオがそう言い、キースを見ると、キースは呆然としていた。
そして、ゆっくりと指をさす。
「あれ。俺の、、、母だ。」
指の先にいたのは、美しいキースに似た女性と、その横に座る国王、そしてその向かいには一人の尻尾の生えた男性が座っていた。
その状況の異様さに、アルルもレオもキースもしばらくの間身動きを取ることが出来なかった。
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